※この作品はR-18です。

優しき日輪と鬼殺隊の美蝶   作:蓮紅

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※キャプション必読・リクエストに関しての説明あり
*R指定作品です。
・鬼滅の刃原作に関するネタバレあり。原作未読の方は閲覧注意。
・鬼滅の刃二次創作小説です。
・原作・キャラクターの性格・設定等改変の可能性大。一部キャラ崩壊注意。
・思い付き次第で何度も編集を繰り返す可能性大。お時間がある時で良いので、良ければ読み返してみて下さい。
・誤字脱字等のミス・内容の矛盾等の指摘は大歓迎。理不尽なクレームは受け付けません。
・コメント・メッセージ・タグ編集大歓迎。創作意欲の燃料になります。コメント・メッセージの返信は必ずさせて頂きますのでどしどし御投稿下さい。
・SS内容に関してはネタパクリと言う名の盗作を間違えてしないよう気を付けてますが、もし私が投稿した作品が既に別の作者様と内容が酷似していた場合、メッセージにて御連絡下さい。

※リクエストに関して
メッセージにてリクエスト内容を御連絡下さい。
以下規約参照
・100%受け付けられると保証された訳では御座いません。
・炭治郎×鬼滅女子のみ。
・作者は遅筆で怠惰癖あり。またリアルの都合や他SSの執筆で投稿が遅くなる可能性大。
・CP、全年齢かR作品か、ネタの内容を御記入下さい。ネタの内容が詳細で有れば有る程、筆が進むので御協力をお願い致します。


第弐拾陸話 日輪と美蝶の前日祭 ❤

産屋敷家

 

千年の歴史を持つ、日本国随一の名家である。初代まで遡ると平安時代では頂点に君臨していた大名門であった。

 

しかし、一族から鬼舞辻無惨を輩出してから呪いにより子々孫々は早死にする様になり、その座を藤原家に明け渡す事になった。

 

鬼舞辻無惨を討滅し、鬼と言う存在をこの世から葬り去る事に専念した産屋敷家は表舞台から消え去ったが、その影響力は増大すれども減る事は無かった。

 

探せば至るところで産屋敷家の名前が見られ、それを頼りに無惨もまた自身を狙う産屋敷家を滅ぼすべく捜索しているが、今日まで霞の如く逃げられ発見には至っていない。

 

正確に言うと、過去に何度か掴み掛けた事はあれど限り限りのところで逃げられている。

そのため産屋敷家は一族の早死にと言う難点を抱きながらも、今日まで存続しているのだ。

 

炭治郎達は『隠』達に目隠しや耳栓をされて五感を隠された上で、何度も別の『隠』達に変えられて背負われて産屋敷邸まで案内され、大広間で待機している。

 

これは鬼によって囚われ、快楽攻めや拷問、または裏切り者による内部情報の漏洩を防ぐためである。故に鬼殺隊隊士の頂点に立つ柱であろうと、持っている情報は一般隊士のそれと殆ど変わらない。

 

現在大広間にいるのは竈門兄妹、胡蝶しのぶ、甘露寺蜜璃、神崎アオイ、栗花落カナヲ、我妻善逸、嘴平伊之助、珠世、愈史郎の十名だ。

尤も、その中で善逸だけがソワソワして待っていて、禰豆子は箱の中で熟睡中だったが。

 

「な、なぁ。何で俺や伊之助まで呼ばれたんだ?……産屋敷邸って呼ばれるとしたら、柱とか偉い人が呼ばれる場所だろう?」

 

先刻(さっき)も言ったけど、珠世さん達の護衛だよ。何度も言わせないでくれよ、善逸。」

 

「で、でも俺じゃ役に立たないって!」

 

「善逸さんと同意見なのは些か癪ですが、私もとてもお役に立てるとは……。」

 

「御館様は無意味な事はしない方です。善逸君、大人しくしなさい。アオイ、貴女もよ。」

 

騒ぐ善逸をしのぶは静かに諫め、不安な様子のアオイにも声を掛けた。

アオイの腰には封印していた自身の日輪刀が有り、カナヲの腰にはカナエの形見の日輪刀を備えていた。

しのぶの腰にもまた刺突特化の特殊な日輪刀ではなく、入隊時に与えられたまま使う事無く封印していた通常の日輪刀を手にしていた。

すると紫色の着物を着た黒髪のおかっぱ頭で、左頭部に藤の花の髪飾りをしている子供が登場した。

 

「ん?……あっ! あの子って確か、"最終選別"にいた子……。」

 

「しっ!……御館様の御子息であらせられる産屋敷輝利哉……様だよっ。」

 

善逸がそう呟くと、炭治郎が慌ててそう言って善逸を静かにさせた。

因みに伊之助はしのぶに殺気で騒がない様に念押しされているため、最初から静かにしていた。猪頭の被り物も外してある。

 

「御館様の御成りです!」

 

輝利哉がそう言うと、奥から二人の人物がゆっくりと大広間に入って来た。

 

一人は総白髪の二十代後半の長身の美女だ。名前は産屋敷あまね。産屋敷家現当主の妻である。

浮世離れしていると言っても過言ではない、その美貌を前に見慣れていないしのぶと蜜璃を除いた面々は見惚れて固まった。

 

その美女に支えられている様に、一人の長身痩躯の男性が歩いている。

肩まである切り揃えた黒髪に、何より顔を中心に広がる焼け爛れた様な薄紫色の痣に眼が行くのが特徴の美青年だ。

この男性こそが千年以上に渡り鬼舞辻無惨と戦い続ける産屋敷家の第九十七代目当主・産屋敷耀哉である。

 

「御館様におかれましては御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます。」

 

事前にしのぶから挨拶の口上を譲られていた蜜璃が、平伏して耀哉にそう言った。

禰豆子、珠世と愈史郎を除く全員もまた、蜜璃に倣って平伏する。尤も、伊之助はしのぶが怖かったので皆に倣っているだけだが。

 

「ありがとう、蜜璃……善逸、伊之助、カナヲは初めましてだね。産屋敷家第九十七代目当主・産屋敷耀哉だ。自己紹介はしなくて大丈夫だよ。君達の事は知っているからね。」

 

「は、はい。」

 

カナヲが頭を少し上げてから、そう返事して再び平伏する。

 

――これが……御館様……っ。

 

――なんて澄んだ音がするんだ……炭治郎とはまた別の音だけど、聞いているだけで涙が出そうだ……。

 

――な、何なんだ()()()……声を聞いただけでほわほわしやがるぞ……。

 

――数年ぶりにお会いするけれど、痣が広がってる……お労しや、御館様……。

 

――この人が鬼殺隊の現頭領……っ。

 

――……ちっ。

 

カナヲは初めて会う耀哉に圧倒され、善逸は耀哉から鳴る音に感動し、伊之助は胸中に抱いている感情に当惑し、アオイは数年ぶりに耀哉の姿を見て胸を痛めていた。珠世は想像とは違う人物の登場に動揺し、愈史郎は耀哉を見て内心で忌々しそうに舌打ちした。

 

その理由は耀哉の出す声に有る。耀哉の声は聞く者に安らぎを与える。誰問わず心が落ち着き、不思議な高揚感を与えられて心服するのだ。

この声質は産屋敷家の直系に必ず継承されている異能の一つである。

 

「そして……こんなに早く会えるとは思っていなかった……会えて嬉しいよ、珠世さん、愈史郎さん。」

 

「……初めまして、耀哉さん……珠世です。」

 

「愈史郎だっ……ふん、鬼殺隊の親玉がこんな死に損ないの病人とはなっ。」

 

『っ!?』

 

珠世は緊張しながら挨拶すると、愈史郎も倣って挨拶した。しかし次の瞬間、耀哉に向かって侮蔑の含んだ罵声を放つ。

これにはその場に居る全員が驚愕した。

 

「ちょっ!?……愈史郎君っ!!」

 

「愈史郎っ!!」

 

「黙ってろ甘露寺。珠世様もお下がり下さい……俺はこの死に掛けと話しているんだ。」

 

「……っ。」

 

「……」

 

愈史郎の暴言に聞いて蜜璃と珠世は思わず諫めようとするが、愈史郎は聞く耳を持たずに耀哉を睨み付ける。

その態度にしのぶは青筋を立てて横目で愈史郎を睨み付け、炭治郎は心配そうに愈史郎と耀哉を交互に見た。

 

「一人で歩けもしない奴が動き回ったら、周囲が迷惑するだろうがっ。病人なら病人らしく、大人しく寝ていたらどうだっ? お前が直接、戦いに身を投じる訳でも無いんだ。今まで通り、鬼狩り共に任せれば良いだろう?」

 

「確かにそうかもしれない……だが何時か動けなくなる身体なら……今のうちに動いて、私の子供達に出来る事をしてあげたいんだ……たとえ人の手を借りてでも、一人の人間として振舞いたい。」

 

「……っ。」

 

愈史郎は他の面々とは違って、耀哉を見て苛立ちを募らせていた。

 

それは愈史郎の人間時代が起因している。十代半ばで不治の病に侵され、余命幾許も無かった頃だ。

 

物心が付く前に両親と死別し、多額の遺産を目当てに叔父夫婦に引き取られた育てられていた愈史郎だったが、その生活は幸せではなかった。

 

叔父夫婦からも、その実子達である従兄弟達からも親族からも表向きは満面の笑みを浮かべて媚び諂われたが、裏では嫌々な様子で自身の早死にを願い呪っていた事実は忘れたくても忘れられなかった。

 

病が重症化するとその本性を露わにして態度を一変させ、看病する事も忘れて壊れた道具を捨てるが如く、親族全員から見捨てられた。珠世が居なければ、自身はこの世を呪いながら死んだに違いないのだ。

 

それが耀哉はどうだ。自身と同じ状況でありながら卑屈にならず絶望もせず、手を貸す者も嫌がっている様子を見せる様子が無く、大勢の者達に心から慕われている。

 

それだけでも妬ましく腹正しいと言うのに、病人と無駄話をしていると言うのも愈史郎にとっては鬱陶しい限りだった。

 

「おい産屋敷、お前を診ている医者は居るのか?」

 

「ああっ。居るとも……定期的に見て貰っているよ。それからしのぶには薬を調合して貰っている……。」

 

耀哉の回答を聞いて、愈史郎はフンと鼻で嗤う。

 

「珠世様……この男の主治医はかなりの藪医者の様です。薬も役に立たぬ無駄な物を飲まされて哀れな事だ。この男、見ていて鬱陶しいので珠世様が御診察されては如何でしょうか?」

 

『っ!!』

 

「っ!……ええっ! そうねっ!!」

 

珠世は愈史郎の言葉に、これまでとは打って変わって笑みを浮かべて立ち上がった。すると珠世はあまねに話し掛けた。

 

「すみませんが、耀哉さんを診察してもよろしいでしょうか?」

 

「……はいっ。寧ろ、こちらからお願いしたいくらいです。珠世様、どうかよろしくお願い致します。」

 

「はい。何が出来るかは分かりませんが、医者として最善を尽くします。ええっと……。」

 

「っ!……あまねです。産屋敷耀哉の妻・産屋敷あまねと申します。」

 

口籠った珠世の様子を察して、あまねはその場で自己紹介して珠世に頭を下げた。一方愈史郎も騒がしくなっていた。

 

「おいお前らっ! 珠世様がお持ちした薬箱と医療用具全部持って来いっ!」

 

「何でそう偉そうに指図するんだよっ! 自分で取りに行けば良いだろうがっ!?」

 

「馬鹿かお前はっ? 今、俺が歩いたら陽光が直撃するだろうがっ。ウダウダ言ってないで持って来いっ!」

 

善逸が愈史郎に抗議すると、愈史郎は善逸を黙らせて道具を持ってこさせた。勿論、炭治郎や蜜璃達も協力する。

 

実は蝶屋敷に運搬する筈だった医療用具や研究資料だがそれらは現在、産屋敷邸に運び込まれていた。

耀哉の容態を『隠』から聞いていた珠世が急遽、治療に必要だろうと考えての一案だったのだ。

 

こうして、会談の場面になる筈だった大広間は一転して診察室へと変貌を遂げた。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「……良いでしょう。もうお召し物を着て下さって大丈夫ですよ。」

 

診察を終えた珠世が耀哉に脱いだ服を着る様に促した。

着衣を終えた耀哉を見て、皆の注目が集まる中で珠世が開口する。

 

「結論から申し上げますと、やはり普通の薬では治療に役立てないでしょう。鬼舞辻無惨の呪いに寄るものとなると、それはこの世の理の外のものですから。」

 

珠世は一目見ただけで、耀哉の身体に起きている深刻さを理解した。

 

「……」

 

「なんでぇ、それじゃ結局お前も役に立てねぇって事じゃねぇか!? 偉そうに抜かす事かそれっ!?」

 

「おい猪っ!? 珠世様に向かって無礼だぞっ!?」

 

伊之助が珠世の結論に対して声を荒げて抗議すると、愈史郎が伊之助の態度に激昂して睨み付ける。

そうなると必然的に伊之助の怒りが珠世から愈史郎に向かい、一触即発の状態になる。

 

「伊之助、愈史郎さん。二人とも、落ち着きなさい。」

 

『っ!』

 

耀哉が睨み合う二人を宥めるために、優しく声を掛けた。

するとそれだけでピリピリとした一触即発の空気は胡散して消え去った。

 

「人の話は最後まで聞くべきだよ……珠世さん、普通ではない薬なら役に立てると言う事かな?」

 

『っ!』

 

耀哉の発言で、再び注目は珠世に集まった。珠世は耀哉の質問に頷いて見せる。

 

「耀哉さんの言う様に、その普通ではない薬は……禰豆子さんの血が鍵となるでしょう。」

 

「っ!……禰豆子の血が、ですか?」

 

炭治郎は驚いた様にそう反芻すると、全員の注目が禰豆子に集まった。

珠世もまた禰豆子に視線を向けながら、話を続ける。

 

「はい、禰豆子の血は草薙さんの鬼の本能から来る凶暴性を抑え込みました……勿論、耀哉さんの呪いの方が比較するまでも無く遥かに重いものですが……何かしらの影響を与えられる可能性は十分考えられるかと。」

 

そう言ってから珠世は、期待の籠った視線を禰豆子に注ぐ。

しかし、それを遮る様にしのぶが珠世に向かって尋ね始めた。

 

「珠世さん。それはつまり、禰豆子の血を使って製薬すると言う事でしょうか?」

 

「はい。幸いにも道具はこちらに運び入れていますし、産屋敷邸にも今は使われていない研究室があるとか……そちらで製薬をしてみましょうか。」

 

「……すみませんが、珠世さん。その製薬、もう少々お待ち頂けないでしょうか?」

 

「……待つ、ですか?」

 

しのぶなら喜んで製薬に賛成し、協力するものだとばかり思っていた珠世はしのぶの意外な発言に少々面食らう。

 

「おいっ! 珠世様の邪魔をする気か!?」

 

「うるっさい男ですね。誰もするなとは言っていないでしょうがっ……少々待って欲しいと珠世さんにお願いしているんですよ。」

 

しのぶの態度を非難する愈史郎に対し、しのぶは鼻で嗤ってそう言うと、耀哉に平伏してから話し掛けた。

 

「御館様、一つ……いや二つだけ質問した事がございます。」

 

「なんだい、しのぶ?」

 

しのぶに穏やかに返答する耀哉に対し、しのぶは質問を始めた。

 

「柱合会議は、始めるご予定に変更はありますでしょうか?」

 

「変更はないよ。最初から予定通り、皆が任務から帰って来るのに合わせて明日の昼過ぎに柱合会議を予定しているよ。」

 

「分かりました……二つ目ですが、禰豆子さんの血を使っての製薬は暫くお待ち下さいませんでしょうか?」

 

「別に構わないが、どれくらい待てば良いのかな?」

 

「はい、今暫くの御猶予を頂ければ、今より禰豆子さんの血を今以上に濃くして御覧に入れます。」

 

『っ!』

 

しのぶの発言に、その場にいる全員が眼を見開かせて驚いた。耀哉がしのぶの発言に対し、質問する。

 

「ほう……どうやってするつもりかな?」

 

「申し訳ございませんが、それはまだ申し上げられません。ただ、私を信じて頂くしかないのですが……。」

 

しのぶは耀哉へ明確な回答が出来ない事に対し、頭を下げて詫びを入れる。

耀哉はそんなしのぶに対し、穏やかに宥めた。

 

「しのぶを疑うつもりなんて、微塵も私には無いよ。君には他の子供達と同様、絶対的に信頼しているからね。」

 

「勿体無いお言葉、ありがとうございます。御館様。」

 

しのぶはそう言って深々と、頭を耀哉に向けて下げる。そして直ぐに立ち上がった。

 

「……あまね様、お部屋を一つお借りしたいのですが、よろしいでしょうか? それからこの間は、誰も近付いて欲しくないのです。」

 

「でしたら、本邸から少し離れた別邸がありますから其処をお使い下さい。」

 

「使って大丈夫でしょうか?」

 

「はい。定期的に使用人に清掃させるだけでもう使っていませんから。」

 

「ありがとうございます……重ね重ね申し訳ないのですが、以下の物を御用意頂けますでしょうか?」

 

「何なりと。」

 

あまねがそう言ったのを見計らって、しのぶは必要品を口上を述べた。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「善逸君、がんばがんばっ!」

 

「ふひひひひひっ!」

 

産屋敷邸のある一室で、応援する元気な声と、聴いただけで身が竦みそうな汚い笑声が聞こえていた。

その部屋には蜜璃と善逸と伊之助がおり、蜜璃指導の下、柔軟体操が行われていた。

 

善逸の柔軟を見た蜜璃が身体を密着させて善逸の柔軟を手伝っていた。

応援して身体を密着させる蜜璃に対し、善逸は思惑通りに事が運んだ事を喜んでいた。

 

実は善逸は柔軟体操に手を抜いており、こうする事で蜜璃が指導すると思ったからだ。

蜜璃の柔らかい身体と香る桜の様な匂いに喜びながら、蜜璃にされるがままの善逸。

しかし、そんな邪な考えを持つ善逸に、間も無く天罰が下る。

 

「ひひひっ……へっ?……ちょっ、ちょっと待ってっ! これ以上曲がらないっ! これ以上行きませんからっ!!」

 

「弱気な事を言っちゃ駄目だよっ! 痛気持ち良いくらいまで伸ばして初めて可動域が広がるんだから! さぁ頑張れ頑張れ善逸君っ!!」

 

「うぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

蜜璃の怪力で無理やりな姿勢を取らされた善逸は、現可動域を超えたために発した激痛に悶絶する。

泣き叫ぶ善逸を尻目に、伊之助は蜜璃から言われた柔軟姿勢を取っていた。

 

「かあぁぁぁぁっ! 情けねぇな紋逸っ!! そんぐらいでギャーギャー言うなっ!」

 

伊之助は常人には出来ない姿勢を取りながら、善逸の見苦しい醜態を鼻で嗤う。

優越感から来るものであったが、そんな伊之助にも平等に天罰が下る。

 

「伊之助君の身体は本当に柔らかいのねっ! 凄い凄いっ!!」

 

「ははははっ! 凄いだろう俺はっ! 凄いだろう俺はっ!!」

 

激痛で気絶した善逸を放置して、蜜璃が伊之助の下まで行きその柔軟性を称賛する。

称賛された伊之助は更に気を良くして御機嫌になった。

 

「よーしっ! ならもっと頑張ってみようか!」

 

「えっ!?……お、おう! 良いぞっ! 山の王である俺に不可能はねぇっ!」

 

「おー言ったねっ! だったら私も本気で行くわよっ!」

 

「望むところだぁっ!」

 

伊之助の気勢に対し蜜璃は嬉しそうに声を大きくすると、伊之助の身体をがっちりと掴んで柔軟体操を始める。

 

「ふん……これくらい……ちょ……ちょっと待てぇ! 待ってくれぇっ!!」

 

「頑張ってっ! 伊之助君っ!! 此処から頑張れば新しい世界が広がるからっ!!!」

 

「うぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

蜜璃の怪力で善逸以上に無理やりな姿勢を取らされた伊之助は、現可動域を超えたために発した激痛に悶絶する。

無意識に善逸と伊之助を拷問している蜜璃は、二人の柔軟体操を交互に手伝いながら回想と考え事をしていた。

 

『良いですか、甘露寺さんっ? "絶対に"善逸君と伊之助君を私達に近付けないで下さい。お願いしますよ? "絶対に"ですからね? 成し遂げて頂けたらお礼はたっぷりさせて頂きますから。』

 

『うんっ! 分かったわっ!!』

 

――しのぶちゃんが禰豆子ちゃんに何をするか分からないけれど、しのぶちゃんの事だからきっと大丈夫っ! 私はしのぶちゃんに頼まれた様に、善逸君と伊之助君を此処に引き留められる様に頑張らないとっ!!

 

そう決意した蜜璃は更に柔軟体操に力を入れる。聞き苦しい絶叫を奏でながら、蜜璃はある事を頭に浮かんだ。

 

――でもあの面々を考えると……いやいや、珠世さんと愈史郎君がいるから事には及ばないよね。第一、炭治郎君と禰豆子ちゃんは実の兄妹だし……無いよね? 流石に無いよね?

 

こうして暫くの間、蜜璃は一抹の不安を抱きながらも産屋敷邸では二人の男が放つ汚い高音による絶叫が鳴り響いた。

 

 

 

♦︎

 

 

 

東京府・産屋敷邸

 

大正二年(一九一三年) 三月十四日(金)

時間帯:朝

天気:晴れ

 

 

炭治郎達は産屋敷本邸から離れた別邸に集まっていた。

その場にいるのは炭治郎、禰豆子、しのぶ、アオイ、カナヲ、珠世、愈史郎の七人が集まっていた。禰豆子も現在、箱から出て起床している。

 

しのぶの指定で、室内には一斗の結樽一杯に入った冷えた井戸水とそれを掬って飲むための大きな合が付いた柄杓が有った。

因みに別宅へ移動する際に珠世と愈史郎、そして禰豆子はそれぞれアオイとカナヲ、そして炭治郎が箱に入れて運び、道具は産屋敷の使用人が運び入れた。

 

「……で?……何故俺と珠世様まで此処に連れて来た?……相応の理由が有るんだろうな?」

 

「……珠世さん。以前、お手紙で禰豆子さんの血の件で是非ともその変化を聞きたいと言う旨を書かれていた内容を覚えていますか?」

 

「おいっ!」

 

「愈史郎っ!……すみません、しのぶさん。勿論、覚えていますよ。」

 

激昂する愈史郎を宥めると、珠世はしのぶの質問に対し肯定した。

その顔色は好奇心と興奮で満ちていた。そんな珠世の視線を受けて、しのぶは一度深呼吸してから決意を固める。

 

「出来れば隠したかったのですが、とても御二人からは隠し通せるとは思わないので、はっきりとお伝えしたいと思います。実は……。」

 

「「……っ!?」」

 

しのぶは禰豆子の血の変化の詳細を説明すると、二人の顔は驚愕一色で染まった。

炭治郎はその説明を傍らで聞く間、とても居た堪れない気持ちで一杯になっていた。

 

「……炭治郎。お前は仏の様な奴だと思っていたが、その本性は(ケダモノ)そのものだったんだな……ある意味、尊敬するぞ。」

 

「……愈史郎さん、尊敬するとかそんな心にも無い事を言わないで下さい。むしろ、軽蔑の匂いをプンプン感じるんですが……。」

 

「必要なら何度でも言いますが、禰豆子さんが炭治郎君の寝込みを襲ってした事ですので、その辺は絶対に勘違いしない様に。それから絶対に、口外しないで下さい。」

 

「こんな事実、口外出来るかぁっ!?」

 

愈史郎は激昂してしのぶの警告に対してツッコミを入れた。一方の珠世は話を聞いて最初こそ動揺したものの、直ぐに真剣な表情でしのぶの話を一語一句聞き逃すまいと耳を顔ごと傾けていた。

しのぶの話を聞き終えた珠世は、一旦双眸を閉じるとゆっくりと見開いてから開口を始めた。

 

「体液は確かに体液だけれど……精液を摂取しただけであれだけの変化を……っ?」

 

右手を顎に手を置いて、ブツブツと独言を口にしながら禰豆子について考察する珠世。

そんな珠世を、皆は横から口を出さずに見守る。

 

――真剣にお考え事をされている珠世様も美しい……。

 

そんな珠世を、愈史郎は相変わらずその美貌を称えながら見惚れていた。

珠世は考察を続けていたが、皆の視線を感じてコホンと咳払いしてからしのぶと向き合った。

 

「しのぶさんが言っていた"血を濃くする方法"とは……つまりはそう言う訳ね?」

 

「まぁ……そう言う事です。」

 

しのぶは珠世の察した様子に、頬を赤く染めながら肯定した。すると愈史郎が何かに気付いた様子で、しのぶに問い掛けた。

 

「なぁ……精液であれだけ変化が促進されたと言うのなら……禰豆子に血を飲ませた方がもっと早く進化するんじゃないか?」

 

『っ!』

 

愈史郎の質問に、全員がハッとした表情をする。問い掛けられたしのぶに注目が集まるが、しのぶは静かに首を横に振った。

 

「それは私も考えました。しかし、禰豆子さんは炭治郎君の血を飲む事を頑なに拒否したんです。」

 

『っ!』

 

「っ!……禰豆子さんがっ。」

 

「……しのぶ姉さん、その試みは何時やったの?」

 

全員がその事実に驚く中、カナヲは何時その実験をしたかしのぶに質問した。

 

「そうね……三日前から毎日実験したわ。炭治郎君の血液を飲ませる試みと……それ以外の人間の血に反応するかを確かめる実験をね。」

 

「っ! しのぶさんっ。それで禰豆子はどういった反応をしたんですかっ?!」

 

炭治郎は食い気味な様子で、しのぶに質問をする。禰豆子に関連する案件だからか、焦燥感が見て取れる。

大切な実妹の事とは言え、そんな必死な様子の炭治郎を見てしのぶは禰豆子に少々の嫉妬心を抱きながら、その質問に答える。

 

「炭治郎君の血にだけ反応した……それから幾人もの血を試験管に入れて並べてみたら、炭治郎君の血以外には見向きもしなかった。けれど、決して炭治郎君の血に手を付けようとはしなかったわ。それは血を入れ替えて何度試しても、結果は変わらなかったの。」

 

『……っ。』

 

しのぶから禰豆子の実験結果を聞いて、全員が驚きと共に安堵感を覚えた。何故なら、幾ら血を見ても鬼の本能が機能して居ないと言う、何よりの証拠だからだ。

 

「しのぶ様。私もこの実験に関して初耳なのですが、しのぶ様だけで禰豆子さんの実験をされていたのですか?」

 

「ええ。アオイの言う通り、私だけで実験を行ったわ。」

 

「……一言だけでも言って下されば、お手伝いしましたのに……。」

 

アオイの質問にしのぶが肯定すると、アオイは不満そうにそう口にした。そんなアオイを見て、しのぶは苦笑しながらその理由を話し始めた。

 

「万々が一、禰豆子さんが暴走しても被害は私だけで済むでしょう? それにその時は私の独断専行で、炭治郎君の了承を得ずに勝手に実験を行った事にしようと思ったのよ。」

 

『っ!?』

 

しのぶが何でもない様に理由を言うと、炭治郎達は眼を見開いて驚愕した。つまり、禰豆子のために全責任を負う覚悟だったと言う事に他ならない。

 

「しのぶさん……っ!」

 

「ごめんなさいっ……自分勝手なのは重々承知よ。それでも炭治郎君を巻き込みたく無かったの。」

 

炭治郎が若干、声を荒げてしのぶの名を呼ぶとしのぶは申し訳無さそうに謝罪した。その様子を見た珠世が、しのぶに助け舟を出す。

 

「炭治郎さん、もう過ぎた事を言っても仕方無いわ……今後の実験は、私や愈史郎も加わりますから安心して?」

 

「珠世さん……分かりました。でもしのぶさん。もうそんな無茶は今後、御一人だけでは絶対にしないと俺達に約束して下さい。」

 

「ええっ。約束します。」

 

珠世にそう説得され、炭治郎は渋々納得した上でしのぶに約束させると、しのぶは二つ返事で了承した。

 

「……で、今から始める訳か?」

 

「はい。」

 

愈史郎の問い掛けに対し、しのぶが肯定する。

 

「おい、炭治郎。お前は大丈夫なのか?」

 

「えっ? 愈史郎さん、どう言う意味でしょうか?」

 

愈史郎からの思わぬ気遣いの言葉に、炭治郎は面食らって質問を返した。呆れた様子で、愈史郎は炭治郎の質問に答える。

 

「言葉通りの意味だが? お前は一夜掛けて散々、しのぶ達と()っていただろうが。体力と精力は持つのか?」

 

『っ!』

 

「あ、あはははは……産屋敷邸(此処)まで来る時に、『隠』さんの背中で一時間ぐっすり寝てましたし、大丈夫だと思いますよ。」

 

後頭部を掻きながら、照れ臭そうに炭治郎はそう言った。それを見て愈史郎が珠世に目配りをした。

 

「……珠世様っ。」

 

「ええっ。」

 

愈史郎の目配りを見て、珠世が炭治郎の前へ向かうと懐から二種類の色違いの丸薬が入った薬入れを取り出して炭治郎に渡した。炭治郎は手渡された丸薬を見て、少々当惑しながら珠世を見る。

 

「えっと……このお薬は何ですか?」

 

「青色の丸薬が珠世様特製"疲労・体力回復薬"。黄色の丸薬が珠世様特製"精力増強剤"だ。」

 

『っ!?』

 

「疲労・体力回復薬に精力増強剤っ……ですか。」

 

しのぶ達が驚愕する中、愈史郎の説明を受けて、炭治郎が反芻する様に口にしながら手元にある丸薬を凝視する。

 

「ま、待って下さいっ! その薬の副作用は何なのか、私が知らずに服用は認められませんっ! 珠世さんっ、是非教えて下さいっ!」

 

しのぶは何故か怒った様子で、珠世に丸薬の副作用について説明を求めた。炭治郎がしのぶの匂いを嗅ぐと、嫉妬の匂いを嗅ぎ取った。

 

「お前っ……珠世様が製薬したお薬を疑う気かっ!?」

 

「愈史郎っ!……しのぶさん、副作用と言っても頻繁に乱用しなければ何も起きませんよ。起きたとしても若干の間、不眠になる程度です。」

 

「……そうでしたか。」

 

激昂した愈史郎を宥めて、珠世は簡潔に薬の副作用についてしのぶに説明する。しのぶは渋々、納得した様に見せた。

すると愈史郎はそんなしのぶの様子を見て、鼻で嗤って話を再開した。

 

「珠世様が製薬したお薬に欠陥が有る訳が無いだろうがっ! 珠世様の看板商品の一つだぞっ。」

 

「看板商品?」

 

アオイが愈史郎の発言に、好奇心と疑問を復唱する。愈史郎はアオイの反応を見て、ふふんと鼻を鳴らして室内を動き回りながら、説明を始めた。

 

「珠世様は貧乏人共から診察料を取る様な真似はしないっ。だが人間社会に生きて行く以上、金は必要不可欠だ。ならどうするか? 当然、金を持ってる金持ち、例えば華族や大商人共と言った金蔓を相手に金を分捕れば良い。」

 

そう言って愈史郎は青、黄、桃色の丸薬が入った薬入れを取り出した。

 

「幾つもある珠世様がに製薬した素晴らしいお薬の中でも人気商品だ。青と黄色の丸薬が先刻(さっき)説明した薬だ。桃色の丸薬は避妊薬だ。」

 

「避妊薬っ!?」

 

しのぶは驚愕してその桃色の丸薬を凝視した。そのしのぶの様子を見て、愈史郎は得意げになる。

 

「疲労・体力回復薬は一番人気の薬だ。使う場面を問わない。この薬と併せて他の二つの内どちらかもしくは両方を買う。

精力増強剤は男共に人気だ。女を元気に抱きたいから当然だな。

そして精力増強剤以上に人気で、回復薬と並ぶくらい皆が欲しがるのが避妊薬だ。男は妻以外の女を抱く際に妊娠されたら困る。女は夫や恋人じゃない、つまり浮気相手の間男の子を孕むと困るから欲しがる。

それから、吉原遊郭の花街で店を経営する経営者共が挙って欲しがるな。理由は勿論、商品である遊女共が妊娠したら使いものにならないからだ。

因みに今は手元に無いが、生理痛抑制薬もこの三つの次くらいに人気だぞ。」

 

愈史郎は説明をし終えると、まるで自身の業績が如くむふぅと鼻息を荒げて誇らしげになる。珠世は面白そうにそんな愈史郎を見て苦笑した。

 

「勿論、薬の売買で無惨に見つかるヘマをしない様に工夫はしてありますから。」

 

「……成程、御高説ありがとうございました。」

 

しのぶはそう言って僅かだが、頭を愈史郎に向かって頭を下げた。炭治郎はしのぶから嫉妬の匂いに加えて尊敬と悔しい匂いを感じた。

炭治郎は知る由も無いが、どれもしのぶが作ろうとして製薬に失敗している薬ばかりだからだ。

そして固定の客層が居ると言う事は、薬効は確かだと言う証拠に他ならない。年季が違うとは言え、同じ医学者として尊敬するも嫉妬するのは無理は無い。

 

「珠世さん、是非後で丸薬を頂けますか?……それから製薬方法もどうか……。」

 

「ええ、構いません。」

 

「言おうと思ってましたが、私達に敬語は無用ですよ。珠世さん。」

 

「……分かったわ。炭治郎さん、始めるならその前に丸薬を飲んで十分程待ってね?」

 

「はい、分かりました。」

 

それから珠世と愈史郎は箱に戻ると、それをアオイとカナヲが背負って別邸を出ようとする。

しかし、しのぶは出ようとせず炭治郎と布団を敷くのを手伝っていた。

 

「……姉さん、何で一緒に出ないの?」

 

「何でって……私も混ざるからよ。」

 

「はぁっ!?」

 

あっけらかんとした様子でさも当然の如く言うしのぶに対し、アオイが青筋を立てて憤る。カナヲも声に出さないが、青筋を立てている。

炭治郎も予想していなかったのか、驚いた様子でしのぶを見ていた。

 

「驚く事はないでしょう? 禰豆子さんの貧相で退屈な身体で、炭治郎君が満足する訳無いじゃない。だから最後までしたいところだけど、其処は我慢して当て馬になる心算よ。」

 

「むっ!?」

 

「し、しのぶさん。其処はせめて慎ましいと言ってあげて下さいよ……っ。」

 

しのぶは禰豆子を鼻で嗤いながら、そう言って蝶の羽織と隊服の上着を脱いで晒姿になった。しのぶの発言を聞いて、禰豆子が青筋を立てて睨み付ける。

炭治郎もしのぶの隠す様子も無い言い方に、少々困った様にそう言った。

 

「ふふ、貴女達も最後までして貰えず当て馬でも良いと言うのなら、人数分の着替えを持って来た上で戻ってらっしゃい❤」

 

「「はいっ!!」」

 

アオイとカナヲは元気良く異口同音で返事をすると、ドタドタと別邸から走り去って行った。

 

「さぁて……時は金なりよ、炭治郎君。最後まで出来ないけど、たっぷりと愛し合いましょうか?❤」

 

「はいっ!」

 

「……むぅ。」

 

炭治郎が返事すると同時に、三人は服を脱いで生まれたての姿になった。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「アオイっ! 早く早くっ!!」

 

「カナヲっ! あんた私にだけ着替え持たせんじゃないわよっ!?」

 

カナヲを先頭に、アオイが着替えを持って口論しながら本邸の中を疾走し、別邸に帰還する。

珠世達を送り届けるために出て、着替えを入手するまで二十分以上経過していた。

 

「姉さん、戻りましたっ!!」

 

カナヲが勢い良く襖を開けて、しのぶに帰還を報告した。そして間も無く着替えを両手に抱えたアオイがやって来た。

アオイは直立したまま固まるカナヲを見て、不思議に思う。

 

「カナヲ?……っ!」

 

カナヲの名を呼んだ直後、アオイは眼前の光景を見て息を呑む。

 

「ああんっ❤……あああんっ❤」

 

「れろぉ❤……ちゅぅっ❤……たん……じろぉ……くぅん……んちゅうぅっ❤」

 

「んんっ……しっ……のぶ……んちゅ……さん……っ……。」

 

「「……っ!」」

 

炭治郎達の情交(セックス)は既に始まっていた。炭治郎が後背位で禰豆子を責め立て快楽で悶えさせていていた。

禰豆子は余程気持ちが良いのか、布団を両手で掴みだらしなく涎を垂らしていた。

 

炭治郎は禰豆子に逸物を突き立てながら、しのぶとの口付け(キス)に没頭していた。

炭治郎はアオイ達の反対側に顔を向けているため、表情は窺う事が出来ない。

 

その代わりにしのぶの表情は見て取れた。

しのぶはアオイ達と目線が合うと、眼を細めて見せ付ける様に更に大きく音を立てて口付け(キス)をした。

 

「じゅるるっ❤……ちゅるるるっ❤……じゅちゅるるるっ❤」

 

「はぁ……はぁ……姉さんっ……ずるいっ!」

 

「そうですっ!……はぁ……はぁ……わ、私達も混ぜて下さいっ!!」

 

アオイとカナヲはそう叫んでから、乱暴に着替えを投げ捨てて着ていた隊服も乱暴に脱ぎ始めた。

二人の様子を見て、しのぶが炭治郎から口を離す。

 

「待てっ。」

 

「「っ!!」」

 

犬を躾ける様に、しのぶがそう言うとアオイ達の動きが止まる。

アオイ達は身体を動かしたくても、金縛りに遭ったが如く目線以外を動かす事が出来ない。

それを見てしのぶは、人差し指を自身の唇に一度当ててから、二人に話し掛ける。

ちゅぱっ、と水音がその際に鳴った。

 

「もう少しそのままでいなさい。十分くらい経ってから、二人のどちらかに代わってあげるから……んっ❤」

 

そう言うと、しのぶは再び炭治郎と熱い口付け(キス)を再開させた。

再び二種類の水音が室内に鳴り響き、しのぶの約束通り丁度十分経ってから、交代するために二人の前に立つ。

この間、炭治郎は禰豆子に一回射精していた。

 

「「はぁ……はぁ……はぁ……。」」

 

アオイとカナヲは羨望の眼差しをずっとしのぶに向け続け、淫蕩な雰囲気に飲まれて何時自慰をするために手を動かし始めてもおかしくは無かった。

 

「アオイ……待てっ。」

 

「っ!?」

 

アオイはしのぶからお預けを継続され、表情に絶望の色が宿る。しかし、しのぶはそんなアオイを歯牙にも掛けない。

 

「我慢なさい。炭治郎君は禰豆子さんの相手をしなきゃいけないんだから、先ずは身体を温めないとね……カナヲ、本番は許さないわよ? 私も我慢しているんですからね?」

 

「はいっ! はいっ! 分かったっ! 分かったからっ! 姉さんっ!!」

 

早く許可をくれと言わんばかりに、カナヲが急かす。その双眸には既に涙で溢れそうだった。

 

「よろしい、十五分だけよ?……よしっ!」

 

「たんじろぉ!!❤❤」

 

しのぶの許可する発言の後に、弾丸の如く炭治郎に向かって飛び込んだ。

炭治郎は危うく吹き飛びそうになるが、何とかその場に留まった。

 

「カナヲ!……慌てないで……んちゅ……逃げないから……んんっ!!」

 

「んちゅうぅぅぅぅっ!❤……じゅるちゅぅぅぅ!❤……れろちゅろ!❤」

 

「じゅうううぅぅぅっ!……ちゅるちゅううぅ……ちゅろれろ……っ!」

 

飢えた獣の如く、歯が激突する勢いで炭治郎と口付け(キス)をするカナヲ。炭治郎は戸惑いつつも、カナヲに応えるべく全力で返す。

 

「ああんっ!❤……あああっ!❤……あんっ!❤」

 

カナヲと口付け(キス)をしつつ、炭治郎は禰豆子への責めも忘れない。禰豆子も涎を垂らしながら、齎された快楽に酔う。

 

「はあぁぁっ!…はあぁぁっ!……ふっ――!……ふっ――!……炭治郎さんっ!……カナヲっ!」

 

アオイは先程よりも息を荒くしながら、羨望の念を隠さずに三人の情交(セックス)を眺める。

 

「ふぅっ……ふぅっ……ふぅっ……っ。」

 

しのぶもまたアオイ程ではないにしろ、息を細かく吐いていた。

 

このまましのぶと同様に、カナヲも時間一杯まで炭治郎と口付け(キス)をするかと思われたが、此処で変化が訪れる。

 

「ちゅううぅっ!❤……はぁっ!……はぁっ!……炭治郎っ!……おっ、乳房(おっぱい)吸ってっ!❤……もう先端が痛いくらい疼くのっ! お願い吸ってぇっ!!」

 

カナヲが両手で乳房を掴んで炭治郎の口元へ持って行き、吸って欲しいと懇願した。

炭治郎はカナヲの必死な形相に、一言だけ返事して思い切り陥没乳首に吸い付いた。

 

「う、うんっ! ぱくっ!……ちゅううぅぅぅぅっ!!」

 

「ああああああっ!!!❤❤」

 

カナヲは炭治郎の力強い吸引を感じて、大きく後ろへ仰け反った。快楽に悶絶して炭治郎の頭を強く乳房へと押し付けながら、馬の尾の如き一つに束ねた黒の長髪を左右に振り回す。

 

「んぐっ!?……じゅるっ! ちゅうちゅうぅっ!」

 

「あああんっ!!❤……良いぃっ!❤……良いのぉっ!!❤ どっちもいっぱい吸ってぇ!!❤」

 

カナヲは窒息させない程度に抱擁を緩めながら、自身の乳房を夢中で愛撫する炭治郎を愛おしく見詰める。

 

「ううぅっ……カナヲっ……良いなぁ……っ。」

 

「同感……ですっ……私も吸って貰えば良かった……っ。」

 

アオイの羨望に満ちた呟きに、しのぶも先刻より顔を赤く息を荒げながらカナヲを見詰めていた。

カナヲはしのぶとアオイの姉二人から感じる羨望の視線に優越感を抱きながら、十五分間ずっと乳房を愛撫して貰っていた。

 

「……さぁカナヲっ!……交換の時間よっ!」

 

両手を拍手する様にパンパンと二回叩いて、カナヲに炭治郎から離れる様にしのぶが促した。

 

「ああっ❤……たんじろぉ❤……私の乳房(おっぱい)美味しいぃ?❤」

 

「うんっ……ちゅば……美味しいよっ……っ。」

 

「あああっ❤……あああっ~~❤❤」

 

しのぶの声を無視して、三人は情交(セックス)を続けていた。これには、しのぶの額に青筋が浮かぶ。そしてその怒りは刹那の瞬間に爆発した。

 

「……交代だって言ってんでしょうがぁっ!? 終いよっ! し――ま――いぃっ!!」

 

「いたたたたたっ!? 痛い痛いっ! 痛いよしのぶ姉さんっ!?」

 

激昂したしのぶがカナヲの耳朶を掴んで引っ張ると、流石のカナヲも耳を引き千切らんばかりに容赦なく引っ張るしのぶに従わざるを得ず、炭治郎から離れて行く。

 

「ふんっ!……さぁアオイ、待たせたわね。よしっ!」

 

「は、はいっ!!」

 

アオイがしのぶの許可を得ると同時に、炭治郎の下へ駆け付け口付け(キス)をした。

しかし、カナヲと違い労わる様な優しい口付け(キス)だ。

 

「んっ❤……炭治郎さん、少しの間だけ動かないで下さい。」

 

「んっ……えっ?……分かった。」

 

アオイは動かない様に頼み了承されると、今度は禰豆子に近付いて行った。

 

「禰豆子さんっ! 先刻(さっき)から炭治郎さんしか動いていないじゃないですか! 今度は禰豆子さんが動いてあげたら如何ですか?」

 

「っ!……はぁ……はぁ……うんっ!」

 

禰豆子がアオイの提案を承諾すると、息を整え一度逸物を抜いてから身体を起こして騎乗位の態勢になった。

 

「アオイさんっ?」

 

「はぁ……はぁ……わ、私は炭治郎さんにお股を舐めて欲しいんですっ……私、昨夜に互いの性器を舐め合ったのが忘れられなくてっ!……っ!!」

 

『っ!』

 

「た、体重は掛けませんので圧し掛かっても良いでしょうか!?」

 

アオイが太腿をモジモジと擦り合わせながら、炭治郎に嘆願する。

炭治郎は、笑顔でアオイの嘆願を承諾した。

 

「勿論だよ。おいで、アオイさん。」

 

「は、はいっ!」

 

炭治郎の許可を得たアオイは、早速炭治郎の顔に覆い被さる様に秘部を押し付けた。

 

「んっ……れろれろ……ちゅるるるる……じゅるっ!」

 

「ああっ!❤……良いっ!❤……もっと舐めて下さいぃっ!!❤❤」

 

秘部への愛撫を始めた炭治郎に、アオイは興奮を隠せない。自身の愛液が炭治郎の口に入って糧となり最愛の恋人の一部になって行くと思うと、興奮して益々アオイの秘部から愛液が分泌されて行く。

一方、炭治郎の下半身でも動きが有った。

 

 

 

パンっ! パンっ! パンっ!

 

 

 

「ああうぅっ!❤ あああっ!❤ ああああんっ!❤」

 

禰豆子もまたアオイに対抗心を抱いて、強く腰を打ち付けて炭治郎の逸物から白濁の溶岩を膣内に招き入れようと奮起する。

そしてその瞬間は間も無く訪れた。

 

 

 

ビュルルルルルルルゥゥゥゥゥ! ビュルルビュルルビュルルルウウゥゥ!!!

 

 

 

「あああああああぁぁぁぁぁぁっ!!❤❤❤」

 

炭治郎の逸物から射精された白濁の溶岩が禰豆子の膣内に入り、そして体内へと吸収されて行った。

禰豆子は何度受けても慣れないこの極上の快楽と幸福感、そして達成感を感じて全身を震わせた。

余韻も束の間、再びこの感覚を得るべく腰を打ち付け始めた。

 

「ああっ!❤……アオイも羨ましいけど……やっぱり禰豆子ちゃんが一番羨ましい……っ。」

 

「ふうううぅぅぅっ……ふうううぅぅぅっ……そうねっ……っ。」

 

しのぶは深呼吸しつつ、カナヲに同意する。気を紛らわすべく、以前の出来事を回想していた。

 

――おひささんの屋敷でもああやって交代でそうやってたのよね……ただ私の汗を舐めた禰豆子さんの身体に異常が無いか後で直ぐ調べたわね。あの時は本当に焦ったわ、何も無かったから良かったけれど……でもどうして何も無かったのかしら? 禰豆子さんには、藤の花の毒は効かないとか……まさかね?

 

そう思いつつ、アオイの時間が終了したのでアオイを引き剥がして今度はしのぶの番となった。

そうしてしのぶ達は交代で炭治郎と禰豆子の情交(セックス)に参加し、時間が過ぎて行く。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「し、しのぶ様。お昼ご飯を持って来ました。」

 

「ありがとう、アオイ。カナヲもお疲れ様。」

 

しのぶはそう言ってアオイとカナヲを労うと、柄杓で結樽から掬った水をぐいっと一気飲みする。

アオイとカナヲはしのぶに命じられて昼食を持って来た。

十個以上あるおにぎりにふわふわの卵焼きときちんとお椀に入った味噌汁だ。

 

本当はきちんとした定食をあまねが用意していたのだが、しのぶに命じられてアオイがそれらを持って来たのだ。

しのぶは早速、おにぎりを一口頬張る。そして炭治郎に近付いた。

 

「ふぁい、あーん❤」

 

「んぐっ!?」

 

「「っ!?」」

 

しのぶが炭治郎に口付け(キス)をして親鳥が雛に餌を与えるが如く食べさせたのだ。

これにはその場に居る全員が面食らう。しかし、直ぐにアオイが我に返った。

 

「っ!……負けません!!」

 

何時の間にか再び全裸になっているアオイが、卵焼きを口に含むとそのまま炭治郎に口付け(キス)をした。

 

「んんっ!?」

 

「んちゅ❤……美味ふぃい……ちゅちゅっ❤……でしゅかぁ❤……ちゅっ❤」

 

「ほう、アオイもやるわね。」

 

「むぅ~~っ! 私だって負けないっ!……あつっ!? あっつっっ!?」

 

カナヲも対抗しようと味噌汁を口に含んだが、冷まさずいきなり口にしてその熱さに悶絶し、慌てて柄杓で水を口内に流し込んだ。

 

『ぷっあははははははははっ!!!』

 

その様子に室内は爆笑の渦に包まれた。カナヲの顔は火が付いた様に真っ赤に染まったのは言うまでもない。

 

その後は(トイレ)休憩や水分補給を挟みつつ、炭治郎はしのぶ達を愛撫し愛撫されつつ禰豆子を抱き続け精液を注ぎ込み続けた。

 

しのぶ達は途中で我慢出来ず、本番までしそうになったが必死で堪えて我慢を続けた。

 

珠世と愈史郎から貰った精力増強剤と回復薬を服用した効果もあってか、この妖艶な宴は夕方になるまで止まる事無く続いたのだった。

 

 

 

♦︎

 

 

 

大正二年(一九一三年) 三月十四日(金)

時間帯:夕方

天気:晴れ

 

 

「すぅ……すぅ……すぅ……。」

 

産屋敷本邸の少し離れたところにある別邸では、炭治郎が疲れ果てた様子で眠り込んでいた。

 

そうしていると、しのぶが何か大事な事を思い出したかの様に一度両手を叩いた。

その手を叩いた音に釣られて、アオイとカナヲはしのぶを見た。

 

「アオイ、カナヲ。折角の機会だから、今の内にしておきましょう。これから貴女達に、大事な話があります。」

 

「っ!」

 

「……はい、何でしょうか?」

 

カナヲとアオイは身構えて、話を聞く態勢を取る。声色からして、かなり重い話かもしれないと思ったからだ。

真剣な表情を取る二人に対し、しのぶは議題を口にした。

 

「……」

 

「「…………っ!?」」

 

議題の内容を聞いたアオイとカナヲに対し、しのぶは嘗てこれ以上無い程に真剣な表情で二人に問う。

 

「私は覚悟は出来ているわっ。だからと言って強制はしない……貴女達は如何かしら?」

 

「勿論ですっ!」

 

「炭治郎のためなら、喜んでっ!!」

 

しのぶの問いに、アオイもカナヲも間髪入れずに即答した。さも当然だと言わんばかりに。

そんな二人の態度に、しのぶは満足そうに笑みを浮かべた。

 

「よろしい……後で()()()を用意するから、その時に……改めて、炭治郎君を一緒に支えましょうね。」

 

「「はいっ!!」」

 

互いの手を固く握って、しのぶ達は炭治郎を支える事を固く誓った。

しのぶ達は手を握ったまま、隣で寝ている炭治郎を愛おしそうに見詰めて微笑む。

因みに、禰豆子は犯り疲れて既に箱の中で小さくなって眠っている。

 

「子供みたいな安心し切った顔しちゃって……ふふっ」

 

「そりゃあんなに射精したんですから、炭治郎さんが疲れ果ててそのまま寝るのも仕方ないですよ。」

 

「うん……疑問なんだけど、姉さん。男の人って炭治郎みたいにとは言わないけど、何回も射精出来るものなの?」

 

カナヲの質問に、しのぶは難しい顔をしながら質問への回答を口にする。

 

「いいえ、多くても五、六回が限界だそうよ。普通の絶倫の人で十回超えるくらいかしらね?」

 

「えっ!?……でも今回、炭治郎は私達との情交も合わせて百回以上射精して……っ!」

 

「正確には私達三人で三十回以上、禰豆子さんで百回以上……合計で百三十回以上ね……自分でも何言ってるのか分かんないわね……。」

 

「こんな事実、伝えたところで誰も信じて貰えないでしょうね……珠世さんの薬が凄かったのか、炭治郎君の精力が元々凄かったのか、或いは両方か……。」

 

「姉さん、そんなの考えても分からないんじゃないかしら……。」

 

しのぶ達は炭治郎の精力絶倫振りに、もやは尊敬を通り越して戦々恐々としながら話し合っていた。尤も、休息を挟みながらの情交(セックス)ではあったが。そうでなければ、炭治郎の逸物が持たないからだ。

 

不能で短小で情交(セックス)に淡泊よりは遥かにマシだが、自分達だけではとても受け止められそうにない。

無論、全力で受け止めるがそれにしても限度が有る。そう言いたいしのぶ達であった。

 

「ま、まぁ幾ら精力が凄くて性欲が凄まじくとも、体力が追い付いてませんからね。火山内部にどれ程の溶岩が溜まっていようが、噴火しなければ恐れるに足りません。」

 

「そんな言って、しのぶ様が炭治郎さんより先に気を失わずに済んだ事はありましたか?」

 

「うぐっ……っ。」

 

自身を鼓舞する様に発言したしのぶだったが、アオイにツッコミを入れられて思わず黙り込んだ。

そこへカナヲが、黙り込むしのぶに助け舟を出す。

 

「しのぶ姉さんっ! 今はそんな事よりも何時、禰豆子ちゃんの血を珠世さんにお渡しするの?」

 

「そうね……今直ぐ採血した物をとりあえず渡して、暫く時間が経過してから改めて採血をしてみましょう。時間がある程度経過した物の方が、身体に順応して変化が起きているかもしれないから。」

 

しのぶはそう言ってから禰豆子が寝る前に採血した血を持って別邸から出て行くと、カナヲとアオイがその後を付いて行った。




お待たせしました。
炭ナエまで持って行きたかったのですが、此処まででした。多人数の情交って難しいなぁ……今回は制約付きだけど。まだまだ修行不足を痛感しました。
次回の更新は六月中です。次回こそ炭ナエです。

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きのこ三昧様
pixivユーザー https://www.pixiv.net/users/27228381
R18の炭治郎×鬼滅女子ssを書かれている作者様です。優しく丁寧で愛に溢れた文章は是非とも見習いたいところです。

あなたを守る
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10993709
炭蜜ss。刀鍛冶の里編後に炭治郎が蜜璃に告白し、蜜璃がその想いを受け入れて結ばれます。

梅雨入りと湯船
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11610246
炭カナss。決戦後、夫婦になった炭治郎とカナヲが風呂で身体を重ねます。

愛のかたち
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11664254
炭カナss。「梅雨入りの湯船」の続編。悩み病むカナヲを炭治郎の愛が包んで癒します。

忍び寄る蝶
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12719254
炭しのss。決戦後、炭治郎に命を救われたしのぶが、お礼と称して風呂で炭治郎を襲い、秘めていた想いを告白します。

登場人物の性器発言ってどう思います?

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