遠征帰り。寮に戻るまでは実質オフということもあり、選手の過ごし方は人それぞれだ。
食事をしたり買い物したり・・・寮生は門限さえ守れば基本的自由だ。というわけで・・・
「給料出たし買い物買い物~!」
やってきたのは、潮鳴駅前のショッピングモール。地域最大級の売り出しにふさわしく、映画館やゲームセンターだけではなく、屋内型遊園地等が設置されるという一日いても家族みんなが楽しめる場所だ。
そんな場所、僕はとあるおもちゃ屋に足を運んでいた。目的はゲーム。
「ゲームや特撮に興味があるなんて、咲さんにバレたらずっとイジられそ。」
ここで予約していたFPSを受け取りにいく。今日は咲さんに会いに行くから遊ぶのはまた今度だけど。
・・・
「さーて、やり尽くすぞー!」たぶん今の僕、SNSでフリー素材にされそうな感じする。というか、絶対される気がする。(ファンフェスで何度か経験あり)
そんなことを考えながら再び店内を歩き物色。最近ミキサーの調子悪いし新しいの見てみようか・・・なんて思っていたら、ゲーム売り場で見覚えのある後ろ姿を見かけた。
薄い青色のジャケットに腰まで伸びるブロンドかかった綺麗に整った後ろ髪・・・間違いない。咲さんだ。でもなんでこんなところに?
「・・・面白そうだし、ちょっとつけてみようかな。」
咲さんといえば、ゲームとは無縁(そんなイメージ)なこともあって尚更この場所にいるのが不思議だった。もしかして新しいメニューのヒントでも探しに来たのかな。最近のゲームにそういうのあるみたいだし。
「これは・・・うーん・・・」
見てみると、野球のゲーム・・・?
「・・・うーっ、多すぎてわからない・・・!空くんが出てるのどれなのー・・・!!」
出てる?・・・あっ、もしかして。
「出てるってこれのこと?さーきさん。」
「ひゃあっ!?」
急に声をかけられたからか驚いた様子でこちらを見る咲さん、うわ綺麗。
「あはは、ただいま咲さん。何探してたの?」
「も、もう!帰ってきてるなら連絡してくれれば迎えに行ったのに。」
残念ながらその時間貴女まだ仕事中でしょ。
「で、こんなところで何してるの?咲さん、ゲームなんてあまりしないよね?」
そう聞くと、ふと顔をそらす。・・・?
「だ、だって寂しくて・・・。最近の野球ゲームってリアルって職場の人に聞いたから、貴方が出てるのをやろうかなって。」
「・・・バカだなぁ。」一目もはばからず、そっと咲さんの頭を撫でてあげる。
「寂しいのは僕も一緒。・・・でも、咲さんが寂しくならないように僕も頑張らないと。」
そのまま手に持っていたソフトとハードの引換券を手に取ってレジに向かう。
「えっ、ちょっと空くん!?」
「寂しくさせたお詫びだよ。ほら、外のソファーで待ってて。」
正直予想外の出費だったけど、咲さんが喜んでくれるならいっか。
その後、そのまま下のスーパーで夕食の買い物。咲さんが作りたいものでいいって言ったけど、どうも僕が帰ってきたからちゃんとしたのを作るって張り切って。・・・咲さん、車持ってるのかな。随分買い込んでるけど。
「ふんふーん♪」
咲さんの横顔、いつ見ても綺麗なんだよなぁ・・・なんていうか、見てて安心するっていうか。毎日見てたいっていうか。
「あら・・・どうしたの?私の顔に何かついてた?」
「ん?あ、いや。今日の夕飯が楽しみだなって。ほら、遠征先じゃホットミールとかは出るけど家庭的な食事って出ないからさ。」
「あら、なら・・・」と言葉を区切る咲さん。目の前にあった野菜を手に取って少し考えて。
「ふふっ、少し暑くなってきたしうどんにでもしましょう?ほら、レタスも安いし。」
うどん・・・確かに最近暑くなってきたし、昨日結構重かったしいいかも。
そうとも決まれば、とかばかりに咲さんはそのままレジへ。払うとはいったけど、ゲームの件と年上という件で押し切られてしまった。
あ、ちなみに帰りはタクシー使いました。