懐かしい風景の中を、曹操は進んでいた。
郷里である譙県。董卓討伐を掲げて出立してから、何年が経過したのだろうか。景色は変わらないままだが、すべてが同じではなかった。自分の立場。それに、従う者たち。
厳粛な雰囲気を発する軍勢。『袁』や『馬』、それに『関』の軍旗までもがともにあるようになっている。かつては一門の縁者がほとんどで、違うのは
豪奢な具足を着用した麗羽が、話しかけてくる。懐かしさを感じているのは、自分だけではなかった。
「いつぶりなのでしょうね、こちらに伺うのは。あの頃のわたくしには、こんな未来があるだなんて想像もつきませんでした。それが今では、こうして貴方さまと轡を並べているのです。これ以上の幸せなんて、どこにもありませんわ」
「同じだよ、俺も。
「うふふっ。それに関しては、わたくしも同意いたします。ですが、貴方さまは昔から幾度となく手を差し伸べてくださいましたでしょう? 洛陽を出た時。それに、連合軍を結成した時もそうです。貴方さまがそばにいてくださらなければ、覚悟が定まっていたかどうかわかりませんもの。それだけに、喧嘩別れのようになった時は落胆しましたわ」
「旧い話しだ。しかし、離れているからこそ見えてくる本質もある。結局、俺にはおまえという女が必要だった。それがわかっただけ、成長したのだろうな」
麗羽がおかしそうに笑っている。それでいて仕草は優雅なのが、名門の令嬢だという事実をありありと感じさせるのだ。
当然だというような表情。以前までの自分なら、苛立ちすら感じていたのかもしれない。
受け入れることは、弱さではない。そう考えられるようになったのは、経験による部分が大きいのだろう。立ち向かうだけが勇気ではないのだ。それに気づかせてくれたのは、他ならぬ伴侶たちだった。
「お待ちしておりました、殿。準備は、ほぼ整っております」
先行させていた
曹家の館。残った縁者に世話をさせていたから、廃れずその姿を残している。譙県まで来たのは、戦のためだけではなかった。軍勢を周辺に配し、曹操は旧居に足を踏み入れる。主だった将軍たちが、あとから続いた。
館内では、儀礼の準備が粛々と行われていた。その責任者となっているのが、春蘭なのである。
養父である曹嵩。それに、子供でしかなかった自分を、母のごとく導いてくれた橋玄のためのものだった。
この機会を逃すべきではないと思った。豫州だけではない。天下を平定するその時まで、どうか自分たちを見守っていてほしい。その願いを込めて、用意した贄を天に捧げる。
宴の席。酔わない程度の量でしかないが、酒の味が心地よかった。戦の途中ではあるが、兵たちにも肉と酒を振る舞ってある。故人を偲ぶのと同時に、明日への英気を養ってもらいたい。孫家との闘いは、そう簡単に終わるものではないのだ。
「しかし、私のような新参が加わってよかったのだろうか。いくら、兄上に勧めていただいたとはいえ」
「んん?
「家族……。私と兄上が、家族か」
「そうっす。だって、愛紗は一刀っちの妹分なんすよね? だったら、あたしたちと同じじゃないっすか!」
「ふふっ。やさしいのだな、
「えへへっ。それじゃあ今度は、どっちがお姉ちゃんか決めなきゃいけないっすね。愛紗は、どっちがいいとかあるっすか?」
「やっ……。そ、それはだな」
強張っていた愛紗の表情が、華侖のおかげでいい具合にほぐれている。
実の妹がいるぶん、華侖は包容力に優れている。もう少し落ち着きが身になれば、さらにいい働きができるようになると曹操は思っていた。
本人は春蘭のような存在になりたがっているようだが、攻めよりも守りのほうに才能がある感じもする。そのあたりの見極めも、孫家との戦の中でできていくのだろう。
「亡き御父上も、およろこびになられているのではないでしょうか。これだけ多くの者に、貴方さまは愛されているのです。もちろん、わたくしだって」
「そうかな。そうだったら、いいのだが」
「いつも自信にあふれていらっしゃるのに、御父上のことになると不安になってしまわれるのですね。でしたら、このわたくしが保証いたします。それで、文句はありませんわよね?」
「言ってくれる。……少し休みたい。付き合え、麗羽」
「んっ……。ほんとうに、少しだけでよろしくて?」
麗羽の双眸。慈愛すら感じさせるものだった。
自分は、誰かに甘えたがっているのか。それを見抜いているから、麗羽はやわらかくほほえんでくれているのか。
宴を中座し、足早に私室へと向かう。
女を意識させる麗羽の香り。密着している部分から、熱が分け与えられているようでもある。
室内に入ってすぐに、麗羽を寝台に押し倒した。陽射しに照らされて、金の毛髪がより輝きを増している。
慈母のような表情は変わらない。唇を吸うと、かすかに酒の匂いがする。胸に触れながら、しばらく続けた。
男根は早くも猛っているが、獰猛な交わりをしたいとは思わなかった。焦らすような麗羽の手つき。着物越しに触れ合い、気分を高め合った。
「素敵ですわね、こういうのも。貴方さまの愛を、余さず感じることができるようで」
意外なくらい強い力で、抱きしめられる。
やわらかな胸。頭を預けると、包み込まれていく。麗羽が自ら着物の前を開き、乳房を露出させる。肌に直に触れると、それまでよりもずっとあたたかだった。手で揉みながら、甘えるように乳首を吸う。ただそれだけの行為で、脳内が幸福で満たされていく。
「存分にご堪能ください、貴方さま。んっ……。わたくし、うれしいのです。こんな風に、貴方さまに甘えていただいて」
せり上がるような快楽はない。だが、それとは別の心地よさを感じているのは間違いなかった。
甘く交わりながらも、身体はやはり反応してしまう。主張を強める突起を舌で転がし、唇で挟む。上昇する体温。麗羽が、かすかに声を洩らしている。
「ンンッ……。お上手ですわね、やっぱり。どうしたって、感じてしまいます。あっ、またそんな……っ」
乳房を片手で軽く絞り上げ、そのまま先端を強く吸った。
恥ずかしそうにはにかむ麗羽。白い肌に、ちょっと吸い上げた痕が残ってしまっている。大きめの乳輪。境界線を指で撫でながら、乳房に舌を這わす。麗羽が焦れったそうに、頭の上に投げ出している手を握り込んだ。
「もっと、感じさせてもらいたいのか?」
「違うと言えば、嘘になりますけど……。あっ、んんっ、あふっ……。意地悪なところは、ちっとも変わりませんのね」
「ははっ。意地悪をしているつもりは、少しもないのだが」
「やっ、あんっ、ふあぁあっ……! そ、そこ、いきなり摘まれてはぁ……!」
かたく凝った乳首。二本の指で挟み込み、そのまま捻るように持ち上げた。
嬌声。室内に響いている。いきなりやってきた強烈な刺激に、身体が鋭敏に反応してしまったのだろう。惚けたように開いている麗羽の口。赤い舌に誘惑されるがまま、顔を近づける。
「んっ、んむっ、んくっ、んちゅっ……。もう、これで言い逃れなんてできませんわよ? 一刀さんは、どう考えたって意地悪なお方です。はふっ、んっ、あむっ……」
抗議の声。強引に封殺し、唾液の味を愉しんだ。
麗羽の指が再び男根を探っている。上下に動かすような手つき。すかさず着物の内側に入り込んできて、亀頭をぎゅっと包むように刺激している。
まるで、子供同士のじゃれ合いだった。互いに濡れはじめた性器に触れ合い、感度を高めていく。数度の交わりしか経験していない麗羽の女陰。きれいなかたちを保っていて、崩してしまうのが惜しいくらいだった。
髪同様の金の茂み。指でかき分け、中を探る。粘り気のある肉壁が、絡みついてくる。指を折り曲げて刺激してやると、麗羽がうれしそうに声をあげた。愛液でかすかに濡れた陰毛が美しく輝いている。見つめられているのが恥ずかしいのか、麗羽が男根を握る手の力をわずかに強めている。
「あ、あまり凝視しないでくださいな。いくら心身を捧げている貴方さまにだって、見られて恥ずかしい部分はありますのよ」
「なにも、恥じることなどない。それに、見られることがわかっていて、きれいに整えているのだろう?」
「そ、それはぁ……! あくっ、ああっ、んあぁああっ……!」
陰核を指の腹で転がしながら、曹操が笑う。
どちらも、準備は万全と言ってよかった。
足を開かせ、じっとりと濡れた入り口に亀頭を充てがった。吸い寄せられる。中に早く入れと、ねだられているようだった。
「緊張しているのか、麗羽?」
「んっ……。そうではなく、ドキドキしてしまっているのです。今日、貴方さまと交わるのははじめてでしょう? ですから、どうしたって」
「かわいい女だよ、おまえは。今まで放っておいたことが、馬鹿らしくなってくるほどにな」
「でしたら、その分たくさんかわいがってくださいますわよね? こんなに魅力的なわたくしを、長年無視されてきたんですもの。その責任は、きっちりとってもらいませんと」
「ははっ。調子がでてきたようだな、麗羽め」
「やんっ……! あっ、ああぁあっ……。くるっ、貴方さまの大きいのが、きていますっ……!」
歓待の中を、じっくりと進んだ。
感覚を呼び起こされた膣壁。男根に絡みつき、直接的な快楽を引き出しているのか。全体が熱されている。締まり具合はほどよく、無理なく腰を前に出すことができている。
「あんっ、あふっ、んはあぁ……♡ こ、これ、指とは全然違うのです。奥深くにまできていただくと、わたくしそれだけで……っ」
「わかるぞ、おまえのよろこびが。ここを突かれるのが、いいのだな」
「はっ、んあっ、はいっ。おちんちんの熱さとかたち、わたくしに感じさせてほしいのです。貴方さまの、一刀さんのおちんちんのかたちっ♡ 妻たるわたくしに覚え込ませるのが、旦那さまのお役目ですわよね♡」
「いいだろう麗羽。絶対に、忘れてくれるなよ? おまえを犯していいのは、このチンポだけだ。身体だけでなく、心にもそれを刻みつけておけ」
「はっ、んあっ……♡ そ、そんなことぉ……。んっ、あがっ、あっ、んひゃあっ……!」
わざと下品な言葉を使い、劣情を煽り立てる。
腰を突き上げる。ぶるんぶるんと乳房が大きく揺れ、興奮を駆り立てる。
麗羽のすべてを、自分が征服しているのだ。そう思うと、男根の抽送にも力が入った。肌のぶつかる音が響く。
高貴な子宮までもが、屈服することを望んでいる。甘い吸い上げ。きっと、無意識にやっているのだろう。最後にはそこを精液で満たし、なにもかもを自分の色で染め上げるのだ。
「手、握っていてくださいませんか? 好き、なんです。貴方さまに、そうしていただくのが」
心が揺さぶられる。
両手をしっかりと掴まえ、情熱的に腰をぶつけた。愛液が弾ける。どちらの陰毛も、汁でぐっしょりと濡れている。
「これ、これぇ……♡ 貴方さまとわたくしが、どんどんひとつになっていく。そんな感じがして、たまらないのです」
「くうっ……。すごい締め付けだな、麗羽。そんなに、俺の子種がほしいか」
「ええ。んっ、ふふっ……。そんなの、当然ではありませんか。最愛の方の子を成すことが、どれほど幸せなことなのか。桂花さんを見ていると、それがわかってしまうんですもの」
快楽による興奮の中、麗羽がやさしくほほえんでいる。
この顔が、自分はきっと好きなのだろう。たまらなく母性を感じてしまう瞬間。紅潮した頬を撫でてやると、麗羽がうれしそうに手を重ねてくる。
「我慢なんて、する必要はありませんのよ? わたくしのここは、いつでも貴方さまを受け入れて差しあげますから。だから、お好きなだけ、
昂りが、四肢の先にまで浸透していくようだった。
緩急を織り交ぜながら、快楽をさらに与えていく。どうせなら、絶頂をともに味わいたい。そのことだけを念頭に置いて、曹操は麗羽を愛し続けた。
「あっ♡ ああっ♡ んぐうっ♡ おちんちんが、ぐいぐいってお腹の奥押し込んできています。これ、気持ちいい……っ。はっ、あはっ、ふうっ……♡」
ふるえるような締め付け。それが、小刻みに繰り返されている。
止まらない。ずっと味わっていたいような快楽だった。あたたかな愛液で満たされ、膣内は抜群の居心地になっているのだ。
男根が蕩ける。亀頭がじんじんとするような痺れに包まれ、女体とひとつになっていく。
「くるっ……♡ ああっ、きてしまいますっ♡ ど、どうか貴方さまも。わたくし、もうすぐにでもいきますからぁ……!」
本能からくる叫び。麗羽の懇願に、曹操は頷きで返している。
ひたすら最奥をいじめ抜き、その時を待った。腰が重い。跳ね上がる乳房が、視界の中でぼやけていく。
「いっ、ああっ。くる、くるのですっ……! はっ、あふっ、んっ、おぉっ……♡」
ふるえが一段と強くなる。その瞬間を狙って、入り口まで引き絞った男根を一気に打ち付けた。
溜め込んでいたものが解放されていく。強烈な締め上げの最中、曹操は子宮口の間近で射精を開始していた。
「がっ、ああっ、あはっ……! 貴方さま、ああっ、わたくし、わたくしぃ……♡」
融け合うような絶頂。あるものすべてが、白く染まっていくようだった。
陰部から液を勢いよく噴き上げ、麗羽は濃密な絶頂を受け取っている。絶え間なく送り込まれる精液。あたたかだった膣内が、熱く変化しているようだった。
「まだ、でてる♡ 貴方さまに精液出されただけで、わたくしまたっ……♡」
水に近い液体を何度か噴き出し、麗羽が全身をふるわせている。
これまで感じたことのないような快感なのだろう。その感覚は、しばらく消えそうになかった。
締まりの強い膣内で男根をしごき、新しい精液を吐き出していく。この女を孕ませたい。自分にある雄の部分が、そう命じてくるかのようだった。
性器同士は密着しているが、隙間がまったくないわけではない。流れ出る白濁。麗羽が、膣内で自分を受け入れた証。かたいままの男根で、内部をさらによろこばせていった。
「そんなっ、これぇ……! わたくし、いっていますから♡ これ以上なんて、だめ、だめなのですっ……♡ はっ、ああっ♡ いくっ、貴方さまのおちんちんでまたいくっ♡ わたくしのおまんこ、ばかになってしまいます♡」
「満足するまで、馬鹿になってしまえ。俺が、ずっと見ていてやる。おまえが、かわいく感じているところをな」
「ひゃふっ……♡ らめ、そんなのらめぇ♡ あっ、ちゅっ、んむっ、ちゅぅう……」
子宮に子種を送り出す体勢は変えずに、甘く舌を絡ませる。
麗羽のかわいい声を消してしまうのはもったいない気もするが、口づけたいという衝動がなによりも勝ったのだ。
「あふっ、んくっ、んあっ……♡ んっ、んあっ、こくっ♡」
涙すら浮かべて快楽に浸る麗羽。その姿を見ているだけで、男根をかたくしてしまう。まだまだ、犯し足りないと思わされてしまう。
身体が熱い。この肉欲は、そう簡単に満たされないのではないか。
腰に絡みついてくる二本の脚。小さく笑って、曹操は寝台を揺らした。