---御坂美鈴---
美琴が転校する旨を常盤台中学に説明しに来た。
「彼女は、この学校にいるべきですよ」
校長先生は、美琴を引き留めたいようだ。
「この街に美琴が来て、美琴は幸せだと思いますか?治療の為と思い、DNAを提供したら、他の人のレベルアップの為に、美琴のクローンが2万体以上作られたのですよ。これって、異常ですよね?」
「科学の進歩には多少の犠牲はつきものですよ」
校長先生の常識を疑う。美琴の負った精神ダメージを、多少の犠牲だと言い切った。
「娘を、もう犠牲にしたくないんです」
「そうはいいますが、彼女ほどの能力者を一般の学校では受け入れられないはずです」
「いえ、もう転校して通っているんです」
シュウ君が、転校手続きをしてくれた。彼の妹さんが通う学校への転校である。
「能力の事を秘密にしてですか?」
驚いた顔の校長先生。
「いえ、話してあります。美琴の能力のことも、美琴の妹達のこともね。その上で受け入れてくれました」
その学校では、美琴は一般生徒並の能力らしい。
「まさか…どちらの中学ですか?」
「私立駒王学園中等部です。そこは大学までの一環校だそうで、大学まで行けるそうです」
校長先生は、私の話の途中で席を立ち、駒王学園について調べだした。
「うっ!ここは…ここは止めた方が良いです。人間の通う学校では無い」
私的にはこの学校の方が通うべきでは無いと思っている。娘の知らない内に、クローンを2万体も作られていた事実。学校サイドもその事実を知っていながら、娘には伝えていない不義理。
「そうですか?ここよりも人間的ですよ。魔王である理事長にお会いしましたが、見た目、人間と変わらないですよ」
シュウ君を前にして、大汗をかいていた魔王様。シュウ君って、種族は天使なのか?
「悪魔に娘さんを差し出したのですか?!」
「差し出したのでは無いですよ。それに、娘の恩人の妹さんも通っていますし、安心、安全だと思います」
シュウ君曰く『一番怖いのは、人間の抱く悪意からの行為です』だそうだ。寧ろ、悪魔に護られている方が安全と言う、常識を覆すようなことではある。
「その恩人は人間では無い。だまされてはいけません」
ズン!
首筋に衝撃が走り、意識が途絶えた。
◇
悶々とした気分で、意識が戻った。ここはどこだ?
「オバさん、若いねぇ。20代に見えるよ」
知らない男子が、私を見下ろしていた。
「さすが大人だ。薬の効きが悪いみたいだ」
私の股間に何かの液体をたらされている。たらされる度に身体が悶々としていく。これって、媚薬?なんで、私に?
「さて…美琴さんは、どこにいるんですか?彼女の居るべき場所は学園都市だけなんですよ。わかっていますか?」
あの校長、学園都市の暗部に依頼したのか?美琴の転校を撤回させる為に。学園都市に戻す為に、拉致する気なのだろう。
「あの子はこの街にはそぐわない」
「あなたは、どこまで耐えられるのかな?」
股間にワセリンのような物が塗り込まれて行く。拷問してでも、美琴の居場所を聞き出すつもりのようだ。これが、この街の本質なのだろう。
「うっ1」
「お尻に卵タイプのローターを入れてます。さぁ、何個入るでしょうね」
意識が飛ぶ。だけど、激痛で意識が戻る。乳首に洗濯ばさみ…
「まだ、言わないんですか。では、前にバイブを入れます。さて、何本入るかな?」
巨大なバイブを手にしている男子。一本でも充分な大きさだ。
「後は、これだな。媚薬はどの位飲みますか?」
口に漏斗を押し込まれ、何かの液体を注ぎ込まれた。身体蕩けていくようだ。何も考えられない…
---代羽周太郎---
美鈴の帰りが遅いと美琴に言われ、美鈴を『強奪』してみると、エライ目に遭っていた。
「お母さん…大丈夫?ねぇ、しっかりして…」
白目を剥いて泡を吹いていて失神していた。ケツには卵ローターがこれでもかって入っていて、前には巨大バイブが2本も入れられていた。これ、気持ちいい以前に、激痛じゃないのか?エスプレイを通り超し、拷問を受けたようだ。医療センター送りだな。美琴と共に、医療センターへ転移し、美鈴から色々な物を取り除き、スライム風呂に沈めた。
「これで、治るの?」
心配そうな美琴。医療センターは、冥界のシトリー領にある。安全を期して、ここに置いた。ここなら、人間は攻めて来られないし。
「治るはずだよ。このスライム達が、有害物質を食してくれるからな」
副作用で催淫物質を注入されるけど…
美鈴のことを医療スタッフ、美琴の妹達に頼んで、美琴と共に、家に転移した。
「どうして、お母さんがあんな目に?」
「たぶん、美琴を奪取する為に、居場所を聞き出そうとしたんじゃないのか?」
「酷い…」
あの街は酷すぎる。美琴のクローンを2万体以上作り、一方通行の成長の糧にする為、無惨に殺されていた。今も残る妹達には2万回の死の記憶が残っている。番外個体と呼ばれる打ち止めであるミサカが、妹達と記憶を共有している為で、消えない、いや消せない記憶になっていた。
「人間は愚かで醜い生き物だよ。世界が変わろうと、時代が変わろうともな」
人間である美琴に対して、そんな慰めの言葉しか浮かばない僕。ダメな男である。
「そんな顔しないで!私は私の意思で、ここにいたいんだから」
って、僕の部屋で全裸になる美琴。全裸になれと強要はしていないのに、僕の部屋にいる時は、全裸になる美琴。美琴とはヤル気はまったくないんだけど…
「私じゃ、ダメ?」
「ダメだ。まだ熟していない。熟す前にすると苦痛になり、トラウマになる。だから、やせ我慢中だ」
そう伝えるとニコっとして、
「美味しくなるように熟すから…」
って…
---工藤新一---
何かのカプセルの中で横たわっていた。ここはどこだ?どんよりとした視界…視線の先には、シュウがいた。
「シュウ…ここは一体?」
シュウの顔は今まで見た事の無い悲しそうな顔であった。
「新一はアイリーンにより殺されたんだ。ここは死後の世界と思っていい」
俺が死んだ?
「何言っているんだ?俺はこうして生きているぞ」
カプセル内ではあるが、俺の手が見える。
「君の身体は量子化により、完全に分解されて、再生は不可能だよ。今のからだは人工人間…ホムンクルムで、再生した物だ」
ホムンクルムだと…
「君の世界にはホムンクルムは持ち込みたくない。言っている意味は、わかるかな?」
シュウのこんな顔は見たくない。いつも笑顔で問題を解決してくれたじゃないか。なんで、そんなに苦しそうな顔をしやがる!
「もう、人間である蘭とは生きられない。すまない…新一を護り切れなくて…」
深々と頭を下げたシュウ…お前が責任を感じるなよ。俺が、軽率だったのかもしれないだろ。
「蘭は、お前が幸せにしてやれ…」
「できない」
即答してきたシュウ。
「僕は化け物だよ。幸せに出来るわけ無いだろ?」
だけど、蘭はお前を選んだ…
「蘭が寿命を全うしたら、蘭の魂をホムンクルムに入魂して、新一と暮らせるようにする。それまで、待っていてくれ」
「バーロー!蘭は、シュウがいいんだよ。なぁ、頼む、蘭のことを頼む。アイツはお前が化け物でも問題無いんだから」
「僕が気にしているんだよ。僕のエゴかもしれないけど…そうだな、別の方法を考えて見るよ」
---代羽周太郎---
新一と話していて、閃きが舞い降りて来た。アナザーワールドをアルフガンに取り込んでみたらどうだろうか。
「ファントム、出来るか?」
「出来そうですよ。団長のアリスが、言語を理解出来るようなので、システムを構築してみます。ただ、新たなアルフガンを作る必要がありますよ」
既存の物とリンクさせて、悪影響が出るとマズイもんな。
「その方向で頼む」
また、ファントムに丸投げして、地上へと向かった。地上では、モノリスの在校生の部の決勝の時間が迫っていた。
「シュウ、米軍が決勝戦に乱入するらしいぞ」
僕に、日本の魔法師会の重鎮である九島烈が声を掛けてきた。
「胴元サイド?それとも大漢と手を組んでいた?」
「横須賀の基地司令が三高に掛けているそうだ。決勝戦がなくなれば、三高が優位になるからのぅ」
ノーコンテストの上、一高と三高以外の相手校の主力選手を消せるってことだな。
「防げるか?」
「やれるだけ、やってみる。爺は、地上で結界を張ってくれ」
「わかった」
僕は、上空に待機している僕の移動拠点に転移した。移動拠点は、並行世界で吸血鬼の王が生きたドラゴンをベースに城に改造したという、キャッスルドランと言うものである。
「レーダーで、米軍、大漢の兵器の動きを探知してくれ」
副官に指示を出し、
「チームウィッチーズ、チームアタッカーは、離陸の準備をしてくれ」
この2チームは対空戦部隊である。ディープスノーというブランドの飛行用CADを背負い、離陸指示に備えていく。専用ユニットの為、自分以外のCADは使えない。しかし、専用である為、最高速度はマッハ25である。但し、肉体が耐えきれる者が居ないため、最速なのはゼノヴィアのマッハ17であったりする。
「主砲の発射準備オーケーです」
主砲はドラゴンブレスである。
「太平洋上、日本海上より、トマホークが放たれました。ロフテッド軌道です」
レーダー担当の者より、報告が上がって来た。ロフテッドか。最高高度で落とすか。
「チームドラゴン出撃してくれ。落下し始めたらヤツを粉砕して欲しい」
「了解!ヤロウども、出撃だ」
小隊長のリヴァさんのかけ声と共に、人化したドラゴンたちが、ハンガーへと向かい、次々に上空目掛けて飛来していった。
「前方より、ステレスを含む爆撃機、攻撃機、戦闘機が近づいています」
「射程に入り次第、主砲を発射してくれ。主砲で落とせなかった飛行機は、チームウィッチーズ、チームアタッカーに任せる」
地上では戦車部隊、工兵部隊がいるようなので、それは僕が仕留めに行く。
爺から米軍にクレームを入れたそうだが、富士演習場への着弾予定と言われたそうだ。競技会場と演習場は近い。誤差の範囲と言い訳するつもりだろうか?
視界に戦車軍が見えた。迷彩色で塗られており、所属する国や部隊識別記号はきされていない。それらの群れを強制転移させていく。転移先は、大陸にある大漢の軍事施設の目の前だ。同士討ちして貰おうと思う。工兵や特務兵も見つけた。コイツらはアマゾンのジャングルへ強制転移させていく。要は、戻るのが大変な場所への強制転移だ。
『トマホークの弾頭は劣化ウランのようだが、どうする?』
リヴァさんから念話が入った。迎撃しても汚染するようにしてあるのか?
「ホワイトハウスの庭に強制転移できますか?」
『できぬ』
「今、行きます」
リヴァさんの元へ転移し、弾頭部だけを、ホワイトハウスの庭へ強制転移させていく。あっ、そうだ!1つだけ、アイリーンにプレゼントだな。アイリーンの宇宙船の推進部へ強制転移させた。これで、修理できないだろう。
◇
総ての嫌がらせを凌ぎ、宿舎の部屋に戻った。なんか、働きづめなんですが…ベッドに横たわり、しばし休憩をすることにした。
どの位、休憩しただろうか。基本不眠でも問題は無いが、頭脳労働をするには、脳を休ませる必要がある。そのための睡眠は必要である。全身の感覚が覚醒していく。うん?何か柔らかい物が両隣にいる。スライムかな?オーラを読み取ると、蘭と深雪のようだ。なんで、ここにいるんだ?
「シュウ君、おはようございます」
「シュウ…疲れているのね。もう少し寝てもいいわよ」
僕の寝顔を見ているだけの二人。いや、全裸になり、僕に抱きついているようだ。
「深雪、練習はいいのか?」
確か、最終種目のミラージ・バットに出場予定の深雪。
「蘭、バイトはいいのか?」
「練習よりも、今はこうしていたいのですよ」
笑顔の深雪。
「今日は休日なの」
蘭の笑顔が眩しい。そうだ…新一のことを言わないと…どう、切り出そうかな。
コンコン!
「入るよ」
爺の声。入室の許可を求めずに入って来た爺。真由美と十文字先輩が付き添っていた。おい!深雪と蘭は全裸なんだぞ!咄嗟に『着衣』させた。
「おい!ボケ老人。入室の許可を求めろよな」
「いや、シュウの意識の目覚めを感じてな。こうして、お礼に来たのだよ」
烈は笑顔である。
「シュウ、老師にボケ老人って言い方は無いでしょ!」
真由美が怒っている。
「いいのじゃ。シュウは身内同然。九島家の孫娘を差し出した身だからのぅ」
「それは、拒否しただろ?まったく、ポンコツな爺だな」
見てもいない女性を愛人にするほど、メスには困っては居ない。
「そうだったかのぅ。で、今回のミッションを無事にこなしてくれ、言葉が出ない。本当にすまない」
爺が頭を下げてきた。その行為に驚く真由美達。この国の魔法師の世界では、神様のような存在らしい九島烈。
「詫びはいらない。出場停止込みで貸し3だからな」
「わかった。いずれ返す。で、貸しをもう1つ」
まだ、依頼があるのか?
「最終日のパーティーで、シュウのCADが見たい。デモンストレーションしてくれないか?」
僕の?飛行ユニットのことか?
「軍事行動ようだ。許可出来無い」
マッハ17で飛んでも、肉眼で捕らえきれないだろうに。
「汎用タイプで良い」
汎用タイプだと、マッハ1程度かな。要練習ではあるけど。
「考えておく」
誰でデモンストレーションするかな。