かすかな痛みが走ったかと思うと、身体にあった重みが溶けるように消えていく。それが何度か続くと、やがて眠ってしまえるような心地よさに襲われた。しかし、簡単に意識を手放すわけにはいかない。ある意味、それは意地のようなものだったのか。
寝台にうつ伏せとなり、曹操は華佗による施術を受けていた。
細い鍼を狙った箇所に打ち、滞りをなくすことで気の流れをよくしているのだという。疲れがたまると凪に身体を揉ませることがあるが、単純な効果だけならば間違いなく現在のほうが上だと思った。
細部に感じていた濁りが失せ、思考がずっと澄み渡っていく。これが噂に聞く五斗米道の力の一端なのか、と曹操は感心するほかなかった。
「いかがでしょうか、曹操殿。身体に、違和感などなければよいのですが」
「そんなことはない。おまえの鍼は凄まじいな、華佗。配下にも気をよく使う者がいるのだが、特別に修行を重ねるとこうも違うものか」
「人間と病魔。そのどちらとの闘いを選んだのかで、気の性質は変化するものなのでしょう」
「そう、なのかもしれないな。不思議なものだよ、この鍼は。刺されているというのに、痛みのような感覚は少しもない。むしろ、心地よすぎるくらいなのだからな」
「使いようなのです、何事も。闘いにおいて、曹操殿が戦場と会話をなされるように、俺と鍼は一心同体なのです」
「面白い喩え方をする。……五斗米道の教祖は、鍼どころか他者の身体に手のひらを当てるだけで病を治すというが、それは本当か」
人間の信仰心を侮ってはいけないことは、太平道との闘いで嫌というほどわかっている。
同様に、五斗米道は漢中を本拠と定め、益州に確固たる勢力を築いていた。州牧である劉璋ですら容易には手出しできず、半ば放置するようになっているのが現状だった。だが、いつまでもそのままにしておけるはずがないのである。
なにを信じ、誰と集おうと曹操の知るところではなかった。だが、五斗米道は自衛のためとはいえ軍団を組織し、祭酒と呼ばれる幹部たちが地域の内政を取り仕切っているのだ。それはもはや信仰の枠を超えていて、教祖たる張魯を群雄の座にまで押し上げてしまっている。過剰な信心は人を惑わせ、いつか国を乱す。曹操が危惧しているのは、やはりそこだった。
「直接拝見したわけではありませんが、そのくらいのことをされてもおかしくないとは思います。張魯さまの操られる気は、特別ですから。お優しい方なのですよ、あの方は。だから、知らずと信者たちが集まってしまう。頼りに思ってくれている人たちを突き放すなんてことは、とても」
「ほう。教祖がおまえの話す通りの人物なのだとすれば、少し見えてくることがあるな。軍勢を差し向けるような事態は、俺もなるべく避けたいと思っている。人の心との闘いほど、厄介なものはないのだよ」
「董太師……。月殿が、どうしてあなたのもとに身を寄せられているのか、少しわかるような気がします。これで、多少は心配していたものですから」
「ン……。これからも、時々鍼を打ちにくればいい。漢中についても、おまえには相談したいことがある」
「お気遣い感謝します、曹操殿。さて、今日はこのくらいでもういいでしょう」
全身から鍼が抜けていく。
最後に、華佗の手のひらが擦るように肌の上を動いている。それで気の滞りの解消を確認できるというのだから、この男もやはりただ者ではなかった。
五斗米道のこと。そして、なんとなく危うさを感じる教祖のこと。悪くないあたたかさを感じながら、曹操はぼんやりと思考を巡らせていた。
†
ふくらんだ男根に、女が舌を這わせている。情熱的であり、そこには溢れるほどの愛情が込められていた。
亀頭の先から根本まで、丹念に唾液が塗り込められる。鍼の施術によって軽くなった身体の一点だけが、異様なくらい重かった。甘く、蕩けたような視線。余すところなく肌を晒している秋蘭の髪に指で触れ、曹操はふっと笑みを零している。
「公孫賛との交渉、よくやってくれたと思っている。想像していた以上の成果だ。さすがにいい働きをしてくれるな、おまえは」
「んっ、じゅぱっ、あむぅ……。さっさと天下が治まらねば、一刀との子をのんびりと育てることもままならぬではないか。愛する男が覇者を目指すというなら、われらはそれに向けて尽くすまで。ふふっ……。だが、今くらいは」
居室。直立して奉仕を受ける曹操に、秋蘭は跪いた状態でほほえみ返している。
絡み合う粘液。このまま一度射精してしまいたいという気持ちを抑え、曹操はより男根をかたくしている。
「んあっ、ちゅぷっ。気持ちいいのか、一刀? それにしても、勃起したおまえのこれは、本当に凶器そのものだな。姉者も私も、はじめて受け入れたときは、突き殺されるのではないかと心底恐怖したものだよ」
「くだらないことを言う。今更昔のことを責めてくれるなよ、秋蘭」
「ふふふっ。これは申し訳ございませんでした、殿」
少しの畏敬も籠もっていない言葉と一緒に、立ち上がった秋蘭が肌をぴたりと寄せてくる。
絡む舌。やわらかな乳房の感触。それに、じっとりと濡れた股の間で擦り上げられる男根が、たまらず大きく跳ねている。
「このまま挿れても構わないか、一刀。おまえの熱く滾った雄々しいチンポ、私の女である部分が欲しくてどうしようもなくなっているんだ」
壁に向かって、秋蘭に押し倒されるような格好になっている。
普段とは違う感覚。それが、興奮を強く誘っているのか。秋蘭もそれだけ性欲がたまっていたのだろう。にちにちと音を立てる淫部が、ひたすらに男根を咥えたがっている。
「おまえのいいようにしろ、秋蘭。褒美は、たっぷりとくれてやらねばな」
「御意に。ああっ、んぐっ、ふあぁああっ……♡ これっ、久々なのに、んうぅ……。一刀のチンポ、いいところに全部当たってぇ……♡」
耳に響く嬌声。それを聴いているだけでも、やがて限界に達してしまえそうなくらいの雰囲気があるのだ。
張りのある尻を両手で鷲掴み、思いっきり結合部を密着させた。反応する子宮の入り口。多少期間が空いたくらいで、この膣内の感触を忘れられるはずがなかった。秋蘭の身体にしてもそれは同じで、専用のかたちになりきった膣内が、男根を隙間なく抱きしめてきているのである。気持ちいいのは当然で、ほどよい締め具合が理性に幾度となく攻撃を仕掛けてくる。
「ああっ……。やはり最高だな、おまえとのまぐわいは。指などでは、どうあっても味わえない感覚だ。うあっ、ふんぅ……。張り詰めていることなど、できるわけがない。一度突かれるだけで、ああっ、こんなにもっ♡」
「それだけ相性がいいのだよ、俺たちの身体は。ほら、もっと好きに動いてくれていいのだぞ、秋蘭。今日まで、ずっと我慢してきたのだろう?」
「む、無理っ。そんなこと、絶対に無理なんだっ♡ はっ、あはぁっ……。一刀のチンポがよすぎて、身体が言うことを聞いてくれない。ああっ、そこおっ……♡」
互いに、弱点は知り尽くしている。
秋蘭の耳。じっくりと舌で愛撫を行いながら、腰を揺すって深い部分を責めに責めた。流れ出す愛液。無限に湧き出す潤滑液によって、交わりは一層熱を増していく。
「ふうっ、んああっ……! くる、いいのくるぅ……♡ あっ、ああっ。一刀のチンポで、がっ、あはっ……♡」
がくがくと情けなく身体を痙攣させ、秋蘭が絶頂を迎える。曹操はその間も休むことなく攻勢に出ていて、歯を食いしばって射精の欲求に耐えていた。
「か、かずとぉ……♡ これ、これすごいっ。頭の中がぐるぐるってしてるのに、チンポ少しも止まらなくてぇ……!」
秋蘭の片足を支え、ちょっと持ち上げるようにして下から突きに突いた。
面白いくらいに噴き出す淫靡な汁。責めに耐える顔は真っ赤に染まっていて、普段の凛々しさなどとうにどこかに捨て去っている。
「んあぁあっ! んっ、あっ、んひぃ……♡ いいっ、チンポいい……♡ 一刀。ああっ、かずとぉ……♡」
愛する女にかすれるような声で真名を呼ばれ、思わずぞくりとする痺れに全身を襲われた。
子種を欲し絡みつく膣肉。めくりあがるくらいに男根を打ち付け、曹操は荒い息を吐いている。
交差する視線。軽く頷いた秋蘭が、もう我慢などしなくていい、と言っているようだった。
「きてっ。きてくれっ、一刀。おまえの全部、私なら受け止めてやれるから」
抱擁がいきなり強くなる。
降りてくる子宮。強引な突き上げなどもはや不要で、ただ心の赴くままに身体を擦り合わせているだけで十分だった。
「いくぞ、秋蘭。おまえの欲しがっていたもの、すべてくれてやる」
「んんっ、はーっ♡ いい、これっ……! どくどくって、射精きてるぅ……♡」
身体を密着させることだけに全神経を動員し、精液を叩き込んだ。
ふるえるような快感。体勢を入れ替え、秋蘭を壁に追いやり射精から絶対に逃げられないようにする。
「うあっ、んぐぅうう……! いく、またいくっ。射精されながら、あんっ、ああっ♡」
消えることのない熱と熱。どちらにも余裕などなく、ひたすらに交わることだけを求めている。
秋蘭の放つ強い女の香り。情欲の炎を煽り立てるそれだけが、室内を支配しているような気がしていた。