冬が完全にやってくるまでに、豫州を陥落する。同時に、麗羽の率いる別働隊が西進し、洛陽周辺を電撃的に制圧する。この二つの初手が、なにより肝要だった。なにごとも、一歩目で躓けばすべてに狂いが生じる。どれだけ手堅い盤面を作り上げていようと、それは同じなのだ。
十万を越える兵が、要所に集結している。闘気は南方に強く向けられていて、長安にいる廷臣どもは、自分が孫堅との決戦のみに集中していると感じているはずだ。
とにかく、緒戦に勝つことだ。それで流れを自軍に引き寄せ、いけそうなら荊州北部にまで楔を打ち込む。中心に近づくほど、当然だが抵抗は激しくなる。誰を討ち、どこまで負かせばこの戦は終熄に向かうのか。しばしば、曹操はそんなことを考えるようになっていた。
寝台の上に、月が身体を横たえている。挑発的な色が、かすかだが瞳にあらわれている。革製の首輪には紐が通されていて、その終端を握っているのは自分の右手だった。
力まかせに引っ張れば、いつでもその肉体を自由にすることができる。月は薄い貫頭衣だけを身にまとっていて、裾からは白い脚が伸びていた。黒い下着が、落ち着いた雰囲気によく合っている。
この時間、丕は詠に預けられている。乳はたっぷり飲んでいたから、しばらく腹を空かすことはないはずだった。
「あたたかいです。一刀さまに、こうして抱きしめていただくと。んっ……。もっと強くても、私は平気ですから」
紐をちょっと手繰り寄せ、月の隣に寝転んだ。
頭頂部に鼻を埋め、後ろから身体の感触を愉しんだ。匂いを確かめられるのが恥ずかしいのか、月が何度か身じろいでいる。逃さず、曹操は大きく息を吸った。
「襄陽で行われた軍議が、紛糾していると聞きました。意外と、豫州は労せずして得られるのかもしれません。自国の内側でする戦は、色々な面倒がつきまとうものです。土豪たちが嫌がるのは、孫堅も承知のはずですが」
「かつて劉表の重臣だった黄忠が、場所を憚らずに怒りをぶちまけている。そうでなければ、荊州の小者どもはなにも言えんさ」
前回のぶつかり合いとは、わけが違う。今度の戦は、曹家に主導権があると言ってよかった。
防衛ではなく、侵攻を目的とした戦だった。
長く続いた乱世に、民衆は飽いている。もう十分だと感じているのは、自分にしてもそうだ。
華佗に倣った言い方をするなら、国に蔓延る病魔を取り除く。新たな覇者が立ったとして、時期を逸しては意味がなくなる。やるなら、今なのだ。
「んっ、あっ……。いたしませんか、一刀さま。どことなく、罠の匂いが」
「しているのは、月のいい匂いだけだ。こうしていると、気持ちが落ち着く」
「もう、一刀さまはそうやってご冗談ばかり。あっ、んうっ……。ほんとうに、恥ずかしいんですから」
大っぴらにするものではないが、孫堅とは気が合うと認めていた。
ずるずると長い戦をするつもりはない。必殺の策を用意し、孫家の軍勢は牙を研いでいるはずだ。そこに飛び込み、それ以上の力で叩き潰す。でなければ、民衆は自分を覇者と仰がないのではないか。『天の御遣い』の風聞を含め、細かな根回しは行っている。だが、結局は大勝負に勝てる人間を誰もが欲していて、それこそが覇者の証となるのではないか。
「孫堅がなにをしてこようと、俺のするべきことはひとつだ。そうだろう、月?」
「はい、一刀さま。あなたは、勝ちます。勝つべくして、この世に産声を上げられたお方なのです。その叫びを、ずっと以前から私は知っている。天と地と、そしてあまねく人々に、その御志を焼きつける時が来ているのでしょう」
月の手が着物にかかる。曹操は身じろぐことなく、受け入れているだけだった。
脱がしながら、指が肌に触れるか触れないかのところを、何度も行き来する。そうしている月はちょっと愉しそうで、首輪と紐を着用していることなど忘れそうになる。
「まあ……。立派なおちんちん、出てきてしまいましたね、一刀さま」
言うなり、月が男根への奉仕を開始する。
どこまでも丁寧で、愛情を感じさせる動きだった。亀頭の表皮に垂らした唾液を薄く伸ばし、汚れのたまった雁首を指の腹で優しくこする。半勃ちになっていたものはすぐに力を漲らせ、月の手には余るほどの大きさに姿を変貌させていく。
「大きすぎて、両手を使っても隠しきれません。ほんとうに、いつ見ても素敵なかたち。指、気持ちよくできていますでしょうか、一刀さま」
「月の奉仕を、不満に思ったことなど一度もない。続けてくれるか、このまま」
「はい、もちろん。でしたら、つぎはお口で……。んむっ、おくっ、むっ、はぷっ」
身体をうまく回転させ、月が小さな口を使い男根の先を包み込む。頭の代わりに今は下腹部が眼前に出現していて、黒い下着が隙間から何度も見え隠れする。
その奥の光景を確かめてみたくなり、曹操は手を伸ばした。少しひんやりとした肌。吸い付くような感触が、膨らんだ情欲をさらに刺激する。
「んっ、ちゅぱっ、むぐっ、むっ……。あっ、ふふっ。下着、気に入ってくださいましたか? こうした色も好まれるのではないか、と麗羽殿が」
「はははっ。隠し通せることなどありはしないな、なにも」
「覇者を目指す重圧を、私は知らないわけではありません。みなで登れば、苦しい一歩も多少は楽になるでしょう? ですから、存分にお分け与えください。それが私たちの、よろこびにもなるのですから」
「ン……、違いない。それに、みなには以前から、背中も脚も押してもらっているつもりなのだよ。俺ひとりにできることなど、たかが知れている。天下というものは、そこまで軽くはないのだからな」
「あっ、んんぅ……。はあっ、あっ、一刀、さまぁ……」
股座に顔を突っ込ませ、下着の横から舌を内部に滑り込ませる。奉仕をしていて興奮したのか、入り口も中もじっとりと濡れている。愛液を吸い出すようにしてやると、月は男根を握ったままかわいらしい声で鳴き声をあげた。
「容赦のないお方なんですから。私も、負けるつもりはありません。お口全体を使って、おちんちんをもっと気持ちよく……。んぶっ、んっ、じゅるっ、ずぱっ……」
「いいな。おまえとの勝負は、やはり心が躍る。ならば、こちらも」
「ひゃんうぅう♡ じゅ、じゅぷっ、れぉ……、ずぷぷっ……」
淫らな水音が、室内に反響する。
早い段階で、董卓という壁にぶち当たったから、今の自分を作り上げることができている。汁を垂れ流す膣肉をしゃぶりながら、そんな考えがふと過ぎった。
土をつけることができなかった存在。後に呂布軍だけは降すかたちになったが、董卓にだけは勝ち逃げをされた格好なのである。
「ひゃふ、んっ、んぐぅうう♡ 激しい、一刀さま……っ♡ これだけで、すぐに達してしまいそうなんです。あなたの熱が、こんなにも強くて」
つい、敏感な陰核を本気で責めてしまっていたようだ。
快楽が強すぎたのか、月がちょっと口を離してしまう。腰を突き出したのは、寂しさを感じたからなのかもしれなかった。心地いいあたたかさに、先端が再び包まれる。わずかに上がる苦悶の声。気にせず、愛液を味わい抽送を続けた。
「お、おおっ……♡ お゛ぐっ、むっ、ふーっ、ふうっ♡ じゅっ、んふっ、もごっ、ごっ、ぐぷっ……♡」
男根で喉奥を犯されるのがよかったのか、月の濡れ方に変化が生じる。粘り気が少し強い。興奮が高まると、味もそれまでとは違ってくるのだ。
どろどろになった下着をさらにずらし、入り口を割り広げる。丕を産んだ膣穴。それでも色合いは鮮やかで、舌触りはどこまでも滑らかだった。
なんとか反撃にでようと、月が必死で男根に舌を絡ませる。尻肉を握り、限界まで舌先を膣肉に潜り込ませた。嬌声。喉のふるえが、男根を通して甘い痺れを全身に運ぶ。
「いうっ♡ いっ、もごっ、んいっ♡ らひて、らひて一刀ひゃまっ♡ んぐぐっ……。へーえひ、んぷっ、んぐぐっ♡」
言葉こそ不明瞭だが、意図は十分に伝わってくるのだ。
せり上がる精液。中程でとどめ、月を先にいかせることだけを考えた。男の、くだらない誇りなのだろう。こんなところで勝ちを拾って、なんになるという思いはある。それでも、勝ちは勝ちにほかならなかった。
「いっ、んふっ、ふーっ、んぅううううう♡♡♡」
声にならない声と一緒に、月が大きく身体をふるわせる。もういいと感じ、曹操は喉の奥の奥で射精をはじめた。
苦悶がずっと強くなる。息をすることすら、ままならないのかもしれない。それでも、月は幸せそうに愛液を撒き散らしている。だから、やめる必要などどこにもないと思った。
「はふ、あーっ、ああっ……」
たっぷりと出し終え、男根を引き抜く。硬度には少しの衰えもなく、いくらでも気力が湧いてくる感じがする。
寝台に座り、月と向き合った。よくがんばった、と頭を撫でてやる。ほころぶ表情。緩んだ口もとから、放出した精液がどろりと流れ落ちる。
「んべぇ……。んっ、けほっ、んんっ♡ ほら……、あなたに出されたものがこんなに。たくさん飲ませていただいたのに、まだお口の中に残っていたんですよ? ほんとうに、窒息させられてしまうんじゃないかって、はふう……」
受け皿のようにした両手に、月が残った精液を吐き出す。自分でも、おかしな笑いがでるくらいの量だった。それを見せつけるように、月はもう一度口にもどす。ゆっくりとした咀嚼。赤く染まった頬がほほえましい。時間をかけて味わい、月はごくりと濃厚な汁を飲み下した。
「はい、ごちそうさまでした。見てください、一刀さま。私のお腹、ちょっと膨らんでいませんか? 先程の射精、そのくらい凄まじいものでしたので。ふふっ。いつもより、興奮されていたんですよね」
「いろいろあったのだ、いろいろとな。これだけ出したのだから、もう同じだろう。こちらからも、注いでやりたいのだが」
貫頭衣を脱ぎ捨て、月が下着だけになっている。確かに、わずかだが射精のせいで腹がぽっこりしている気がしていた。
「あなたさまの、お好きなように。月のすべては、あの夜に捧げたつもりです。ですから、あっ……」
軽い肉体を押し倒し、大きくなった乳輪に舌を這わせた。
それだけでも、甘さがなんとなく伝わってくる。勃起した乳首。ためた愛情を吸い出そうと、音を立てた。
「えへへっ。一刀さまの分を、残しておくべきでしたね。娘にたくさんあげてしまったので、しばらくほとんど出ないかもしれませんよ」
「それでも、構わない。娘を優先するのは、母として当たり前のことだ」
左右の乳首。交互にしゃぶりつきながら、膣内への挿入を開始した。
以前よりも、少しやわらかさが増したのか。爛れるような女の熱と、母の情愛。その両方をひとえに感じ、腰を前後に揺さぶる。
「はぁーっ、ふうっ……。気持ちいいです、一刀さまぁ。おちんちん、子宮の入り口にこんこんって、また赤ちゃんつくりたいんですか、うふふっ」
月の声に、妖艶な色が多分に含まれている。
唾液まみれにした乳首。口を離し、首輪につながる紐を引いた。軽い身体。簡単に持ち上がり、腰の上で跳ね回る。寝台の軋む音は、交合の激しさで気にならなかった。
「この体勢、すごい……んあぁっ! おちんちんに衝きあげられるの、好き……っ♡ 一刀さまに抱っこされながらだと、すごく安心できてしまえて……ぇ♡」
「下着は使い物にならないな、もう。両方の汁で、ぐちゃぐちゃになってしまっている」
「いいんです、そんなの。一刀さまの匂いに包まれて、一日を過ごせるようになるんです。私にとっては、その幸せの方が強いんですから、ふあぁっ♡」
歓喜の色を滲ませ、月が大きな声をあげた。
膣肉がうねっている。男根は中でもみくちゃにされていて、さながら熱烈な接吻でもてなされているようだった。
いくらでも出してしまえそうな心地よさがある。子宮の口は吸い付きを強くしていて、亀頭を甘くねぶってくるのだ。
「一刀さま。んっ、んあっ、一刀さま……ぁ♡」
「おっと。ははっ。今度は、おまえから動いてくれるのか、月?」
「はい。お任せください、一刀さま。私が、おちんちんをしっかり気持ちよく、んうぅ……♡」
ふとした衝撃で、月に押し倒されるような格好になった。
力を抜き、奉仕に身を任せる。肌が合う。月の尖った乳首の感触が気持ちよく、小さく息が洩れた。
「へこへこ、止まりません。おまんこでおちんちん搾るの、とっても気持ちいいんです。あっ、はっ、あーっ、んおぅ……。ぐりってするといろんな部分にかたい先端があたって、はあぁああ……♡」
「いいぞ、月。上手にできるようになったな、自分からでも」
「はひっ、はふぅ……。これからも、たくさん練習させてください、一刀さま。もっと淫らに、んっ……、気持ちよく、お精子おねだりできるようになりますから♡ あんっ……! お尻たたかれると、身体びくってなる♡ おまんこも、一緒にぎゅうってなってぇ……♡」
懸命に揺れる尻肉。激励の意味を込めて、数回手のひらで表面を打った。
それで、膣肉の締まりが明確によくなっていく。紐を引き寄せ、曹操は月と唇を合わせた。
「んむっ、ちゅっ、むふぅ、はむっ……。いやらしいですね、とっても。交わりながらの口づけ、普段するのとは全然違っていて、んあぅ」
ためた唾液を、月が上から流し込んでくる。なににも勝る、極上の媚薬だった。男根が勢いづく。想像以上に深い部分で受けてしまったせいか、月が金切り声で鳴いている。
出したい。この女に、今一度自分の子を産ませたい。
ひとたび味わうと際限がなくなるのが、欲望というものだった。尻たぶを鷲掴みにし、月の動きに合わせて下から弱点をえぐる。跳ねる腰。垂れ落ちているのは、涙か粘液か。
交合の音が、果てしなく大きくなっていくような気がしていた。月の肉体は、完全に子種を受け入れる体勢になっていて、子宮がぐっと降りてきているのだ。
「はふっ、あっ、ああっ、ひぐうぅう……♡ 気持ちいい。おまんこ、一刀さまのおちんちんで押しつぶしてください♡ お好きなところで、射精、受け止めてみせますからぁ♡」
「はははっ。最高だ。ほんとうに最高だよ、おまえは。俺にとっての月は、やはりおまえただひとりなのだよ。だから、ぐうっ……」
言葉に詰まるほどの快楽。襲われるたびに、痺れが脳内まで一気に駆け抜ける。
首輪が揺れる。切なげな視線を覗かせてから、月に抱きしめられた。
離さないし、離れようとも思わない。気持ちは、どちらも同じだった。
「いきます、一刀さま。あなたも、どうかご一緒に」
「言われなくとも、そうするさ。さあ、いこうか、月」
「はい、はい……っ♡ あっ、ああっ……。くる、きちゃいます。一番大きいのが、んおっ、おっ、お腹の奥からぁ……!」
ずちゅり、と結合部が合わさる音がした。同時に、様々な糸が切れる。我慢も、限界に達した。
二回目だろうと、なんら問題はない。むしろ、気持ちが昂ぶっているだけ、先程よりも量は多いのかもしれなかった。
月に甘く抱きしめられたまま、子宮に精液を流し込む。なによりも甘美な最後だった。男根を締め上げる力加減は抜群で、しばらくふるえが止まらないくらいだった。
「んっ、ああっ、あああっ♡ きてる、一刀さまが♡ 私も、びくびく止まらないんです♡ おまんこも、吸い付いて少しも離れない。ふふっ。このまま溶け合ってしまうのでしょうか、私たちは♡」
うれしそうに、月が耳もとで囁いている。
今だけは、怠惰な感覚に流されていたい。月の発する女の香りが、夢と現実との境界線を淡くさせているようだった。
†
十五万を越える軍勢が、進発の瞬間を待っている。
林立する『曹』の旗。人と同じように昂揚しているのか、絶影が馬体をふるわせている。
騎乗し、曹操は瞑目した。国を割るような大戦は、これで最後にするつもりだった。払ってきた犠牲はある。そして、自分はこれから、さらに死を積み重ねるのだろう。
まずは、豫州をひと息に抜く。そこからは、腰を据えた闘いをすることになるはずだった。
「兄上。万事、整いましてございます」
「おう、愛紗」
軍馬にまたがった愛紗が、一旒の旗を手に持っている。
白地に黒で染め抜かれているのは、丸に十文字の紋様だった。北郷一刀。自分のあり得たかもしれない可能性から、託された思い。
腰に下げた倚天の剣を引き抜く。天に向けて差し上げると、陽光によって白刃が煌めいた。
歓声があがる。それが波のように引くのを待ち、曹操は頷いた。
「総員、出動」
短く発し、手綱を握る。大地を埋める集団が、風となって動き出した。