・鬼滅の刃原作に関するネタバレあり。原作未読の方は閲覧注意。
・鬼滅の刃二次創作小説です。
・原作・キャラクターの性格・設定等改変の可能性大。一部キャラ崩壊注意。
・思い付き次第で何度も編集を繰り返す可能性大。お時間がある時で良いので、良ければ読み返してみて下さい。
・誤字脱字等のミス・内容の矛盾等の指摘は大歓迎。理不尽なクレームは受け付けません。
・コメント・メッセージ大歓迎。創作意欲の燃料になります。コメント・メッセージの返信は必ずさせて頂きますのでどしどし御投稿下さい。
・SS内容に関してはネタパクリと言う名の盗作を間違えてしないよう気を付けてますが、もし私が投稿した作品が既に別の作者様と作品内容が酷似していた場合、メッセージにて御連絡下さい。
※リクエストに関して
メッセージにてリクエスト内容を御連絡下さい。
以下規約
・100%受け付けられると保証された訳では御座いません。創作意欲次第で承諾する場合もお断りする場合も御座います。
・炭治郎×鬼滅女子のみ。
・作者は遅筆。またリアルの都合や他SSの執筆で投稿が遅くなる可能性大。
・CP、全年齢かR作品か、ネタの内容を御記入下さい。ネタの内容が詳細で有れば有る程、筆が進むので御協力をお願い致します。
「御館様。以上で不死川さんへ処罰は終わります。」
炭治郎は平伏しながら、耀哉へ報告した。
「そうか、随分と優しい結末で終わったものだ……
「……御館様。あの、恐れ入りますが……どう言う意味でしょうか?」
炭治郎は耀哉の言葉に疑問に思い、率直に尋ねた。炭治郎の疑問に対して、耀哉は答えた。
「いや……君ならば先ず、禰豆子に謝罪する事を実弥に求めるのではと思ってね。」
『っ!』
「……」
耀哉の言葉に、炭治郎は微笑むだけだった。そして微笑みながら、炭治郎はゆっくりと開口する。
「確かに、最初はそれも考えました……でも無理矢理な形で心の籠もっていない謝罪なんて、されても嫌だと思ったんです。不死川さんも、鬼の禰豆子に謝罪なんてしたくないでしょうからね。」
「……」
炭治郎の言葉に罰が悪いのか、実弥は露骨に顔を反らしてしまった。そんな実弥を見て、炭治郎は苦笑を隠せない。
「不死川さんは、本当は優しい人だと聞いたものですから……だから禰豆子が人間に戻れたら、言わなくても自分からしてくれると思います。……ですから禰豆子が人間に戻るその日まで、その話は取って置く事にしました。」
『っ!』
炭治郎が口にした決意は、絶対にこの手で叶えて見せると言う強い意志がその表情から見て取れた。
「っ……テメェは、妹が人間に戻れると……本気で信じてんのかァ……?」
『っ!?』
炭治郎に不覚にも圧倒された実弥が思わずそう尋ねた。実弥に炭治郎を愚弄する意志は無い。
しかし聞く者が聞けば、炭治郎の夢を馬鹿にしていると解釈出来る実弥の質問に、しのぶを筆頭に何人かが青筋を立てて苛立った。
「はいっ! 勿論ですっ。」
「……っ!」
しかし、炭治郎は実弥の質問に対して真顔で即答して見せた。そのまま炭治郎は、自身の決意について語り始める。
「俺のこの願いが雲を、否、星を掴む様な無謀なものなのは重々承知しています。たとえ俺一人でも、一生掛かっても成し遂げる心算でしたし、その覚悟は最初から在りました。」
『……』
「ですがこの無謀だった願いも、手を伸ばせば何時の日か届くまでに現実的なものに変わりつつあります。何故なら……俺には百万の味方を得たに等しい、とても頼りになる協力者の方々が出来ましたからっ……。」
『っ!』
炭治郎はそう言って、その協力者達に顔を向けて微笑んだ。
『……』
炭治郎に微笑まれたしのぶと珠世、アオイにカナヲ、そして愈史郎の五人だった。珠世達、女性陣は少しばかり照れた様に頬を赤く染めたが、その表情は誇らしげに笑みを浮かべていた。愈史郎だけは、誤魔化すかの様に鼻を鳴らしてそっぽを向いていたが。
しかし、この炭治郎達の遣り取りを見て行動に移る者が現れた。
「おい炭九郎! 俺も禰豆公を元に戻すのに協力すんぞ! 何せお前らの親分だからなっ!」
「お、俺だって禰豆子ちゃんの役に立ちたいんだっ!」
『っ!』
「っ……ありがとう、二人とも。」
最初に声を上げたのは伊之助と善逸だった。善逸にとっても伊之助にとっても、炭治郎と禰豆子の兄妹は大切な存在だ。協力するなど、嫌な訳が無かった。そして声を上げたのは、この二人だけでは終わらない。
「はいっ! 私も応援するだけじゃなくて、炭治郎君に協力したい! 私に出来る事が有ったら、何でも言ってね!!」
「……今更な話かもしれないが、俺にも手伝わせてくれ。炭治郎。」
「っ!……甘露寺さん……義勇さんもっ……ありがとうございます。」
義勇と蜜璃もまた、善逸達に触発されて炭治郎に協力を申し出た。尊敬する二人からの協力の申し出に、炭治郎は感動を禁じ得ない。
炭治郎は義勇達に対して、深々と頭を下げて礼を述べた。
「炭治郎、これはとても喜ばしい事だね。」
「はいっ!……っ!」
耀哉の言葉に、炭治郎は大声で肯定した。すると、元気良く返答した炭治郎にしのぶが話し掛けた。
「炭治郎君……御館様も仰いましたけど、本当にそれだけで良いんですか?」
「しのぶさん?……はい、もう良いですよ。」
「でも、炭治郎君は不死川さんに斬られたと言うのに、なぜか不死川さんに利益が出る結果になってしまって……これでは炭治郎君は痛い思いをしただけで、何一つ報われないじゃないですかっ。」
しのぶが不服そうに炭治郎にそう伝えた。本意では無いとは言え、自発的に炭治郎へ謝罪もしない実弥などしのぶから見れば敵に等しい存在に成り下がっていた。
「しのぶ様の仰る通りです。被害者の炭治郎さんが、加害者の風柱様に遠慮される必要なんて何処にも有りません!」
「そうよっ! 優しい炭治郎も素敵だけど、
しのぶの言葉に、アオイとカナヲも強く同調する。カナヲに至っては通常、柱を呼ぶ際に様付けしていたのが実弥だけ外れていた。カナヲの心中では、実弥の位置付けは既に最底辺であった。
「……」
只管に実弥を加害者と強調するしのぶ達に、実弥は顔を逸らして沈黙する他に道は無かった。
全て事実に他ならず、悪戯に口を開けば自身にとって災いになって還って来る結果になるのは目に見えていた。そのため実弥は沈黙を貫くしかなかったのだ。
「ぷっ……あははははははっ!!!」
『っ!』
炭治郎はおかしくて仕方が無い様子で、楽しそうに大声で笑い始めた。少し笑い続けて、漸く治まると眼尻に溜まった涙を人差し指で拭きながら話し始めた。
「あ~面白かったぁ……しのぶさん、アオイさん、カナヲ。俺が斬られた事なんて、どうでも良いんですよ。あの一件の御蔭で不死川さんは玄弥と仲直りする切っ掛けが作れたんですから、"怪我の功名"って奴です。俺はこうして無事で居るんですから、もう良いじゃないですか。」
「「「……」」」
自身の事にも関わらず、何時も通り蔑ろにして関心を一切持つ事無い、無頓着な炭治郎にしのぶ達はあから様に不満を表情で表した。しのぶ達から漂う不満の匂いに、炭治郎に苦笑せざるを得なかった。
「まぁ……
『っ?』
炭治郎は何か閃いた様子で、双眸を一度見開かせた。そして楽しそうに笑いながらその閃きを口にする。
「不死川さんと玄弥がちゃんと仲直りしてくれないと、文字通り俺が斬られ損です。だから二人がちゃんと仲直り出来る様に、舌が滑らかに回る様に俺が美味しいお茶請けでも用意しましょうか?」
『っ!?』
炭治郎が茶化す様に言った内容に、大広間は僅かながら困惑を抱いて反応した。特に実弥の反応が顕著だった。
「いきなり何言ってやがんだァ?……テメェ、巫山戯てやがるなァ…。」
「っ? 俺は大真面目に言っているんですけど……そうだな、お茶請けは不死川さんがお好きなおはぎで良いですか? 緑茶も一緒に付けて。大好きですよね? おはぎ。」
『っ!?』
炭治郎の口から予想だにしない単語が出て来た事に、大広間は些か騒然となる。
「ずっと気になっていたんですけど……不死川さんの口から今も仄かに餅米と餡子と緑茶の良い香りがしてますから、
『…………』
炭治郎の推測により、大広間の視線は実弥一人に集中した。好奇の視線に晒された実弥は沈黙してやり通す事しか窮地を脱する方法が思い浮かば無かった。
「……その強面で、おはぎが好きって面かよ……。」
「ぎゃはははははははっ! 似合わねぇもんが好きなんだなツギハギ野郎っ!!」
「……さ、三下。お前も人の子だったんだな……。」
するとその沈黙を破る様に、善逸が化け物でも見るが如き表情で実弥を見ながらボソッと呟いた。
善逸の呟きを聞いて、伊之助が耐え切れず爆笑しながら実弥に言った。伊之助は笑い過ぎて猪の被り物から涙が溢れている。
愈史郎もまた意外だと思った様で、おはぎが好きなだけで無意識に凄まじく無礼な発言をしていた。
「不死川は……おはぎが好きなのか……。」
『っ!!!』
義勇が興味深そうに呟いた。しかし、この迂闊な一言が大広間の薄氷が如き空気に対して渾身の一撃を与えてしまい、大広間では大きく分けて三つの反応が確認された。
「「「「……っ……っっ……っっ……。」」」」
『……』
実弥の好物がおはぎであると言う事実が面白かったのか、それとも義勇のこの迂闊な一言がツボに入ったのか、はたまた両方か、それは不明であった。
しかし行冥、天元、しのぶ、蜜璃の四名は腹部を抑えて震えている。そして笑うまいと、必死で笑い声を押し殺して耐えていた。
行冥達以外の面々は笑わずに居たが、産屋敷家は微笑ましそうに状況を見守り、小芭内や珠世、アオイとカナヲは呆れながら何とも言えず黙って見守る事にしていた。無一郎は何時も通り、惚けて無関心を貫いていた。
「……っっ……っっ……っっっ……。」
実弥はおはぎが好物である事を、積極的に隠していた訳では無い。他人に知られても別段、何かしらの支障が出たりする訳でも無かったのだ。
しかし、下手に知られて他人や同僚の柱達に妙な反応されるのも鬱陶しいと思っていた。そのため、自分から知られる様な行動を実弥は今まで取らなかっただけである。
尤も、その今までの行動が裏目に出る結果となった。
炭治郎の超人的な嗅覚とそのお人好しとも言える善意により、実弥にとって最悪の
それまでならまだ良かったのだが、義勇の一言が導火線に火を付けた爆弾となり爆発させてしまったのである。
――この糞馬鹿水兄弟弟子がぁ……っっ!
実弥は思わず、義勇と炭治郎をしこたま殴り倒したい衝動に駆られた。しかし、義勇にも炭治郎にも悪意など皆無、一切その様なものは無いのだ。
第一、炭治郎に至っては善意からの進言である。にも関わらず実弥が炭治郎に暴力を振れば、それは只の身勝手な八つ当たりでしかない。
実行すれば最期、全方面から非難轟々で大いに責められる。今以上に針の筵に晒される事は、火を見るより明らかであった。
そのため実弥は顔を俯かせて、本来なら感じる必要が無い羞恥心や屈辱、憤怒を全身に満たし、顔を真っ赤に染めて震えながら耐える他に道は無かったのだった。
「?」
炭治郎はどうして実弥から羞恥と怒りの匂いがするのか、全く理解出来ない様子で首を傾げながら実弥を見詰めていた。そんな炭治郎に、アオイが接近して行く。
「炭治郎さんっ。」
「アオイさん?……どうしたの、何か怒っていひゃひゃひゃひゃひゃ……っ!?」
炭治郎がアオイからも怒りの匂いを感じて、その理由を聞こうとした。しかしその前にアオイが両手で炭治郎の両頬を思い切り引っ張った。
「人様の口臭について、人様の前でベラベラ喋ったら駄目じゃないですかっ……!」
「い、いひゃいよっ!……わ、わりゅかったきゃらっ!!!」
炭治郎は両頬を力一杯引っ張られた痛みから、涙目になりながら謝罪した。アオイは炭治郎が謝罪する様子を見て、両手を両頬から離す。炭治郎は痛みから解放されて、両手で赤くなった頬をゆっくりと撫でた。
「実弥、そう恥ずかしがる事は無いよ。おはぎ、美味しいじゃないか。私も味覚が戻った今、食べたいと思っている食べ物の一つだ。」
『っ!』
炭治郎とアオイを余所に、耀哉が実弥を庇う様にそう言った。するとその一言で、大広間の空気は真面目なものに入れ替わった。そのまま耀哉は話を続ける。
「話が変わるが……実弥と玄弥について、私からも一言だけ言っておこう。二人の話し合いの場所だけど、蝶屋敷でどうだろう?」
『っ!?』
「っ!……不死川さんの御屋敷ではなく、蝶屋敷でするんですか?」
耀哉の提案を聞いて、炭治郎が逆に耀哉に質問した。炭治郎の質問に対し、耀哉が答える。
「ああ、その方が行冥も安心出来るだろうからね。」
『っ!』
耀哉の言葉を聞いて、自然と視線は行冥に集中した。行冥は数珠をジャリジャリ鳴らしながら、耀哉の言葉の意図を説明し始めた。
「……皆も知っている通り、不死川は稀血で玄弥は鬼喰いの能力者だ。故に私はもし玄弥が不死川に会った時にその稀血に反応しないか危惧し、接触禁止を言い渡していたのだ。」
『っ!』
行冥の危惧する理由を知って、周囲は息を呑んだ。しかし、一人だけ行冥の言葉を鼻で嗤う者が居た。愈史郎である。
「ならそれも今日までだな。さっさと撤廃しとけ、デカブツ。」
『っ!』
周囲が息を呑む中、愈史郎は話を続けた。
「鬼喰いの能力者と言っても、何処まで行こうと人間だ。人間が稀血に触れた、匂いを嗅いだからって、何か異変が起きる筈が無いだろう? 折角、仲違いしている兄弟が仲直りすると言うのに、無粋な真似をして邪魔するのは止めろ。」
「……たとえ無粋であろうと、万々が一に考えての事だ。もしそれで玄弥が稀血に反応して不死川を襲おうものなら、玄弥は一生、それこそ死ぬまで自分を責め続ける。玄弥の師として、彼にそんな責め苦を負わせる訳に行かないのだ。」
愈史郎と行冥の論争は平行線を辿り続けていた。其処へ二人の論争を見守っていた炭治郎が割って入る。
「あの……でしたら二人の様子を監視してはどうでしょうか?」
「「何っ?」」
炭治郎の提案に、愈史郎と行冥は異口同音で反応した。炭治郎は二人の視線を浴びながらも、話を続行する。
「はい。不死川さんには悪いですけど、部屋の壁に愈史郎さんの『
「……ふむ、妥当な線だな。おい、デカブツ。これ以上の譲歩案は無いと思うが?」
「……」
愈史郎は納得した様子で炭治郎の提案に賛成し、行冥に意見を求めた。
「……私も邪魔をしたい訳ではない。安全を考慮した上でなら、喜んで応援しよう……それから私の名前はデカブツではない。悲鳴嶼と呼んでくれ、愈史郎とやら。」
「……分かった。」
行冥が賛成した事で不死川兄弟の話し合いの場が蝶屋敷と決まり、炭治郎は想像以上に思惑が解決した事を内心で歓喜していた。
しのぶ達に怒られて説教される未来が目に見えているため決して口外する事は出来ないが、自分が実弥に斬られて良かったとすら思っていた。
炭治郎は成功の余韻もそこそこに、炭治郎はチラッと行冥を見た。しかし直ぐに目を逸らすと、耀哉に話し掛けられた。
「炭治郎、君から何か他に意見やしたい事は有るかな?」
「御館様……はい、実は正直に言うと……二つ程有りましてっ。」
「ほうっ……君の事だから、期待は有れど心配はしていない。遠慮無く言いなさい。」
遠慮しがちに遠避かろうとする炭治郎に、耀哉はそう言って議題の催促を求めた。
「ありがとうございます、御館様!……じゃあ……っ。」
炭治郎は耀哉に話し掛けて許可を得ると、珠世に
「珠世さん、一つ御聞きして良いですか?」
『っ!』
「何かしら? 炭治郎さん。」
唐突に炭治郎に質問を投げられた珠世は、分かっていた様に間髪入れずに対応する。
「珠世さんは
『っ!!!』
炭治郎の内容に、大広間は驚きから息を呑む。自然と、珠世に注目が集まった。
「記憶喪失……ええ、過去に何人か治療を施した事が有ります。」
『っ!!』
「炭治郎さん、貴方が言いたいのは……
「はい……珠世さんは流石ですね。話が早くて助かります。」
炭治郎と珠世の話の成り行きを見守っていた耀哉は、炭治郎達に話し掛けた。
「炭治郎……君は無一郎の治療を珠世さんにお願いする心算かな?」
「はい、御館様の仰る通りです。珠世さんにしか出来ない治療法が有るんじゃないかと思って……。」
「ふむ……。」
耀哉が右手を顎に置いて思考すると、珠世に尋ねた。
「珠世さん。記憶喪失と言うものは治療に時間が掛かるものだと認識しているんだけれど……何か特別な治療法は御持ちかな?」
「はい……私は幻術系の血鬼術を使うのですが、それで時透さんの脳内に眠る記憶を呼び起こすと言う方法になります。」
『っ!!!』
炭治郎達一部の者を除いて、珠世が提示して方法に驚愕する行冥達が開口する前に輝哉が続けて珠世に質問した。
「その方法で、無一郎の身に危険が及ぶ事は無いのかな?」
「はい。この血鬼術は人体に悪影響を及ぼしませんので。ですが少しばかり強引に記憶を呼び起こすので、
『……』
「それを聞いて私は少しばかり安心出来るよ。後は無一郎……君はどうかな?。」
「はい。」
今まで視線のみ動かして不動と沈黙を貫いていた無一郎が、此処で初めて反応した。
「俺は個人的に言うと嫌ですけど……御館様がしろと仰るなら僕は受け入れます。本当に記憶が戻るかまだ信じられませんが……。」
「ん?」
――俺?……僕?……なんか安定しない……これも記憶喪失が理由なのかな?……。
炭治郎は無一郎の一人称に違和感を覚えたものの、些末な事だと頭の隅に追いやって一先ず、珠世の治療を無一郎が受け入れた事を素直に喜んだ。炭治郎は珠世に質問する。
「珠世さん、治療は何時始めますか? 俺達は下がった方が良いですよね?」
炭治郎は珠世が施す治療の邪魔をしてはいけないと、そう慮って確認を取る。聞かれた珠世は炭治郎に即答した。
「下がらなくても大丈夫です。治療の妨げになる様な行動を取られなければ、問題無いので。」
「だったら、皆が居るところで治療を始めて欲しい。」
『っ!』
衆人環視の前で治療を受けても問題が無いと知った無一郎は、珠世にそう頼んだ。周囲は無一郎のその意図を知るべく注目する。
「皆が居るところでかい?」
「はい……この珠世と言う鬼の血鬼術を見る、皆にとっても良い機会ですから。」
「確かにそうだが……珠世さん、私達が見学しても治療の邪魔にならないかな?」
「いいえ、別に構いませんが……
「それは私の名に懸けてさせないとこの場で約束しよう。皆も、決して治療の邪魔はしない様に。」
『御意。』
珠世の嘆願に対し、耀哉は誓約すると行冥達にも強く釘を刺した。
行冥達は耀哉に強く言われて異口同音に答える。尤も、無一郎の治療を妨害する心算など、毛頭無かったが。
話の結論が着いたと察した炭治郎は無一郎に話し掛けた。
「時透君、良かったね!」
「……」
「?」
無一郎は不思議なものを見る様な視線で、炭治郎を見詰めた。炭治郎は無一郎の視線に気付いて、首を傾げる。
「……炭治郎、だよね? 君の名前。」
「?……うん、そうだけど。」
「……」
「えっと……どうしたの?」
炭治郎は自身を見詰めたまま、沈黙する無一郎に少々困惑しながら話し掛けた。
「何で君はそんなに人に構うの?」
「えっ?」
『っ?』
無一郎の質問に、炭治郎は答えられず戸惑う。そんな質問をされるとは、炭治郎も思わなかったからだ。無一郎は更に続ける。
「君は妹を人間に戻すってやるべき事が有るのに、傷付いてまで不死川のために働いたり、何の接点も無い僕に構うのはどうして?……意味が分からないんだけど? もしかして只の馬鹿?」
『っ!?』
「ちょっ……っ!」
「か、霞柱様っ!?」
炭治郎は無一郎のために動いていると言うのに、感謝もせずそう罵倒した無一郎に当惑の声が大広間から漏れた。しのぶに至っては既に青筋を立てて笑顔のまま、無一郎を睨み付けていた。
しかし、当の炭治郎は微笑みながら無一郎にその質問を答える。
「時透君、それはね……俺は人のために働いて、役に立てるのが大好きだからだよ。」
「人の役に立つ事が好きなの? 自分の事じゃなくて?……君は召使いか奴隷か何かなの?」
『っ!?』
「と、時透君っ!」
「ちょ……あんた何言ってんだよっ!?」
「糞餓鬼、貴様……っ!」
どんどん度合いが酷くなって行く無一郎の罵倒に、ついに怒って声を荒げる者が出て来た。
蜜璃と善逸は思わず立ち上がって無一郎に抗議し、愈史郎もまた無一郎に苛立ちながら、鋭い視線で睨み付けていた。
「皆、落ち着いて下さい。」
『っ!』
「大丈夫ですよ、俺はちっとも気にしてませんから……このまま俺に任せて下さい。御願いします。」
『……』
再び大広間が荒れそうになるのを察して、炭治郎が制止するために行動に移った。そして炭治郎は大広間が静かになったのを確認してから、再び無一郎と正面から向き合った。
「俺は別に召使いでも奴隷でも無いよ、時透君。でも人間と言う生き物はね、自分じゃない他人のために、特に大切な人のために、信じられない力を出せる生き物なんだ。」
「えっ?……っ。」
「そして人のためにする事は結局、巡り巡って自分のためになる。"情けは人のためならず"って言葉が有る様にね。」
「…………えっ!?……えっ?!」
「んっ?」
炭治郎の言葉に、無一郎は双眸を見開いて驚愕した。無一郎は当惑して声を震わせながら、話し始めた。
「何……今何て言ったの?……今……今……っ。」
「へっ?……えっと、人のためにする事は結局、巡り巡って自分のためになるからだよ。"情けは人のためならず"って言葉が有る様にね……って俺は言ったんだけど……っ?」
「情けは……人のためならず……。」
ズキッ!!!
「――っ!!!」
無一郎が脳味噌に直接刻む様にそう呟いた後、頭に鋭い痛みが一瞬の間に走り去った。
咄嗟に無一郎は右手で頭を押さえ込んだ。
「時透君っ!? 大丈夫っ!?」
炭治郎は痛みに苦しむ無一郎を見て駆け付け、心配そうに見詰めた。
炭治郎が無一郎の身体に触れそうな距離まで接近すると、無一郎が左腕を前に出して炭治郎を止める。
「っ!」
「良いから……俺なら大丈夫……っ。」
無一郎がそう言って左腕を下ろすと、側頭部に置いていた右手も下ろした。
其処には何時もの無表情の無一郎に戻っていた。
「……何だっけ? 僕の治療の話だよね?……ならさっさと始めてしまおうか……珠世、俺は何をすれば良いの?」
「おい糞餓鬼っ! 貴様、
無一郎が珠世に質問する際に、珠世を呼び捨てにした事に激怒した愈史郎が額に青筋を立てて激昂すると、珠世が制止して宥めた。
愈史郎が静かになったのを確認してから、珠世が愈史郎の質問に答える。
「大した事ではありません。仰向けの姿勢で横に寝転がってくれれば大丈夫です。」
「それだけ?……分かった。」
『っ!』
無一郎は珠世に言われて早速、身体を仰向けの姿勢にして寝転がった。珠世は横になった無一郎を見て、無一郎の右肩側に座って姿勢を正した。
周囲に居た炭治郎達は自然と治療の邪魔にならない様に、珠世と無一郎を囲う様に座る場所を変える。
「心の準備は宜しいですか……っ?」
「うん……さっさと始めてよ。」
「……分かりました。」
催促される様に無一郎に急かされた珠世は、左腕の着物の袖を捲る。其処には陶器の様に、白くて美しい肌をした細い腕が姿を表した。
――やっぱり珠世さんの肌、綺麗だよなぁ……顔が綺麗なんだから当然なのは分かっているんだけどっ。
珠世の白い腕を見てから、次に珠世の横顔を見た炭治郎は僅かに頬を赤くして見惚れていた。
『……』
しかし、炭治郎が珠世に見惚れている様子をしのぶ達は見逃さなかった。全員、青筋を一本立てて苛立ちを覚えていた。
そんな炭治郎達を余所に、珠世は擬態を一部解除して右手の爪を僅かに伸ばす。
そしてそのまま左腕に爪を立てて下ろす。左腕は右手の爪に裂かれて流血を始めた。
『っ!』
「ちょっ!? 珠世さん何やってんのっ!?」
珠世が唐突に、自傷行為を始めた事に耀哉達は驚きを覚える。善逸に至っては声を出して心配そうにツッコミを入れていた。
「おい、珠世様に近付くなよっ?」
「善逸。安心して見ててくれ。」
だが、炭治郎と愈史郎だけは動揺していなかった。尤も、これが珠世にとって血鬼術を行使する上で必要な手順だと、理解しているからに他ならないが。
そうしていると、間も無く珠世の血に変化が訪れた。
血鬼術
『っ!?』
珠世の血が白霧へと変化し、無一郎に向かって飛んで行く。耀哉達は驚き、興味深そうに凝視していた。
無一郎もまた耀哉達と同様に珠世の血鬼術を凝視していたが、直ぐにしなくなった。白霧が無一郎の整った顔に殺到すると、そのまま耳鼻や口から脳内へ侵入したからだ。
「っ!……っ……。」
無一郎は一度だけ双眸を見開くと、ゆっくりと瞼を閉じて眠りに着いてしまった。
「っ!……おい、本当に時透の身体に害は無いんだろうな?」
小芭内が珠世の血鬼術を見て、思わず呟く様に質問した。無一郎を心配して思わず口にした事だが、珠世と愈史郎への不信感は、小芭内にはまだ拭い切れていなかった。
「貴様……まぁ良い。何度もやっているがこれで死んだ奴も後遺症が残った奴も一人と居ないっ!……ただちょっとした副作用と記憶を取り戻した時間は個人差は有ったがな。」
『っ!』
「時間差に個人差が有るんですか?」
炭治郎が皆を代表する形で、愈史郎に質問すると直ぐに回答が帰って来た。
「ああ……三時間くらいで記憶を取り戻した奴も居れば、三日も続ける羽目になった奴も居る。」
『っ!!??』
「三日も……ですか……っ。」
「……だが逆に言えば、三日で記憶を取り戻せるとも取れるね。」
『っ!』
「っ!……確かにっ!」
個人差の振れ幅に炭治郎達は驚いたが、耀哉の指摘に全員の顔に期待の色が宿った。炭治郎達を余所に、愈史郎は呟いた。
「盛り上がっているところ悪いがな……結局のところ、
愈史郎はそう言って珠世と無一郎を見た。
『……』
耀哉達は愈史郎に倣って、眠っている無一郎を見た。その場に居る誰もが、無一郎の記憶が戻る事を願って心中で祈っていた。
♦
「……んっ?」
無一郎が目覚めると、其処は辺り一面が霞の世界であった。何処を見渡しても霞しか見えず、地面すら霞で覆われて見る事が出来なかった。
無一郎は諦めてじっと立ったまま動かない事にした。
「……」
暫く沈黙したまま惚けていた無一郎だったが、それも直ぐに終わった。
「このまま居ても仕方無いや……ちょっと歩いて見ようか。」
無一郎はそう言うと、ゆっくりと歩み出した。
♦
時間帯:昼
天気:晴れ
『……』
緊急柱合会議を再開させてから、既に一時間が経過していた。
また珠世が血鬼術を無一郎に掛けて、既に十分程の時間が経過している。
しかし、大広間で二人を見守る炭治郎達に出来る事など無かった。
行冥を筆頭に何名かが場所を変えて、緊急柱合会議を再開してはどうかと耀哉に提案したのだが、耀哉が「無一郎を仲間外れには出来ないよ。もう暫く様子を見守ろう。」と言ったため、全員が沈黙したまま様子を見守っていたのだ。
すると、炭治郎が不意に開口して珠世に話し掛けた。
「珠世さん、すみません。ちょっと良いですか?」
『っ!?』
「おいっ!? 炭治郎っ!!」
炭治郎が突然、珠世に話し掛けたため愈史郎が怒って注意しようとする。しかし、それを珠世本人が止めさせた。
「愈史郎、構いませんよ。炭治郎さん。別に構いませんが、御用件ならば手短に御願い出来るかしら?」
「はい、勿論ですっ! 珠世さんにお願いなんですけど……決して邪魔はしませんから、時透君の手を握っていても良いですか?」
『っ!』
「っ! ええっ、勿論良いわっ。寧ろ、御願いしても良いかしら?」
「はいっ! 喜んでっ!!」
珠世が炭治郎の提案を快諾すると炭治郎は珠世の反対側、つまり無一郎の左側に移動して座り込んだ。
「時透君、頑張って。」
炭治郎はそう無一郎を激励してから、左手を両手で優しく包む込む様に握り締めた。
炭治郎自身はこの行動自体に、特に何か効果を齎すとは考えてはいない。耀哉達も炭治郎の優しさから来た行動であるとしか、解釈する事が出来なかった。
そしてこの炭治郎の行動は、無一郎の役に立てない事実から来る罪悪感や、何も出来ない自分を慰めると言う利己的な意味が有る程度だ。
しかし炭治郎ばかりかこの産屋敷本邸に居る誰もが炭治郎が取ったこの行動により事態を好転させ、無一郎のための一筋の光明になる事など知る由も無かった。
♦
「っ!?……眩しっ!!」
霞の中を歩き回っていた無一郎だったが、不意に強烈な光の眩しさを浴びて思わず双眸を瞑ってから右腕で目元を隠してた。
少しして復活すると無一郎は右腕で目元を隠したまま、右目だけを少しばかり開けて、様子を確認した。
すると光は少しばかり弱まっており、また少しばかり上方へ上がって円を描いていた。その姿が無一郎にとって太陽そのものに見えていた。
「……闇雲に歩いていても拉致が開かないな。あの光を目指して歩いて見よう。」
そう判断したと同時に、無一郎は光の方向へと足を進めて行った。歩き始めて少し立つと、まだまだ先に有った筈の光の正体とは、光の球体だと分かった。
その光の球体は霞の中でもしっかりと、その存在感を主張していた。無一郎はその光の球体と目と鼻の先まで距離で近付く事が出来た。
「……綺麗だなぁ。それにとても暖かく感じる……ちょっと触ってみようかな?」
迂闊に触れれば、無一郎は火傷するかもしれなかった。しかし、何と無くその暖かさに惹かれた無一郎は右腕を伸ばして光の球体に触れる。
「っ!」
その瞬間、炎の球体は大きな光を発生して無一郎を包み込み、覆っていた霞を全て吹き飛ばした。
♦
「あれ?」
無一郎は不意に閉じていた双眸を見開いた。其処には雲一つ無い晴天が広がっていた。
――青空?……っ!?
無一郎は霞が晴れた先の光景が青空だった事に困惑して、咄嗟に周辺を見渡した。
――此処……何処だ?……周辺は木が沢山有って、地面が少し傾斜になってる……山なのか、此処は。
何時の間にか、山に居た。その事実だけでも困惑を隠せないが、それ以上に無一郎を困惑させる事実が幾つも有った。
それらの事実に気付いた瞬間、無一郎は困惑だけでなく大いに動揺した。
――身体が縮んでる!?……それに服装も鬼殺隊の隊服じゃない。当然だけど
無一郎は自身の身体を見渡して見ると、粗末ではないが御世辞にも上等とは言えない、水と白色の二色の霞模様の着物を着用していた。袖が無く二の腕まで露出している珍しい物だった。
無一郎は霞模様が描かれたこの服を見て、無一郎は妙な縁を感じていた。
「無一郎?」
「っ!……っ!?」
無一郎は声がした方へと振り向いた。しかし振り向いた瞬間、無一郎は驚愕した。
「どうしたんだい、無一郎?」
其処には一人の比較的長身の男性が立っていた。その顔は霞が掛かっていて素顔が見れず、鳥の尾の様に肩まで有る長髪を一つに纏めて結んでいる事しか分からない。
しかし、もう一つだけ無一郎には男性について分かった事が有る。それは男性からは、敵意も悪意も見当たらない事だ。
何故自分が小柄になったかは不明だが、こんな身体で大の大人と戦って勝てる訳が無い。無一郎はその事実に安堵していた。
安堵していた無一郎だが、また新たな事実が発覚する。
「ごめんなさいっ、何でも無いよ!」
――っ!?
「そうか?……今日は色々教えたから、疲れたろ? 無理しなくても大丈夫だぞ。」
「ありがとうっ! でも僕、まだまだへっちゃらだよ!」
――……っ!
幼い無一郎が男性に向かって笑顔で親しそうに話していた。しかし、これは無一郎本人が喋った訳では無いのだ。
――身体が言う事を聞かない……まるで別の誰かが身体を乗っ取っているみたいだ……。
無一郎は困惑しながら、男性と無一郎の身体の遣り取りを見ていた。すると前方から、自分達を呼ぶ声が聞こえて来た。
「あなたぁ――!」
「おーいっ! 無一郎――!」
「「っ!」」
無一郎は声がした前方に視線を向けた。視線の先には一人の女性と同世代の少年が居た。少年は無一郎と色違いの黒色を基調に同様に水色の霞模様が描かれた、袖の無い着物を着用していた。
「迎えに来てくれたんだ! ただいま――っ!」
「遅くなった、今帰ったぞっ! ***! ***!」
――っ!……誰だろう?……この二人も
無一郎は新たに登場した二人の顔も霞掛かって見る事が叶わず、そればかりか男性の口から二人の名前らしきものが飛び出たにも関わらず、自分では聞き取る事が出来ないと分かった。
呆然としながら無一郎はその微笑ましい光景を見ていると、無一郎の身体が男性と、少年は女性と手を繋ぐと仲良く歩き始めた。
すると女性が男性と無一郎に向かって話し掛けて来た。
「あなた、無一郎。今日ね、町へ行ったら大根とお味噌をお裾分けして貰ったの! だから今日は皆が大好きな風呂吹大根を作ってあげますね。」
「おっ! 聞いたか、無一郎っ! 今日は風呂吹大根だぞっ!」
「うんっ! ちゃんと聞こえたよっ、
――っ!?!?
無一郎は自身の身体が言い放った言葉に、強烈な衝撃を覚えた。この顔が分からない得体のしれぬ男女が、自身の両親だと言うのだ。無一郎が衝撃を覚えるのも、無理は無かった。
――この人達が……俺の父さんと、母さん……っ!
無一郎は呆然としながら、横目で少年を見た。
――じゃあ……じゃあこの男の子は誰なんだ?……。
無一郎は少年の全身を隈無く見渡したが、自身と同じ腰まである同色の長髪をしている事以外に、分かる者は無かった。
四人でその後、談笑しながら家に帰宅したのだが、無一郎は話の内容が一切頭に入ってこなかった。
♦
帰宅した時透家は四人全員で夕食の支度に入り、全員で仲良く食卓に着いた。この際に無一郎は様々な情報を得る事が出来た。
――……僕の父さんは杣人だったんだ……母さんは父さんの幼馴染で父さんの仕事を良く理解している。だから山の暮らしにも慣れていて、御蔭で息一つ切らせず行動出来るのか。でもこの男の子の事は何も分からないな……それから僕はこの身体で自由に動いたり喋ったりするのは不可能みたいだ。過去の出来事だから、干渉出来無いのかも……。
無一郎は不意にこの夕食を食事しながら、この少年を見ていた。
「……何だよ、無一郎? 俺の風呂吹大根ならやらないぞ。」
「其処まで食い意地張ってないよっ!? もう、***の意地悪っ!!」
――状況証拠だけを見れば、俺の兄弟なんだろうけど……お互いに名前で呼び合っているんだよなぁ……。
無一郎は少年の事を不思議そうに見詰めていた。だが無一郎の身体は不貞腐れた様に頬を膨らませると、ふろふき大根に箸を伸ばして食べ始めていた。
――あっ、この風呂吹大根美味しい……それに何だか懐かしいなぁ……っ。
無一郎は好物の風呂吹大根の味に喜んでいた。無一郎の身体もまた、風呂吹大根を口にしてから一瞬にして機嫌が直っていた。
そんな単純な無一郎に、少年は呆れた様子で見ていた。
♦
そして時は流れ、時透家は厳しい夏の暑さに耐えながら、次に来る秋を迎えようとしていた。しかし相変わらず、霞は三人の顔を覆って隠していた。無一郎は未だに両親の顔を、思い出す事が出来ずにいたのだ。
そんな残暑が残る日々に、時透家にとって大事件は起きてしまう。
「ゴホッ……ゴホッゴホッ!……っ。」
「母さん、大丈夫?」
「お水は飲める? 母さん。」
無一郎の母が、風邪を拗らせて肺炎を患ってしまったのだ。風邪の身のまま、無理を押して仕事していた事実が状態を悪化させた。
無一郎達は懸命に看病したのだが、肺炎は悪化の一歩を歩み続けた。
看病を続けて数日、嵐がやって来た。
暴風は吹き荒れ、その強さは木々を軋ませた。更に大雨が大地に住む者達を襲った。普段ならば恵みの雨となって受け入れられる雨も、この強さでは命を奪いかねないものであった。
そんな嵐の日に、無一郎の父は決断した。
「***の……母さんの病気を治せる薬草を取って来るよ。」
「父さんっ!! 待ってよっ!? 本当に行っちゃうの!? 」
「こんな嵐の中に飛び出したら危ないよっ! 御願いだから考え直してっ!!」
無一郎の父は、愛する妻を救うべく薬草を採取すると決断したのだ。しかし、嵐の中の山内を歩くなど自殺行為に等しい。
まだ若いながらも熟練の杣人である無一郎の父ならば、普段は絶対にしない愚行であった。
しかし、その愚行を決断せざるを得ない程、無一郎の母の容態は深刻であった。
無一郎も少年も、必死で父の無謀な試みを阻止しようと着物を掴んで引き留めていた。
そんな二人に対して、無一郎の父は二人の頭に手を置いて優しく諭し始める。
「無茶なのは分かってる。でも許して欲しい。二人に約束するよ。父さんはちゃんと、
「……っ。」
少年は父にそう諭されると、唇を少し噛んで口を噤んだ。愛する父に其処まで言われては、もう止められないと思ったからだ。しかし、無一郎は違った。
「駄目だよ! 行ったら父さんが死んじゃうよっ! どうして其処までするの!?」
――嗚呼、父さん。そんな事出来っこ無い……こんな嵐の中、外に出る薬草を採取するなんて自殺行為だよ。
無一郎は心中で制御出来ない幼かった頃の身体の言う言葉に同意した。すると無一郎の父は身体をしゃがんで無一郎と視線を合わせてから語り始めた。
「良いかい、無一郎。それは母さんが父さんにとってとても大切な人だからだ。」
「"情けは人のためならず"。人のためにする事は、巡り巡って自分のためになる。」
「そして人は自分ではない誰かのために、愛する人のために信じられない力を出せる生き物なんだよ、無一郎。」
「っ!」
――っ!
無一郎は父の言葉に双眸を大きく見開かせて、一人の少年を思い出していた。少し前に同じ言葉を言った炭治郎の笑顔が脳裏を過ぎった。
結局、無一郎達は父を黙って見送る他に無かった。
無一郎の父は家の
ピカッ! ゴロゴロゴロッ!!
――っ!?
大きな落雷音が響き渡ると、何と父の顔に纏わりついていた霞が晴れたのだ。
其処には端正な顔立ちと特徴的な赤い瞳をした父の顔が在った。
「行って来る。***、無一郎、母さんの事を頼んだよ。」
「あっ……。」
無一郎の身体は背を向けて、山へ向かう父に向かって右手を伸ばしていた。
一方の無一郎は、待ち望んでいた両親の顔を思い出したにも関わらず、感動はしなかった。否、それどころでは無かった。無一郎は父の顔を見たと同時に、記憶の一部が蘇ったからだ。
――そうだ……母さんは肺炎で死んだんだ。その時に、父さんは母さんを治したくてこの後、薬草を採りに行って
其処まで思い出した無一郎は、発狂した様に叫び始めた。
――待って父さんっ! もう母さんは助からないんだっ!! 御願いだよ父さんまで僕達を置いて逝かないで!!!
父を止めるべく、狂った様に父を引き留めるために叫んだ。しかしそれは現在の無一郎の意識の中の出来事でしかなかった。
一方の無一郎の身体は、泣きじゃくりながら零れ落ちる涙を必死で拭っていた。
「ひっく……えくえっぐ……どうしよう、***。父さんが、父さんが行っちゃったよぉ……うぅっ。」
「馬鹿っ! お前が泣いていたってしょうがないだろう! もうこうなったら父さんが無事に戻って来るのを祈って、母さんを看病しよう。」
「うえぇん……うん……うんっ。」
無一郎の身体は少年に叱咤されて、泣きながらも母の看病を共に始めた。
無一郎の身体の方は寝込んでいる母に対して何とか食べて貰おうと作った粥を母の口元へ匙を使って運んだのだが、何度試しても口元から粥が溢れるばかりだ。
たとえ口に入れたとしても、咳と共に吐き出してしまう。
これには無一郎も少年もお手上げ状態であった。
――嗚呼……母さんの笑顔……見たかったなぁ。
無一郎は霞が晴れて母の顔を見る事が叶ったと言うのに、その母は病で苦しんでいる表情しか見れなかった。その笑顔も、思い出の中のものでしかないものとなった。
無一郎には分かっていた。この不幸は始まったばかりなのだと。
父は結局、戻って来る事は無かった。
夜通し看病しても一向に母の病状は回復せず、嵐が過ぎ朝になってから息を引き取った。
時透一家の様子を心配して駆け付けた一部の知人達が家にやって来て、無一郎の母の死を目の当たりにして心を痛めた。
父は何処か尋ねられて答えると、焦燥した様子で捜索を買って出てくれた。そして崖から転落死した父の遺体を発見した。
頭から落ちた様で、その端正な顔は原型を留めて居なかったらしい。父の知人達は頭を覆った布は絶対に外すなと念押しされた。
その後、父の知人達に手伝われて簡素な葬式が行われ、両親を火葬してから無一郎達は故郷の景信山に遺骨を埋めて小さな墓を作った。
――この日から、十歳の僕達は二人で生きて行かなきゃならなかった……でも未だに思い出せない。兄弟なのは分かるんだけど……何だろう? とても大事な事を忘れている気がする……。
疑問を抱き胸中にモヤモヤとした感情を抱きながら、無一郎は隣の少年を見ていた。
♦
両親が死んでから、半年以上もの月日が過ぎ去った。
無一郎と少年は二人で暮らしていたが、その生活は四人で暮らしていた頃の幸せな暮らしには程遠く、息が詰まって窒息しかねない程心苦しいものだった。
その最大の理由として、無一郎と一緒に生活する少年に有った。
『"情けは人のためならず" 人のために、誰かのために何かしてもろくな事にならない。』
『父さんが嵐の中を外に出なけりゃ死んだのは母さん一人で済んだのに、一人で無駄死にせずに済んだのに。』
『無一郎の無は"無能"の"無"。無一郎の無は"無意味"の"無"。無一郎の無は"無駄"の"無"。』
――……こいつ、あの愈史郎に負けないくらい言葉がきつくて容赦が無いんだよな……って、何だか俺を見てるみたいだ……っ。
無一郎は少年の言動に辟易しながら、その様子を観察し続けた。
そして春の季節に入りから春と夏の間で、思いも選らぬ人物が無一郎達に訪問して来た。
「もし……こちらは時透様の御自宅で間違い有りませんでしょうか?」
「えっ……っ?」
――っ!?……あ、あまね様っ!?
無一郎の前に一人の美女が現れた。
産屋敷家現当主・産屋敷耀哉の妻である産屋敷あまねだ。
「……」
「どうかされましたか?」
呆然とする無一郎に対して、あまねが心配して尋ねた。これに無一郎は過剰反応してしまう。
「っ!……は、はい! ごめんなさいっ! 白樺の精様!」
「えっ?」
「あっ。」
――えっ? 嘘でしょ?
間髪入れず、無一郎の身体は自身の失言に気付いて赤面した。
♦
――まさか、僕があまね様の初対面であんな反応してたなんて……。
無一郎は火が出そうな勢いで湧き上がる羞恥心を抑えながら、今起きている状況を見ていた。
あまねが何故、自らの足で時透家に訪問して来たのかが分かった。
何でも、時透家は"始まりの剣士"と呼ばれた高名な剣士が祖先におり、その血筋から優秀な鬼狩りの剣士になれる可能性があるらしい。
あまねは無一郎達を鬼殺隊に勧誘するために態々、自らの足で時透家まで足を運んだそうなのだ。
鬼殺隊は基本的に志願制であり、勧誘する事などまず有り得ない異例の事態である。
――なっ。こいつっ……あまね様に暴言を……。
しかし、あまねの目論見は成功しなかった。あの少年があまねに暴言を吐いて追い出してしまったからだ。
これには無一郎も流石に怒りを覚えて少年を睨み付けた。
暴言を吐かれたあまねは顔色一つ変えず、一礼してからその場を去って行った。
――あっ……今度は二人で口喧嘩を始めた……っ。
無一郎と少年が口論をしていた。無一郎は自分だけに飽き足らず、あまねにまで暴言を吐いた事に泣きながら怒っていた。
一方の少年の方も激昂しながら、無一郎に反論していた。
「自分達はそんな大層な事が出来る選ばれた人間じゃない。」
「あの女は何か企んでいる。甘い言葉に誘われて散々利用された挙げ句、犬死にするのがオチだ。」
少年はそう言って無一郎の言葉を無碍に退いた。その日から毎日ではないとは言え、あまねが時透家に訪問しては少年に追い出され、無一郎と喧嘩するのが日常となっていた。
月日が経過して行くにつれて口を開けば口喧嘩や口論しかしなくなり、互いに口数が少なくなって行った。一月もすれば、互いに口すら聞かなくなっていた。
そんな険悪な関係のまま時透家は夏の季節を迎えた。初めて二人で過ごす最初の誕生日を
その年の夏の暑さは一際厳しい酷暑であり、残暑になっても通年の真夏に匹敵する暑さだった。
酷暑に加えて自身の子孫を残そうと必死になって将来の番に呼び掛ける蝉の鳴く声も煩わしかった。
少しでも涼みたかったのだろう。無一郎達は窓は勿論、戸も全開にしてから就寝していた。蚊が入って来るが少しでも涼めるなら大した問題では無かった。
しかし、この判断が後に大間違いだったと死ぬまで後悔する事になる。尤も、戸を締めていても結末は同様だったかもしれないが。
――っ!?……鬼っ!!!
開けていた戸から鬼が侵入したのである。鬼はすぐさま襲い掛かって少年の左腕を切断した。
少年は二の腕の切り口から多量の血を流しながら、絶叫して倒れ込んだ。無一郎は呆然としながら倒れた少年を庇う様に抱え込む。
鬼は加虐心と悪意に満ちた笑みを浮かべながら、無一郎達を嘲った。
「うるせぇうるせぇ。騒ぐな。どうせお前らみたいな貧乏な樵は生きていたって何の役にも立たねぇだろ?」
「居ても居なくても変わらない様な、つまらねぇ命なんだからよ。」
――っ!……こい……つっ!!
無一郎は鬼が言い放った存在否定の言葉に、強烈な憤怒と憎悪を抱いた。そしてそれは身体の方も同様だった。
「――っ!!!!!」
「っ!?」
無一郎の身体は山全体に轟く様な、強烈な雄叫びを口から解き放つ。其処からは一瞬であった。
無一郎自身も覚えていない。一瞬にして鬼を地面に固定してズタズタにした方法など、一も十も覚えていない。
ただ分かっているのは、鬼が無一郎の手で薪や刃物で身体を地面に固定され、頭を大岩で潰されていた事だったくらいだ。
鬼はその後、日出と共に焼かれて塵となったが、無一郎からして見れば、心底どうでも良い話であった。
しかし、無一郎も無傷では居られなかった。満身創痍になり歩くどころか立つことも出来ず、四つん這いになりながら自宅に辿り着いた。
無一郎はボロボロになった身体を見ながら、焦燥していた。それはあるものを見てから、更に強くなった。
――あっ!? 彼が生きてるっ!……でもこのままだとどっちも助からない……っ!……今日は、今日はあまね様は来て下さらないのかっ?……いや、誰でも良いから早く来てくれっ!!……っ!?
焦燥しながらそう叫ぶと、無一郎は少年についてある事に気付いた。それは身体の方も同様だった。
少年が譫言の様なものを口にしていたからだ。
「神……様……仏……様……どうか、どうか……弟の、無一郎だけは……御助け、下さい……弟は……俺とは違う……優しい、子です……。」
「っ!」
「人の……役に……立ちたい……と言うのに……俺が……邪魔を、した。……悪いのは……俺だけ……です。罰を当てるなら……俺だけに……して下さい……。」
「……っ。」
「分かって……いたんだ……無一郎の……無は……っ。」
「"無限"の"無"なんだ。」
「っ!!!」
――っ!!!
無一郎は少年の言葉で、封印されていた記憶が完全に蘇った。次々と洪水の如く、記憶の濁流が脳裏を駆け巡った。
頭が真っ二つに割れる様な痛みが襲ったが、それすら無一郎は気にならなかった。
無一郎の記憶が復活したと同時に、少年の顔にしつこく纏わりついていた霞も晴れた。その顔は無一郎と瓜二つだった。
――嗚呼…………嗚呼っ! 何故、どうしてっ!……何で僕は忘れていたんだっ……僕の片割れを……双子の兄弟を……っ!!
無一郎は悔恨する様に、その後悔の言葉を口にしていた。身体は無く意識しか無いと言うのに、落涙する感覚をはっきりと自覚した。そして身体の方も、涙を流しながら少年の身体へ手を伸ばす。
「有一郎……兄さんっ!」
――っ!
「……っ。」
無一郎の呼び掛けに少年の、否、有一郎もまた残った右手を伸ばして触れた。有一郎は顔を無一郎に向けて、微笑して最期の言葉を口にした。
「無一郎……お前は……自分ではない……誰かのために……無限の力を出せる……選ばれた人間なんだ…………っ。」
「!!!」
――!!!
有一郎はそう言うと、双眸を閉じて息を引き取った。
其処から無一郎は、身体を指一本動かす事も叶わなかった。真夏に劣らぬ残暑の中、腐敗して行く有一郎の遺体に蠅が群がり卵を産み付けて蛆を湧かせた。生きている自分の身体にも、蠅は卵を産み付けて蛆を湧かせた。
其処へ偶然あまねが愛娘のひなき達を連れて時透家へ訪れたため、死の淵に居た無一郎は危ういところで一命を取り留めた。己の愛する家族との記憶と引き換えに。
無一郎はその後に起きた事を整理する様に、ゆっくりと回想を始めていた。
――僕は半年以上、意識が朦朧とした寝たきりの状態が続いた。そして身体を元通りに動ける様になるのも半年近く掛かった。それから偶然、"最終選別"が行われる事を知った。
――戦い方なんて何一つ知らない癖に、僕は
それから必要だった
――剣術なんて習っていないのに、鬼を豆腐みたいに簡単に斬れた。斬る事は難しく無かった。記憶を失っても身体が覚えていた。
死ぬまで鬼を滅ぼして、否、奴らを根絶やしにするまで消える事が無い程の怒りだ。僕は傷一つ負わずに"最終選別"を生き残った。其処から血反吐を吐く様な鍛錬をやり続け、鬼を倒し続けて二ヶ月で柱になれたんだ。
無一郎は其処まで思い出した所で、自身に変化が起きている事に気付いた。何時の間にか身体は現在まで成長し、隊服を身に着けていた。
だが、立っている場所は景信山だった。兄の有一郎と共に建てた、両親の小さな墓が其処に在った。そしてその隣にもう一つ、似た形の墓が建てられていた。
――おかしいなぁ……僕は記憶を失ってから、一度も故郷の景信山に帰っていない。それに兄さんの墓が建っている事も知らない……嗚呼、そうか。
無一郎は納得した様子で、一度頷いてから両膝を着き両手を合わせて合掌した。
――これは僕の願望だ。景信山に帰って、
「っ!」
無一郎はある気配に気付いて、後ろを振り向いた。其処には光の球体が凛々と光りながら浮かんでいた。しかし熱くは、無い。最初に感じた暖かさと優しさを確かに感じていた。
無一郎は光の球体を見て笑みを浮かべた後、再び三人の墓に顔を向けた。そして三人の墓に向かって新たに抱いた夢を、否、思い描いていた夢を口にした。
「けど僕が動く事で、救える命があるのなら……そっちを優先したい。だから父さん、母さん、兄さん……ごめん、行って来ます。」
無一郎は頭を下げて、家族に謝罪して詫びを入れた。その後、後ろ髪を引かれる感覚を感じながら、背を向けて歩き始めた。
『無一郎なら大丈夫。行って来なさい。』
『気を付けてね。行ってらっしゃい。』
『無茶はすんなよ、行って来い。』
「っ!?!?」
もう聞ける筈の無い愛しい声を耳にして、双眸を見開いて勢い良く振り向いた。
しかし、其処に愛する家族の姿は勿論、存在しなかった。
「……っ。」
しかし、無一郎は先刻聞いた愛しい声が幻聴だとは思わなかった。何故なら、家族の声を聞いて自身の胸が確かに暖かくなったのを感じたからだ。そして目尻には涙が溜まり始めて、今にも零れ落ちそうになっていた。
「っ!」
無一郎は急いで涙が溜まった目尻を袖で拭き取ると、勢い良く駆け出した。
光の球体まで近付くと、勢いのまま光の球体に手を伸ばした。無一郎が光の球体に触れると、強烈な光が無一郎を包み込む様に輝いた。
お待たせしました。
今作は無一郎君中心の記憶復活回でしたね。珠世さんの血気術を見て、「これ記憶喪失の治療に応用出来ね?」と考えたのがきっかけで生まれた話でした。これも一種のご都合血鬼術と言えるでしょう。因みに、この話も初期構想に有った話の一つです。
これで無一郎君は新たな目標が出来たし、原作より半年以上早く記憶が戻って幸せを積み重ねられるのは大きいと私は思っています。
それから分かると思いますが、炭治郎君と炭吉さんの憑依のオマージュです。
次回の更新は九月中に行います。お楽しみに。
オリジナル血鬼術
血鬼術
珠世が生み出した、催眠療法による対記憶喪失患者用血鬼術。患者の細胞に眠る記憶を蘇らせて、患者に見せる事で記憶復活を促す。
患者によって効果に個人差は有るが、失敗者は出した事が無いと言う優秀な血鬼術。
"幻日"とは"幻の日々"を掛けている。
余談だが"幻日"と言う、太陽の左右もしくは片方にのみ幻の太陽が映し出されると言う希少現象が実際に存在する。月でも同様の現象が実在し、その場合"幻月"と言う。
登場人物の性器発言ってどう思います?
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有り(エロくなるからばっちこい)
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無し(日輪刀、鞘とオブラートに揶揄って)
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作者にお任せ