灯火のほのかな光だけが、起伏の豊かな女体を照らし出している。
寝台に裸で寝そべり、桔梗は両の腕を差し出している。膝から上がり、曹操がゆっくりと覆いかぶさった。桃香の口で果てて間もないとはいえ、男根は今も尚、かたく屹立したままだった。
「ふふっ。きてくだされ、一刀殿。準備など、とうに出来ておりますゆえ。あっ、くふっ、うあっ……」
しっとりと濡れた膣肉の感触。愉しみながら、曹操が腰を進める。
引っかかりなどなく、滾ったものがすんなりと迎えられている。どこまでもしなやかな泥濘。穿たれる悦びが強いのか、桔梗は艶のある声を時折洩らす。
「このまま、益州にもどらないという手もなくはない。おまえさえ望むのであれば、劉璋には俺から話を通そう」
男根の形状を覚え込ませようと、曹操大きな動きで抽送を開始する。
それと同時に、言葉でも心を揺さぶった。まったく、手応えがないというわけではない。膣肉のうごめき。唇の、かすかなふるえ。桔梗の中で、揺れているなにかがあるという証拠だった。
はっきり言って、劉璋の今後になど興味はなかった。力のある臣下に存分な働き場所を与えず、使者の真似事をさせている。主従の間にある微妙な溝。この分では、今後さらに拡がっていくことなど眼に見えているではないか。想像するに、関係性に問題を抱えているのは、桔梗だけではないはずだった。そして、劉焉の旧臣たちの期待は、この益州一の武人に集まっているのではないか。
歪みはいずれ領内の乱れを生み、しかも劉璋にはそれを治めるだけの器量があるとは言えなかった。
「酷なことを仰せになる御方だ。んっ、んあっ、はあっ、そこっ……!」
「すぐに返事をしろと言うのではない。だが、おまえにはそれだけの価値がある、と俺は見ているのだよ」
そして、劉璋の眼は本質以外の部分によって曇らされている。口にこそしなかったが、桔梗にはそのことが伝わっている、と曹操は踏んでいた。
「益州は、楽に統治できるような場所ではない。漢中には五斗米道の信徒たちがひしめき、自治をはじめて何年になる。今は静かにしていようが、外の連中も爪を研いでいるはずだ。それらの脅威を、果たして今の体制が退けられようか」
「んっ……。それは、あっ……!」
なんとか出した声が、闇の中に消えていく。
見事なまでに実った桔梗の乳房。強く搾りあげ、曹操は突起に口をつけている。蕩けた膣肉の抱擁が、甘美な痺れをもたらしているようだった。
桔梗の中を間断なく責め続ける。気分でいえば、城攻めをしているようなものなのか。相手は孤軍であり、援軍の見込みはない。そのような状況においても、しぶとく粘ってみせるのが、名将と呼ばれる存在なのか。
「一刀殿……。くうっ、うぁああっ」
乳房から口を離し、喘ぎを繰り返す唇を素早く塞いだ。
意趣返しでもしているつもりなのか、桔梗が唇を甘く噛んでくる。気にせず舌を挿し込み、曹操は攻勢を維持し続けた。
「あむっ、れろっ……。んっ、むふぅ、んんっ……!」
どちらともに息が荒い。
肉をぶつけ合い、快楽を貪る。そんな状態であるのに、恥ずかしがっている余裕などあるはずがなかった。
絡み合うすべてが気持ちいい。わずかにあった緊張もほどけ、桔梗の膣内はどこも男根に甘えている。
むっちりとした足を持ち上げ、腰を打ちつける速度を意識的に上げる。抉られる角度に変化がついたのがよかったのか、桔梗の歓喜は強まっているようだった。
「ふはっ、むっ、んふぅ……! ふうっ、んんっ、んうぅぅぅう」
痙攣。責めに耐えきれず、桔梗は軽い絶頂を味わっている。
それでも、曹操は攻めの手を緩めたりはしない。今夜中に、この女を落としきってみせる、という気概を持って抽送をさらに激しくする。
「うあっ!? くうっ、ううっ、んああぁっ! あむっ、ふっ、ふはっ。かじゅ、んっ、とぉ……!」
「ははっ。宴席までの威勢はどうした、桔梗。俺はまだ、力を温存しているのだぞ」
「ふあっ……。あっ、あーっ、はあっ♡」
心を乱されているだけ、桔梗の守りに綻びが生じている。
その隙間に、自分という存在を塗り込めていけばいい、と曹操は思っていた。快楽に飲まれかかった桔梗の声。心地よく、耳に届いている。
打ちつける腰が止まらない。抽送を続けただけ膣肉の絡みつきは熱心になっていて、男根を離すまいと抱きついてきているのだ。
「こ、これが、天下に覇を唱えんとする御方の精力なのか……! んあっ、あっ、ああっ……!」
反応の強い部分を重点的に責めながら、曹操はほほえんで見せている。
気づけば、腰に二本の脚が絡みついていた。快楽の熱に浮かされて、桔梗の身体が男の濃いものを直接受け入れたがっているのか。
さらに肌を密着させ、小刻みに中を突いていった。溢れ返る愛液。突き入れるたびに、ぐじゅりという湿り気を含んだ音を響かせている。
「あんっ、んっ、はーっ♡ このままでは、すぐにいかされてしまう。一刀殿、ああっ……!」
大きな胸を突き出すようにして、桔梗が快感に上半身をふるわせている。
「いいっ、あっ、んうっ。このようなチンポに責め立てられて、正気でいられるはずがない。うぐっ……!? ああっ、いってる……♡ わしのマンコ、まるで馬鹿になってしまったくらいに簡単にっ♡」
桔梗も自分との交合を愉しみにしていたのだろうが、実際の体験が想像を遥かに上回っているのだ。
日頃の鬱憤や、消化しきれていない感情をここで洗い落としてしまえばいい。攻勢を保ったまま、曹操は桔梗の頬を撫でている。
「好きなだけ乱れていいのだぞ、桔梗。おまえが素直に感じている姿を、俺にもっと見せてみろ」
「はっ、はいっ……♡ あなたさまには、敵いそうにもありませぬ。で、ですから、どうかお情けを」
桔梗の洩らす声に、余裕が少なくなっている。小さな絶頂が生み出した波。それが、身体の中でずっと大きくなっているのではないか。
両脚による拘束はさらに強靭なものになっていて、簡単には振りほどけないようにすらなっている。そして、やわらかな膣肉はひたすら甘く吸い付いてきていて、男根に子種を吐かせようとしているのだった。
「くだされ、一刀殿。どうか、このわしの中にっ……♡ うあっ、ひふっ、ふあっ……♡ 桃香殿の口に射精なされた時よりも、さらに濃いものを、ぐふうっ……♡」
「いいだろう。おまえの望み、とくと叶えてやる。存分に味わえ、桔梗」
戒めていたものを解き放ち、反動をつけて子袋の中に注ぎ込む。桔梗にもそのことがすぐに理解できたようで、明らかに強い感じ方で精液の奔流を迎え入れている。
このまま、堕ちるところまで堕ちてしまえばいい。曹操は甘い嬌声を耳で愉しむ傍ら、出ない乳を吸いだそうと、乱暴なくらいに唇と指で乳首をいじめている。
「くあっ、あっ、んあぁあっ♡ い、いけませぬっ。そんなにされても、わしの胸からはなにも出せませぬゆえ……♡」
燈にも負けないくらいの大ぶりな乳房。よじらせながら、桔梗は絶頂に声をふるわせる。
「んお゛っ、あっ、いぐっ……♡ んっ、あ゛ーっ、はっ、ああっ♡ 腹の中が、一刀殿の精液でいっぱいになっていく……♡ うあぁっ、まだ、まだすごいの出てぇ」
一度堰を切ったからには、しばらく射精は収まりそうにもなかった。
理性を失った雌の声。恥ずかしげもなく洩らす桔梗の顔は、幸せに満ちている。
†
結局、桔梗は用意された部屋にはもどらなかった。
寝台に裸のまま、二人並んで寝転んでいる。服を着直すのも億劫になるほど、交わりに交わったというのもあるのか。少し眠そうにしながら、桔梗が頭を胸に乗せてくる。
「んっ……。一刀殿にめちゃくちゃにされた部分が、まだ熱をもっているようです」
「だが、気分は晴れただろう? 俺も、今夜は十分に愉しむことができた。身体の相性も、いいように思える」
「あははっ。間違いありませんな、それは。なんとも、心地のいい夜です。こんなにも満たされたのは、いつぶりのことやら」
桔梗が、ちょっと遠くを見つめるような仕草をする。
特に口を挟むことなく、曹操は銀髪を撫でている。そうされるのが気持ちよかったのか、桔梗は静かに息を吐き出しながら、瞳を閉じた。
「司馬懿という者の名、一刀殿はご存知か」
「詳しいわけではないが、帝の近臣に司馬家の人間がいることは知っている。多分に漏れず、才気走ったところがあるそうだ」
髪を撫でる手は止めずに、曹操が返事をした。
桔梗がわざわざ名前を出したのだから、なにか意味があるのだろう。司馬は旧くからの名門で、長安の朝廷の中では特筆すべき実力を備えている家だった。
「一応、注意なさったほうがいい。年寄り連中の意見を集めてお止めしたが、劉璋さまにも曹家打倒の誘いがかかっていたようでしてな。ふふっ、嫌われておりますな、あなたさまも。もっとも、廷臣連中のほとんどが、同意見なのかもしれませんが」
時代の移り変わりを、全員が受け入れられるわけではない。
その挑戦を叩き潰し、生き残ったものこそが次代の覇者となる。覇権を争うというのはそういうことで、帝の近臣がどういった動きをとろうと、やるべきことになんら変わりはない。
「ははっ。あやつらに好かれて、なんになる。それに、こちらに刃を向けてくるのであれば、その代償をきっちり払わせてやるまでのことだ」
「まったく、頼もしい御方だ。んっ、ふわぁ……。このまま寝てしまっても、構いませぬか? それだけ、今はどうにも離れ難い」
「俺もそうするつもりだった。一緒に眠ってくれるな、桔梗」
「ふふっ。喜んで、お供つかまつる」
じっと寄り添っていると、やがて睡魔に襲われた。
やわらかな女の肌。これ以上ない寝心地のよさを感じながら、曹操は深い眠りについている。