短い時間ではあったが、桂花の母とも話をすることができた。
自分の我儘で迷惑をかけるのだから、顔くらいは見せておくべきだと思ったのだ。反対をされても、仕方のない行為なのである。それでも、桂花の母はいつもと同じ穏やかさで自分を迎えてくれた。どこかで、こうなることを期待してくれていたのかもしれない。冀州行きの提案を受けても、やはり平静を乱さずうなずいてくれていたのだ。
これが、娘の天命なのではないか。別れ際に聞いたその一言が、まだ耳に残っている。
馬。駆けさせながら、曹操は蒼空を見つめている。後背から腹に回された腕が、温かかった。いくらか遅れて、春蘭と星も続いている。
「あのくらいのことで、心を許しただなんて勘違いしないでよね。まったく、強盗まがいのことをするやつに天命を感じただなんて、わたしもどうかしているのよ」
「天命か。お前の御母堂も、そんなことを言っていたな」
棘の中に、隠しきれない高揚感がある。それがわかっているから、曹操は気にせず聞き流している。
後ろに乗っている桂花のことを考えて、荒れ具合の少ない道を選んだ。そんなことですら、いまは嬉しく感じられた。
天とは、なんなのか。曹操は、時々それを考えることがあった。天とは、きまぐれなものだ。ちょっとの機嫌の変化で、この世は豊かになることがあるし、またその逆になる場合すらあるのだ。
小さな自分たちでは、どうすることもできない大きな存在。それが、天なのか。
「なによ、黙り込んじゃって。無理やりわたしのことを連れ出したんだから、相手くらいするのが礼儀ってものじゃないの?」
桂花の吐息を首筋に感じながら、曹操は再度蒼空を見上げた。
ほんとうの故郷。天の先には、そういうものがあるのだろうか。どれだけ観察してみても、答えを導き出すことなどできなかった。桂花に聞かせれば、きっと笑うはずだ。自分でも、養父から聞いたことは御伽話のようだと思っている。
「むっ……。ちょっと一刀ってば、聞いているの?」
「聞いているとも。ただ、少し考えことをしていたのだよ」
「ふんっ。あんたのことだから、どうせほかの女のことでも思い浮かべていたんでしょ。変態色情魔は、これだから嫌なのよ」
ふと首を右に向けてみると、桂花の顔があった。
いままでとは、どこか違う。なにかを、振り切った。そんな眼を、桂花はしているのではないか。
「はっはっはっ! なるほど、荀彧殿は
「ねえ、なんなのよこいつ。てっきり、いつもみたいに夏侯の妹のほうがきていると思っていたのだけれど」
「こいつ、ではありませぬ。わたしは常山の趙子龍。曹操殿の鑓にして、くくっ……愛人とでも言っておきましょうか?」
「は、はあっ、愛人ですって!? ぐううぅ、この万年発情孕ませ男っ!」
原野に響く大声。
同時に、強く耳を引っ張られてしまっている。振り返らずとも、星の楽しげな表情を、曹操は脳裏に思い描くことができるくらいだった。
「やめんか貴様っ! 殿がこうして出向いてくださらねば、おまえは今頃わけのわからん輩の妻となっていたのだぞ。だったら、もっと感謝するべきではないのか」
「ちっ。頭にまで筋肉のつまったいのししは、口を挟まないでくれないかしら? わたしは、あんたじゃなくて一刀に言っているのよ」
どうにも、春蘭と桂花は相性がよくないようだった。
売り言葉に、買い言葉。どちらかが喧嘩腰になると、もう片方もすぐに乗ってしまう。関係を改善させるためにも、どこかで手を打つ必要があるのかもしれない、と曹操は思案している。
「ぐぬぬぬっ……。言わせておけば、こやつめ」
「そこまでにしておけ、
「はあ。殿がそう申されるのであれば、わたしに異存などありませんが」
「ふんっ……。なによ、いきなり主君面してくれちゃって。そういえば、どこかに泊まるアテはあるんでしょうね?」
桂花が、話題を変える。手綱のように引かれていた耳も、もとに戻っている。
いまは、逃避行をしているような状態なのである。だから、なるべくひとの集まる場所には立ち寄りたくないのだ。地元である
「悪いが、今夜は野営だ。春蘭と
「やっぱり、そんなことだろうと思っていたわ……。ねえ、夏侯惇、趙雲」
「なんだ、藪から棒に。もしや、まだなにか文句でもあるというのか、貴様は」
「春蘭、そうカリカリするものではなかろう。あまり荀彧殿に噛み付いていると、主の不興を買ってしまうやもしれぬぞ?」
「むぅ、それはいかんな」
星の言葉に、春蘭は納得したようだった。
髪から発せられた香り。桂花の頭が、肩に乗りかかっているのだ。薄っすらとだが、曹操はそこから甘い香りのようなものを感じていた。
「わたしのことは、桂花と呼んでくれてかまわないわ。真名まで預けてあげるのだから、しっかり守ってくれなきゃ困るわよ」
「なんだ、その言い草は。しかし、お前を警護することは、殿のお望みでもあるのだ。であれば、このわたしが手を抜くはずがなかろう」
「ふっ、かわいらしい願い方をするものではないか。桂花よ、わたしの真名は星だ。春蘭も、意地を張るのはやめにしたらどうだ」
「むむっ、星め……。わたしは、はじめから意地など張っておらんというに。まあよい、我が真名は春蘭。これからは同輩となるのだ、一応よろしくしてやらんこともないぞ、桂花」
真名を預けあう三人。曹操は、そのやり取りを静かに聞いていた。
春蘭の同輩となるということは、すなわち自分の臣下になるということでもある。そのことを、桂花はどう思っているのだろうか。
帰ってすぐに、桂花を室として扱うのは難しいことだろう。宦官たちは、依然として力をもっている。桂花は、その輪から強引に奪い去った女でもあるのだ。だから自然と、立場は臣下ということになる。だが、そのくらいの覚悟は、屋敷から出奔した時点で桂花もできているはずだった。
「はいはい、星に春蘭ね。仕方がないから、それなりに付き合ってあげるわよ」
「素直でないのは、こちらも同じか。苦労なされますな、主よ」
軽口を叩く星。これも、すっかり馴染んできたことのひとつだ。
自由闊達としているだけに、星が家中に溶け込むまでに要した時間は、ほんとうに短かったように思える。最近だと、
腹を掴んでいる、桂花の腕。そっと触れてみると、背中から反応が返ってくる。
顔でも、擦りつけているのだろうか。犬や猫が互いにそうしているのを、曹操は何度か見かけたことがあった。猫の耳にも似た装飾のついた頭巾を被っているだけに、桂花にはそれに近しい気質があるのかもしれない。
女体の柔らかさを感じながら、曹操は軽快に馬を駆けさせている。しばらくの間、桂花は無言のままだった。
†
周囲が完全に暗くなる前に、街道を外れて森に入った。
春蘭が野うさぎを捕らえてきたから、それを焼いて腹を満たした。達人の域にある妹ほどではないが、小動物を狩るくらいはお手の物なのである。
口では文句を言いながらも、桂花は心が浮き立っているようにも見えた。こういった経験を、いままでしたことがないのだろう。焼けた肉をついばむように
朝。起きてみると、そばにいたはずの桂花がいないことに、曹操は気がついた。春蘭が起きて警戒にあたっていたから、異変があったのではないのだろう。
起きていたのが星だったら、桂花について行ったのだと思う。自分の護衛は、もう一人を起こせばそれで済むことでもあるのだ。
春蘭が優先するのは、あくまでも曹操ひとりの安全だった。融通が効かないともいえるが、一途でもある。そういった気性を、曹操は愛しているのだった。
「春蘭、桂花はどこだ」
「はっ。すぐそこの小川で、水浴びをしてくると申しておりました。よろしければ、呼んでまいりますが」
「いや、それには及ばない。桂花の様子は、俺が直接見てこよう。もう少ししたら、星も起こしておけ」
「行かれるのでしたら、わたしもご一緒いたします。星でしたら、放っておいても問題ありません」
「いい、と言っているだろう。それに、なにかあればすぐに叫び声をあげるつもりだ。それこそ、女人のようにな」
冗談交じりに春蘭を制しながら、曹操は立ち上がった。
木に寄りかかるようにして寝ていたせいで、身体が少し痛んでいる。汗を吸った着物。少々、着心地が悪くなっていた。冷たい水で肌を流せば、それもいくらかよくなるはずだ。
逸る気持ちを抑えながら、小川に向けて曹操は歩きだした。
小川につくまでは、二十歩もかからなかったように思える。歩きながら、身を隠せそうなところがあるか曹操は探っていた。あの桂花が、野外で堂々と肌を晒しているとは、到底思えなかったからだ。
その考えは、正しかった。ひとの背丈くらいはある岩場の陰。そこから、曹操は気配をうかがっていた。水をすくうような音。確かに、聞こえている。荀彧は、すぐそこにいるようだった。
周囲を見渡してみると、桂花の着ていた服が眼に飛び込んできた。内側に隠してあるようで、下着の所在までは確認することができなかった。しかし、まず着ていないとみて間違いないはずである。
小石をひとつ掴み、川面に向かって投げてみる。小さな悲鳴。それが直後にあがった。笑いをこらえながら、曹操は姿を現した。桂花は、水の中で身体をすくめている。
「ちょっと、なんでアンタが!?」
「気にせず水浴びを続けていいのだぞ、桂花。俺は、おまえが無事かどうか、確かめに来ただけなのだからな」
「はあっ!? そんなの、無理に決まってるでしょ!? ちょっと、こっちをじろじろ見ないでくれないかしら!?」
傷一つない、美しい地肌。起伏が少ないがゆえに、ある種芸術的にさえ感じられている。
一瞬だけ姿を見ることができた、桃色の乳頭。冷たさのせいで、かすかに隆起していたのかもしれない。それが、曹操の脳裏にはっきりと焼き付いていたのだ。
「俺のことは、石像かなにかと思えばいい。無闇に視界に入れなければ、さほど気にはならんはずだ」
「馬鹿いってんじゃないわよ! うぅうう……。どうしてわたしは、こんな気の触れた変質者なんかにぃ……」
胸と陰部を手で隠しながら、桂花は泣き言をいっている。
光る水滴。朝日に照らされて、肌がより魅力的に輝いていた。自らの手で連れ出したからか、曹操には遠慮というものがなくなってきている。
「くうぅうぅう……。だ、だったら……」
「だったらなんだ、桂花?」
「あ、アンタも、裸になりなさいよ。わたしだけ水浴びしている姿を見られるだなんて、不公平じゃない。だいたい、今日も一緒の馬に乗ることになるんでしょう? 身体の汚れたやつの後ろに乗るだなんて、わたしは嫌よ」
「くくっ、はははっ。それはいい提案だな、桂花。どのみち、俺も後から身体を流したいと思っていたのだよ。なるほど、二人一緒にすれば、より早く終えることができるというものだ」
曹操の笑い声が、水場に反響している。
水に浸かっていて見えないが、桂花は足先まで赤く染めてしまっているはずだ。本人からしてみれば、動揺からつい口にしてしまったようなものなのだろう。
帯を緩め、着物を脱いでいく。そうと決めたからには、曹操の動きは早かった。
汗で湿った肌に、川面の風が気持ちよかった。桂花の双眸。それが、時折こちらをうかがうように差し向けられている。
「ちょっと、そんなに近寄らなくったって」
「ここまでさせておいて、細かいことを言ってくれるな。それに、俺はおまえにすべてを知ってもらいたいのだよ、桂花。これも、いつかは必ず通る道なのでな」
吐息があたるくらいの距離。桂花の視線が、ある一点を熱心に見つめている。
全身を流れる血。それが、情欲の高まりを受けて集まろうとしているのだ。屹立した男根。下着を突き破ってしまうのではないかと思うくらいに、猛っている。
鬱陶しい布を投げ捨てて、曹操はおもむろに桂花へと近づいていく。足元から水で冷やされようと、情欲の炎が鎮まることはなかった。
「うっ、ああっ……。なんなのよ、それぇ……。馬鹿みたいにおっきくなって、反り返ってる……? やだっ、いまちょっとびくって動いたんだけど……!?」
「ふっ、気になるか、桂花? ともかく、水浴びの続きをするぞ。おまえも、身体を隠していないで洗ってしまうのだな」
腫れた男根。郷里から駆けっぱなしだったせいで、汚れがたまっているのは確かだった。
水をかけ、手で擦っていく。垢を落としていくと、気分も晴れやかなものへと変わっていった。それでも、身体の芯は疼いている。疼いて、目の前の女を求めている。
胸と陰部を隠していた桂花の手が、恐る恐るどかされていく。
なだらかな膨らみを描く胸部。身体に水をかけることで、触れようとする自分の本能を押し留めた。
どうせならば、桂花のほうから触れてほしい。自分のなかには、そんな思いがあるのかもしれない、と曹操は息を殺していた。
下は、まだ毛が生えていないようだった。つるりとしていて、なんとなく幼さすら感じてしまう見た目をしている。いつかは、桂花の無垢な部分を汚す。それをしていいのは、自分だけだった。
桂花の母から、親しくなった男は自分だけだと聞いている。男女の身体の差異。知識としてはわかっていても、実物など知るはずもなかった。
「こんなのって、絶対おかしいわよ。どうしてわたしが、んうっ……、一刀みたいな変態性欲男なんかと、一緒に水浴びしなくちゃいけないのよぉ……」
「諦めろ。これも、おまえの言うところの天命というやつなのだろう。ほら、手が止まっているぞ?」
「くうぅ、うるさいわね……っ! はあっ……、そんなに見せつけないでよ、変態」
「別に、見せつけようとしているわけではないのだぞ。ほんとうに、俺はただ身体を水で清めているだけなのだ。もっとも、触れたければ止めはしないがな」
水で濡らした手。わずかに、ひんやりとしている。
桂花の眼に、興奮の色が見えていた。わざとらしく扱き上げるような動作で、曹操は男根を磨いていく。
「というか、んうっ……。そんなに腫らして、痛くはないんでしょうね? なんだか、いつか爆ぜてしまいそうで」
「爆ぜるというのは、あながち間違いではないな。ここが爆ぜることで、男は子種を出すことができるのだよ」
「ほんとに、んんっ、気味が悪い生き物なんだから……んあうっ!?」
普通に身体を洗っているだけだというのに、桂花はちょっと感じてしまっているのだろう。胸のあたりに指が触れたとき、声はより大きく口からもれている。
無垢な突起。擦れたせいで、先ほどよりも主張を強めている。桂花は、無意識にそこを重点的に刺激してしまっているのかもしれない。そして男根に視線がいっているあいだ、その動きはより顕著になる。
「平気か、桂花。なぜだか、息が苦しそうだが」
「知らない、わよ……っ♡ はあぁ、んうっ……♡ わたし、もうわけわかんない……っ」
「おっと。ふっ……、大胆なことをするやつだ。しかし、身体がかなり熱くなっているようだな。よく、ここまで我慢できたものだ」
「あんっ、くうぅう。余裕ぶってないで、どうにかしなさいよぉ……♡ ああっ、あんたのチンコ、馬鹿みたいにあつくて……♡ やあっ、動かさないでってばぁ♡」
もたれかかってきた桂花の身体。抱きしめているだけで、たまらなくなってしまう。
膨張しきった男根が、身体の間で潰されている。桂花は薄い身体をしているが、所々に女としての柔らかさを宿しているのだ。甘い切なさ。じりじりと、這い上がってくるようだった。
桂花の柔らかな腹を、亀頭の先が押し上げている。腰を動かしてみると、たまに先端が窪みに引っかかるのである。へその穴だった。くすぐったいのか、桂花はそこを刺激されると身体を強張らせる。
「眼を閉じていろ、桂花。怖いことなど、なにもしない。おまえはただ、そこにいてくれているだけでいい」
「んうぅ、一刀……? んむぅ、ン、かず……っ、んんっ♡ ちゅむ……♡ ちゅう……っ♡」
あっさりと瞑目する桂花。その前髪をそっと撫で付けると、曹操は優しく口付けていった。
二度目となれば、それなりにわかってきた部分があるのだろう。唇をついばむかたわら、その輪郭を舌でくすぐっていく。
唾液の奏でる音。それを楽しみながら、尻肉へと手を伸ばした。両手で掴み、何度か指を動かしてみる。肉厚はそうでもなかったが、しっかりと指が沈み込んでいく。そこを起点として腰を揺さぶると、桂花はくぐもった嬌声をもらすのだった。
「ひゃんっ、そこぉ……! あっ、んんっ♡ ふうっ、ちゅるっ♡ んちゅう、ふわぁ……♡ んあっ、ふあっ♡ こんな、口づけだけで、わたし……っ♡」
「ン……、桂花」
こうして裸で抱き合っていること自体、不思議に思えてしまうのである。
また、じわりと情欲の波が身体全体に拡がっていった。桂花の、吸い付くような肌。そこに、自分の欲が具現化したものを擦りつけていく。水で流したばかりだというのに、また別の汗が流れ出ていた。
「やあっ、かずとぉ……! んっ、これぇ♡ お腹にぐいぐい押し付けられてると、変な気分になるからぁ♡」
「たまらないのは、俺も同じだ」
桂花の柔肌。無垢だったそこを、男根から滲み出た先走りが犯していく。
甘く切ない痺れ。疼きは、断続的に続いている。曹操が、奥歯をかんだ。拡がっていく切なさは、同時に心まで震わせてしまうのである。
亀頭の先。粘つく汁を、塗り拡げていく。水場に、ねちゃねちゃという淫猥な音が響いた。
「このぬるぬる、なんだっていうのよぉ……♡ ちゅぷ、ン、ちゅる……。それに、あんたのチンコずっとびくびくってしてて、ひゃうっ!?」
「触れられていると気持ちいいのか、桂花?」
「そんなわけ、んっ、ないにきまってるでしょ……っ♡ やあっ、こんなにチンコで身体こすられちゃったら、わたし孕んじゃう♡ かずとの赤ちゃん、はらんじゃうからぁ……」
深緑色の瞳。それが、揺れに揺れている。
女陰に直接挿入されているわけでもないのに、孕まされてしまうと桂花はうわ言のように発し続けている。
小さな身体。実際入り込んだときには、ほんとうにへそのあたりまで押し上げてしまうことになるのかもしれない。想像するだけでも、昂りに意識を支配されそうになってしまう。
「桂花は欲しいか、俺の子が」
耳もとに、語りかける。
抱き合う力。確実に、強まっている。不意にかけられていく体重。そのせいで、亀頭が快楽にあえいでいる。絶頂まで、あと少し。軽く腰を振りながら、曹操は快楽に浸っていた。
「や、やらぁ……! あんたみたいな男の赤ちゃんなんて、ぜったいやらっ♡ ひゃん……うあっ♡」
「ははっ。やはりかわいいな、おまえは。だから、もっといじめてみたくなるのだよ」
尻肉を絞り上げながら、唇を吸い上げる。限界の近づきを、曹操は下腹部で強く感じていた。
「あむぅ、ン、ちゅば……っ♡ やぁ……、お腹熱い、熱いのぉ……! あんっ、んむっ♡ かずとっ、ちゅうぅうう、かずと……っ♡」
情欲そのものが、せり上がってきているようだった。
どこかで、桂花もそれを察知しているのだろうか。先走りで滑りのよくなった腹。すっかり、表皮はふやけてしまっているはずだ。
また切なくなって、舌を激しく吸い上げた。ほんのりと甘い唾液。それが、最後の壁を破壊していく。
へその引っ掛かり。やわらかくほぐれたその窪みに先端を押し付け、欲望の塊を吐き出していく。全身を駆け巡る、快感による痺れ。桂花にも、それは伝わっているのだろうか、と射精しながら曹操は思っていた。
「んふぅううぅう……♡ んちゅ、んむっ♡ くぅうぅう……、あ、熱いのが、どくどくってわたしのお腹に♡」
「受け止めてくれ、桂花。ああっ、まだまだでるぞ」
なにもかもが、流れ出していく。そんな感覚に陥りながら、曹操は桂花の薄い身体をかき抱いている。
「やあっ、んはっ♡ な、なんなのよぉ、これぇ。一刀の子種が、お腹にびちゃびちゃってかかってる……♡ んうっ、あーっ♡ これぇ、だめなのぉ…… ♡ ぜったい、ぜったい孕んじゃうからぁ……♡」
大量の白濁が、互いの腹部を白く染め上げていく。
自分は、精液の匂いを桂花に覚え込ませたいのか。曹操はぬかるみのなかで男根を動かし、無垢だった肌に情欲の濁りを染み込ませいった。
「ああっ、はぁあぁあ……♡ 一刀の子種、熱くてすごい匂いなの♡ んはあっ、んんぅ……♡ わたし、こんな、こんなので♡」
昂りの源。それが、最後の一滴まで抜けていく。同時に、燃え盛るような情欲も、平時の落ち着きを取り戻しつつあった。
触れるだけの口付け。何度も、それを繰り返していく。ついで湧いて出たのは、桂花のことを愛おしいと思う感情だった。
「はあっ、あうっ♡ 口づけって、どうしてこんなにも……。んむっ、一刀♡」
「すっかり、楽しめるようになったのではないか? しばらく、こうして抱き合っていようか。桂花も、疲れただろう」
「んぅ、ちゅく……♡ ふんっ、仕方がないから、許してあげたっていいわよ♡ あんたから始めたことなんだから、最後までちゃんと責任取りなさい……よね?」
わずかに棘を感じさせる口調。それも、強がりとしか思えなかった。
下顎のあたりを指で撫でてやると、桂花は可愛らしく舌先をのぞかせた。まだまだ、口づけをし足りないのだろう。それは、曹操も同じなのである。
小さく笑い、曹操は抱擁の力をまた強めた。力の抜けた桂花の小さな身体は、腕のなかにすっぽりと収まってしまっている。