爺が部屋から出て行くが、真由美達は出て行かない。
「ねぇ、軍事行動用のCADって?」
あぁ…起きてすぐで、頭がまだ動いていない。真由美達に隠していたことを、ポロっと口から出してしまった。
「ノーコメントだ」
「どこの軍なの?」
心配そうな顔で僕を見つめる真由美。
「ノーコメントだ」
「じゃ、老師とはどういう関係なの?孫娘を差し出したって、どういうこと?」
真由美の問い。答えが気になるのか、深雪と蘭の僕を抱きつく力が増していく。
「ノーコメントだよ。契約に関することは口外出来無い」
「九島家と契約しているの?」
十文字先輩の眼光も鋭くなっていく。その点を知りたいのだろう。
「僕の契約相手は九島家では無い」
「どこ?」
「ナンバーズ相手では無いから、真由美には関係無い」
ナンバーズ…この国の魔法師の家系には数字に関わる文字が入っている。一条、四葉、七草、十文字、千葉のように…
「英国…時計塔?」
「ホグワーツにいたんだけど…時計塔とはライバル関係に当たるんだよ。言わないと、解放してくれそうもの無いのか?はぁ~、英国王室だ。僕の契約相手は」
と、嘯く。実際は十字教であるけど…バチカンで検討され、英国で召喚の儀を行ったと言うか…
「英国…007?」
「そんなカッコよい者では無いよ。僕はスパイではないからね」
一応、納得してくれた真由美と十文字先輩。
◇
蘭が夕食の支度の為、バイトに戻り、部屋には深雪と二人。
「ねぇ、私じゃダメですか?」
「ダメって?何が?」
「傍にいたいんです」
「いるじゃない?」
何を言っているんだ?同棲生活しているようなものだが。
「私は差し出されていないんですよね?」
爺が変な事を口走るから…
「爺の孫の件か?写真ですら見た事の無い女性だよ。深雪の方が良いに決まっているだろ」
「はい」
頬を重ねて、僕を押し倒してきた。深雪を掛け布団にして、しばし睡眠だな。
翌日、深雪は予選に出場しに行った。僕は、ヤマトの元へ転移すると、揉めていた。
「どうしたんだ?」
「彼女達が、初春ちゃんに、御坂さんの住所を調べてくれって…」
ヤマト達が調べる事無く、ヤマト達は知っている。だって、僕の家だし。
「知ってどうするの?」
「お姉様に、転校を撤回してもらうんですから」
「御坂さんには良きライバルでいて欲しいものです。負け逃げなんて、許せませんわ」
美琴のことを考えての行為では無さそうである。前者の女子は興味無いが、後者の女子は興味ある。
「わかった。君の名前は?」
興味のある女子の顎をくぃして訊いてみた。
「えっ!食蜂操祈です」
顎くぃに驚いた女子。取り敢えず、特製下着セットに置き換えて、『催淫』を掛けておく。特製下着セットとは、3点ポッチをサックで護る物で、乳房が垂れない様にホールドしたり、僕以外とは出来無いように貞操帯の役目などが付いているペット用の万能下着である。
「何をしたんですか?」
下着のフィット感の変化に戸惑っている操祈。
「いい身体だよね?」
美琴と知り合いってことは、中学生であるはず。なのに、長い金髪に中学生離れのプロポーションを持っている。世の中は不公平であるって感じで。
「そ、そ、そんな目で見ないでください」
狼狽えている操祈。
「ちょっと、あんた!ジャッジメントですのよ。あんた、犯罪者でしょ?その目つきは…」
僕を指差す、美琴よりも残念ボディの女子。ちょっと、むっとしたので、ポイ捨て…魔法科高校の近所のアソコへ…でも、次の瞬間、もの凄い悪臭と共に、残念ボディが目の前に現れた。転移術使いなのか?
「ちょっと!こんなにもかわいい女性を肥だめに落とすって、あんた!どういう性格しているのよ~!」
あまりの不衛生さに、ヤマトが『浄化』『清掃』を掛けている。じゃ、これならどうだ?『脱衣』『緊縛』してからの強制転移。転移先は上条当麻の部屋。アイツなら、安全だろう。今度は、戻って来ることはなかった。一安心だな。
が、目の前の操祈は、先ほどから僕に精神感応攻撃を仕掛けていた。こいつも能力者か?
「操祈、僕には精神感応術は効かないよ」
「えっ!なんで…レベル5なのに…」
「じゃ、その辺を含めて、教育してあげようか」
操祈と共に僕の部屋に転移した。
◇
「止めてください…」
涙目で僕を見つめている操祈。念動力で、3点ポッチを責めている。現在、性的刺激は通常の5倍程度に引き上げられている。イキそうになると、休憩を挟んで、イキそうでイカない責めを受けているのだ。
「悶々としているんです。いっそのこと、手を掛けてください。いやぁぁぁぁぁ~!」
念動力で膣内でスポット責めをしてみると、全身を痙攣させて、唄っている。
「ただいま!」
美琴が帰ってきた。徐に、着ている物を全部脱ぎ、
「なんで、食蜂さんがいるの?」
って、訊かれた。脱ぐ前に気づいてくれ。美琴が、操祈の下腹部を弄り始めた。
「御坂さん、止めて…ダメっ…御坂さんの手でイキたくな…」
美琴の手で昇天した操祈。そうか!ビリビリ系能力者である美琴が弄ると、電気グローブで弄っているのと同じになるのか…
「シュウのペット?」
「そうそう。美琴も遊んでいいよ」
「そう?」
操祈の着ている物を総て脱がせた美琴。特製下着セットは、僕だけが着脱が出来る為、、美琴では外せない。
「このポッチは?」
美琴に特製下着セットの説明をしていく。
「じゃ、シュウとしか出来無いのか。もうしたの?」
「見ているだけだよ。見た目は成熟しているけど、膣の直系が細いから無理だな」
「そうなんだ」
しばらく、ここで飼い慣らすか。
◇
宿舎に戻ると、僕の部屋に深雪が待っていた。
「明日、決勝に出ます。ご褒美をください」
ご褒美?そんな約束したかな?
「褒美は何がいいんだ?」
「最終日にシュウ君のCADを使いたいです」
あっ、忘れていた。そうだ。CADの準備をしないと…深雪なら、調整済みのがあるな。並行世界の深雪で調整したものであるが。
「練習が必要だぞ」
「がんばります」
まぁ、試して貰うのもありかな?
そして、翌日、決勝で深雪が優勝して、一高の総合優勝が決まった。これで、僕は大金持ちである。ベルモット達に、勝ち金を取りに行かせるかな。
表彰式を終えて、深雪が戻ってきたので、二人で移動拠点に向かった。
「ここは?」
「僕の拠点だよ。ここに装備があるんだよ」
ロッカーから、装備一式を持って来た。
「まず、ジャンプスーツを着てみて。だぶん、サイズは合うはずだけど」
下着姿になった深雪。ジャンプスーツを着込んでいく。
「あれ?サイズがぴったり…」
首をかしげて、不思議がっている。
「次に、この飛行ユニットを付けて」
背負う感じで、飛行ユニットを装備していく。
「じゃ、ハンガーへ行こう」
ハンガーに立ち、身体を固くしていく深雪。ここは上空1万5000メートルである。地表の建物が米粒に見える世界である。
「こんな高さから落下したら…」
地面との接地時に、骨肉片が四方八方に広がるだろうな。
「大丈夫だ。さぁ、手を握って」
恐る恐る僕の手を握った瞬間、僕達は空へと踏み出した。僕の背中には、翼が展開している。時間を掛ける程、恐怖心が増すから、直ぐに落ちた方が恐怖心は少ないはずだ。
「純白…きれいです。って。なんで、シュウ君は翼があるの?」
深雪の視線は地上では無く、僕の後方を向いていた。僕の展開した翼に、困惑の表情を隠せない深雪。しかし、この興味のおかげで、空の上にいる恐怖が薄らいでいるようだ。結果オーライかな。
「僕と深雪だけの秘密だよ。他言無用だからね。実は僕には天使の血が混ざっている」
「え…えぇぇぇぇぇ~!」
初めて見た。深雪の驚いた顔。脳内保存をしておこう。
「さてと、背中に気を集中させて」
この世界のCADとは違い、気と呼ばれるオーラで機動する僕のCAD。
1時間くらいで、要領を掴み、僕と空中散歩出来る様になった深雪。
「明日は月明かりの下で踊るよ」
「はい…深雪は、シュウ君と秘密が共有出来て、とても幸せです」
目をうるうるさせて僕を見つめている深雪。涙が凍りそうであるが、温度制御は深雪が得意だったのを思い出した。深雪から離れた涙の雫は、氷の粒となって、地上へと落ちていった。
---七草真由美---
最終日…ナイトパーティーである。夜空に満月が浮かんでいた。
「では、そろそろ、余興でも…」
ダンスナンバーの曲がホールに流れ出し、老師がマイクを手にして、バルコニーへと歩み出た。それに釣られるように、私達もバルコニーから月を見上げた。そこで、驚愕なシーンを見る事になった。月をバックに1組のペアが踊っていた。二人は楽しげに、空の上で踊っていたのだ。
「飛行術が進歩すれば、いずれ、あのような行為が、皆も出来るようになると思いたい」
感慨深い表情で、踊りを見上げている老師。そういえば、シュウと深雪さんを見かけていない。あのダンサーって…曲が終わると、踊っていたペアが、老師の元へ、降下してきた。
「私が尊敬する魔法使いを紹介しましょう。代羽周太郎君と、その助手である司波深雪さんです」
老師の紹介と共に、地上に降り立ったシュウと深雪さん。だけど、深雪さんは背中にCADらしき物を背負っているが、シュウの背中には何もなかった。そのことに、驚く達也君達、技術スタッフの面々。きっとシュウは、CADなしで飛行術が使えるのだろう。
「軍事転用をされるとマズイので、仕組みすら教えて貰えませんが、魔法のトップレベルは、ここまでのことが出来るんですよ。皆さんも切磋琢磨して、技術向上を目指すことを望みます」
と、老師の言葉は締め括られた。
シュウには色々訊きたいことがある。パーティーの後、シュウを探すが、既にこの場にはいなかった。トンズラしたのか?シュウの部屋へ向かうと、
『先に帰ります 周太郎』
と、書き置きがドアに貼り付けられていた。
◇
深雪さんの部屋に集まっている私、十文字君、摩利、あーちゃん、達也君。
「深雪、あれはどういった物なんだ?」
「お兄様、言えません。あれはシュウ君が考えた一品です」
達也君も飛行魔法を完成させているが、軍事転用出来るレベルでは無い。
「やっと、シュウ君と私だけの秘密が出来たのです。それを教える訳にはいきません」
とても嬉しそうな深雪さん。シュウの秘密の一端を聞かされたのだろう。
「彼は何者なの?」
これが一番大事なことである。どこのサイドの者かで、敵にもなり得る。出来れば、彼とは戦いたく無い。
「シュウ君はシュウ君ですよ」
これは絶対に口を割らないパターンである。
「深雪…大事なことだ。アイツは何者なんだ?」
達也君も敵になり得る彼のことを知りたがっている。それは、この場に居る者全員の思いだと思う。
「お兄様!言えません。いくら、お兄様であっても、これは言えません。口外無用とシュウ君に言われて、教えていただきました」
これは?「何者か」が一番隠しておきたいことなのか?
「シュウ君は、本当の魔法使いです」
それは分かっている。ホグワーツに通っていたってことは、魔法使いである証拠である。魔法師では入学は認められないと思うし。
「問題は、あの老師が尊敬しているってことだ」
十文字君が口を開いた。
「この国の重鎮が、尊敬しているんだ。それは、老師以上の魔法の使い手であるってことだ。そんなヤツが、なんで、我が校に通っているんだ?それもホグワーツを中退までして…」
そうだ。彼が「何者か」より、「何の為に」一高に転入して来たかの理由の方が重要である。はっきり言って、我が校で学ぶことは少ないはずだ。
「老師を含む何名かのナンバーズが、彼を一高に招聘したとしか思えない。主催者から何も知らされていないが、モノリス・コードの決勝の日、この競技施設は米軍の強襲を受けたそうだ」
軍事担当の十文字家…次期当主として、十文字君に情報が降りてきたのだろう。
「それを、アイツの率いる部隊が、総て防いだそうだ」
シュウの部隊?英国の軍隊でも率いているのか?いや。それだと、国際問題になるか。英国として、米国に戦いを挑むとは思えない。それも日本の領土内で。
「老師は、この国を護る防波堤になってくれと、シュウに頼んだそうだ。見返りとして、九島家の者を人質に出すと言い切ったそうだ。ただ、アイツが間に合っていると言って、拒否したらしいがな」
苦笑い君の十文字君。その見返りが、好みの女性では無かったのかな?
「俺が掴んだ情報は、アイツがどこかの軍のトップであることだ。そして、この国サイドの依頼主は、九島家と四葉家だ」
軍のトップ…最強の魔法使いである彼が…魔法部隊なのか?
「英国王室も第二王女を差し出したそうだよ」
王室ファミリーから人質を出す程の軍なのか?そして、米国と敵対している?どこの国の軍隊になるんだ?
「十文字先輩…先輩は神々の軍勢の神話を知っていますか?」
何かを考えていた達也君が、口を開いた。
「龍騎士が神々と戦った件か?」
大昔に神々のケンカを止めた龍騎士がいたというお伽噺。
「いえ、違います。名の無き神の軍勢の神話です」
名の無き神…誰もその神の真名を知らない。土着の神とも、最古の神とも言われている神様のこと。
「あぁ~、あれか。たった一人の少女の願いを聞き入れ、全世界相手に戦ったという、名の無き神を崇拝する信者達の話か?それが、どう関係するんだ?」
「米軍と言えば、最強の軍隊です。その軍隊を退ける軍隊って、既知の軍隊では無いような気がするんです。あの神話…たった一人の少女の為に、全世界を敵に回した神の軍勢。九島家にしても、四葉家にしても、英国王室にして、女性を1名捧げようとしているように思うんです。僅かな望みを叶える為に…」
全身に鳥肌が立つ感覚が襲った。この場にいる全員がブルッと身体を震わせていた。それは、神々の軍勢のトップをシュウだという事だ。その場合、シュウは神に近い存在だってことに。もしそうなら、納得いくこともある。あの老師が尊敬する人物であること。だけど、シュウが神?あり得ないことだ。あんな俗物好きな神はいないと思う。シュウと神を同列に語るなんて、神様に不敬だよ、まったく。