曹操軍のしかけた急襲により、下邳城包囲の一角は崩壊した。
中でも、赤兎馬を駈る
孫策の退き際は、見事だった。無理に留まれば、下邳城の軍勢との挟撃を受けることになる。孫策軍の指揮に乱れが生じていたのは短い間のことであり、曹操も強引に追い討ちをかける気にはならなかった。
率いてきた軍勢を城外に配し、曹操は愛紗を伴って駈けていた。絶影には、
「一刀殿、あちらに」
「ああ、見えている」
大きな城門の中央に、人が二人立っている。
色鮮やかな桃色の髪。軍装をしているせいか、豊かな曲線は普段より見えないでいる。
絶影の速度を緩める。香風は器用に馬上から飛び降りると、鈴々めがけて小走りに駈けていく。一度ぶつかったからといって、それで友情が消えるのではない。二人の再会をほほえましく思いながら、曹操は桃香の顔をじっと見つめていた。
「お久しぶりです、一刀さん。こちらの無理なお願いを聞き届けてくださったこと、感謝しています」
神妙な面持ち。明るさが特に目立つ桃香なだけに、厳かな感じが余計に伝わってくる。
そのすぐ前方に降り立ち、曹操は声をかけた。
「愛紗から、おまえの決意のほどは聞いている。だが、ひとまず無事でなによりだと言っておこう。会えてよかった、桃香」
「えへへ……。私も、こんな風に話せていることがすごくうれしいな。一刀さんと戦だなんて、ほんとはしたくなかった。だけど、あの時選んだ答えは間違っていなかった、って今なら思えるよ。うーんと、そうじゃないか。間違いじゃなかった、って思いたいだけなのかも?」
「ははっ。そんなこと、どちらだっていいだろう」
言いながら、曹操は桃香を抱きしめていた。
ちょっと驚きながらも、桃香は抱擁を受け入れてくれている。かたい軍装。それがなければ、もっとやわらかさを実感できているに違いない。
真の和解。そして、自分たちが先に進むための、周囲に対する見せつけのようなものなのである。
「むぐぐっ。そんなにぎゅーってされたら苦しいってばぁ、一刀さん」
「そ、そうです。なにも、斯様な場所で親交を深めようとされなくても……」
「ふむふむ。愛紗ちゃん、もしかして羨ましい? ごめんね、私だけしてもらっちゃって」
「やっ、そうではありませんから! ほ、ほんとうに、そんなことはちっとも」
「うふふっ。私もぎゅってしてもらいたいー、って顔に書いてあるみたいだよ?」
緊張が解けたのか、桃香が義妹相手に軽口をたたいていた。顔を赤らめて俯く愛紗。確かに、からかいたくなるくらいのかわいさが、前面に出てしまっている。
「愛紗がいらないって言うなら、鈴々がしてもらうのだ。にゃははっ、お兄ちゃーん!」
「なっ、鈴々!?」
腰に抱きついてくる鈴々。遠慮のかけらも感じさせない元気な声が、あたりに響く。
桃香を一旦離し、かがんで小さな身体を腕に抱いた。甘酸っぱい汗の香り。擦りつけられる髪の感触が、くすぐったい。
「へへっ。だったら、ついでにシャンもしてもらうー」
右腕に鈴々。左腕に香風。二人の笑顔を見ていると、ここが戦場だということを忘れてしまいそうになる。
心地よい疲労。もどかしそうにしている愛紗を横目に、曹操は一時の休息を愉しんでいた。
†
城郭内の館に、曹操は通されていた。
桃香とは、今後についての詳細を詰めておく必要がある。劉備軍の立場。そして、孫策を撃退したのちのこと。
丸い卓。向かい合って座っている。平服にもどっているから、桃香の備えるやわらかさがずっと表出してきている。
「愛紗は了承済みだが、軍を束ねているおまえの同意がなければなにも進むまい。俺の覇業。その手助けをしてほしい。同盟者、などという半端な立場を許容したくはない。わが臣下として、劉備玄徳を改めて迎えたいと思うが、どうか」
自分からの要求は、その一点だけだった。
漢室の血脈に連なる桃香が、はっきりと曹家の一員となることを表明する。その影響は、大なり小なりどこかで出てくるのではないかと思う。
手を携え、ともに乱世を越えるのであればこれ以外の方法などありえない。桃香を見据え、曹操は返答を待った。
「わかりました。こんな私でよければ、一刀さんの思うように使ってください。あなたと一緒に、この乱れた時代を乗り越えたい。その思いは、以前から変わっていませんから」
桃香の右手。卓上に差し出されたそこに、自然と曹操は手を重ねていた。
繊細かつ、あたたかな肌の感触。穏やかにほほえむ桃香の横顔が、夕陽に照らされてやけに神々しく見えている。
「私と一刀さん。こうしてまた、手を取り合うことができている。それって、すっごく素敵なことだと思いませんか?」
「違いない。桃香の真っ直ぐな意志が、この状況を引き寄せたのかもしれないな。それを天命だと言うのであれば、俺も否定はしたくない」
重ねた手。それをさらに包み込み、桃香が満面の笑みになっている。
「私のご主人様になるんだね、一刀さんが。ねっ、もう少し近くにいってもいい?」
「ああ、桃香。しかし、ご主人様か」
「そう、ご主人様だよ。私が率先して態度を明らかにしておかないと、愛紗ちゃんたちがどうしていいか迷うでしょう? ほんとは、もっとあなたに甘えたいはずなんだもん。大好きって気持ちを、抑えておくのは辛いこと。だから、私も遠慮はしないでおこうと思う」
かつて見た夢。その内容を、曹操は立ち上がるかたわら思い返していた。
幻想的な桃園の景色。花びらが舞う中で、自分は桃香たちとなにかの誓いを立てていた。そこで、ご主人様と呼ばれていたことも、朧気ながら記憶しているのだ。
だが、今となっては夢のことなどどうでもよかった。興味を持つきっかけにはなったのかもしれない。しかし、この道を造りあげてきたのは確かに自分たちなのである。瞳を潤ませる桃香。門下でした時よりも情熱的に抱きしめ、曹操は唇を重ねた。
たどたどしい吸いつき。導くようにしてやると、うれしそうに桃香は笑った。
唇。ゆっくりと離れていく。夢の中にいるように感じているのか、桃香の表情はやけにぼんやりとしたままだった。
「しちゃったんだね、ご主人様と。えへへ、とっても幸せだよぉ……」
「おそろしい女だな、おまえは。我慢など、しなくていいと思えてくる。無茶苦茶にして、自分だけのものにしたくなってしまう」
「いいんだよ、ご主人様。私の全部を、あなたにあげる。だから、きて……?」
夕陽に映し出される桃香の身体。窓に押し付け、肌を外気にさらしていく。
美しいと思った。狂おしいほどのやわらかさ。乳房に沈み込む指は、解け合ってしまうような感覚すら宿している。胸で感じることに慣れているのか、桃香は気持ちよさそうに下腹部をくねらせていた。
「ここも、脱がすぞ」
「やっ……。さすがに、恥ずかしくなってきたのかも」
「今さら、許してもらえると思うなよ? 俺に火をつけたのは、おまえなのだよ」
ずりさげられた衣服。乱雑に重なって足元に落ちている。脚に履いているもの以外、すべて取り去られた状態になっているのだ。その不均衡さが、曹操の情欲を駆り立てる。
「んっ……。おっぱい、気持ちいい。ご主人様に、こうして触ってもらえたらな、ってずっと思ってたんだ。いやらしい子なのかな、私」
「そういう子も、嫌いではない。ははっ。胸を触られただけで、こんなに濡らしてしまうとは。いじってほしいか、桃香?」
「はっ、あうっ……。お、お願い、ご主人様。ご主人様の太い指で、くちゅくちゅってしてほしいの。このままだと私、寂しくてどうにかなってしまいそうだから」
「いいだろう。ほら、力を抜いておけ。俺の指で、気持ちよくなりたいのではないのか?」
「うっ、んあっ……! 入ってくるの、すごくわかっちゃう。ご主人様の指が、私のやらしい入り口かき回してるよぉ……!」
生えそろった陰毛。淡い茂みをかき分け、指の先端を挿入していった。
敏感に反応する身体。手のひらに垂れ落ちる汁。自認しているように、桃香の身体は淫欲を強く求めている。自分とひとつになることを、心の底から求めている。
「ご主人様との口づけ、んっ……、頭とろってなる。気持ちよすぎて、もっと大好きになっちゃうよぉ♡ むっ、んくっ、はくっ」
唾液を吸い上げながら、大ぶりな乳房を自由にもみ込む。手のひらが、この幸せをしばらく忘れられそうにない。
昂ぶる気持ち。抑えようともせず、曹操は桃香の豊満な肉体の感触を愉しんだ。
「あっ……。ふふっ、ご主人様のおちんちんでてきたぁ♡ とっても立派で、見てるだけでもどきどきしちゃう。あっ、ふあっ……!」
むっちりとした腿の間。そこに、愛液をまぶした男根を挿し込んだ。
秘裂が熱い。淫汁はあとから染み出してくるようで、ぬめりはとどまるところを知らなかった。
「やっ、んんっ。ご主人様のおちんちん、擦りつけられてるだけなのに気持ちいい。はふっ……。おっぱいも一緒にされるの、しあわせぇ……♡」
「ははっ。すっかりとろとろだな、桃香。これなら、まだまだ愉しめそうだ」
「うん。だって、ほんとにすごいんだもん。ご主人様にされてるとこ、全部熱くて……んくっ。感じないなんて絶対無理だよ♡」
汗ばんだ肌同士が、離れがたい熱を生んでいる。
すっかり出来あがった桃香の身体。内部への挿入を、待ち望んでいるようでもある。
腿のたまらない肉感。堪能しつつ、曹操は奇襲の時期を見計らっていた。
親指を使って淫核を弾く。響く矯声。腰を思いっきり引き、突き入れる体勢に移行した。
「んぐっ!? ふっ、んんぅうぅうう、んっ……!」
桃香の眼が、いきなりやってきた強すぎる快感に白黒している。
どろどろにぬかるんだ膣内。包み込んでくる肉はやわらかく、桃香の性質をあらわしているようでもある。躊躇いなくかき分け、男根を奥に突っこんでいく。少しのひっかかり。抜けたかと思うと、それまで以上の熱と先端が出会った。
「はっ、はふっ……♡ わ、私どうなっちゃったの、ご主人様。頭とってもくらくらして、お股もびりびりってぇ」
「ひとつになったのだよ、俺と桃香が。わからないか、腹の中にいることが?」
確かめるように、桃香が下腹部に力を入れている。それが膣肉の動きに変化が生じさせ、男根にさらなるよろこびを与えている。
「あっ♡ これ、わかるよ。ご主人様が、私の中にいるんだね。ひとつになるのって、こういう感じなんだぁ♡」
「そら、もっと感じさせてやろう。桃香のここは、ちっとも満足していないようだからな」
「あんっ♡ んふっ♡ はあっ♡ しゅごっ……、おちんちんの勢いしゅごくてっ……、うあ゛っ♡」
壁に押し付けた桃香の乳房を鷲掴み、感じ方の強い箇所を的確に抉った。
ふるえは内部だけにとどまらず、全身にまで拡がっていく。これまで我慢してきただけ、得ている快楽が大きいのだろう。
かわいい、と素直に思わされてしまう。狂乱するくらい、自分との交合を待望してくれていたのである。応えてやらなければ、男ではなかった。
「くるっ、きてるっ……! ご主人様にぐちゃぐちゃにされて、私いぐのぉ……!」
脱力によりずり下がりそうになる桃香の身体。臀部を手で支え、抽送を継続する。
角度が少し変わって、当たり方にも差異が生まれているのかもしれない。髪を振り乱す桃香。おそらく、甘い絶頂を何度も繰り返しているのではないか。それでも、快楽から逃してやろうとは思わなかった。
心ゆくまで溺れ、自分の味を全身で覚えればいい。乾いた音の響く中、曹操はそのことだけを考えている。
「ああっ、あんっ♡ ぱんぱん、気持ちいい♡ いくっ、すぐにいかされちゃう♡ ご主人様のおちんちんに、いやらしいこと覚え込まされちゃう♡」
「くれるのだろう、おまえのすべてを。その代わりに、約束しよう。桃香の手を、俺は死ぬまで離さない。いいや、死の先にあるものまで、ともに見ようではないか。天などという曖昧な存在に、見せつけてやろう。曹操孟徳と、劉備玄徳がひとつであるという証左をな」
「うんっ、うんっ♡ だからいっしょ、一緒に、ご主人様……っ!」
涙と涎でぐしょぐしょになった顔。それを無理やり笑わせて、桃香が懇願する。
子宮口。ちょっとかたい部分に亀頭を押し当てるようにしながら、曹操は射精を開始した。甘い痺れ。全身を駈け抜ける。溜まっていた子種を搾り取られる感覚。やわらかだった肉が急に引き締まり、渦巻くように男根を刺激する。
「はっ、はあっ、はーっ♡ きてる、きてるよぉ♡ ご主人様のせーえき♡ 赤ちゃんのもと♡ びゅくびゅくって、私のおまんこ満たしてくれてるのぉ、おぉっ……♡」
男を知らなかった桃香の膣内。急速な変化を受け入れ、自分のためだけのかたちになっていく。
長い射精が続く。注ぎ込まれる度に、桃香は小刻みな絶頂を感じているようだった。
「あっ、あーっ♡ んっ、んあっ、んうっ……♡ 好きっ、大好きだよ、ご主人様」
「ははっ。いい子だ、桃香」
蠢動する桃香の腹部。眺めながら、しっとりと濡れた桃色の陰毛を指で撫でた。
足元に落ちたままになっている着衣は、たぶん二人分の汁で汚れてしまっているのだろう。落ち着いたら、着替えを用意してやる必要があるか、などと曹操は考えている。
窓の外。夕陽が、沈みかけている。放っておいたら、恍惚とした状態にもかかわらず桃香は眠ってしまうのではないか。
「いい子だとは言ったが、眠るのだけはなしだ。わかっているな、桃香?」
「ふえー? にへへっ、ごしゅじんさまぁー♡」
蕩けきった思考。甘く結ばれる両の手。
桃香のもたれかかるような抱擁を受け、曹操は笑わずにはいられなかった。