抜きゲーみたいな島に住んでるTS娘はどうすりゃいいですか? 作:パチドリくん
「マイクテス、ワン・ツー・ゼロ・ゼロ♡ こちらは没シナリオです! 尺とかいろんな問題でカットされたシーンとなっておます!」
「本編には収録されませんので、あらかじめご了承ください。それでは!」
「孕めオラァ!!」
「この声を聴くと青藍島って感じがする」
それにしても、随分久しぶりに聞いたな。
まるで一年近く聞いていなかった気がする。
実際にはそんなに経っていないのだけれども。
「左様でございますね……」
「おぉ文乃……こんな所で奇遇だな。買い物の途中か?」
「はい。今朝、朝食を作る際に醤油を切らしてしまいまして。折角ですので、他にも少なくなった調味料を補充しようかと」
何だか文乃に会うのも一年ぶりぐらいな気がする。
朝ごはんの時にも会ったはずなのだが……まぁいいか。
「そっかそっか、いつもありがとな。文乃はいつも家事をやってくれるし、料理も上手いし、本当にいい子だなぁ」
「いえ、そんな……淳之介さんのお役に立つことが、文乃の誉れでございますから」
「……全く、文乃は可愛いなぁ!」
「ぬっへっへ」
褒めるのと照れ隠しも兼ねて文乃の頭を撫でる。
まったくもう……まったくもう!
文乃ってばマジ天使!!
「ごろごろ……」
文乃が橘家の末っ子になってからというもの、こうして文乃を撫でることが多くなった。
俺としては嫁入り前の女子の頭を気安く撫でるなど言語道断だったのだが、前にそう言って撫でるのを止めたら酷く落ち込んでしまい、ボーっとする時間が増えたり気が付けば毛糸をひたすらガシガシしていたのを見て流石に考えを改めた。
これは文乃のため……文乃は橘家の末っ子……そう自分に言い聞かせたのはもう随分前の話。
今ではもうすっかり慣れてしまい、家族の一員として馴染んでくれるようになった。
「せっかくだし俺も付き合うよ、荷物持ちぐらいにはなるし」
「ごろご……はっ。い、いえ、わたしにはお構いなく。淳之介さんもご用事があったのでは……」
「俺の方は大した用じゃないから後でもいいよ。それに文乃にあんまり重い荷物は持たせられないしな」
「そう、なのですか……? で、では……」
文乃と二人、並んでメインストリートを歩き回る。
途中に寄った性交マートで文乃の用事を済ませると、丁度お昼時を迎えたため文乃と一緒に昼食を採ることにした。
何気に外食は初めてだという文乃に、せっかくなのでジャンクフードの味を体験させようとマクトディルドに連れて行ったのだが……基本和食で、たまに奈々瀬の家庭料理を食べる程度のどこかお嬢様味ある文乃の反応がちょっとだけ気になったというのもある。
が、そんな俺の期待に反して目をキラキラさせてむさぼりつくといった事は無く、至って冷静に「これがじゃんくふぅど……むべむべ」とちょっと興味深そうにしていただけだった。
しかしそれはそれとしてケチャップで口元を汚すという文乃の珍しい姿が見れたので、総合的にはプラスの結果だった俺としては大満足であった。
「あじゃ射精したー!」
「あの店員パイズリヤにも居なかったか……?」
「……?」
「あぁいやこっちの話」
店を出る時に聞こえた、妙に聞き覚えのある少女の掛け声に首を傾げる。
以前見かけた時はパイズリヤで――ミルクセーキへの風評被害が酷かった記憶しか殆ど残っていない――注文を受けた気がするが……バイトの掛け持ちをしてるんだろうか。
妙なテンションの高さとは裏腹に、結構苦労しているのかな――とそう考えた所で、そういえばそれはB世界での出来事だったと思い出したので、こっちではマクトで働いてるだけなのかもしれない。
「じゃあ、帰ろうか」
「はい……淳之介さん、本日はありがとうございました。お買い物の荷物から、じゃんくふぅどを頂く際の作法まで……」
「そんなに畏まらなくてもいいさ。大した手間じゃないし、今日みたいに文乃が知らないことはこれからも沢山経験して学んでいけばいいんだからな」
空いた手で文乃の頭を撫でると、いつもの変な笑い声を上げる文乃。
それに俺も釣られるように笑い声を上げると、俺たちは一途帰路へと向かう。
夏の日差しは容赦なく俺たちの体温を上昇させる。
この島に着たばかりの頃は到底慣れるようなものでは無かったが、それも今では当たり前のものとなっている。
本当に、この島に着てから色んな変化が――島のことも、俺自身のことも含め――起こった。
こうして平和な日々を過ごしていると忘れてしまいそうになるが――しかし、これは俺が仲間たちと勝ち取ることの出来た、いつまでも大切にしていたい日常。
この小さな日々を積み重ね、思い出として蓄積される度に、本当に俺たちのやった事は無駄じゃなかったのだと。
そう、実感す――――
「お客様お客様お客様!!!困ります!あーっ!!!困ります!!!アナルにフィギュアは困ります!!!あーっ!!!あーっ!!!アナルにフィギュアは!!!お客様!!!あーっ!!!お客様!!!」
「んほおぉぉおおおおお!! んほぉぉぉおおおおおお!!」
「ねぇ美岬やめて!!真のアナリストはゴジラのフィギュアを尻尾ではなく頭から入れるって話まともに聞かなかった私も悪いけど、じゃあ実演するってなるのはおかしいでしょ!?ねぇ聞いて――おまっ顔赤いじゃん!!やっぱ背中のトゲのとこは無理があるって美岬!だからやめ……やめっ、ヤメロォーーー!!」
「「………………」」
見なかったことにしよう。
この女――オチに優秀過ぎる。
没ネタ
「オホれ」
「っ……」
美岬は胸を押さえ、反射的に後ずさる。
その瞳が、みるみる侮蔑の視線に変わる。
「淳之介くんっていつもそうですね……! 私のことなんだと思ってるんですか!?」
「出オチ担当」
「まぁあながち間違ってないよね」
「むべむべ……」