妙な重みにまどろみを遮られ、曹操は眼を醒ました。
暗い居室。力を入れてみたが、手足が動かない。なにかが乗っている。あるいは、束縛でもされているのか。
普通ならば、命の危険を感じるような場面だった。それでも余裕を崩さずにいられたのは、闇の中に一縷、見知った特徴的な髪が見えたからだった。
「もういいだろう、猪々子。そろそろ、おまえの顔を見せてくれないか」
「ちぇー。しばらく怖がらせてやろうと思ったのに、つまんねえの」
暗がりに慣れてきた視界に、猪々子の肢体が浮かびあがる。
性格からして、忍び込むような真似はしないはずだった。閨に侵入するのなら、堂々と正面から。もし制止されようものなら、ひと悶着起こしてでも突破しようとするはずだ。
「ははっ。宿直の者に、無理など言っていないだろうな」
「ややっ、そんなことあたいだってしないっての。曹操のアニキにご褒美もらうんだー、って話したらあっさり通してもらえたからさ。なんというか、肩透かしでも食らったような気分だな」
言いながら、猪々子が胸もとに顔を擦りつけてくる。
ふわりと拡がる髪の香り。その仕草は気分が乗った仔猫のようで、つい乱雑にかわいがってやりたくなってしまう。
「それにしても褒美、か」
「あっ、本題はそれだよそれ。アニキってば、この前の戦でがんばったご褒美、全然くれないんだからさあ。下手したら忘れられてるんじゃないかと思って、こうして自分から取りに来たって算段なんだよ」
軽く抓られでもしたのか、右腕に小さな痛みが走る。
自分の背丈よりも大きな剣を、振り回せるような女なのである。もし猪々子が本気でも出そうものなら、この程度の被害で済むはずがなかった。
「そう言われては、俺の立つ瀬がなくなる。今回だけは見逃してくれないか、猪々子?」
「まっ、別にいいんだけどさ。そりゃあアニキの周りにはかわいい子がわんさかいるんだし、目移りだってして当然だよな」
「はははっ。珍しいな、おまえがそう不貞腐れるなんて」
へそを曲げたままの猪々子の抱き寄せ、口づけを交わした。
嫌がるような素振りはない。むしろ、絡ませてくる舌は積極的なくらいで、絶えず唾液を交換しようとしてきている。
「んっ、あむっ、ふちゅる……。わ、ずるいやり方するなあ、アニキは。こんなにされたら、許してやるしかなくなるじゃんか」
「どうとられようと、俺は少しも構わない。おまえが機嫌を直してくれることが、今はすべてなのだからな」
「んーっ。ずるい。ほんとずるいよなあ、アニキは」
甘いだけの口づけを、ひたすらに続けた。
猪々子は動きも手慣れていて、わざわざ導いてやる必要はなかった。段々と互いに身体をまさぐり、着衣を乱していく。
手に余るほどの乳房があるわけではないが、引き締まった肉体は男を興奮させるだけの魅力を秘めている。
下腹部を引き寄せ、猛りかけている男根と擦り合わせた。猪々子の方も気分が盛り上がってきたらしく、顔にふりかかる吐息がかなり熱を帯びている。
「はあっ、んあっ……。もし男で一緒になるなら、絶対アニキだって決めてたんだ、あたい。へへっ、だから、なっ?」
「んっ、猪々子……」
昔から、真っ直ぐな子であることは知っている。それでも、いざ口にされてみると悦びはあるものなのだ。
隙を突いて体勢を入れ替え、猪々子を組み伏せた。ふたつの眼。暗がりでもわかるくらい情熱的な色をしていて、思わず夢中にさせられてしまう。
「あははっ。アニキのちんこ、ガッチガチじゃんか。そんなに挿れたいんだ、あたいの中」
「ああ。見ての通り、馬鹿正直な男なのだよ、俺はな」
「ええー? だったら姫とも、もう少し早く……。んっ、ふあっ……! そ、そんな、いきなりっ♡」
「馬鹿正直なここに、そんな堪え性があるものか。最後までいくぞ、猪々子」
「ま、待ってぇ……♡ あぐっ、んっ、んはぁっ♡」
男根に膣肉を抉られ、猪々子の細い腰が浮き上がる。
中はさすがの締りで、細かい襞がしっかりまとわりついてきていた。
なだらかな胸を手のひらで味わい、腰を押し進める。女同士の戯れでは届かない場所まで、自分を刻みつけてやるつもりだった。
「き、きてるっ。アニキのちんこが、一番深くまでぇ♡」
猪々子の洩らす喘ぎが、耳に心地よく響く。
痛みはさっぱり感じていないらしく、あるのは真新しい感覚による快楽だけのようだった。
ざわめいていた膣襞が、段々と落ち着いてきているのか。子宮口に先端を押し当て、曹操は一度大きく息を吐いた。
「不思議だな、これって。突っ込まれてるだけなのに、頭がぼーっとしてきてる。あはっ。アニキのこと、こんなの益々好きになっちゃうなぁ♡ あーっ、これほんとやばい……♡」
「ははっ。俺にとっては好都合なことでしかないな、それは。もっとよく感じてみろ、猪々子。今夜は、おまえが褒美を独り占めできるのだぞ」
「んっ、あぁあっ……! いいっ♡ アニキのぶっといちんこで中かき回されるの、さいっこぉ……♡」
反応の変化を確かめながら、抽送を続けた。
感度は良好。つんと勃った乳首を指で捻ってやると、猪々子はさらにいい声で鳴いてみせる。
「あっ、んぅっ、んぉ、ああっ♡ ぎゅってされるのも、好きぃ♡ アニキ、もってしてっ、アニキ」
「真っ赤になっているというのに、まだして欲しいのか。おまえも大概、欲望に忠実な女だな」
「そ、そんなのっ、当然だろっ……? 今まで散々、おあずけされてきたんだ。その分、思いっきり愉しまないと損じゃんか」
猪々子が跳ねるように身体を起こし、不意に抱きついてくる。
瞬時に塞がれる口。交わった状態ですする唾液はもはや媚薬同然で、全身の感度を極限まで高める効果があるようにすら思えてくる。
「いっ、これいいっ……♡ ちんこの当たり方変わって、んはあっ。もっと、もっと色んなことしてほしくなるっ♡」
離してやるものか、と身体を抱く腕に力を込めた。
ほぐれた膣内。精液を強く欲していて、それは猪々子の表情にもあらわれているのだ。
普段は元気闊達を絵に描いたような子なだけに、情欲の色が濃くなるとこうも印象が変わるのか、と曹操は笑みを洩らす。
両手で握り合い、結合部を起点に腰を揺さぶる。最奥を徹底的に責められ、猪々子は感じに感じているようだった。
尿道を精液がせり上がる。堪えて追加の突きを見舞った後、それは大いに爆ぜた。
「む、無理だって、こんなのっ♡ 絶対いくっ、奥で射精キメられながら、いくっ、うぅうぅうう……♡」
搾り取られる、という感覚がかなり強い。
猪々子は薄い胸を反らした状態で、びくびくと身体をふるわせている。
「あっ、ああっ……! まだくるっ。熱々の精液、あたいの中で暴れてる♡」
萎える気配のない男根を突き入れ、請われるがまま子種を渇望する袋に濃厚な汁を注いだ。
「ひゃわっ……。だめ、もうだめ……。あたい、腹いっぱいだぁ……♡」
唐突に倒れてくる猪々子の身体。愛おしさすら感じる重みを受け止め、曹操は気をよくしていた。
「むっ、あむっ、ちゅっ、ちゅぱっ……」
「ン……。いいのか、このまま続けてしまっても。今ので、満腹になってしまったのだろう?」
「いいからいいから。なんとかは別腹、って言ったりもするだろ? それにさ、アニキのちんこ、ちっとも小さくなってくれないし。だったら、する以外の選択肢なんてあり得ないでしょ」
腹はふくれていても、喰い足りているわけではない。
そんな矛盾を抱えた猪々子をかわいらしく思いながら、曹操は再戦へ闘志を燃やしている。