抜きゲーみたいな島に住んでるTS娘はどうすりゃいいですか? 作:パチドリくん
冷泉院 桐香にとって、木戸 葉月という少女は大切な
幼い頃から両親を知らず、姉と二人で暮らしてきた桐香は生まれついての天才性故に、人の心が分からない。
そんな彼女の事を理解し、愛してくれていたのは姉ただ一人であったが、桐香は人の心が分からない故に、姉が何を思って桐香に接してくれているのかが分からなかった。
しかし、それを知る前に彼女は桐香の前を去ってしまい――何を考えていたのかを知る機会は失ってしまったのである。
そんなある日、奉公人の教育を受けていた防人家から桐香は、青藍島へ向かうことを言い渡される。
奉公人として落ちこぼれの烙印を捺されている自分は青藍島でも失敗するのではないか。
そんな不安を抱える桐香であったが、向かった先の青藍島で彼女は、その不安を吹き飛ばす程の思いがけない出会いを果たす。
『――・・・・・・君の名前は何て言うの? そう、桐香ちゃんって言うんだ。 良い名前だね』
――そこで出会ったのが、木戸 葉月という少女であった。
初めの印象は特に変わった所のない、普通の少女だと思った。
だが、彼女と関わってすぐに桐香はある違和感に気付く。
何故だか分からないが、彼女は初めて会った時からこちらの事をよく理解しているのだ。
一人では碌に着替えが出来ないことも。
本当は甘えたがりな性格も。
そして自分自身ですら理解出来なかった自分の本心まで。
『そっか・・・・・・桐香ちゃんは自分のことを理解して欲しいんだね』
『え、どうして分かったのかって? うーん・・・・・・知り合いに桐香ちゃんと似た子がいるからかな? あの子は桐香ちゃん程酷くは無かったけどね・・・・・・』
本人は苦笑雑じりにそう言っていたが、桐香にはそれが全てでは無いような気がした。
でなければ、自分で言うのも何だが、自分の世話をあそこまで手際よく出来る筈がない。
どうやって私の事を知ったのか。
何故会ったばかりの人間の私をそこまで理解出来ているのか。
桐香には彼女が分からなかったが、しかし、桐香は気にしないことにした。
自分自身ですら理解する事が出来なかった“私”を、理解してくれる人が出来た。
ただそれだけの
「ふーん、ふふーん♪」
「随分楽しそうだねぇ・・・・・・ほら、こっち来て? 手繋いでないとすぐどこか行っちゃうんだから」
「もう、葉月ったらまるで私のお母さんみたいね。 そんな子供っぽい事私がするはずないじゃない?」
「あーはいはい、だったら大人しくしてましょうねー。 桐香が子供じゃないなら勝手にどこかに行かないよねー?」
「ママー、とーかあれほしい。 ハメドリくんのぬいぐるみかってー♪」
「秒で幼児退行するなよ・・・・・・買ってあげたくなっちゃうだろ・・・・・・!」
「あとね、とーかこれもほしい。 ドスケベチン百景!」
「はーい買うものはぬいぐるみ以外無いねーあとそれは子供が買うものじゃないので駄目ですー」
「ぶぅー、葉月のケチぃー」
桐香と葉月が手を繋ぎながらモールの中を歩く。
見た目も雰囲気も異なる二人だったが、その仲睦まじい様子と、同じ翡翠色の瞳が、どことなく面倒見の良い姉と、それに甘える妹を連想させた。
しかしてその実態は、桐香が勝手に逃げ出さないようにする為というリードの役目であったが、それを指摘する者がこの場に居ない以上微笑ましい光景でしかないのであった。
時刻は気温高まるお昼時。
祝日な事もあってか、周囲は家族連れやカップルなどで賑わっており、そこかしこで楽し気な笑い声と艶めかしい嬌声が聞こえてくる。
いつもの1.5倍ほど活気のある青藍島の姿がそこにはあった。
『あぁ・・・・・・良かったぁ・・・・・・ありがとう葉月。 急いでそっちに向かうからそれまで桐香様を引き留めておいてくれるか?』
「えぇ、そのつもりなので大丈夫ですよ」
『助かる・・・・・・あと30分ぐらいでそっちに着くから、それまで桐香様の事を頼んだぞ!』
「了解です。 それじゃあモールで待ってますね」
礼先輩との通話を切って、桐香の方へ向き直る。
似たような事は今まで何度もあったが、ここ最近は桐香のやらかす頻度が多い。
その為、今では手を繋いで一緒の行動するというのがお世話をする上でベストという、中々に百合百合しい状況になっている。
・・・・・・片方中身男だけど。
いやー、それにしてもだ。
桐香は何で機嫌良いんだろうなー?
好きな人でも出来たのかな?
なーんて、ははは・・・・・・はは・・・・・・チラッ
「ふふーん♪」
ニコニコとした桐香の横顔を伺う。
柔らかな手の平から感じる体温と、その嬉しそうな表情に私は――小さく胸を傷める。
(うう・・・・・・罪悪感覚えるなぁ・・・・・・)
何故、その様な感情を覚えるのか。
それは――
――桐香はこれまでの人生で本気で欲しいと思ったものが何一つとして無いらしい。
普通の人間なら大なり小なり欲というのものが存在するはずであるが、この桐香に限っては例外であった。
両親を知らずに育った環境故か、圧倒的な才能の代わりに人の心が理解出来ないという天才性故か、それとも両方か。
それらの要因が積み重なった結果、桐香には自分の欲しいものが、自分自身の心までもが分からなくなってしまったのである。
そんな境遇の中で出会った、彼女が人生で初めて欲しいと思った存在――それが、橘 淳之介。
しかし桐香は条例を遵守するSSの代表で、淳之介は反交尾勢力のリーダー。
反目する立場である二人は物語の中で何度も相対し、意見の相違から戦うことになるが、大団円のグランドルートでは数々の戦いを乗り越え、ドスケベのゾーニングが成された後のぬきたし2で遂に二人が結ばれる桐香ルートが登場する。
そんな二人のラブロマンスも、勿論私は大好きだ。
というより、基本ぬきたしのヒロインは皆大好きである。
奈々瀬のリスポーン地点が。
ヒナミの親友を支えるパイプ椅子が。
美岬のしゅき帯び運転が。
文乃のむべと誉れが。
桐香の可愛さポイントが。
郁子のマイスイートハニーが。
礼の空中降下のドラマチック大告白が。
ぬきたしの尊さはまだガンには効かないがいずれ効くようになると私は信じている。
話が逸れたが、何が言いたいかと言えば桐香は現時点で淳之介に一目惚れしている状態であり、つまり奈々瀬の恋を応援するということは、それは桐香の初恋を諦めさせることなのである。
奈々瀬が一番であるが、それはそれとして桐香の事も気にかかってしまうのは仕方の無いことであった。
今まで面倒を見てきたこともあり、応援してあげたいという気持ちは勿論ある・・・・・・あるのだが、私の最推しは淳奈々なんだ・・・・・・!
これもエロゲーの宿命・・・・・・許せ、とは言わない。
だけど桐香。
心の中だから分からないだろうけど、聞いておいてくれ。
お前がいつか、自分のことを理解してくれる人が現れるまで――お前の事を、私はいつまでも見守るよ
「じ、自慰ザス!? どうかお許しを・・・・・・!」
「私は許そう――だが
「――・・・・・・取り合えず礼先輩は30分くらいでこっちに来るそうだし・・・・・・あとは適当に時間でも潰そうか。 桐香はどこか行きたいとことかある?」
「そうねぇ・・・・・・あら?」
「あぁもう勝手に・・・・・・手は離しちゃめーだからね?」
桐香を逃がさないように繋いでいた手が桐香によってズルズルと引っ張られる。
引っ張る方もそれなりに力が必要だと思うのだが、SSで鍛えているだけあって、桐香の腕力と握力は大分強い。
なんかこうしてずるずると引っ張られる感じ、元気過ぎる犬の散歩思い出すなぁ・・・・・・桐香は犬というよりタヌキだけど。
そうして桐香に引きずられた先はちょっとした広場となっており、そこでは二人の男性が周囲に向けてパフォーマンスをしているようだった。
「どーもー!
『よろしくお願いします〜』
そのルビ振りはやめた方がよかったんじゃないかな。
「あっ、ありがとうございますー! 今客席の方からハメドリくんの着ぐるみを頂きましたけどもね、こんなの幾つあってもいいですからねー」
『ありがたいですよねー』
いる?
「・・・・・・吉原興行によるドスケベ漫才だって。 面白そうだし見ていこっか?」
「ねぇ葉月、着ぐるみってどこにあるのかしら? 私には何も見えないわ・・・・・・」
「そういうネタだから止めてあげてね?」
桐香の天然のボケ殺しが発揮されつつも、知ったことかと漫才は続く。
・・・・・・あ、芸人さん若干冷や汗流してる・・・・・・聞こえたのか・・・・・・。
ウチの桐香がすみません、と――そう心の中で軽く謝罪しながらも、良い時間潰しにはなるのでそのまま傍聴を続ける。
とはいえ、漫才一つではそう時間は流れないもので。
漫才が終わっても、時間としてはまだ10分ぐらいしか経過していなかった。
「結局、おかんが忘れた言葉って何だったのかしら・・・・・・あの特徴だったらもうアレぐらいしか思いつかないわ?」
「思いつくのか・・・・・・というか桐香って、落語好きなのに何で漫才のネタが分かんないの・・・・・・?」
寝言でよくドスケベ落語口ずさんでるのになぁ・・・・・・この様子だと、話の中身は曲解してるかも分からない。
・・・・・・さて、次は何をしようか。
そう考えていると、近くでcv.最大級哺乳類のような声が聞こえてくる。
「今日は青藍島のうちは系男子で優勝していくわ。 長くなっちゃうから前戯は全カットよ・・・・・・“ぜん”だけに♡ さぁサ〇ケくん・・・・・・その身体を、私にちょうだァァイ!!」
「ふん・・・・・・哀れだな筆おろし丸。 言ったハズだ・・・・・・お前がバイブ相手に無様敗北アクメイキする運命はオレが握っていると。 お前はこのアクメ地獄から逃れることはできない」
「出来上がったうちはちんぽに蛇マンコを潜影〇手♡ あ゛ら゛や゛た゛~めっちゃキモチイイじゃない~~♡ イキすぎて息が荒くなったわね・・・・・・」
「運命を決める術――――これが孕目尾羅だ」
「自分を蛇人間だと信じてやまない一般男性だ・・・・・・」
「今日は催眠プレイをしてる人が多いわねぇ・・・・・・催眠といえば、ねぇ葉月? さっきのアレ、せっかく時間が出来たのだから少し教えてくれない?」
「アレって・・・・・・あぁ、アレ? うーん・・・・・・でもあんまり人に見せるのもなぁ・・・・・・」
桐香が言っているのは、裏路地で私がやった催淫ペンによる催眠術のことだろう。
先ほどは急いでいたから適当に断ったけど、元々は今から半年もせずに流行ることだったし、桐香に教えても問題は無い・・・・・・か?
いや待てよ。
「桐香って確かそういったネタは自分で考えるのが好きなんじゃないの?」
「私一人で考えるのにも流石に限界があるもの。 それに、とびきりの手品で驚かせたい人がいるから、最近はネタを集めてるの」
「ふ、ふーん・・・・・・」
・・・・・・急激に教えたくなくなってきた。
桐香が驚かせたい人って、そんな特別な感情を抱かせるような相手は一人しか居ないだろう。
どうしよう。
ここで桐香に催眠を教えたら、もしかしたら淳之介達に影響があるかもしれない。
とはいえ、こうして淳之介の為に何かしようとしている桐香の気持ちを無下にはしたくないし、桐香には負い目があるのも事実。
くっ、どうすれば――
「見て、ワンちゃんがちんちんしてるわ。 可愛いなぁ~」
「君ほんと自由気ままね・・・・・・!」
こっちの気も知らないで!
そう内心で思いながらも、桐香は道端でおちんちんを勃起させている犬に近づく――ってそれは不味い。
桐香が動物に近付くと――
「わんわん♡」
「クゥーン・・・・・・」
「桐香の溢れだすカリスマで動物たちが怯えてしまう――!」
普段はボケボケしていても、風格だけは只者では無いオーラを出しているので子供や動物には怖がられてしまう桐香。
さっきまで元気だった犬は震えるようにしゃがみ込んでしまい、おちんちんもすっかり萎えてしまっていた。
「ああっ、どうしたのマーガリン!? 射精管理の途中でおちんちん萎えちゃうなんて・・・・・・」
メガネをかけ、どこかぽやっとした表情の少女が犬に近寄って心配そうにしている。
どうやら犬を相手に射精管理をしていたが、桐香が近づいてしまったせいで犬が怯えてしまい、射精管理に失敗してしまったようだ。
そして、そのどこか見覚えのある姿に、射精管理といえば――
「花丸姉妹じゃないか・・・・・・」
「あぁ、生徒会長に葉月さん! これは大変花丸でない所を・・・・・・」
「あれぇ、姉さん? もしかして失敗したんですかぁ? ほんっと情けない・・・・・・処女からやり直してきた方が良いんじゃないですかぁ?」
「あうぅ・・・・・・情けない姉でごめんなさい・・・・・・」
青藍島の射精管理シスターズ、花丸 蘭と花丸 凛の二人が仲良く犬の射精管理をしていた。
射精管理に失敗した姉の方――蘭がおっとりとした雰囲気の眼鏡少女で、罵っている妹の方――凛が吊り上がった瞳できつめの印象を与えるメスガキ系少女だ。
蘭は真面目な良い娘なんだけど、おっちょこちょいな所とどこか不幸体質じみた所があるから、本人は頑張ってるのにこうして失敗している所をよく見かける。
その度に色んな意味でイイ性格をした凛から罵詈雑言を浴びせられているのだが・・・・・・本人が気にしていないのと、ほんの僅か・・・・・・いやほぼ無いと言ってもいいのだが、凛にも可愛い部分も無くはない為、姉妹仲はそう悪くはなかった。
「花丸姉妹のお二人ともこんにちは。 姉妹で一緒にお散歩ですか?」
「はい、うちのペットのバターとマーガリンが他人にいきなり発情しないよう躾として射精管理をしてたんですけど・・・・・・今日はちょっと調子が悪かったみたいです。 ところで、生徒会長達はどうしてご一緒に?」
「今日は礼と一緒にショッピングの予定だったのだけどはぐれてしまって。 そこでたまたま葉月を見かけたから、礼と合流するまで一緒に行動することになったんです」
「へっ、生徒会長と風紀委員長が迷子ですか。 子供じゃないんですからしっかりして欲しいですねぇ。 こんなのがSSのトップなんて信じられないですよ、えぇ?」
「相変わらず口わっるいなぁ・・・・・・」
同じ親に育てられて何でここまで性格が捻じ曲がるんだろう・・・・・・。
しかし、こんなのでも一応はSSの一人。
可愛げが無かろうと大切な仲間であるし、ほんの少しだけだが可愛い所も無くはない・・・・・・のだ。
それに桐香に関してはあんまり否定出来ないのが何とも・・・・・・おうお前の事だぞ桐香ヘラヘラぽけーっとした表情してるんじゃないの、生徒会長でしょ。
しっかりしなさい、という風に桐香のほっぺを摘まむ。
「うりうり」
「ほふぇー」
あっ、桐香のほっぺ柔らかくて気持ちいいな・・・・・・。
すべすべもちもちしてて、ずっと触っていられる。
しかもこれで可愛い顔してるから卑怯だよなぁ。
この顔でおねだりとかされたら断る自信が無いよ私は。
「何遊んでんですか! というか、なに女同士で手ぇ繋いで一緒に歩いてるんです? まさかSSの代表と五番隊隊長ともあろう方々が百合に目覚めたとかじゃあないでしょうねぇ?」
「――え? ごめん桐香のほっぺが気持ち良くて聞いてなかった、何?」
「あら、こっちにもワンちゃんが・・・・・・」
「コイツら・・・・・・!!」
「ちょ、桐香引っ張らないで・・・・・・それに桐香が近づいたら――」
「わふっ!? キャンキャン! ・・・・・・ア、アオーンッ!!」
「あっちょ、こらバター! 暴れんな、このっ、きゃあっ!」
「ああっ!? バターが恐怖のあまり射精した!?」
犬の股間から発射された精液が、凛のすぐ横にあるコンクリートの外壁に衝突してヒビを生み出し、跳ねた精液とコンクリートの破片が周囲に散らばる。
その威力は、まさにライフル弾を撃ち込んだかの如く。
もし人に当たったらただでは済まなかっただろう。
――突然だが説明しよう!
この世界では射精管理によって寸止めを繰り返す度にエネルギーが蓄積される、謂わばパコルギー保存の法則ともいうべき法則がある。
そして、射精時の精液の最高速度は約時速50㎞程と言われている。
では仮に、30回の寸止めを食らった後の射精はどうなるか?
――――そう、50×30=1500km/hの、音を置き去りにした射精となるわけだ。
それにしても危なかったぁ・・・・・・ちょっとずれてたら人に当たってたぞ今の・・・・・・。
突如起こった射精管理誤爆事件に冷や汗を流す。
「凛、大丈夫!? 怪我は・・・・・・良かった、してないのね。 射精管理した後の射精の威力は凄いから心配したわ・・・・・・でも、管理には失敗しちゃったわね・・・・・・」
「ね、姉さんに心配される必要なんてありません! それに失敗したのは私のせいじゃありませんし? 生徒会長が無駄にまき散らかしてるカリスマのせいで犬畜生はちんちんを止めてしまいました。 生徒会長のせいです。 あ~あ」
「自分達が飼ってるペットのこと犬畜生って呼ぶの結構酷くない?」
というか下手すれば病院沙汰だったのに立ち直りが早すぎる。
流石凛というべきなのだろうかこれは。
「・・・・・・しょぼーん・・・・・・」
「ああっ、桐香が落ち込んでる! ・・・・・・凛! 桐香は動物に好かれないの気にしてるんだぞ!」
「いや口でしょぼーんとか言う人が落ち込んでるわけないでしょうが・・・・・・あと表情変わってないじゃないですか」
「いつもヘラヘラした顔の桐香より眉が2㎜ほど下がってるでしょ!」
「えぇ・・・・・・」
私が付いておきながら、桐香を悲しませてしまうなんて・・・・・・!
凛が何事か言っていた気がするがそんなのはどうでもいい。
これでは、とーかちゃん係としての沽券にかかわる。
何かで励まさないと・・・・・・そうだ!
「桐香、さっきのアレ、気になってたよね?」
「え・・・・・・?」
「実を言うと、アレを直接教えるってのはちょっと出来ないんだ。 でも、何も教えないっていうのもアレだし、今から私がもう一度実演してあげる。 だから、よく見ててね?」
励ます為に、先ほどの催眠術の件を折衷して桐香に提案する。
完全な自己満足でしかないが、これなら仕組みとかを伝えること無く桐香に教える事が出来るだろう。
とはいえ、もしこれだけで桐香が催眠術を身に着けてしまったなら、その時はもう素直に諦める。
それに、何かあったらその時は私が対処すればいいのだ。
そう腹を括って、私はポケットから催淫ペンを取り出して凛の前に立つ。
「凛、こっち向いて?」
「はぁ? 何ですか一体・・・・・・しょうもないことで私の時間を奪うようでしたら許しませんからね?」
「なに、ちょっとしたおまじないをするだけだよ・・・・・・凛がもっと皆に讃えられる人になれるように、ってね・・・・・・」
「ほぉ、それは殊勝な心掛けですねぇ・・・・・・で、何をするんです?」
「ふふ・・・・・・見てのお楽しみって奴さ」
凛の目の前で催淫ペンをふらふらと揺らす。
・・・・・・残念だが、これは凛の思っている内容とは少し違う。
騙して悪いが、これも桐香のためなんでな。 良い子になってもらう。
「あなたは今から優しい人になる・・・・・・人を思いやれる心を持った、優しい人になる・・・・・・」
「あの、葉月さん? 凛に何を・・・・・・?」
「まぁ見てて・・・・・・はい、あなたはとっても優しい人になりました!」
「――――そこのおばあさん大丈夫ですか? そんな重たい荷物を持って大変でしょう・・・・・・そうだ、目的地まで荷物を運んであげます! 姉さんが!!」
「ええ!? り、凛が進んで人助けを!?」
「まぁ、あの凛さんが・・・・・・葉月の催眠術って凄いのねぇ」
「蘭に押し付けてる事に関してはツッコミがないの?」
「姉さん、私間違ってたわ。 地位を得る為に皆を蹴落とすような真似をしてたけど、それじゃ駄目だったんです。 皆にちやほやされて、崇められるようになるには皆を蹴落とすのではなく、私自身が輝く必要があったのね」
「凛・・・・・・! それじゃあ、まさか――!」
「私、やるわ! 愚民の愚民による愚民の為の政治を、この花丸 凛が実現させてみせる!」
「凛――とっても花丸な心意義よっ!!」
がしっ、と。
花丸姉妹で熱い抱擁が交わされる。
催眠で生み出されたという点を除けば、素敵な光景であっただろう。
「・・・・・・」
「さて、凛カーンの催眠が解ける前に離れよっか。 元に戻ったら何言われるか分かんないし――――桐香、どうしたの?」
桐香がじっと、抱擁している花丸姉妹を見つめている。
何か、気になる事でもあったのだろうか。
「・・・・・・いえ、何でもありません。 それより葉月、そのペン少し貸して貰えるかしら?」
「え? あぁ、良いけど」
「ありがとう♪ ふむふむ・・・・・・ペンに関しては特におかしい所は無さそうね・・・・・・うーん」
桐香は私から受け取ったペンをまじまじと観察して、催眠術の謎を解こうとしているらしい。
まぁ、ペン自体には何もしてないし、甘い声かけと相手の目に合わせて揺らすことが催眠の鍵だからそんな深い謎は無いのだが。
・・・・・・それより、礼先輩はまだだろうか。
そろそろ来てもいい頃合いだと思うのだけども。
「ねぇねぇ葉月」
「ん?」
「あなたはエッチな気分にな〜る・・・・・・じわじわと発情して、我慢が出来なくな〜る・・・・・・気付かぬうちにエッチが好きにな~る・・・・・・っ♡」
「・・・・・・何してるの、桐香」
「あら、これじゃ駄目なのね・・・・・・もっと検証が必要ね、これは」
「もしかして今私で実験した? 実験したよね、桐香?」
何してくれてんのこの子。
しかも恐ろしい内容で催眠かけようとしてやがる。
だがしかし、残念だったな桐香――この催眠は私には効かないんだ。
よく言うだろう?
自分自身の技にやられるようでは二流、と――
だからこそ私は、きちんと対策も行っている。
この催眠は自己暗示によって跳ね除けることが可能であることは原作で語られている。
ならば淳之介よろしく、自己暗示に慣れる・・・・・・この場合、自分に催眠をかけ続ければ良いというわけだ。
その為にシュウくんから催眠音声を借りて何度も何度も聞くことで耐性を付け、その甲斐あって今では余程疲労しているか、油断している状況でなければこの催眠には掛からないだろう。
――この木戸 葉月に精神的動揺による催眠堕ちは決して無い! と思っていただこうッ!
「催眠なんてありませんよ・・・・・・ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」
「ゆ~らゆ~ら♪」
「ンホォホホォホ♡ ヘラヘラヘラヘラ♡ アヘアヘアヘ♡♡」
「催眠? ありえないわ」
「ゆ~らゆら♡」
「・・・・・・何驚いてるの? 公衆の面前でパンツ脱いでおまんこ晒してアクメ顔するのが日本の挨拶よ? 常識じゃない」
「何やってんだ桐香ぁぁぁぁあああああ!!」
気が付いたら桐香が街中の人たちに催眠を掛けて回り、青藍島が性乱島に変貌していた。
手も握っていた筈なのにいつの間にか離れているし、しかも乱れ具合がイベント時並みになってしまっている。
「何で!! 何でそう催眠に弱そうな人ばっかり狙って催眠かけるのよ!!」
「練習しようと思って・・・・・・?」
「通行人じゃなくてせめて知人で練習しよう!? 私でも良いからさ!!」
「葉月は反応薄かったから・・・・・・」
「私のせいかごめんね――!!」
思わず頭を抱える。
催眠術のことをちょっと教えただけでこうなるなんて予想外も過ぎるだろう!?
あぁもう。
本当に世話のかかる娘だ――!
「――やっと見つけましたよ桐香様ぁ! 今日は一日桐香様が寮で一人っきりになって心配だから私と一緒にお出かけしましょうって言ってたのに出かけた瞬間にすぐどこか行っちゃうんですからー! ・・・・・・ってうわぁ何だこの状況!?」
「っ、礼先輩! いい所に――!」
そこに、慌てながらもめっちゃ説明してくれる我らが風紀委員長の礼先輩がやって来る。
桐香の確保連絡はしていたが、それでも不安だったのだろう。
息を僅かに荒げながらやって来た礼先輩は、催眠によって発生したこの状況に戸惑っているようだが、丁度いいタイミングで来てくれたと言わざるを得ない。
「は、葉月、一体これはどうしたんだ? 今日はこの辺でイベントの予定とかって無かっただろう?」
「ちょっとかくかくしかじかで・・・・・・いやまぁ半分以上私のせいなんですごめんなさい!」
「さ、催眠!? お前そんな事出来たのか・・・・・・い、いやそれよりもこの状況はちょっと不味いぞ! このままじゃ男女の吊り合いが取れずに、危険な行為をするような輩が現れるかもしれん!」
そうなのだ。
沢山の人間が集まるというのは、それだけセックスをする人間が増えるということ。
そして、この島のドスケベ条例という特殊な環境が人間の理性を溶かしてしまうせいで、過激な行為をしてしまう人達も多くないのである。
そんな人たちを注意したり、指導したりするのもSS、延いてはSHOの仕事となるのだが・・・・・・SHOガードマンたちも必死に調整を行っているが、このあまりの盛況振りに人手が足りないようであった。
ならば、非番とはいえSSである私たちもこの場で協力する責任があるし、それに原因が原因なせいで私が手を出さないわけにはいかないだろう。
だが、私と桐香だけでこの場を治めるにはかなりの時間を要すだろう、と。
そう懸念していたタイミングでやって来た礼先輩。
礼先輩は風紀委員長として毎日ドスケベの風紀を正しているため、まさにこのカオスな状況に一番適した人間と言えた。
「はぁ~・・・・・・せっかくの休日が桐香様のお世話に、突発対応の仕事になるなんてぇ・・・・・・でも、そうも言ってられないよなぁ・・・・・・よし! 葉月、ヤれるな?」
「勿論です・・・・・・元はと言えば私が撒いてしまった種ですから。 ほら、桐香も」
「あら、仕事の時間? 休日に3人一緒なんて何だか特別な日みたい♪ 郁子もいたらもっと楽しくなりそうね・・・・・・呼んじゃおっと♪」
「ここに居ない人巻き込んじゃめーでしょ! それに郁子だと途中で混ざりだすからダメ! ほら行くよ!」
そうして、一騒動ありながら。
途中で凛と蘭も巻き込みつつも結局、騒動の終末に数時間ほどかかってしまうのであった。
「はぁ~~~っ、つっかれた~~~~~・・・・・・」
騒動が終わって、一息つく。
あれだけ盛っていた人たちも、今では数人がセックスしている程度まで減少して落ち着きを取り戻し、一仕事終えた私たちは近くのベンチに座って休憩をしていた。
「礼、葉月、お疲れ様。 はいこれお水、SHOの人たちから差し入れですって」
「あぁ、桐香ありがとう・・・・・・ってこらこら、桐香が水飲もうとしたらこぼしちゃうでしょほらこっち来て」
「んんっ・・・・・・んっ、んくっ・・・・・・んくっ・・・・・・けぷっ」
「はーい上手に飲めたねえらいぞー、よしよーし」
「まぁ、本当? 私えら、げっふぉっ、偉い?」
「うんうんえらいえらい、偉いからお水飲んでる最中に話そうとするのはやめようねー?」
えづいたせいで桐香の服がびしょびしょである。
まったくもー・・・・・・
「葉月ってほんと桐香様のお世話好きだよなぁ・・・・・・ま、気持ちは分かるけどな! 桐香様のお世話って母性がくすぐられると言うか、普段とのギャップでやられちゃうんだよなぁ・・・・・・!」
わかる。
何だかんだ言っても、桐香のことは可愛いし、大切な存在なのだ。
なにより、この島で暮らしていく上でドスケベはどうしても避けられない中、それらを耐える事が出来たのは、桐香のおかげなのである。
ぬきたし限界オタクだった私にとっては、こうして一緒に会話出来ているというだけで幸せなのに、お世話まで出来るとなったらもう無理だった。
桐香のお世話という癒しがあるから毎日生きてこれたのだと――そう私は実感している。
はぁ・・・・・・それにしても今日は本当に疲れた。
セックスをしている人たちの調整って、普段は目を逸らしてる・・・・・・その、結合部とかをがっつり確認する必要があるから目のやり場に困るんだよね・・・・・・頭も使うし。
それらの疲労のせいか妙に体がだるいし、頭もぼうっとする・・・・・・いや、そんな事を気にする暇はないのだ。
ヒナミの件もあるし、そろそろ急がないといけないのだけど・・・・・今、何時だろう?
確認の為にスマホを取り出す。
そこに表示された時間は――
「うっそ!? もうこんな時間!?」
時刻は既に17時を回っており、ここから走って山に向かっても30分以上はかかる。
まだ太陽が夕暮れの位置にまで行っていないから大丈夫だと思っていたが、夏の時期は日の時間が長いことをすっかり忘れていた。
不味い、万が一ヒナミの危機に誰も居なかったら――!
「すみません礼先輩! ちょっと私用事があるので今から行ってきます! 桐香のことお願いしますね!」
「お、おう? それはいいけど――」
返事を聞く前に、私は急いで山の方向へ足を向ける。
もしヒナミの純潔がここで無くなってしまうようであれば、私が見たいHAPPY ENDはその時点で終了だ。
そして何よりも、好きな人と結ばれたいというヒナミの純情が汚されることはあってはならない――!
「葉月」
「何、桐香! 今急いで・・・・・・って、それは・・・・・・」
桐香に呼び止められ振り向くと、桐香の近くにある乗り物が置かれていた。
青藍島でよく見かける、普通とは違う特徴的な部分を持ったその乗り物は、見た目は普通の自転車のようだが、一つだけ様相の異なる部分がある。
サドル部分に聳え立つ、立派な棒を携えたその乗り物の名前は――
「絶頂バイシクル♪ 走っていくより、これに乗って行った方が早いわ」
「・・・・・・やむを得まい!!!」
絶頂バイシクル――一言で言えば、サドルにディルドの付いた自転車だ。
この青藍島にある基本的な自転車は全てこの絶頂バイシクルであり、そのおぞましさはともかく、確かに急いでいる今はこれを使用した方が良いだろう。
そう判断し、絶頂バイシクルを桐香から受け取る。
「あとこれも。 なんだか疲れてるみたいだから持って行って?」
「・・・・・・これは?」
「ビタミン剤。 疲労がポンっと取れる優れものって、さっきSHOの人から頂いたの♪」
「・・・・・・本当に?」
「本当よ?」
何か含みのある言い方ではあったが、まぁこれも桐香にとって悪気の無い、ただの好意で渡しているのだろう。
それに、実際体がだるいのは確かだし・・・・・・ありがたく頂いておこう。
・・・・・・そして、私は貰った水と薬を飲み込みつつ、疲労で僅かに火照った体を押して、山の方向へ自転車を走らせるのであった。
自転車に乗って去っていく少女を見送って、二人の少女は顔を合わせる。
「・・・・・・さて、それじゃあ私たちも行きましょうか、礼」
「そうですねぇ・・・・・・あれ?」
二人がそろそろ帰ろうかと思ったその時、遠くからSHOの制服を纏った濃いピンク色の髪をした女性がやってくる。
その女性の顔は僅かに顔を強張らせ、どこか焦っているように感じられる。
二人に近付くと、こちらの存在に気付いたのか彼女はぱぁっと一瞬だけ表情を明るくするが、すぐにその顔を曇らせると二人に話しかけてくる。
「ちょっとそこの二人ごめんなさーい! さっき配ったお水とお薬回収していいー!?」
「仙波さんじゃないですか。 回収って・・・・・・どうしたんですか?」
彼女の名前は
SHO副理事長兼、特殊戦闘隊員兼、観光大使を務めるえちえちお姉さん(31)である。
様々な役職を務めている事から分かる通り優秀な人物であり、青藍島の観光大使を引き受けるだけあって明るい表情が似合う綺麗な大人のお姉さんであるのだが――
「実は・・・・・・さっき配ったお薬、普通の水で飲むとただのサプリメントなんだけど、さっきのお水と一緒に摂取した場合は媚薬になるっていう代物らしくて、ボディピル選手に売り込む予定の新商品だから勝手に人に渡しちゃ駄目って言われちゃってぇ・・・・・・」
「え゛っ」
「あら♡」
「そ、その反応はもしかしてもう飲んじゃった? あぁ・・・・・・どうしましょう・・・・・・」
この女――かなりのポンコツでもあった。
「光姫さん、その薬は私以外の方にも配ったりしているのでしょうか?」
「え、えっとぉ・・・・・・凛ちゃんと蘭ちゃん、それに手伝ってくれた数名の一般の方にも、少し・・・・・・」
「・・・・・・分かりました。 それでは分かる限りでこの件に関わった人たちには連絡を――――礼、葉月には私から伝えておくから凛さんと蘭さん、他の一般の方たちの分をお願いしていいかしら?」
「承知しました。 桐香様は如何しますか?」
「私は光姫さんとこの商品が万が一発売前に情報が知れ渡った場合と、そうならない為の対処を考えるわ。 さて、行きましょうか光姫さん」
「うぅ・・・・・・ごめんねぇ・・・・・・」
学生に頭を下げる駄目な大人の姿が、そこにはあった――
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・う、うぅん・・・・・・何かさっきより体が熱い・・・・・・? ん、くぅっ!」
絶頂バイシクルを立ち漕ぎ運転しながら道を駆ける少女。
しかし、体が思うように動かず、ふとした拍子に腰が下がってしまいサドルのディルドが彼女を刺激する。
そんな彼女が快楽堕ちするまで、あと1時間――
Q.催眠音声聞き過ぎたら逆に催眠かかりやすくなるんじゃないの?
A.そうだよ
パコろで。
奈々瀬目線で“Official髭男dism”の Pretender 聴くと良いよ♡
という話を聞いたパチ。
歌詞に感情移入なんて滅多にしないパチがハートを見事に逆レされてボロボロの限界オタクになったから生ハメイトの皆は是非ハメして欲しいパコねぇ
礼先輩√のナナドリくんを見た後だとよりオハハメだスメ