抜きゲーみたいな島に住んでるTS娘はどうすりゃいいですか? 作:パチドリくん
私の言葉で何故か硬直した淳之介を麻沙音ちゃんが引っ張っていく。
途中、麻沙音ちゃんが一瞬こちらを振り返ったのが見えたが――気付かぬ振りをしつつ未だに呆然とした様子の礼先輩へと声をかける。
「私は、ヒナミに人並みの恋をして欲しいと……でも、それはただのエゴで・・・・・・」
「・・・・・・礼先輩、大丈夫ですか?」
「へっ、あっあぁ!? な、何だ!?」
「いえ、さっきからずっと独り言が・・・・・・ヒナミがどうとか」
「あー・・・・・・あー・・・・・・。うん、大丈夫・・・・・・だ。気にしないでくれ」
・・・・・・。
何と言うか、嘘を吐くのが下手くそな先輩である。
例え原作知識がある私でなくとも分かるぐらい動揺している。
まぁそれも彼女の過去を知れば無理も無いのだが・・・・・・。
糺川 礼。
SSの風紀委員長にして、戦闘部隊大隊長をも務める彼女は事実上SSのNo.2として皆に尊敬されている。
しかし、その立場は彼女の暗澹とした過去の元に成り立っている。
彼女は元々本島の関東生まれであり、今から6年前、つまり島で言うC等部高学年の頃まではそちらの方で暮らしていた。
父と母、年の離れた妹と弟を持ちながら慎ましく生活していた彼らだが、その生活はお世辞にも良好と言えるものではなかった。
家を離れがちで、居たとしても寝るか暴れるかしない父親による家庭内暴力。
愚痴を言うばかりで、何もしてくれない母親。
幸か不幸か、早くに父が亡くなり暴力は無くなったが──代わりに残ったのは、父の借金による苦難の生活。
取り立ての恐怖に脅え、更には借金が原因で母さえも暴力を振るうようになり――段々思想が狂い始めた母は、当時未性人であった礼を青藍島へ売り飛ばした。
幼い妹と弟を守る為に、彼女は性的奉仕を強要され続けた。
そして未性人がお金を稼ぐには当然裏風俗しか手段が無く、そこで彼女は粗野な相手ばかりと交わらなければならなかった。
加えて本島での価値観、即ち性行為への忌避・嫌悪を持った彼女は島に馴染むことも出来ない。
『うっ・・・・・・あぁ・・・・・・うえええぇっ・・・・・・!』
本当は嫌なのに、しなければならない。
嫌だと言いたいのに、周りがそれを許さない。
己を殺し、性行為を強制される毎日。
彼女の精神は、崩壊の一歩手前であった。
そんな彼女を救ったのは、一人のロリだった。
『・・・・・・よしよし、礼ちゃんはえらいね』
学園で独りだった彼女に唯一手を伸ばしてくれた存在。
『礼ちゃんは頑張ってるから! 頑張ってる人のことは、ちゃんと褒めてあげなくちゃ!』
それが、ヒナミだった。
純粋で明るく、かなり天然で、けれど人の本当の気持ちを見抜く力を持った彼女の優しさは、度重なる性行為で傷付いた礼の心を優しく包み込んだ。
自分の気持ちに蓋をして、母から褒められることも無くただ弟妹の為だけに耐えていた彼女は、そこで初めて自らを見てくれる存在を見つけることが出来たのだ。
独りぼっちで誰にも頼れなかった糺川 礼は渡会 ヒナミに救われ――やがて二人は親友となる。
『私もこんな素敵な恋がしてみたいなぁ・・・・・・』
大好きだった少女漫画を貸した時、ヒナミがそう言っていた。
それを聞いた礼は、密かに決意する。
ヒナミにだけは“自分が手に入れることの出来なかった幸せ”を──かつて憧れた少女漫画のような素敵な恋をして、幸せになって欲しいと。
自分にはもう二度と出来ないことだから――と。
そうして彼女は、ヒナミを守るために奔走した。
B等部に上がって自ら入ることになったSSの立場を利用し、未性人に対してセックスを行おうとする者を厳しく取り締まり、C等部の年齢ながら飛び級でA等部に入学した生徒が居るという噂を流し、ヒナミにはそれとなく性から遠ざける――ただ、ヒナミの幸せだけを願って。
その行為はヒナミにとって条例違反の罪悪感や、自身の容姿を蔑んだりと、些か空回りした点もあったが──それでも、一人の少女の幸せを確かに守ってきたのだ。
「・・・・・・私がしてきたことは無意味だった、のかな」
小さく呟いたその言葉に、私は何と言えばいいのだろう。
本当のことを話す? それは出来ない。
その行動は自らを反交尾勢力だと宣伝するようなものだ。
では、礼先輩の行動は無駄ではなかったと励ます?
それも出来ない。
何故なら私たちはSSで、島の条例を守る存在なのだから。
SSの風紀委員長が条例違反スレスレの行動をしていたなどと、表立って言う訳にはいかない。
では、どうすればいいのか。
・・・・・・難しい事のように言ったが、実は簡単な方法が一つだけある。
それは――――
「礼先輩、大丈夫です」
「え?」
「橘くんの好みはビッチを装い周囲には優等生であるかのように見せてるけど実はそういった事には奥手で好きな人の事は全部許しちゃうダメ男製造機なのに好きだと言えない純情な乙女心を持った幼馴染系ヒロインですから」
「そ、そうか・・・・・・それ誰の事言ってるんだ・・・・・・?」
「あと橘くんは奈々瀬さんとの中出しバケツリレーで競い合う
「あの片桐と中出しバケツリレーで!? それは凄いな・・・・・・でも、それなら何故ヒナミが一緒に・・・・・・」
「わたちゃん先輩は応援係って言ってました。ほら、わたちゃん先輩に応援されるのっていいじゃないですか・・・・・・こう、癒されるというか、駄目になりそうな感じで・・・・・・」
「ヒナミの応援・・・・・・あぁ、あれはいいよなぁ・・・・・・!」
その言葉にうんうんと、先ほど落ち込んでいた時とは正反対の表情を浮かべながら頷く礼先輩。
よし、上手くいった。
やったことはただ単純な話題逸らし――だがしかし、礼先輩にはこれが非常に効果的なのである。
「ヒナミはなぁ、何をやっても褒めてくれるんだ・・・・・・私が疲れてたら優しく頭を撫でてくれるし、嫌な事があれば慰めてくれるんだよ・・・・・・」
「ですねぇ、わたちゃん先輩ほどの母性を持った人は私も知らないです」
「この前も訓練を厳しくしすぎたせいで部下を泣かせてしまったオナニーした後のゴミ箱に捨てられるクズ精子のような私を『礼ちゃんはその子の事が本当に大事なんだね。大事に思って無ければそこまで厳しくも、落ち込んだりも出来ないもん』ってヒナミが慰めてくれて・・・・・・あぁ、勿論その後改めて謝罪はしたぞ? でもヒナミが居なければ私はきっと立ち直れなかったかもしれなくて――」
「ははは」
「あぁぁヒナミが、ヒナミウムが足りない・・・・・・ヒナミぃ・・・・・・どこぉ・・・・・・ここ?」
「そうなんだ!」
「やっぱりヒナミだ、ヒナミしか勝たん・・・・・・ヒナミヒナミヒナミぃ!うぉおおおヒナミぃぃいいい!」
「あーそれめっちゃわーかーるー」
・・・・・・まぁ、このように。
この人は根っこが渡会ヒナミ限界オタクなのだ。
なのでわたちゃん先輩ageをすればすかさず乗ってくる。
例え雑な入りでも今の様に勝手に盛り上がってくれる。
あとついでに言えば特撮オタクでもある。
「あぁでもやっぱり心配だ・・・・・・ヒナミは純粋だから、お菓子で悪い大人に釣られたりしてないだろうか・・・・・・やはり、私が確認に──!」
「それもいいですけど報告書を先に作りましょうね礼先輩」
「う・・・・・・そ、そうだった・・・・・・」
私のせいで躁鬱の激しくなった礼先輩を引き止め学園へと戻る。
本当なら礼先輩の気が済むまで付き合ってあげたいところではあるが(見てて面白いし)、そうはマンコが締まらない。
間違えた問屋が卸さない。
「さて・・・・・・」
ひとまずは、文乃をNLNSに合流させることが出来た。
これで皆と仲良くなってくれるといいのだけれど・・・・・・まぁ、心配する必要はないか。
取り合えず結果は夕方、文乃を回収してから聞くとして――私も、やれる事をやろう。
「防人老人に、会いに行かないとな」
全ては、ハッピーエンドの為に。
・・・・・・それにしても、結局中出しバケツリレーって何なんだろう。
薄暗い部屋の中で、一人の少年が佇んでいる。
いや、正確には少年ではない。
男物のスーツを身に纏い、帽子の中に髪を仕舞い、仮面で顔の半分を覆っているその姿は一見男にしか見えないが――見る者が見れば、その少年が
そんな姿をしたまるで耳が弱そうな男装少女は部屋に備え付けられている鏡の前で身だしなみをチェックしているのか、ピシピシと指を鏡にさしている。
「服装よし、髪の毛よし、装備よーし」
よし、という言葉にどことなく語気を強める少女、というか葉月。
暫くそうしていた彼女は服装に納得したのか、そのまま部屋を後にする。
しかし彼女は扉の前で一度立ち止まると、何を思ったのか懐からハンドガンを取り出し、扉を慎重に開け――――
「――クリア」
銃を構えて左右の廊下を振り返りながら部屋から飛び出す。
まるで部屋の外に敵が居るかのような反応であるが、一体彼女は何をしているのか。
「ふっ、ハードボイルド・・・・・・!」
ただ遊んでいるだけですね。
何を考えているんでしょうかこの子は。
「うーん、せっかくなら原作に合わせて銃もリボルバーにしたかったよなぁ。でもそんなのSHOが支給する訳ないしなぁ」
どうやら服装の元ネタとなった次元何某氏を参考に、行動もそれっぽくしたいらしい。
この姿でいる彼女はSSの時とは違い、反交尾勢力として行動している。
つまり反交尾勢力にとって敵であるSSが巡回しているこの水乃月学園では生徒に見つかるわけにはいかない――その意識の表れが、先ほどの行動の結果のようだった。
ついでに言うと、部屋を出る前に淫スタの位置情報を取得出来るタブレットで周囲に人が居ない事も確認済みであった。
なのでやはり先ほどの行為には何の意味も無い。
「やっぱりこの姿の時の一人称俺の方が良かったか・・・・・・? いやでも僕っ娘も捨てがたい・・・・・・っと、こんな事してる場合じゃない」
そんな男装姿初登場時の作者の葛藤のような事を呟くと、葉月はふざけた態度を改め歩き出す。
向かう先はエレベーターのある方向。
普段であれば性産的行為中の生徒たちを避けて通らねばならない道も、イベントがある今日は人も殆ど残っておらず、更にはSSで一連の仕事を終え時間も遅くなっていた校舎に人の姿は無かった。
「上上下下左右左右BA・・・・・・じゃない、上上下下・上下同時押し3回っと」
何でこんな隠しコマンドみたいなんだろう、そう思いながら彼女はエレベーターへと入って行く。
プログラムを作成した人の遊び心だろうなぁと適当に当たりを付けていると、エレベーターは階数を選択していないにも関わらず下へと降りて行く。
通常であれば昇降ボタンを押してから階数を選択するのがエレベーターであるが、このエレベーターには一つだけ特殊な方法でしか行けない階層があった。
その方法こそが先ほどの昇降ボタンの押順であり、そしてその行先こそが――――
「――NLNSの、秘密基地・・・・・・来るのはこれで二回目か」
ドスケベ条例崩壊への橋頭保、SHOへ反旗を翻す為の作戦基地。
即ち、反交尾勢力NLNSの秘密基地であった。
「さて、と・・・・・・」
部屋の中は言うなればハイテク機械の塊。
部屋の中央にはZ軸を採用した巨大なタッチパネル台が鎮座しており、その周辺にはやたら存在感を象徴するPCや新型の3Dプリンターまでもが設置されている。
しかし葉月はそれらには目もくれず・・・・・・いや、少しPCに目を引かれている。
(うわぁ七色に光ってる・・・・・・)
僅かに目をキラキラさせながら約1680万色*1に光るPCを見つめる葉月。
どうやら欲しいらしい。
SSの通信部隊で様々な電子機器に触れた影響もあるだろうが、彼女自身元々こういうのが好きなようだ。
前世では買いもしないパーツを見る為にPCショップを訪れ、上を見ればキリのない性能と値段にドン引きしつつもフンフンと自作PCを想像し、そして何も買わずに外に出るという迷惑行為を何度かやっていたのが彼女であった。
今世ではお金も時間も無いのでやる事は無いが。
そんなどうでもいい過去を思い出した彼女であったが、ハッと仮面の下に隠した表情を改めると周囲を見渡し、目の前にある特大サイズのモニターを一瞥してから部屋の天井の一角をじっと見つめる。
「見ているんでしょう、防人のご老公。暢気に眺めてなどいないで、出てきたらどうです?」
確信しているかのような口調で語る葉月。
堂々とした様相ではあるが、実は内心不安と緊張で心臓が煩いくらいに鳴っている。
緊張した表情は仮面のおかげもあって、表には現れないのがせめてもの救いだろうか。
何せ呼び出した相手が相手である。
――防人のご老公。
原作では防人老人としか呼ばれない初老の男性であり、反交尾勢力の基地となるこの場所を秘密裏に作り上げ、NLNSのパトロンとして登場する。
しかしてその正体は、本土で居を構える大物政治家であり、九州で名の知れた名家である防人家の重鎮、フィクサーとも呼ばれる存在であり――そして、全ての元凶。
そんな人物と一対一で話し合う――それだけで葉月のしょぼい心臓は限界だった。
そんな防人老人の目的は淳之介たちと同じくドスケベ条例の崩壊。
そして彼は、ある日ドスケベから逃げてきた淳之介と奈々瀬にこう告げる。
『琴寄文乃――そう呼ばれる少女を、どの組織よりも早く見つけ出し、保護することだ』
『この娘は――この島のドスケベ条例を、根本から覆す可能性を持つ存在だ』
それを淳之介は受け入れ、物語の序章は終わりを告げる。
こうして彼らのドスケベ条例崩壊の道は開かれたという訳だ。
しかし、ここで重要なのはあくまで条例崩壊は目的の一つでしかないということ。
防人老人は何故ドスケベ条例を崩壊させたいのか。
何故SHOを打倒したいと思っているのか。
条例崩壊の果てに、防人老人が望む事。
それは――――
「――・・・・・・小僧、一体何をしに現れた」
部屋のモニターが数秒の砂嵐の後にゆっくりと映像を映し出すと、そこには一人の老人が映っていた。
老化による白髪と白髭を蓄え、甚平を纏い、そして相手を見定めるように鋭い表情をした老人がモニター越しに葉月を見つめている。
「お久しぶりですね、防人氏。約一年振り、と言ったところでしょうか」
「世間話をしたいのなら他を当たれ。ワシは貴様なんぞの相手をしてやれるほど暇ではない」
「そう性急にならないで頂きたい。私は貴方の今後に関わる重要な話をしに来たのですから」
「ほう、重要な話だと? おぬしのような小童が何を言うかと思えば・・・・・・大言壮語も程々にするのだな」
「誰にも教えていなかった秘密基地に一人でやって来たのは誰でしたかな、ご老公?」
丁寧な言葉とは裏腹に、カラカラとおどけるように振舞う葉月。
その姿に苛立ちを浮かべる防人だが、無視する訳にもいかないと理解しているのだろう。
あくまで表情は平静を保ちつつも無意識に拳に力を入れ、精神を落ち着かせている。
(うわぁ防人老人メッチャ怒ってるじゃん・・・・・・このおじいちゃん普通に怖いから苦手なんだけど!)
一方、あまりの緊張でおどけてないとまともに話せないアホの子はそれを察して慌てていた。
マヌケめ。
「・・・・・・良いだろう、話だけは聞いてやる」
「ありがとうございます。防人氏に頂いた大切な時間です、決して無駄になど致しませんよ」
「だが、その取って付けたようなふざけた言葉遣いは今すぐやめろ・・・・・・不快で敵わん」
「・・・・・・分かりました、ではそのように」
挙句の果てにおどけた口調すらも封印された。
葉月はもういっぱいいっぱいで涙目だった。
「それで、一体何を話すというのだ。貴様のような胡散臭い小僧が、ワシの今後に関わる重要な話を持ってくるなど――到底信用出来るものではない」
「信用する、信用しないはどちらでも構いませんよ。ただ、私は貴方に提案しに来ただけですからね」
胡散臭いという評価に内心傷つく葉月だが、相手の雰囲気に飲まれてはならぬと気を引き締め直し、言葉を放つ。
「琴寄 文乃をこちらで保護した」
「――・・・・・・なに?」
「そして彼女は今、あなたが出資している反交尾勢力の元に居ます」
吃驚を浮かべる防人だったが、続けて出た葉月の言葉に困惑する。
「何故、それをワシに伝える。ワシが彼奴等に文乃を捜索するように依頼しているのは貴様も知っているはず。そして何より、貴様の目的は――」
「えぇ、ドスケベ者と非ドスケベ者が共存出来る社会を、私は目的としている」
今から約一年前――水乃月学園バリアフリー化工事の際に、彼らは一度邂逅している。
当時の葉月は本当にNLNSの秘密基地が出来ているのかを確認する為に今の姿で基地を訪れ――そこで基地の仕上がりを確認していた防人に出会ったのだ。
防人は警戒しながら、葉月は何故彼がここに居るのかと驚きながらも事情を話し、お互いが条例に仇なす存在だという共通認識を得た。
そして同時に、お互いの主張が相容れないという事も。
「だから私たちは今まで不干渉を貫いてきた。復讐が目的の貴方とでは協力出来ませんから」
「それも当然であろう・・・・・・共存など許すものか。そんなものは実現せぬし、条例はワシが必ず潰す。その為だけに生きてきたのだからな!」
そう、防人老人の最大の目的は――島に対する復讐である。
「まさか貴様、あの小僧を寝返らせようと言うのか。元は貴様の差し金――信用はしていなかったが・・・・・・やはり貴様の傀儡であったか!」
「お、落ち着いてください、そんなつもりはありませんよ。私は彼の意見を尊重していますし――貴方も彼の怒りを見たでしょう? それが偽物だと、貴方は本当に思いましたか?」
「戯言を・・・・・・例えあの小僧の憎悪が本物だったとて、貴様がそれさえ見越して動いているという可能性は拭いきれんではないか!」
防人老人――彼は、愛する娘を青藍島に殺された哀れな復讐鬼である。
迫害によって娘を死に至るまで追いやった島の住民全てを恨んでおり、娘を攫った仁浦県知事を憎悪している。
娘を失ったその時から、彼は青藍島を崩壊させる為だけに生きてきたのだ。
「そうですね、でははっきり言いましょう。私はあなたの復讐を一部否定する」
「貴様・・・・・・わざわざやって来たと思えば、どうやらワシを怒らせたいらしい・・・・・・!」
とうとう怒りが抑えきれなくなったのか、こめかみに青筋を浮かべる防人。
しかし、その怒りを受け流すかのように態度を変えない葉月の姿に、防人の冷静な部分が怒りを落ち着かせる。
元々、防人という老人は合理的で理性的な人間だ。
宗家防人の長男として、かつて全てを数字で管理していたような人物であった彼は感情の制御という物に長けている。
例え内心で怒り狂っていようと行動に支障をきたさない程度には、彼は理性を保っていた。
「だが、一部と言ったな・・・・・・それについてはどういう意味だ」
「私は復讐は何も生まないだとか、あの人はそんな事を望んでいないだとか――そんな綺麗事を言うつもりは甚だ無い。復讐という物は故人の為でもなく、誰かの為でもなく、自身の納得の為の行為だからだ」
「・・・・・・」
「納得の行為に善悪は関係ない――だけど、それでも貴方に一つ言いたいことがある」
空気が張り詰める。
今から葉月が言おうとしている言葉は、防人老人を間違いなく激怒させるだろうと葉月自身が理解していた。
無意識に流れ出た冷や汗は、彼女の精神状態を示している。
しかし、それ言う為に葉月はやってきたのだ。
緊張で乾いた唇を引き締め、彼女は口を開く。
「貴方の復讐を島の住民に向ける権利は、本当にあるのか?」
「・・・・・・は?」
その言葉に、防人老人は呆けた言葉しか出せなかった。
しかし、徐々に言葉の内容が飲み込めたのか、その顔は険しくなっていく。
こ奴は、何を言っている?
復讐の権利、だと?
そんなもの、そんなものは――――
「――――あるに決まっているだろう!!!!」
瞬間、彼は叫んでいた。
「ワシの娘を死に追いやったのは、この島の連中だ!! そいつらに復讐する事こそがワシの長年の悲願だ!!」
「それを、ワシに復讐する権利があるのかだと? ふざけるのも大概にしろ!! 娘を殺された者には、正当な復讐の権利がある!!」
それは、今までで一番の怒号であった。
その声は部屋中に響き渡り、音の振動で僅かに埃さえ舞っている。
怒り心頭、怒髪天を衝く、激おこぷんぷん丸。
そんな姿の防人老人に相対する葉月は、その剣幕を正面から受け止め――そして、憐れみを覚えていた。
「・・・・・・では貴方は、島の住民だけの責任だと考えているのですか?」
「それだけではない! 我が娘を誘拐し、ふざけた条例を生み出したあの男こそが一番の原因! あ奴をこの手で地獄の底へ叩き落さねば、娘は報われぬ!!」
「・・・・・・そうですか、貴方は本当に――そう思っているんですね」
まるで何かに気付いていない子供を憐れむかのようなその言葉は、より一層防人の神経を逆撫でする。
だが、葉月の言葉は終わらない。
「確かに貴方の怒りは正当なものだ。娘を不本意に奪われ、挙句には死に追いやった人々に復讐しようというのは正しいだろう」
「しかし、貴方はある事実から目を逸らしている。それが自分の罪である事を知っているから気付いていない振りをしているが、そんなことはあり得ない。何故なら貴方は聡明で、冷静な判断も出来る人だからだ」
「・・・・・・何が言いたい」
「貴方は知っていたはずだ。防人家という“主に仕える事を誉れとする”一族の娘が、認めた人間以外に仕えることなどあり得ないという事を」
「・・・・・・!」
防人家。
それは、使用人を育てることに長けた九州の名門一族だと言われている。
財界や政界、大地主などのやんごとなき身分の者に多く知られ“犬馬の防人”として名を馳せているそれは、当主である防人老人の娘にも当てはまる。
主の望むことならば、例えどんなことがあっても叶える鉄の心――そう謳われて来た一族が、防人なのだ。
「貴方は娘を仁浦県知事に奪われたという目の前の事実にのみ拘泥し、知事に復讐する為にヤクザ達を利用した。それは娘を取り戻すという目的もあったのでしょうが、怒りで我を忘れた貴方は知事を陥れる事だけに集中してしまった」
「結局、貴方は娘を取り戻す事は叶わず、仁浦氏もヤクザの対応に追われ、自ら身を隠した妻の足取りを見失い――最後は、裏風俗に身を費やし亡くなった」
「それから貴方は復讐に憑りつかれた。貴方は自らが出資したヤクザ達の手によって島の治安を悪化させ、それを自ら明るみに出す事で条例を批判する流れを生み出そうとした」
「貴様、一体どこでそれを・・・・・・!」
「さて、文乃から聞いたのかもしれませんし、私が少々特殊なコネを持っているからかもしれません。或いは、神の視点から全てを見ていたという事もあり得るかもしれませんね」
要領を得ないその発言は、本当の事を語るつもりはないのだと言っているかのようであった。
なお、実際には全てが当てはまるというかなり意地悪な返答である事は葉月にしか分からない。
「まぁ、そんな事は今はどうでもいいでしょう。ここで言いたいのは、貴方自身が娘を死に追いやった原因の一つという事だけだ」
「・・・・・・!? 何を、馬鹿な事を・・・・・・!! ワシが娘を死に追いやっただと!? どこまで人を虚仮にすれば気が済むのだ貴様は!!」
「ですが貴方が仁浦氏の復讐の為にヤクザ達を放ったのは事実であり、それが無ければ裏風俗は無かったかもしれない。そして仁浦氏から身を隠した文歌さんがお金を稼ぐ方法は、裏風俗しか無かった」
「そっ、れは・・・・・・あ奴がそもそも文歌を攫ったのが原因だ!! 儂は仁浦の小僧を認めてなどいなかった。それを、奴が――!」
「では何故娘の事を信じてあげなかった。復讐の為にここまでした貴方が娘を溺愛していたのはよく分かる。それなのになぜ娘が愛した人間を認めてやれなかった」
「~~~・・・ッ・・・・・・!!!」
言葉にならない声を上げる防人。
そこにはもう冷静さの欠片も無く、ただ怒りに震える悪鬼だけが存在していた。
だが、正論という名の刃は容赦なく彼の精神を切り刻む。
「そんな自分勝手な思想で、娘の為に? いいや違う、貴方は自分の罪を認めたくなかっただけだ。あなたの復讐はそもそも論理が破綻している。亡くなった娘の為だと言いながら、娘の気持ちを考えていない」
「ふ、ざ・・・・・・っ! ふざけるなよ小僧ッ!! 文歌の気持ちだと!? 事情を知っただけの、家族でも何でも無い赤の他人が文歌の気持ちを語るなぁっ!!」
「――それも尤もな話だ」
「・・・・・・は?」
しかし、ここで会話の流れは風向きを変える。
先ほどまでの防人老人を批判していた雰囲気を一変させると、葉月は徐に口を開く。
「私はここまであなた方の事情をただ第三者として語って、それを批評したに過ぎない。類推も多く含まれている。そんな人物の言葉で貴方が意思を曲げる可能性は低いでしょう」
「ここまで散々ワシを不快にさせるような口を叩いておいて、何を今更・・・・・・!!」
「ですから、私は貴方の娘への想いと、一抹の良心に賭けてもう一度聞きたい」
葉月は賞金獲得を賭けたクイズ番組のように、重い口調で間を取り――――
「娘を信じ切れなかった貴方が、文歌さんの愛した青藍島に復讐する権利は本当にあるのか?」
そう、問いかけるのであった。
椅子に座り、机上に置かれたモニターを睨み付ける一人の老人。
老人の表情には怒りと苦悶が入り混じっており、周囲には近寄りがたい空気が漂っている。
「ふざけるな・・・・・・!」
基地から出て行った少年の言葉を思い出し、身を震わせる老人。
『貴方の怒りを否定はしない――けれど、その怒りをぶつけていい相手は見つめ直すべきだと思いますがね』
「そんな筈はない・・・・・・! ここまで来て、認めてなるものか・・・・・・・っ!」
死んでしまった娘の為に――そう呟くが、言葉とは裏腹に老人は少年の言葉に納得してしまってもいた。
仁浦が娘を攫ったことも、自身がヤクザに出資したことも――そして、娘のことまでも。
彼が冗談混じりに言った“神の視点”というのも一瞬信じてしまいそうになるほどの正確さ。
それらの事実が、彼の語ったことが真実なのだと心の奥底で認めてしまっている。
否定するには、それはあまりにも真に迫り過ぎていたのだ。
そして、彼が去り際に残していった言葉。
『・・・・・・仁浦県知事は、野望を叶える為にドスケベ法を制定しようとしている。この青藍島だけでなく、日本全土でドスケベを可能にする法律・・・・・・それが可決すれば、貴方の復讐も最早叶わなくなるだろう』
『私はそれを認める訳にはいかない。だが、条例を無くせばこの島は大量の失業者を生み出し、不幸な人間を多く生む・・・・・・故に、共存。そしてそれは文歌さんの娘の、文乃の望みでもある』
『あなたはどうしますか――――防人さん』
その言葉が、防人の心を揺れ動かしていた。
「ワシは・・・・・・」
彼は机の上に伏せて置かれていた写真立てを持ち上げると、それを目の前へと運ぶ。
映っているのは、若かりし頃の防人老人と、その隣に控えるようにして立つ白髪と紅い瞳をした女性。
その女性の腕には、一人の赤子が抱かれていた。
「ワシは認めん・・・・・・娘を奪ったこの島の連中を、絶対に許すわけにはいかんのだ・・・・・・!!」
僅かに身を震わせながら、気付かぬうちに手へ力が入る防人老人。
「まだ島には任侠共がいる、場所さえ分かれば文乃を捕らえる方法などいくらでもあるのだからな・・・・・・!」
すると、力を籠め過ぎたのか写真立てのガラスに罅が入る。
その罅は、防人と女性の間を走り――罅が入った音で自身が力を籠めていた事に気付いたのか、慌てて彼は写真立てを置こうとする。
だが――――
「――っ、しまっ」
慌てていたせいで指を滑らせたのか、写真立てを落としてしまう。
小さな音を立てて転がる写真立てに顔を真っ青にして駆け寄る防人老人。
転げ落ちた写真立てはガラスが割れてしまっており、周囲に破片が散らばっている。
しかし防人老人はそれを気にも留めず、すぐさま写真立てを拾い上げる。
だが、そこには写真は無く――周囲を見渡すと、衝撃で滑り出たのだろう。
中の写真がそのままの状態で床に落ちていた。
そして、そこに如何なる幸運が働いたのか――ガラスの雨を浴びたにも関わらず、無傷の状態の写真がそこにはあった。
「・・・・・・・・・・・・」
それを彼は、ガラスで傷ついた手の平の血を決して写真に付かぬように慎重に拾い上げる。
そして傷や汚れが付かない位置に写真を置くと、彼はガラスを片付ける為に使用人を呼ぶ。
使用人が来るのを待つ間、彼はもう一度写真の傍に近づき――若かりし防人の傍に立つ、文乃によく似た女性を見つめながら呟く。
「ワシは、どうしたら良い・・・・・・教えてくれ・・・・・・葉琴・・・・・・」
暫くそうしていた防人老人は、椅子に体重を預けきるように座り込む。
そこに先ほどまでの張り詰めた空気は無く――ただの疲れ切った表情をした、ひとりぼっちの老人が居るのみであった。
「やばい、遅くなっちゃった・・・・・・早く文乃のとこまで迎えに行かないと」
すっかり日が落ちた街の中を、一人の少女が駆け足気味に歩いている。
こんな時間に一人で少女が出歩くなど――本土であればそう言われるであろう状況だが、この島ではそれが大きく非難されることはない。
何せ島の治安はすこぶる良く、犯罪率もほぼ0%と言われているのだ。
そんな場所である為、少女が夜遅く出かけると言っても心配されることもあまり無かった。
・・・・・・無論、一番の
「こっちの方が、近道なんだよね・・・・・・って、うわ」
「コルク抜きみたいに、あなたのチンポも抜いてあげる・・・・・・♡」
「えっ、そこは尿ど――お゛っ♡ 何だごれっ、こんなの知らな――お゛ぉん♡゛」
少女が通ったのは、所謂大人のお店の裏側。
そこではキラキラとした恰好をした女性と、客であろう若い男性が野太い嬌声を上げていた。
ドスケベ条例があるのに大人のお店とは?
そう考える人も居るかもしれないが、これは
「う、迂回しないと・・・・・・」
うひゃー、と小さく声を上げて少女は更に大通りから離れた道へと足を向ける。
背後からは孕めオラァ!!という声がしながらも、彼女は努めて無視しながら進んでいく。
そうして彼女はより人目に付かない道を進む。
「文乃は淳之介たちと仲良くなれたかな? ・・・・・・ふふっ、きっとまた馬鹿みたいなことになってるんだろうけど」
・・・・・・それが、悪手だと気づかずに。
「おおっと、ここから先は通行止めだぜ? お嬢ちゃん」
「――っ!?」
「駄目じゃないのぉ、女の子が一人でこんな夜道を歩くなんて」
「しかもわざわざ自分から人目の無いとこに行くなんて、悪い大人に連れ去れちゃっても知らないよぉ?」
「そうそう、俺たちみたいなわるーい大人に・・・・・・なぁ!」
少女の行く手を阻むように現れたのは、ガラの悪い男たち。
口々に少女を心配するような言葉をかける男たちだが、その表情には嗜虐の笑みしか浮かんでいない。
その中には一人だけ怒りを滲ませた男も混じっており――その男が、昨晩少女と戦闘をした人物であることに彼女は気付く。
「若頭代行、間違いありません! この女です!」
「あぁ、見りゃ分かるっつーの」
彼らの姿は如何にもチンピラといった様相だったが、彼らが口に出した“若頭代行”という言葉に一人、風格の違う男が少女の背後から現れる。
少女はその言葉から現れた人物の正体に気付き――――激しく動揺していた。
「お前、は・・・・・・!」
「初めましてだなぁ、木戸 葉月? ・・・・・・いや、それともこう言った方が良いか?」
若頭代行と呼ばれた男が少女の名前を呼ぶ。
少女はその言葉にビクリと反応すると、苦い表情で彼を見つめる。
藍色をした髪に、鍛え抜かれた体とそれに見合う高身長。
眼鏡をかけ、一見おどおどしているようにも見える顔つきをしているが――それが擬態であることを少女は知っていた。
そして、彼の身に宿るその力と、能力も。
「久しぶりだな――――
「
青藍島の裏風俗を仕切り、島に蔓延るヤクザたちのトップとして君臨する存在。
その男が、彼女の旧い名前を呼ぶのであった。
怒らせることでキャラと頭部が輝くおじいちゃま。
この辺から設定の
実際のところ、じっちゃんが文乃ママ存命の時に裏風俗を射精したかどうかは分かんないパコ。
はぁん♡明しているのは、防人老人がマップチンポの為に裏風俗を流した事実だけで、元からヤクザは青藍島に居たかもしれないし、駆け落ちまでは許してたけど亡くなった事までは許せなかったというパコもあるかもしれない。
ともかく、いつ頃からヤクザに射精したのかは分かんないんだパチね。
【祝おマンガ化!】まん○王国様にてぬきたしシコミカライズ版が第2話まで連載中!
ぬきたし-抜きゲーみたいな島に住んでるわたしはどうすりゃいいですか?- 漫画:まめおじたん
今ならパコミカライズ第1話がフルボイスにて絶賛配信オナニー中パコ!
配信から3週間で300マン再生されてるなんて、とっても凄いんだハメ!
【漫画】ドスケベ条例で困ることあるある【マンガ動画】
※追記:この動画は消されちゃったパチ。悲しいけどこれ、エロゲーなのよね。
美岬視点という新たな切り口に咥え、まめおじたん先生という高画力を膣に入れたキャラ一人一人が魅力的なんだパチ。
勿論パチも二話まで視姦済みだパコ。
やっぱりおマン○とセックスは生に限るパコねぇ。
ネタバレ防止と自語りオナニーなので私で隠さねばハメ。ちょっとした裏スジというか、あぁん♡黙の了解として今までずっと年齢をA等部○年といった形でボカしてたけど、パコミカライズ2話でヒナミが「高校3年生」って言っててぶっタマげたのはパチだけ?
あと美岬の「デブだ・・・夢じゃない」ってお腹つまむとこが一番お気に入りパチ。
追記:いつのまにかA等部3年に修正されてる!!やっぱ不味かったのね!!