成る程ねとカインは目を閉じた、目の前の狼人の少年との会話から何か思うところがあるようだった。
「寝込んだり、ひどく体調が悪いということは」
少年は考えこむように、ずっとではなく、体調のいいときもあるんですと言葉を続けた、何故、目の前のドラゴン、しかも他星の高官が自分の父親の事を気にするのかわからなかったからだ。
最初は自分は養子だということを知って、話はそこから家族の事について相手は聞いてきたのだが、父親の体調が良くない、病気ではという話を聞いて相手は先程から色々な事を聞いてきたのだ。
「君のお父さんに会いたいと言ったら、どう思う、いや、無理かな」
少年が驚いたのも無理はない、何故という疑問が顔に出たのだろう、するとドラゴンはわずかに顔を自分の方に近づけた、まるで内緒話をするようにだ。
「内緒でといいたいところだが、監視の目は厳しいだろう」
「あ、あの、どうして」
「気になるんだ、そうだな、こう言えば納得してくれるかな、私も三年前までは同じだった、病名はつかない、原因もわからない、そして、もう一人、同じ獣人がいた、サルヴァという猿人を知っているかね」
グレイスは勿論ですと頷いた、熊人、狼人の高官と一年前、言い争ったのだ、しかも議会が始まる前に、その様子を一般局の報道陣が映像として流したので騒ぎになったのは有名な話だ。
「亡くなりましたよね、病気だったとか
治療できないと言われていた筈だ、猿人は短命で一度、病気になると助かる確率が低い種だと言われていた、なのに。
「信用していいかな」
目の前のドラゴンが自分を見ていることに気づき、グレイスは緊張した。
なんだあれは、いや、あからさまに脅迫のつもりか、自分たちが保護している人間の扱いについて文句を言ってきたことに。
ほんの少し前の会話、やりとりを思い出して犬狼と熊人の二人は無言のまま互いを睨み合うように視線を交わした。
胎児はと口を開きかけたのは熊人のマーヴィスだ、生きているんだろうなと小声になった。
「ああ、まるで石の塊だが、しかし、会わせるつもりか、マーヴィ」
「相手は強気だ、もしかしたら我々が非道な扱いをしていると議会に申告するつもりなのかもしれん」
まさか、それはないだろうと言いかけたヴァイルだったが、やりかねんと小声で呟いた。
「もしかしたら、あの人間を自分たちで取り込もうとしているのかもしれん、現に我々よりもあのドラゴンと狼人の少年を人間は信頼している、そう見えないか」
「それは、だがな」
「あの猿人のこともある」
「亡くなったんだ、あの男はとっくの昔に、しかも病気だ、我々のせいだというのか」
「まさか、あの病気は医療関係者も治療は諦めていた」
体の骨、節々が痛み、内臓に腫瘍が切除しても転移、再発、その早さから腫瘍、そのものに意思があるのではという、とんでもない説を唱える関係者もいたほどだ、助からないのはわかっている。
「俺は見たんだ、亡くなる数日前に」
医療センターで偶然見かけた猿人の男、全身の毛が真っ白だった、あんな猿人がいたのかと施設の職員に尋ねたが、後になって知ったのだ。
「調べる必要があるな」
熊人の言葉は、あまりにも小さくて犬狼の耳には届いていなかった。
「あなたって、凄くよかった、久しぶりよ」
店を出て別れるとき、同族の豊満な牛人の女は、にっこりと笑って、連絡先を渡してくれて、正直、男は驚いたものだ。
自分も良かったと色よい返事をかえすべきなのだが、何故か言葉が出てなかった、誘って来たのは向こうからだ、珍しい事もあると思って近くのホテル、一番安い部屋を選んだのだ。
「ここで、するの」
狭くないとシャワールームに入った女の尻を抱える様にして、最初の前戯も雰囲気も関係なく男は指の先端で女のあそこをいじくり回した。
挿入するのは早かったが奥底まで押し込むように獣棒を入れると、そのまま、しゃぶりつくように女の体をなめ回した、シャワーを全開にしてだ。
久しぶりだったし、女は好みのタイプだったので満足する筈だった。
なのに、物足りなさを感じる自分がいた、一体、どうしてなのか、獣人の女、それも同族の女との行為に満足できないのだ。
「子供に会えるの」
することもないし、もう寝ようかと思っていたとき、突然、部屋を尋ねて来た狼人の言葉に彼女は驚いた。
「ああ、誤解しないで欲しいんだが、人間と獣人の子供というのは初めてなんだ、だから我々も慎重になっている、今、君の子供は保護溶液、つまり母体の中にいるのと同じ状態にしているんだ」
「自分が出産するんだと思っていたのに、強引に取り出したと思ったけど」
獣人の胎児は大きさによっては出産が困難だ、母胎である君の安全の為だと言葉を続けながら、ヴァイルは相手の顔を見た。
「ドラゴンとは」
言いかけて言葉を飲み込んだ、相手の表情、いや、感情がはっきりと分かったからだ。
それは怒り以外のなにものでもないと。