抜きゲーみたいな島に住んでるTS娘はどうすりゃいいですか? 作:パチドリくん
童貞「何か二人に既視感・・・・・・」
TS娘「行ってこい、文乃!」
童/むべ「!?」
「図々しいお願いだとは分かってるんだけど・・・・・・その、この子の事を暫く見ていてくれないかな?」
「・・・・・・え?」
そう言われた俺は気の抜けた返事をしてしまう。
話の内容が掴めず、キョトンとした顔をしていることが自分でも分かった。
「見ていてくれって・・・・・・どういう事だ?」
「そうだね、ちょっと話が長くなっちゃうんだけど・・・・・・他の人もいい?」
「アタシたちは別に良いですけど・・・・・・淳」
奈々瀬がこちらへ目を配る。
その視線は俺への確認らしく、どうするのかを問うているようであった。
言いたいことは何となくだが分かる。
彼を見ていてくれないか――その言葉だけで、俺たちに一体どれほどのリスクが降り注ぐのか。
それが分からないほど俺も馬鹿ではない。
その上で話を聞くのかどうか、そういう事なのだろう。
「・・・・・・俺も問題ないよ。取り合えずどういう話か教えてくれないか?」
だが――俺の口は、何かを考える前に答えていた。
確かに木戸の言葉は“吹上少年”という、この島の住民と深く関わることを示唆している。
俺たち反交尾勢力にとって、ドスケベに染まりきった島の人間と関わる事は危険でしかない。
しかし、だからといって事情も聞かずに断るのは・・・・・・何か、駄目な気がした。
あくまで勘でしかないし、根拠なんて無い。
だけど、そう外れていない気がする。
・・・・・・そして何より――木戸なら
そういう信頼を、俺は彼女に抱いていたのだ。
「皆、ありがとう。それでなんだけど――」
そうして語られたのは、吹上くんの複雑な家庭事情であった。
彼はとある事情から一人暮らしをしており、水乃月学園裏の山奥にある寂れた神社を住居にしているらしい。
そこで彼は諸々の家事全てを一人でこなしながら暮らしているのだとか。
彼が住んでいる場所は、畔が住んでいる山の手周辺の集落と違って殆ど人が住んでいない。
そんな山の奥にまでやってくる人物も、登山家や高台からの景色を眺めに来るような人物だけ。
それこそ、SHOの監視員でさえやって来ることが殆ど無いらしい。
「それに、友達もあまり居ないみたいなの」
また、彼は学園でもひとりぼっちらしい。
というのも、彼は体が弱いせいで度々体調を崩してしまう事があるらしく、あまり学園に来れていないらしい。
そのような虚弱体質に加え、彼の儚げな外観も相まってクラスメイトは彼に遠慮してしまい、距離を取ってしまうようなのだ。
そんな彼と木戸は、木戸が趣味である写真撮影の最中に一人山奥でジッと佇んでいる彼と出会い、気になった木戸が話しかけ、そうしているうちに事情を知ったとのこと。
「時間がある時は私が吹上くんと一緒に行動してるんだけど・・・・・・ここ最近はSSの仕事とかもあってあまり時間が取れなくて・・・・・・」
「・・・・・・葉月様・・・・・・お気遣いは大変有難く存じますが、あなた様と・・・・・・皆様にも、ご迷惑をおかけしてしまいます・・・・・・ボクは一人でも、平気ですので・・・・・・」
「・・・・・・こういう子なんだ。 ねぇ吹上くん、ちょっと耳貸して?」
そうして彼の事情を語り終えると、木戸は少年へと何かを耳打ちする。
一方俺たちは、木戸の語った内容を聞いてどうするべきか迷っていた。
(ど、どうする・・・・・・これ・・・・・・?)
(流石にこれはちょっと・・・・・・ねぇ・・・・・・?)
(吹上くんってとってもいい子みたいだし、お姉さん的には放っておけないよ・・・・・・!)
(エロチキください)
(こいつ、直接脳内に・・・・・・!)
・・・・・・確かに、これは何とも庇護欲がくすぐられるというのか。
聞けば吹上くんはまだB等部の三年生で、その年で一人暮らしというのはとても大変だろう。
生活面でも精神面でも誰かの支えが無ければ苦しいはずなのに、友達と呼べる存在は居らず、木戸のような彼を助けようとする人には迷惑になるからと拒絶している。
彼の持つ儚い雰囲気も合わさって、木戸が彼をどうにかしたいと思うのも納得だった。
だが――俺たちは反交尾勢力。
島の条例に仇なす俺たちは、条例を賛歌する島の住人と関わることは避けるべきなのである。
もし彼が他の連中と同じような認識を持っているのであれば――それはすなわち、俺たちの敵なのだから。
「・・・・・・」
NLNSのリーダーは俺だ。
つまり、これをどうするか決めるのも俺だ。
ならば、どうするべきか――――そんなもの、決まっている。
「畔、少しの間木戸の注意を逸らしてもらってもいいか」
「え? それは構いませんけど・・・・・・何をするんですか?」
「――少し、木戸に聞かれたくない話をな」
「・・・・・・! ラジャりました! それでは、私にお任せあれです!」
近くに居た畔に小声で指示を出す。
今から彼にする話は、SSの木戸に聞かれる訳にはいかない。
「・・・・・・私なんかより、彼らの傍にいる方があなたの助けとなるはずだから」
「ですが、それでは葉月様が――」
「お願い、文乃――私は大丈夫だから、ね?」
「・・・・・・っ」
「ヘイヘーイ、二人して何コソコソ話してるんですかぁ? 私も混ぜろよぉーっ!」
「うわっ、ちょ美岬なに!?」
「何って、私はただその子と仲良くなりたいだけデスよぉ・・・・・・? 膣内良くしてほしいって言ったのは葉月ちゃんじゃないデスかぁ・・・・・・!」
「前と後で何かニュアンス違くない!? というかなら何故私に寄って来る!? ちょっ待っ――」
何かすごいうざ絡みしてる・・・・・・*1
だがしかし、木戸の注意はしっかりと逸れている。
今なら吹上くんに話をしても問題ないはずだ。
「吹上くん、一つ聞いてもいいか?」
「・・・・・・?」
彼に呼びかけると、吹上くんはちらりと木戸の方を見て何かを言いたそうにしていたが、声掛けもあって俺の傍へと寄ってくる。
こうして近くで見ると、俺との身長差のせいでより彼の幼さが目立つ。
そんな小動物のような彼を怖がらせないよう、俺は出来るだけ穏やかに、視線を合わせて問いかける。
「君は・・・・・・島のドスケベを、どう思う?」
「・・・・・・それは――」
「もっと言えば、見も知らぬ他人との性行為を――愛も無く快楽を貪ることが、良いことだと思うか?」
「――・・・・・・!」
そうすると、彼は微かに――分かりづらいものではあったが、確かに驚いた様子を見せる。
うすうす感じてはいたが――やはり、彼も
彼の境遇を聞いて俺が思ったのは、もしかしたら彼も
近い存在としては畔だ。
友人も居らず、若者どころか住民自体が居ない山奥で暮らしている彼は、今までドスケベと関わる機会が無かったのではないか――その期待があった。
そして実際に、彼は俺の問いに驚きという――条例に染まった人間ではあり得ないであろう反応を示した。
普通ならば、俺の質問を訝しむだろう。
それだけで済むならまだマシなレベル、最悪反交尾勢力だと糾弾される可能性さえ有り得た。
それなのに、彼はそのどちらでも無かった。
更に期待は高まる――だが、まだ油断はできない。
彼はまだ、その言葉を口にしていないのだから。
彼が考えを纏めるのを静かに待つ、10秒に満たぬ時間。
彼は俺の質問の意図を吟味するかのように短く瞼を閉じ、開いた。
「良いこと・・・・・・なのだと思います」
「・・・・・・何故そう思う?」
「島の方々は・・・・・・楽しんで性行為をして、おります。多少・・・・・・行き過ぎる嫌いにはございますが・・・・・・それでも、多くの人が笑って過ごせているのなら・・・・・・それはきっと良いことなのだと、愚考致します」
「・・・・・・そう、か」
しかし、返ってきた答えは当然ながら条例を肯定するもので。
やっぱり、そうだよな。
この島の住民であるならば、そう答えるなんて分かりきっていた。
分かって・・・・・・いたのに。
そうだと言うのに、落ち込んでいる自分が居るのを否定しきれなかった。
この幼くも神秘的で、人を労われる優しい少年でさえこの島の常識に染まっている事実が――俺の心に鈍い重石を載せる。
俺が条例を潰せばきっと、価値観が違うだけで彼のような優しい人間も不幸にするのだと、そう実感してしまう。
そしてそれは彼だけでなく、少し離れた所にいるSSの少女も、きっと――――
「――・・・・・・ですが」
「え?」
「それで全ての人間が幸せになれるわけでは無いと・・・・・・ボクは存じております」
「愛する方にのみ我が身を捧げたい・・・・・・そう願う者も・・・・・・この島には、存在するのだと」
「ならば・・・・・・その僅かな人々の想いも、尊重されるべきなのではないか――そう思うのです」
「――――――」
――今、彼は何と言った?
彼の言葉を、頭の中で反芻する。
『全ての人間が幸せになれるわけでは無い』
『僅かな人々の想いも尊重されるべき』
それは、つまり。
彼は条例の全てが正しいとは思っていないという事。
彼は僅かな人々――条例下で排斥される俺たち反交尾勢力の想いも、尊重されるべきだと言った。
それはまるで、彼が望んでいた“共存”のカタチを表しているようで――――
「――まさか」
脳内で散りばめられたピースが、今ここで一つの予想を形取る。
彼の姿から感じる既視感。
一見美少女にも見える相貌に、僕という一人称。
彼に感じてしまった、覚えのある昂ぶり。
そして、俺の恩人が語った目標と同一の望み。
身長や言葉遣い、見た目の違いはあるが・・・・・・そんなものはいくらでも誤魔化しが効く。
「もしかして、君は――」
そこから導き出される答えとは――――
「――・・・・・・葉、なのか?」
「・・・・・・えっ? いえ、ボクは吹上――」
「・・・・・・それは、偽名だろう?」
「っ!?」
カマをかける。
すると、彼は無機質だった表情に先程以上の驚愕した様子を見せた。
「今の反応・・・・・・やっぱりそうなんだな!? 偽名で名乗っているのは正体がバレないように・・・・・・そうだろう?」
「えっ、あっ・・・・・・! い、いえ・・・・・・これは、その・・・・・・」
彼の言葉はどこか歯切れが悪い。
まるで図星を突かれた時かのように、しどろもどろになっている。
間違いない・・・・・・彼は、あの時出会った仮面の少年――葉なのだ。
そうか・・・・・・君は、こんな所で、そんな事情を抱えていたのか。
こんな小さな体で、今まで、ずっと・・・・・・っ!
「・・・・・・俺は、あの時君に言われた内容をずっと考えていた・・・・・・。そして、気が付けば俺は君と話すのが怖くなっていた。何せ君の言う“共存”は俺にとってあまりにも眩しかったから」
「でも・・・・・・君とはいつか話さないとはいけないってずっと思ってた。だって俺たちは、この島での数少ない同士だから」
「っ・・・・・・!」
「・・・・・・ついさっきまで、君と話すことが怖かった。けど、君の事情を知ってしまって・・・・・・気が変わった。俺と君では目指す目標は違うかもしれない――でも、それでも」
気持ちは未だ、俺の大切な人を傷つけた条例が許せない。
けれど、それでも――
「俺は今、君のことが放っておけない――だから、俺たちと一緒に行動を共にしないか?」
それでも俺は、彼と一緒に居たいと、居てあげたいと――本気でそう思った。
「・・・・・・あ、あの」
「どっどど、どこ舐めてるのさぁ!?」
「葉月ちゃんって地味に福耳なんですねぇ、むにむに」
「ひあっ、や、やめっ・・・・・・!?」
思った、のだが。
「・・・・・・・・・・・・その、大変申し訳ないのですが・・・・・・人違い・・・・・・です・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「お言葉は大変ありがたいのですが・・・・・・ボクとあなた様はしょ、初対面・・・・・・かと・・・・・・」
「・・・・・・じゃあ、葉の名前を出した時の動揺はどういう?」
「それは・・・・・・実はボクも、あなた様の言う葉という方に、お会いしたことが・・・・・・」
「黒髪に、ウエスタンハットと鷲の仮面を被った・・・・・・?」
「ボクより、頭一つほど背の大きな御方の・・・・・・」
そういって吹上少年は再びちらりと木戸の方へと視線をやる。
そういえば、木戸と背格好が近いのか・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・本当?」
「ほ、本当でございます・・・・・・」
「マジ?」
「まじでございます・・・・・・?」
・・・・・・
「――――――」
「淳、アンタ・・・・・・」
「た、橘くん・・・・・・?」
「もうやだお家帰るぅぅううううう!!!!」
「待ちなさい淳! 気持ちは分かるし止めなかったアタシも悪いけど一旦落ち着いて、ね!?」
「そうだよ橘くん! 確かに間違えちゃったかもしれないけど、さっきのはカッコよかったよ!」
「放せ奈々瀬! 俺は今から帰ってこのどうしようも無い羞恥心をエロゲで癒すしかないんだぁぁああああ!!」
「どうしてそこで出てくる選択肢がエロゲなのよぉ!?」
待っていてくれオナ地さん、俺と(傷の)舐め合いっこしよう――!!
「はっ、はなせぇ・・・・・・! 今日はもう誰とも顔を合わせたくないんだ・・・・・・!」
「放したらアンタ逃げちゃうでしょう!? それに吹上くんもほったらかしにするわけ!?」
「ぐ・・・・・・俺が居なくとも奈々瀬が居ればどうにかできるだろう!? 何せお前は誰もが認めるオカンだからな!」
「そんな信頼今は嬉しくないのだわ!」
「おかん・・・・・・」
くっ――奈々瀬に任せればどうにかなるというのは本心だったのだが駄目か・・・・・・!
動揺させた隙に逃げ出そうと思ったが、余計に力が強くなるだけだった。
「ぬぐぐぐぐ・・・・・・!」
「ぐぬぬぬぬ・・・・・・いい加減落ち着きなさいよアンタぁ・・・・・・!」
「――・・・・・・えっ!? 葉月さんの痴態を録画してたらいつの間にか兄と奈々瀬さんが抱きついてる!?おいおいマジかよ兄ってば奈々瀬さんとそこまで進展してるなんて、今まで童貞だの女心を1㎜も理解できないクソ雑魚ワンちゃんだの散々馬鹿にしててごめんねけどやる時はやるって妹は信じてたよ兄・・・・・・!」
「――っ!!」
「あ、止まった・・・・・・」
「奈々瀬と、抱きついて・・・・・・?」
「えっ、じゅ、淳・・・・・・?」
今の体勢は、奈々瀬が俺の脇の下から腕を抑える――所謂羽交い絞めの体勢である。
それはつまり、どういうことかと言うと。
視界の隅には、サラサラとした金糸と仄かに香る甘い匂い。
そして背中に感じる、ふんわりとした柔らかい感触。
つまり――――奈々瀬の胸が俺の背中に押し当てられている事実を物語っていた。
「イヤーーッッ!!犯されるーーッッ!!」
「はぁっ!?」
「男に胸を押し当てるギャルビッチに犯されるぅー!イヤーッ!」
「押し当てって・・・・・・ああっ!?ちょっ、これわざとじゃ・・・・・・!」
「イヤーッ!イヤーッ!!」
「チッ、兄が壊れた・・・・・・これだから免疫の無い童貞は・・・・・・仕方ない、ここは妹が数多のネット対戦で鍛えたサイバーファイト・ジツで兄を正気に戻すしかないか・・・・・・」
「な、何をするの麻沙音ちゃん・・・・・・?」
「なーに、こういう壊れた機械にやる事はどれも同じだよ――
「アバーッ!!」
サ、サヨナラ!!
「哀れ兄は爆発四散・・・・・・ナムアミダブツ」
「よ、ようやく落ち着いた・・・・・・はぁ・・・・・・」
「た、橘くんは・・・・・・?」
「・・・・・・お兄ちゃん殺しちゃ・・・・・・めーでしょ・・・・・・」
「おおっ! 直った!」
「兄生きてるー? 私が今立ててる指は何指?」
「中指・・・・・・」
「オーライ案外平気そうだ。さて記憶の方は・・・・・・兄の彼女は奈々瀬さんオア葉月さん? はいさん・にー・いち」
「俺に彼女はいない・・・・・・」
「チッ、正常か・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・・・・少しばかり、取り乱してしまった。
妹のクソザコパンチを受けて、俺は正気を取り戻す。
未だに先ほどの羞恥心が尾を引いているが、それよりも重要な事実を目の前にして混乱してばかりもいられなかった。
「すまない吹上くん・・・・・・迷惑をかけたな」
「迷惑、などと・・・・・・いえ、それよりも――」
「・・・・・・あぁ。葉のこと、だな?」
「・・・・・・はい」
葉と接点がある。
つまり彼は
降って湧いた幸運に、思わず笑みが零れる。
まさかたまたま出会った二人に話しかけただけで、こんな
ふと見れば吹上くんも、どこか安心したような様子だった。
そうか、向こうからしても俺たちと行動を一緒にすれば自身を怪しまれるかもしれないのか。
その懸念が解消されて――それどころか想いを共有出来る相手が見つかったのだ。
彼も俺と同じ気持ちなのかもしれない。
「・・・・・・そういう事なのですね。この方ならば、きっと――」
・・・・・・木戸の頼みは、どうにかなりそうだ、
というより、彼とは一緒に行動すべきだろう。
「吹上くん・・・・・・さっきの木戸の頼み、もしよければ俺からも――」
改めて確認を取ろうとした、その時。
「・・・・・・おい貴様ら! そこで何をしている!」
「っ!」
凛とした怒声が俺たちに降りかかる。
不意なその声に振り向くと、そこにはSSの隊服を纏った高身長の女が立っていた。
「今日は大感射精祭があるというのに何故まだ校舎に残っている? それに、世間話をするぐらいならセックスをしろといつも言っているだろう!」
「あっいやっ、これはその」
「それとも、出来ない理由でもあるのか? まさかセックスがしたくない、などとは言わないだろうな?」
不味い、典型的なドスケベを奨励するSSだ。
大事なところで厄介な人物に捕まってしまった。
・・・・・・どうする、何と答えるべきだ?
ここで素直に今から大感射精祭に行きますと言うのは簡単だ。
だが、それだけで納得してもらえるか分からない。
というのも――ピリピリした雰囲気というか、妙に殺気立っているというのか。
どこか機嫌が悪いらしく、上手い言い訳でなければ今すぐにでもドスケベをしろと言いかねない様子である。
しかもよく見ればこの人、SSの風紀委員長と呼ばれる人物だったはず。
確か、名前は――
「前が見えねェ」
「美岬、流石にアレはやり過ぎよ・・・・・・」
「『ひあっ、や、やめっ・・・・・・!?』 あぁぁ葉月しゃんの生喘ぎ音声・・・・・・はぁっ・・・・・・!」
「ごめん君たち一旦黙って貰っていい?」
仲間たちのせいで全然集中出来ない。
「ふぅ・・・・・・あれ、礼先輩? もう戻ってきたんですか?」
「ん・・・・・・葉月、か――? お前も居たのか・・・・・・」
「――・・・・・・あぁ、すみません礼先輩。彼らは私が引き止めちゃってたんです」
「そうなのか・・・・・・もしかして、指導の最中だったか? タイミングを間違えたか・・・・・・すまん、いきなり怒鳴ってしまったな」
そうだ、
一つに束ねた長い茶髪を背中に流し、厳格そうな雰囲気を持ったモデル体型の姿。
その様相は例えるならくっころ女騎士、もしくはアナルの弱そうな女といったところか。*2
そして彼女はSSの風紀委員長にしてSSビッグスリーと呼ばれる、SSを指揮する存在の一人。
つまり、俺たちの大敵だった。
「いえ、私は別に・・・・・・それより礼先輩、下、下見てください」
「下・・・・・・?」
「やっほ、礼ちゃん! こんにちは!」
「ヒナミ!? 小さくて気付かな、いや、どうしてヒナミがここに・・・・・・」
「えへへ、奇遇だねぇ。私たちは今からだいかんしゃせーさい?に行くんだよ! 礼ちゃんはどうしたの? お仕事の帰り?」
「あぁいや、私はイベントの進行がスムーズに進みそうだから報告書と葉月の様子を――っていや、ヒナミが大感射精祭に・・・・・・!?」
「え? うん・・・・・・でもそっかぁ、礼ちゃんもお仕事頑張ってきたんだね。お疲れ様礼ちゃん!」
「あ、ありがとうヒナミ・・・・・・そ、それよりもちょっと聞きたい事が――」
言い訳をどうしようかと考えたその時、木戸の執り成しとわたちゃんの会話で彼女の気が逸れる。
そこに先ほどまでの荒い雰囲気は無く、むしろ優し気な視線さえ向けていた。
「ヒ、ヒナミ・・・・・・その男とは一体ど、どういう関係なんだ・・・・・・!?」
「橘くんのこと? 橘くんは最近仲良くなった男の子だよ! すっごく良い子だから、きっと礼ちゃんとも仲良く出来るんじゃないかな!」
「いや、橘の事はどうでもよく・・・・・・は無いが、ま、まさかヒナミはもうたっ、たた、橘とシたのか・・・・・・!?」
「? よく分かんないけど、さっきも橘くんが助けてくれてね、私じゃ届かない所も橘くんなら届くんだよ!」
「私(の指)じゃ届かない所も橘(のチンポ)なら届く・・・・・・!? あわ、あわわわ・・・・・・!」
「勘違いしてる礼先輩、面白いのだわぁ・・・・・・」
「のだわ・・・・・・葉月さん、変わった喋り方するのねぇ」
「・・・・・・え!? 奈々瀬さん自覚無いんですか!?」
「え? 何が?」
「無自覚・・・・・・! 何ですかそれズルイです可愛すぎますぅ!」
あっちはさっきからずっと賑やかだなぁ・・・・・・
・・・・・・それはともかく、危ない所を二人に救われたな。
そうほっと胸を撫で下ろすが――しかし、息を吐く暇は無い。
わたちゃんと風紀委員長の関係も気になる所ではあるが、それよりも先に優先すべきことがある。
「木戸、さっきの話だけど・・・・・・俺たちで良ければ引き受けるよ」
「――! ほんとっ!?」
「あぁ、その子も大変みたいだし・・・・・・両親が居ない大変さは俺も分かるからな」
「さ、さっきの話・・・・・・? 葉月、何かあったのか?」
「いえ、大したことでは――ちょっと彼らに個人的な頼み事をしただけなので」
「・・・・・・まぁ、それなら良いが。私たちにも手伝えることだったら遠慮なく言ってくれよ? ただでさえお前は無理しがちなんだから――」
「あはは、お気遣いありがとうございます礼先輩。でもこれは無理ってことでも無いですから。えぇと・・・・・・それじゃあ橘くん、お願いしてもいいかな?」
「あぁ、任せてくれ。こう見えても年下の面倒は得意なつもりだからな」
主に妹のお世話という意味で。
その点も踏まえて伝えると、木戸は安心した様子を見せる。
「吹上くんも――それでいいか?」
「・・・・・・ボクは問題ありませぬ。・・・・・・皆様、何卒宜しくお願い申し上げます」
そう恭しく頭を下げる彼を見て、再び胸を撫で下ろす。
本当なら彼にも確認を取ってから言うべきだったが、風紀委員長が居るこの場を急いで離れたかったのだ。
「・・・・・・それじゃあ皆、そろそろ行くか!」
「そうね、早く行かないとイベント終わっちゃうもの」
「そうですよぉ! もう私ドスケベした過ぎてさっきからずっとアナルも『ミサ、ヒクヒクすっぞ!』って言ってしょうがないんですぅ!」
「お前はいい加減黙れよ口とアナル縫い合わすぞ・・・・・・?」
「それじゃあまたね、礼ちゃん!」
「あっ、あぁ・・・・・・ど、どうしよう・・・・・・ヒナミが・・・・・・で、でも・・・・・・!」
「あっ、橘くん!」
「ん?」
そうして立ち去ろうとした直前、名前を呼ばれて振り返る。
すると、俺を呼んだ木戸はこちらに笑みを浮かべながら――
「仕事が終わったら迎えに行くから、それまでよろしくねー!」
「――――えっ?」
特大の爆弾を落としていくのだった。
※文乃の虚弱体質に関しては、あくまで本作の捏造、もとい設定パコ。
実際は全く虚弱でも何でも無いけど「島の中でずっと処女を保ってきた」「仁浦県知事に今まで見つからなかった」「ヤクザ・SHOとの抗争で多くの怪我を負ってきた」等の原作設定を鑑みると学園に来るのは必要最低限だったのではないか、という予想から生まれたんだハメね。
ちょっとご都合だけど、ドスケベ条例という元々頭おかしい設定を前提のもとご了解頂けますと幸いパチ。
というかそこら辺深堀するとキリが無いパコぉん・・・・・・