気分のいい目覚めだった。出陣を控えた朝。あの日あったようなざわめきは、心のどこにもない。少し身体を動かして、差し出されたままになっている腕に頭を置いてみる。たったそれだけのことなのに、どうしてこんなにも満たされてしまうのか。しばらくまぶたを閉じ、
すぐ隣には曹操が眠っていて、その向こう側では
「んっ……、一刀さま」
真名を呼び、脚と脚とを絡ませた。かたい感触。無意識に起きる現象なのだと承知はしているが、どうしても胸が昂揚してしまう。
昨晩は
自分には子ができ、恋には新たな象徴が与えられた。一欠片の希望。それがあれば、人は迷わず進んでいくことができる。たとえ転んだとしても、立ち上がることができる。
「女の顔になっているな。もう我慢が効かなくなったのか、月?」
「起きていらしたのですね、一刀さま。お恥ずかしい姿を、見せてしまいました」
ふくらみに添えた指。ちょっと動かしはじめたところで、曹操が目覚めてしまう。
咎めるような感じではない。母になったというのに欲望を抑えきれないでいる自分を、曹操は愉快そうに見つめていた。
しばらくの間、直接的な行為は控えた方がいい。雑談の中で、それとなく
「えと……。一刀さまさえよろしければ、お口でして差しあげたいのですが。朝はこうなるとわかっていても、やはりお辛そうですし」
返事をもらうよりも早く、下腹部のほうへ移動してしまう。
大きく隆起した着物の前。丁寧に頬ずりをすると、期待にふるえた男根がびくりと脈打った。
「ははっ。月にこうまでされて、誰が奉仕を断れようか。少し話したいこともある。そのまま、続けてくれないか」
「うれしいです、一刀さま。それでは、んっ……失礼いたしますね」
帯を緩め、男根を外に出す。自分でも、慣れた所作になってきたように思う。ちょっとした生き甲斐。曹操への奉仕が、そうしたものになってきているのかもしれない。待ちに待った雄々しいもの。寝汗のせいか、普段よりも匂いがちょっと濃い。たっぷりと吸い込むと、俄然やる気がわいてくる。
いきなり咥えたりはせずに、まずは周辺から舌で愛撫を加えていく。舌先。微妙な力加減で、眠った快楽を引き出そうとした。曹操の手が、頭を撫でてくる。硬度を増す男根。亀頭は悠然と天を向いていて、月の顔に影を落としている。
「へう……。こうして撫でていただくのも、なんだか久しぶりのような気がいたします……。一刀さま、それでお話しというのはいったい?」
自分を母にしてくれた子種。それがつまっているであろう袋を念入りに揉みほぐし、慈しんだ。
恋はまだ夢の中のようで、起きる気配はない。孫家との戦でも、呂布軍にかかる期待は小さくないはずだった。孫堅の猛々しさと、獲物を狩る周到さ。対抗するための剣として、恋は相応しい力量を持っている。自分が最後まで導いてやれなかった輝き。曹操ならば、活かしきってくれると月は信じていた。
そして、かつての董卓軍で武威を示していた者が、孫堅のもとにはいる。華雄。そう簡単に死ぬはずがないとは思っていたが、やはりその推測は正しかった。新たな主君。あるいは、孫堅を友のように感じているのか。直接交流してきた詠たちの話から、月はそんな印象を受けていた。
自分は曹操に惚れ、華雄は孫堅に惚れている。ただそれだけのことであり、なにも悲しむべきことはなかった。出会いと別れ。その繰り返しで、人の歴史は紡がれていると言っていい。
「董の名に、復してみる気はないか」
予想外の切り口だった。
聞こえていないふりをして、奉仕を続けた。雁首を軽く指先でいじり、肉竿に口づける。勃起したものが額に触れていて、そこから熱が明瞭に伝わっている。
「なにも、再び董卓と名乗れと言っているわけではない。なにより、そんなことをしては恋たちの努力が無駄になる。しかし、生まれてくる子の将来を考えると、そのままというわけにもいくまい」
董卓の復活を、今になって曹操が求めるはずがない。わかりきっていることなのに、片意地を張ろうとした自分がちょっと恥ずかしかった。舌の表面で会陰を何度もなぞり、手を使って大きくなった剛直をしごいた。満足したように曹操が深く息を吐く。もっと、自分の奉仕で気持ちよくなってもらいたい。その一心で、愛撫をし続けた。
本来ならば、悪名を残した暴君の血筋をまともに遇する必要はないのである。董の名に復するという意味。それが小さくないことを、月は直感的に理解していた。名をもどせば、曹操の築く秩序の中に表立って加わることもできるようになる。いずれ生まれてくるわが子に、父が曹操だという事実を堂々と伝えられることにもなる。
「
「あむっ、むっ、ちゅう……。白……、董白ですか」
澄み切った声。淫らな奉仕を受けているにもかかわらず、曹操は少しも動じていなかった。
董白。悪くない響きだと思った。恋にとっての深紅の曹旗と同様に、その名は自分の新たな一歩の手助けとなるのではないか。
「ありがたく、頂戴する所存です。この董白のすべては、あなたさまのもの。名を変えても、その思いは生涯変わることなどありません」
誓いの口づけ。男根の先を唇でしっとりと濡らし、月はほほえんでいた。
そのまま、熱くなった亀頭を頬張った。唾液であふれた口内。頭を揺さぶるのと同時に、舌をねっとりと絡ませる。
先走りの官能的な苦さが、唾液と混ざり合っている。その味は媚薬のように思考を歪ませ、情欲を増幅させていく。呼吸がむずかしくなるまで深く男根を飲み込むと、その傾向はより顕著になった。
「んぷっ、んっ、じゅくっ……。あふっ……、
「ああ、さすがの居心地だ。月のくれるあたたかさが、俺は好きなのだろうな」
うれしくなって、もっと頑張りたくなってしまう。
じゅぷじゅぷ。ぐぷっ、ぐぷっ。水音を派手に立て、唾液と一緒に快楽を送り込もうとした。曹操の指が髪を撫でる。それだけで感じてしまうほど、気持ちが昂ぶっていた。
「もうひとつ、話をしてもいいか」
曹操の言葉に、月は何度も頭を振って頷いていた。
なんだって受け入れる。曹操に寄り添って生きると、自分は誓ったのだ。
「わが子の養育のことを、以前から考えていたのだ。それぞれの裁量に任せるのもいいが、それではつながりが薄くなる。競争は必要なのだろうが、兄妹の相克は家を割り、果てには国を割ることになる。みなが母であり、姉でもある。そのような環境で、わが子には育ってほしいと俺は願っている」
「んっ、んむっ、ちゅぱぁ……。それは、よきお考えかと。次代の育成は、戦と同じくらい大切に扱われるべきです。私も、一刀さまのご意見に異存はありません。詠ちゃんや恋さん、それにほかのみなさんとも一緒に子を育てられると思うと、愉しみでなりません」
「月に同意してもらえると、俺も心強い。理想を実現するためにも、体制の整備が急務となってくるのだろう。その任を、そなたに命じたいのだ、董白」
「そのような仕事を私に? ほんとうによろしいのですか、一刀さま?」
「俺のまわりを見渡しても、おまえ以上に乱世を知る者はいないのでな。その経験の大きさから鑑みて、誰よりも適任だと思っているのだよ。いきなりの要請ではあるが、受けてくれるか、月」
迷いはなかった。自分に董白の名を与えたのは、このためでもあったのだろう。
少しだけ姿勢を正し、月は言った。
「御意のままに。ご信頼に応えるためにも、励むつもりです」
「よろしく頼む。職務の補佐として、詠をつけるつもりだ。二人でなら、上手く進められよう」
「詠ちゃんと一緒に? ご配慮ありがとうございます、一刀さま。詠ちゃんと二人で一刀さまをお支えできるだなんて、ほんとうに夢みたいで」
感謝の念を込めて、男根にじっくりと舌を這わせた。
曹操も口淫を愉しむことだけに気持ちを切り替えたようで、先ほどよりも反応がずっとよくなっている。
汗のたまった亀頭のくびれ。唇と舌先とで、余さず汚れを取り去っていく。男根の熱さ。それすら、愛おしくなってくる。ゆるやかな快楽。愉しむ曹操の隣で寝ていたはずの恋の姿がないことに、月はまだ気づいていなかった。
「おはよう、月。一刀のちんちんが、今日の朝ごはん?」
「へうっ……!? お、おはようございます、恋さん」
死角からいきなりあらわれた恋。挨拶もそこそこに、いきなり曹操の男根を咥えた。
「あむっ、ちゅっ、もごごっ……。ぷあっ……。おっきすぎて、恋の口に入りきらない。月だったら、たぶんもっと無理」
「うふふっ。だけど、困っている私たちを見るのも、一刀さまはお好きみたいだよ?」
「一刀は、ちょっとだけ意地悪。すんっ、すんっ……。ちんちん、月と一刀の匂いがして、いつもよりどきどきする」
無造作に寝ていたせいで、恋の着物はすっかり乱れてしまっていた。
さらけ出している肌。女である自分から見ても、健康的な魅力にあふれている。
男根を舐めながら、曹操の反応を伺った。口淫に不満はない。それでも、視線は恋の身体に注がれているようだった。乳房。やわらかな肉が動く度に揺れ、曹操の情欲を誘っている。使わない手は、ないと思った。
「恋さんの胸が気になって仕方がないんですね、一刀さま。だったら、恋さん?」
「んっ……。おっぱいで、ちんちんぎゅってする? そうしたら、一刀は気持ちよくなれる?」
恋の身体。乳房で男根を挟めるように誘った。
褐色の谷間から、赤黒い先端が飛び出している。恋はまだ要領をつかめていないようで、自分と曹操の顔を交互に眺めていた。
「おっぱいで挟みながら、上下に擦って差しあげるの。そうしたら、絶対よろこんでくださるから」
「わかった。月の言うとおりに、やってみる。んっ、んしょ、んっ……」
「そうそう。上手だよ、恋さん。それなら、私はこちらを」
豊かな乳房に挟まれた男根。
包みきれていない先端に狙いを定め、月は奉仕を再開させた。二人分の快楽。曹操のよろこびは明らかであり、分泌される先走りの粘度も増している。
「んっ、はっ、はあっ。これ、すごい。月のよだれで、恋のおっぱいぬるぬるになる。擦ってるだけなのに、気持ちよくなる」
「かわいい、恋さん。ねっ、一刀さま」
自分の意図を、曹操は即座に理解したようだった。
上気している恋の頬。そっと手をあて、唇を合わせた。小さな驚き。しかし、それはすぐに消えていく。
いつの日か、恋も曹操の子を宿すことになるのだろう。考えると、たまらなく胸が熱くなった。同じ男を愛し、そして子を育む。壊すだけしかできなかった自分を、曹操が変えてくれたという思いがある。
たどたどしく触れ合う舌。恋も、口づけを愉しんでくれているようだった。そうしている間も、亀頭は手のひらで刺激し続けている。粘液の感触。生々しく、昂揚する気分を抑えられなかった。
「んっ、ちゅっ、んはっ……♡ ふふっ、気持ちよかったね、恋さん」
「うん。一刀とちゅってするのとは、少し違う。けど、すごくどきどきした」
ぼんやりとしたまま、恋が感想を述べている。女同士の戯れ。見守っていた曹操の眼差しは優しく、父性すら感じさせられている。
「ほら、一刀さまを気持ちよくして差しあげないと。私たちのご主人様で、愛しい旦那さま。たくさん、ご奉仕いたしますね♡」
「んっ……。一刀は、恋のご主人様?」
「違いない。胸でもっと感じさせてくれるか、恋」
「一刀の、ご主人様の命令は絶対。おっぱい、ぬちゅぬちゅってして、ちんちん気持ちよくしてあげないといけない。んっ、んべえ……」
口内にためた唾液を、恋が胸の谷間に垂らしている。それが潤滑剤となり、上下運動の助けとなっているようだった。奉仕によって恋自身も興奮を得ているのは確実で、色のきれいな乳首が主張を強めていた。
「おっぱいでご主人様にしてあげながら、恋さんも感じているんだね。私も、がんばらないと」
射精感を高めようと、亀頭を念入りに刺激していった。
曹操の手。臀部を撫で回されるのが心地よく、男根を咥えながら声を洩らしてしまう。
「んっ、んふっ……♡
「あっ……。ご主人様のちんちん、ひくってしてる。白いの出したくなったら、いつでも出してくれていい。恋のおっぱい、ご主人様のでぬるぬるにしてもらいたい」
恋の天才肌な部分が、閨においても発揮されている。乳圧。的確に加えられているようで、男根は幾度となくひくついていた。
「
「狙ってしているのか、月? ははっ。だとしたら、たまらないな」
もごもごと言葉を発する動き。それを、曹操は気に入ってくれているようなのである。わかっていて、何度も繰り返した。気持ちいい射精を味わってほしい。精液を、自分たちに浴びせてほしい。
情欲を解き放つ瞬間。すぐそこにまで、来ているのか。曹操の指が、優しく剥き出しの陰部を擦っている。押し寄せる波。飲まれつつあるのは、曹操だけではなかった。
「ああっ……。そのまま締め上げていろ、恋。出る……、出すぞっ」
「うあっ♡ ご主人様のちんちん、びくびくってふるえてる。んっ……、今日もすごい量。月のおでこ、真っ白にされちゃってる」
「んっ、んんっ、あっ、あふぅ……♡ どろどろなのは、恋さんも同じだよ? ここだって、ほら♡」
絶頂の瞬間を見計らって、月は口を離していた。
恋の乳房に降り注いだ精液。塗り拡げる途中で、乳首に刺激を加えた。
ふるえる声。奉仕をしていて、かなり敏感になっていたのだろう。面白いくらい恋の身体は反応を見せ、かわいらしくひきつっている。
「あっ、んあっ……! 月の指で、こりこりってされるの気持ちいい。恋の身体も、ちんちんみたいにびくってする♡ はーっ♡ んんっ♡ ぴりぴり、とまらない♡」
恋の持つ美しい褐色の肌。一段と紅潮したその上を、精液の白が染めていく。
幻想的ですらある光景。小刻みに昇ってくる快楽を受け入れながら、月は見入っていた。
†
軍人の顔となった恋。近くでは、ねねが赤兎を曳いている。
残留する詠とともに、月は出陣の見送りにでていた。間もなく、田豊率いる袁紹軍が到着する予定となっている。その合流を待って、曹操は豫州に進軍するつもりでいた。
「はい、これで大丈夫。だけど、怪我には気をつけてね」
「ありがとう、月。恋の命は、一刀のもの。だから、死ねって言われるまで恋は死なない」
噴き出した血にも見える赤い布。呂布奉先の、目印ともなっているものだった。しっかりと首に巻いてやると、恋はうれしそうに笑ってみせた。
曹操と交わした誓い。それがあるかぎり、恋は軍神となり闘いの中に生きるのだろう。待っているしかない自分が、少し口惜しい。それでも、帰る場所があるから人は闘える。誰であろうと、それは同じだった。
「しっかりね、恋。呂布軍の強さ、孫家のやつらにも見せつけてやるのよ」
「わかってる。詠たちの分まで、恋は闘う。勝って、一刀と一緒に帰ってくる」
頼もしい言葉だった。それに恋が口にすると、大言を吐いているような感じが少しもしないのだ。
おびただしい数の軍勢。静かに通り過ぎていく。月が探しているのは、曹操の姿だった。
「馬」、「徐」、といった旗をかかげた部隊を見送った。体格のいい黒馬。その背に揺られて、待ち人はようやくあらわれた。
「いってらっしゃいませ、一刀さま。お帰りを、お待ちしております」
高く上がった曹操の右手。深く頭を下げる月の心は、穏やかだった。
馬……徐……