・鬼滅の刃原作に関するネタバレあり。原作未読の方は閲覧注意。
・鬼滅の刃二次創作小説です。
・原作・キャラクターの性格・設定等改変の可能性大。一部キャラ崩壊注意。
・思い付き次第で何度も編集を繰り返す可能性大。お時間がある時で良いので、良ければ読み返してみて下さい。
・誤字脱字等のミス・内容の矛盾等の指摘は大歓迎。理不尽なクレームは受け付けません。
・コメント・メッセージ大歓迎。創作意欲の燃料になります。コメント・メッセージの返信は必ずさせて頂きますのでどしどし御投稿下さい。
・SS内容に関してはネタパクリと言う名の盗作を間違えてしないよう気を付けてますが、もし私が投稿した作品が既に別の作者様と作品内容が酷似していた場合、メッセージにて御連絡下さい。
※リクエストに関して
メッセージにてリクエスト内容を御連絡下さい。
以下規約
・100%受け付けられると保証された訳では御座いません。創作意欲次第で承諾する場合もお断りする場合も御座います。
・炭治郎×鬼滅女子のみ。
・作者は遅筆。またリアルの都合や他SSの執筆で投稿が遅くなる可能性大。
・CP、全年齢かR作品か、ネタの内容を御記入下さい。ネタの内容が詳細で有れば有る程、筆が進むので御協力をお願い致します。
時間は少し前まで遡る。
「はあぁぁ……極楽極楽ぅ……。」
産屋敷本邸に在る大浴場にて、一人の女性が満ち足りた表情で温泉に浸かっていた。天元の愛妻の一人、須磨である。
「そうねぇ。」
「ええ、気持ち良いわね。」
須磨の言葉に、同じく天元の愛妻である雛鶴とまきをも頷く。すると、隣の男性用の大浴場から何やら会話が聞こえていた。
「話題になっているのは、やっぱり炭治郎君みたいね。」
「あの子は今回の中心人物で立役者でしたからねぇ。」
雛鶴達はそう言って笑顔を浮かべた。まだ僅かな時間しか交流出来ていない雛鶴達だが、炭治郎の稀有とも言える人柄の良さを見抜け無い訳が無い。炭治郎が認められて受け入れられている事実が、とても嬉しかった。
「炭治郎。天元様だけじゃなくて他の柱の方々からも認められて、名前で呼んでって言われるなんて凄いわ。」
「本当ですねぇ。」
「天元様が炭治郎君にお名前をお許しになるのは予想通りだけど、そのお友達の善逸君と伊之助君って子はどんな子かしらね?」
隣の会話内容を耳にして、雛鶴達が楽しそうにクスクスと笑う。
「……天元様が喜んでいる声が聞こえて来るわね。」
「本当だ……って、そりゃ喜びますよ、まきをさん。良いなぁ〜〜お隣、お酒飲んでるみたいです。天元様達だけ狡くないですか?」
天元の歓声を耳にしながら、須磨は不服そうにプクッと河豚の如く頬を膨らませて不満を露わにする。そんな須磨の態度に、雛鶴は苦笑しながら宥め始めた。
「我慢なさい。お酒は此処には無いんだから……でもお隣のご様子を見ると、私達にもお酒を持って来て貰えるんじゃないかしら?」
「本当ですか?! 雛鶴さんっ!!」
「確証は無いけど……御館様は不公平な真似はされない方じゃない。それは貴女も良く知っているでしょう? 須磨。」
「……そうですね。じゃあ待ちます!」
酒が自分達にも配られる可能性を知った須磨は、一転して大人しくなった。そうしている間にも、隣の会話が再び雛鶴達の耳に入って来た。
「「「っ!」」」
隣の内容を聞いて、雛鶴達は一転して静かになる。隣から入って来た会話の内容に、どんよりと重みが含まれている事に気付いたからだ。不真面目な態度で傾聴するのは、流石に憚られた。
それから隣で落雷の如き怒号が一時響き渡ったかと思えば、一転して水が流れる様な落ち着いた声が響き渡った。このどちらの声は共に、同一人物から発声させられていた。
「この声って確か……。」
「この声、あの大騒動の引き金を引いた例の男の方の鬼の声ですよね?」
須磨がそう言った瞬間、露骨に落ち込み始めた。自身の失態で炭治郎が傷付き流血する羽目になったのだから、須磨からすれば無理も無い話だった。
「須磨、炭治郎君は気にしないって言ってくれた事を忘れたの? 貴女が負い目を感じていたら、それを見た彼もまた居心地を悪くするわよ。」
「はぁ〜い。」
雛鶴に説得された須磨は、無事に元気を取り戻した。
『ゆ、愈史郎さんっ! 落ち着いて下さいっ!?』
「「「!」」」
それから間も無い内に、炭治郎が必死に嘆願する声が雛鶴達の耳に入った。
「……隣で冨岡様が殴られてたみたいだね。」
「大声では言えませんけど、本当に困ったちゃんなんですねぇ冨岡様って。」
「ちょっと、須磨。言い過ぎよ……っ!……誰か入って来るわ。」
男性用の大浴場から聞こえるやり取りと会話を聞いて感想を各々で口にしていると、雛鶴が不意に出入口に視線を向けた。
「「!」」
雛鶴がそう言った瞬間に、一人の女性が女性用の大浴場に入って来た。
「ああっ――っ!! 雛鶴さんだぁ〜〜っ! まきをさんに須磨さんもっ! こんばんわっ! お疲れ様です!!」
最初に入ってきたのは、恋柱・甘露寺蜜璃であった。蜜璃は元気良く、その豊かな乳房を揺らしながら右手を振って雛鶴達に挨拶をする。因みに湯浴みは着用せず、全裸であった。
「か、甘露寺様っ!」
「お疲れ様です!」
「お、お疲れ様ですぅっ! 甘露寺様っ!!」
雛鶴達は蜜璃の存在を認識すると、勢い良く温泉から立ち上がる。
「あっ! 私達に気を使わなくても大丈夫ですよっ! そのままで居て下さい!」
そんな雛鶴達を見て、蜜璃はそう声を掛けて温泉に留めた。そうしている間に、二人の女性が蜜璃に続けて大浴場に入って来た。
「禰豆子さん。先に行っては駄目よ。」
「んっ!」
「「「!!」」」
大浴場に入って来たのは、禰豆子と珠世の二人であった。蜜璃の下へ走ってその傍に行こうとする全裸状態の禰豆子を、紫の湯浴みを着用している珠世が止める。普段は纏めている髪も解いたため、腰まで伸びた長髪が目に付いた。
「ふふっ。こうして温泉に入るなんて、一体何百年振りかしらね。」
珠世は嬉しさを隠し切れない様子で、嬉々とした満面の笑みを浮かべていた。
因みに前日は迫り来る緊急柱合会議に備えていたため、身体を拭くのがやっとでとても大浴場を利用する余裕など皆無であった。
そもそも、珠世が所有する物件はあくまで無惨一党の追跡から逃れ隠れるための隠し拠点であり、あまり大きな風呂など所有出来なかった。
風呂から湧き出る湯気まで、隠し通す事など出来ないからだ。たとえ考え過ぎだと言われようと、切っ掛け一つが自分達の命運が変わると考えれば用心に用心を重ねる必要性は有って然るべきものであった。
珠世自身、最後に温泉に入ったのは何処の山に湧いていた天然の温泉である。鬼である事を露呈させないためにも、市町村の銭湯など利用出来る筈が無かった。
そんな珠世の事情を考えれば、大浴場で堂々と温泉に浸かるのは最大級の贅沢と言っても決して過言では無かった。
「珠世さん、禰豆子ちゃんも、産屋敷家ご自慢の温泉は凄いでしょう? お肌もスベスベになるのよ〜❤」
蜜璃が我が事の如く、大浴場について嬉しそうに語る。尤も、鬼である禰豆子達にも人間と同様の効果が得られるとは考え難いのだが。
「「「……」」」
雛鶴達は蜜璃に言われて温泉に留まったが、禰豆子と珠世に視線を集中していた。二人の美しさも目を引くものがある。しかしそれ以上に鬼であるからか、やはり気になるのも無理も無い話だった。
「……んっ!」
『?』
禰豆子は雛鶴達の視線を気にする事無く突然、何かを決意した様子を見せた。
「……んっ。」
禰豆子は手拭いを握り締めると、直ぐ様行動に移る。
「ん!」
「ね、禰豆子さん?」
珠世が困惑している間に、禰豆子は珠世の湯浴みを脱がす。すると其処には美しくて瑞々しい
『!!』
「んっんん〜〜♪♪♪」
戸惑う珠世を尻目に、禰豆子は手際良く隅から隅まで珠世の身体を洗っていく。禰豆子と珠世を見ながら、蜜璃がボソッと呟いた。
「何だか、二人が本当の親子みたい……私も昔、お父さんやお母さんと一緒にお風呂に入ったのを思い出すわぁ……。」
懐かしそうに、蜜璃がそう口にして微笑みを浮かべた。そうしている間に、珠世は洗い終わったようだ。
「あ、ありがとう。禰豆子さん。」
「んっ!」
照れた様子で珠世は、背中を流してくれた禰豆子に礼を述べた。それに対して、禰豆子も一声上げて答える。それから、禰豆子はそのまま蜜璃の下へ向かった。
「私の背中も流してくれるの? 禰豆子ちゃん?」
「んっ!」
蜜璃の質問に笑顔で答えた禰豆子は行動で示さんと言わんばかりに早速、蜜璃の背中を流し始めた。
「えへへ、嬉しいなぁ。私に新しい妹が出来たみたいで楽しいわ。」
蜜璃は非常に嬉しそう笑みを浮かべながら、自分もまた身体を洗い始めた。
「~~♪~~♪♪~~~♪」
蜜璃は鼻歌を歌いながら、身体を洗い終えた。
「禰豆子ちゃん、ありがとうっ!」
「んっ!」
蜜璃が禰豆子に礼を述べると、禰豆子もまた笑顔で返答をした。
「……鬼って聞かされたけど、一見だけではとてもそうは見えないわ。」
「炭治郎の妹の禰豆子ちゃんと、例の女の方の鬼……確か珠世だっけ?」
「天元様と炭治郎が大丈夫だって言ってましたし、心配するだけ損ですよ。」
雛鶴達は禰豆子と珠世を見て、心の奥底でほんの僅かに燻っていた警戒心が霧散していた。
すると其処へ新たな人影が三人、大浴場に入って来た。
「っ!……あっ! しのぶちゃんっ! それにアオイちゃんにカナヲちゃんもっ!!……っ!」
大浴場へ入って来たのは、しのぶとアオイ、そしてカナヲの三人であった。笑顔で呼び掛けた蜜璃だったが、三人の様子を見て思わず口を詰まらせた。
「「「……はぁ。」」」
顔色を見ればしのぶ達が見るからに疲弊した様子なのは、火を見るよりも明らかだったからだ。その中で一番被害が少なかったアオイですらどんよりと気落ちしているのだから、しのぶとカナヲに至っては相当なものだ。
傍から見ていれば、アオイとカナヲがお盆に乗せて持って来た徳利と酒盃を落とさないか心配になる位だ。
事実、しのぶ達は疲れた様子を隠す事無く大浴場に入って来た。
耀哉に小言を喰らったのが、余程堪えた様子だった。その時の様子を回想する。
『しのぶ。私にまで騒動の時の事を隠そうとするなんて、幾ら何でも無謀過ぎると思わなかったのかな?』
『カナヲ。君が感情を表に出せた事は、私にとっても素晴らしく喜ばしい事だ。だからって、しのぶに斬り掛かるなんて酷いじゃないか。炭治郎の事を愛しているからって、それは幾ら何でもやり過ぎだ。』
『それから禰豆子の件だけど……
『『『本当に、本当に申し訳ございませんでした……!!』』』
耀哉から淡々と、されど捲し立てる様にやって来るお小言の雪に、しのぶ達は終始土下座して謝罪する他にこの窮地を切り抜ける方法を思い出せ無かった。
叩き付けられる様な威力や威圧は無い。
しかし『塵も積もれば山となる』の故事の如くゆっくりと積もって圧殺されて行く様な、正しく拷問に等しい時間であった。
実はしのぶは珠世の件を報告した後に大騒動の一件を報告しようとしたのだが、耀哉が珠世の件に関して興奮して尋ねて来たため、しのぶも思わず報告しそびれたのが真相なのだ。
しかしそんな事を耀哉に説明したところで、しのぶにとって事実であろうと最早誰が聞いても見苦しい言い訳に過ぎない。
そればかりか耀哉にも非が有ると言わんばかりの言い訳など、不忠にも程がある。口が裂けようと、しのぶがその様な進言が出来る筈が無かった。
結局しのぶ達は耀哉からのお小言が終わるまで、沈黙するか謝罪の言葉を口にするかのどちらかに終始徹底した。決して長い時間では無かったのだが、しのぶ達には永遠とも感じられる時間であった。
『さて、君達も懲りた事だろう……しのぶ、後日で構わないから竈門兄妹に関して詳細な報告書を纏めて私に提出する様に……下がって良いよ。』
『……御意。』
『『……失礼……致します。御館様。』』
しのぶが報告書の提出を命じられたのを最後に、耀哉の説教は終了したのだった。
「あ、アオイちゃんっ! カナヲちゃんっ! それ私が持つよっ!!」
其処へ蜜璃がアオイとカナヲへ駆け寄って、二人が手に持っているお盆をヒョイと両手でそれぞれ一つずつ手に取った。このままでは落としてしまうのではないかと、そう蜜璃が二人を心配したからだ。
「す、すみません。恋柱様っ。」
「恋柱様。お手数をお掛けして申し訳ありません。」
アオイとカナヲは、自分達が持っていたお盆を代わりに持ってくれた蜜璃、申し訳無さから謝罪した。
「良いのよ。二人共、気にしなくて良いからね?」
蜜璃は二人の謝罪に対して、笑顔で気にしない様にと気遣った。
「…………」
『!』
其処へ新たに大浴場へ入って来たしのぶとアオイ、カナヲの三人を禰豆子が意味深にじっと見詰め続けている事に、漸くしのぶ達が気付いた。
「禰豆子さん?」
「どうかしました?」
「禰豆子ちゃん?」
しのぶ達はずっと見詰められ続けて気になったため、禰豆子に声を掛けた。
「…………」
しかし、禰豆子はしのぶ達の呼び掛けに答えず、理由は分からないまでもキラキラと期待の籠った目でしのぶ達を見詰めていた。
「……っ!……そうだわっ! きっとそうよっ!」
『?』
蜜璃が禰豆子としのぶ達を交互に見て、禰豆子の狙いが何なのかを察して声を上げた。
しかしその禰豆子の狙いが分からないしのぶ達は、蜜璃の歓声に近い声を聞いても首を傾げるだけだった。
そのため、蜜璃はしのぶ達に解説することにした。
「禰豆子ちゃんはね、しのぶちゃん達の背中を流してあげたいんだと思うわ。だって、
「「「っ!」」」
蜜璃から禰豆子の狙いを聞いて、しのぶ達はお互いの顔を見合わせた。
「「「…………」」」
しのぶ達は
「……しのぶちゃん……アオイちゃんにカナヲちゃんも……。」
「「「!」」」
沈黙するしのぶ達に、蜜璃が声を掛けた。その声色には悲しみが含まれており視線には不安の色を宿していた。
「禰豆子ちゃんに背中を流して貰うの……もしかして、嫌なの?」
「「「!!」」」
しのぶ達は蜜璃の指摘を受けて、当たらずと雖も遠からずだと言わんばかりに露骨に視線を逸らした。
「うぅっ……。」
蜜璃の感情が伝染したのか、禰豆子もまた不安そうにしのぶ達を見詰めた。もう少し時間が経てば、その双眸には涙が浮かぶ事だろう。
――どうして、しのぶちゃん達は禰豆子ちゃんに背中を流して貰うのを嫌がるのかしら? まさか鬼だから……って訳じゃないよね……?
蜜璃は禰豆子の様子を心配そうに見ながら、何故しのぶ達が禰豆子に対して、拒否気味な態度を抱いて居る事に首を傾げていた。
「……あっ。」
「「「っ!」」」
珠世と雛鶴達は、何故かしのぶ達が禰豆子に背中を流して貰う事を渋っている理由について、察する事が出来た。
しのぶ達の真意を知って四人の顔は、僅かばかりに赤く染まっている。その理由は、しのぶ達の身体に存在していた。
「「「……」」」
提供:椿様 ※遠近法です。
そんな騒々しい外野を余所に、「お前が行けよ。」と言わんばかりに、互いに目線で背中を流して貰う役割を押し付け合うしのぶ達。
しかし何時まで経っても名乗り出ようとしないため、しのぶがアオイとカナヲに妥協案を提案した。
「ではこうしましょう……三人で同時に脱ぐのは如何ですか?」
「「!?」」
「遅かれ早かれ脱ぐんです……それにもう既に
「「っ!……はい。」」
しのぶが叱咤する様にそう言うと、驚いていた二人は覚悟を決めて承諾する。
「……禰豆子さん。良かったら、私の背中も流してくれるかしら?」
「しのぶ様の後は、私達もお願いします。禰豆子さん。」
「んっ!」
禰豆子はしのぶ達に快諾すると、直ぐにしのぶの背後へ移動した。頬を赤く紅潮させて、禰豆子は喜色満面の笑みを浮かべていた。
「……」
その一方で禰豆子と同様に、しのぶ達もまた顔を赤くしていた。しかし、それは禰豆子の喜びとは異なる、単純に羞恥心から来る紅潮だ。認めはしたものの、内心では抵抗感が残っていたからだ。
――……ええぃっ! もうどうとでもなれっ!!
三人は自暴自棄気味にバッと音を立てる勢いで、湯浴みを脱いで全裸になる。それから間髪入れずに両腕を乳房の前に交差させて、乳房の露出を咄嗟に防いだ。
提供:椿様
「!?」
しのぶ達の全裸姿を見て、蜜璃は三人が背中を流して貰う事に抵抗感を抱いて渋っていた理由を漸く理解する。
三人の全身に、赤い虫刺されの如き痕が在ったからだ。正確には頸から下の全身である。それから確かにきちんと見れば、手足や胸元にもしっかりと赤い
そしてその赤い
「し、しのぶちゃん……今気付いたけどその赤い痕って、まさか……。」
「お願いです、甘露寺さん。……何も言わないで……。」
「う、うんっ!……。」
蜜璃が顔を赤く染めながらしのぶに尋ねようとすると、遮る様にしのぶに聞かない様に嘆願された。
我に返った蜜璃は、直ぐに承知して沈黙した。しかし、その沈黙は蜜璃にとって耐え難いものであった。
「あ、あはははははははは……こ、このお酒っ! 持って行くね!!」
蜜璃は一方的にそう宣言して、両手に持っていたお盆に乗せた徳利を温泉まで持って行く。
温泉まで速足で歩く蜜璃だったが、その心中は更に興奮で満ちていた。
――あ、あれって
提供:椿様
しのぶ達の
「んんっ~~。」
「んっ……。」
背中を流されているしのぶはその心地良さに双眸を閉じて感じながら、身体を洗いつつある光景が脳裏に浮かんでいた。
――私も姉さんと一緒にお風呂に入っていた頃は、姉さんの背中を流していたわね……すると禰豆子さんにとって、私は姉という認識なのかしら? もしもそうなら、私は……嬉しい……っ。
しのぶが心中で喜びに浸りながら、自身も身体を洗い始めた。
「……んっ!」
「っ!……ありがとう、禰豆子さん。」
しのぶは背中を流してくれた禰豆子に礼を述べてから、木桶に入れたお湯を肩から被って身体を洗い流す。
提供:椿様
しのぶの礼を受けた禰豆子は、次にアオイとカナヲの方へと向かう。禰豆子が狙いに定めたのは、アオイだった。
「んっ。」
「禰豆子さん……すみません、お願いします。」
「んっ!」
アオイにそう言われた禰豆子は、快諾してアオイの背中を流し始めた。
「禰豆子ちゃん、手慣れてますよねぇ。」
「そうね、須磨。」
須磨とまきをは禰豆子を見ながら、彼女の振る舞いにある考えがよぎった。
――炭治郎君に聞いた話だけど……まだ人間だった頃は、禰豆子ちゃんはしっかり者で下の弟妹達の面倒を率先して見ていたって言っていたわね。
雛鶴はそう思うと、その名残とも言える禰豆子の行動を見て思わず目頭に熱が籠もった。
「ありがとうございました、禰豆子さん。」
「んっ!」
背中を流し終えた禰豆子に、アオイは頭を下げて礼を述べた。禰豆子がアオイの礼に答えた後、最後にカナヲの下へ向かった。
「ね、禰豆子ちゃん……お願いね!」
カナヲは楽しみと言った表情で、禰豆子にそう言った。
「……んっ。」
ところが禰豆子はカナヲの番となり背後に移動し終えた瞬間、双眸を閉じたまま立っていた。
「あれ……?」
「禰豆子さん?」
「どうかしたの?」
しのぶ達が首を傾げながら、禰豆子の名前を呼んで様子を伺った。自分達と同様、進んでカナヲの背中を流しに行くと考えていたからだ。
まさか何もせず立ち往生同然の姿勢になるとは、その場にいる全員にとって想定外であった。
「禰豆子ちゃん……私の背中を流すのは……嫌?」
カナヲは自分が禰豆子に嫌われているのではないか、とそう考えて不安と恐怖から身体を震わせる。
しのぶ達もカナヲの様子を心配しつつ、禰豆子に視線をやって状況を見守った。温泉に浸かっている、雛鶴達も同様である。
「んんっんんっ!」
禰豆子はカナヲの質問に対して、勢い良く首を横に何度も振った。それから間も無く、禰豆子の身体に変化が起きた。
『!』
「……ふふっ。」
禰豆子が鬼化を行い、変身して魅惑的な長身の美女になる。
「「「!?」」」
禰豆子の変化を見て、雛鶴達はギョッと驚いて双眸を見開いた。しかし、雛鶴達の反応に対してそれを責める事は出来ない。
そもそも、禰豆子が額に一本角を生やしてより一層鬼らしくなったのだから、雛鶴達がそう反応するのも無理も無い話だった。
「大丈夫ですよ。禰豆子ちゃんは正気を失う事はありませんから。」
蜜璃は禰豆子がを見て当惑する雛鶴達を見て、安心させるためにそう言って宥めた。
「えっ?……え?」
「んっ♪」
カナヲが困惑しているそうしている間にも、禰豆子は行動に移っていた。
「んっ〜♪」
『……』
禰豆子は機嫌が良さそうにしながら、カナヲの背中を流している。実はこの時、カナヲと珠世達とで明確な違いが現れていた。
「……っ。」
「んっ!!」
『!』
禰豆子が珠世達の背中を流していた時は、併せて各々で身体を洗っていた。しかし、カナヲに限っては身体を洗う事を許さなかったのだ。
事実、背中を流している時にカナヲが身体を洗おうとしたら、その度に背中を流す手を止めて両手を掴み制止するのである。これでは、カナヲも身体を洗う手を止めざるを得なかった。
しかし背中を流すのを放棄してまでカナヲの身体を、執拗に洗うのを止めていた理由が此処で漸く判明する。
「んんっ~~♪」
『!!』
禰豆子がカナヲの背中を流し終えると、間髪入れずに今度はカナヲの身体を自ら洗い始めたのである。どうやら、自分の手でカナヲを洗いたかった様子であった。
流れる様に素早く丁寧にかつ優しく身体の隅から隅まで洗い、お湯を掛けて泡を流した。しかし、これで禰豆子は終わらなかった。
「んっ!」
カナヲの身体を洗い終えた禰豆子は、透かさずカナヲの美しい長髪を自らの手で洗い始めた。
「んっ……んっ!!」
「……」
――……あっ。
黙して何もしていなかったカナヲは、脳裏にある光景が浮かび上がった。
――これって……嗚呼、しのぶ姉さんに髪を洗って貰った頃を思い出すなぁ……。
カナヲが人買いの手で売り飛ばされそうになっていた時に、カナエとしのぶの姉妹に救われその後しのぶの手によって髪を洗って貰った日を思い出していた。
バシャン!
思い出に浸っている間に、禰豆子は何度かお湯が入った桶をカナヲの頭から浴びせて洗髪を終了した。
「んっ!」
禰豆子は任務完了と言わんばかりに、鬼化によって大きくなった豊満な乳房を強調しながら胸を張った。
「あ、ありがとう。禰豆子ちゃん。」
カナヲは濡れた髪を絞りながら、洗髪までしてくれた禰豆子に礼を述べた。しかし、カナヲにはある疑問が有った。
――しのぶ姉さんやアオイは背中しか流さなかったのに、どうして禰豆子ちゃんは私だけ洗髪までしてくれたんだろう?
カナヲは禰豆子の、自身としのぶ達との扱いの違いに首を傾げるしかなかった。
「禰豆子さん、お疲れ様。今度は私が洗ってあげるわね。」
「んっ♪」
珠世が禰豆子を労い返礼とばかりに身体を洗う事を提案すると、禰豆子は喜色満面の笑みを浮かべて快諾した。
『!』
珠世の前まで移動すると、禰豆子は再び身体を変化させて元の体型に戻ったのだ。
「んっ……んっ!!」
「っ!……ごめんなさい、禰豆子さん。直ぐに綺麗にしましょうね。」
「うんっ♪」
驚く珠世達を余所に、禰豆子は珠世が背中を流しやすい様に自身の髪を掴んで背中を露わにした。
――記憶なんてもう何処にも残っていない筈なのに、とても懐かしく感じる……私には息子しか居なかったけれど、もし私に娘が居たら……こんな感じだったのかしらね……っ。
そう感傷に浸っていた珠世だったが、直ぐに思考を切り替えた。
其処から、珠世の行動は素早かった。手際良く背中を流し終えた後、次に身体を洗ってから最後に臀部まで届く禰豆子の長髪の洗髪を始めた。
「んんっ〜〜♪」
「禰豆子さん、気持ち良いかしら?」
「んっ!」
珠世の質問に、禰豆子は気持ち良さそうに双眸を細めて応えた。
「……っ!?」
「カナヲ?」
「どうかしたの? カナヲ?」
突然、カナヲが何か重大な事に気付いた様子でハッとした表情を浮かべた。そんなカナヲの様子に気付いたしのぶとアオイが、何事かとばかりにカナヲに尋ねる。
「しのぶ姉さんっ!……アオイっ!……っ。」
「「?」」
ワナワナと身体を震わせたカナヲは、やっとの思いでその重い口を開いた。
「私……私っ……私だけ禰豆子ちゃんに妹扱いされてるっ!?」
「「!?」」
カナヲが絞り出す様に口にした言葉の内容を聞いて、しのぶとアオイは絶句する。それは内容の重さが想像以上に軽かったからだ。
「「……」」
――何だ、そんな事か。
カナヲ本人は余程悲しい事だったのか、ガーンという音が背後から聞こえそうなくらいに落ち込んでいた。しかし正直に言えば、二人の間では拍子抜けと言わんばかりの空気が漂っていた。尤も、その事を表に出すなどという真似はしない。
もしその様な事をすれば、カナヲが余計に拗れる可能性があるからだ。蝶屋敷でやらかした様に、暴走すれば何をしでかすか分からないカナヲである。
何より、尊崇する耀哉に叱咤説教されて早々に再び面倒な目に遭うのはごめん蒙りたかった。
「気落ちしちゃ駄目よ、カナヲ。」
「カナヲ、気にする事無いわよ。」
「うぅ……私の方が年上なのに……っ。」
しのぶとアオイは落ち込むカナヲの肩に、各々で手を置いて慰めの言葉を掛けた。しかしその一方で、二人してある事実に感嘆していた。
――全ての事に無関心だったあのカナヲが、誰かの家族になりたい、そう思われたいと願う日が来るなんて……。
――カナヲが成長出来たのも全部、炭治郎君のお蔭ね。流石は私の未来の旦那様だわ。
カナヲの成長を見て、二人は胸中に感動を抱いて居た。
――それはそうと禰豆子さん、カナヲを妹扱いって……これが姉の本能なのかしらねぇ? 間違ってはいないし、正しいのだけれども……。
――本来の禰豆子さんはしっかり者だったって炭治郎さんも仰ってたし……第一、カナヲは姉って柄じゃないものね……何処からどう見ても世話の焼ける妹よね。
しのぶとアオイの心中は、禰豆子に完全に同意していた。カナヲにとって、それに気付かなかった事は、不幸中の幸いなのだろう。
お待たせ致しました。
鬼滅女子編になります。何気に炭治郎がはっきりと登場しない回というのは初めてでは無いでしょうか?
そして皆様もお気付きでしょうが、以前宣伝した椿様から何と挿絵を頂きました!! https://www.pixiv.net/artworks/87609627
拙作のために挿絵を描いて下さるなど、拙作を初めた頃では考えられない程の幸運です。最初は読者が十人も居れば御の字と思っていたのに……凄く感慨深いです。
因みに挿絵は前々回の第参拾伍話、第参拾陸話にも追記されています。良ければもう一度読み直されては如何でしょうか?
炭治郎のイラストについても一言頂けたら嬉しいです。
それと作者連絡させて頂きますが、鬼殺隊見聞録が発売され愈史郎の血鬼術が「紙眼」と発表されました。
そのため『百眼符』は今後『紙眼』・『紙眼・視』・『紙眼・隠』・『紙眼・伝』とそれぞれ折を見て修正します。
ただ、ハーメルンには「誤字報告」機能がありますので、読者のどなたかお手伝い下さると大変助かります。親切な方、どうかよろしくお願い致します。
次回の更新は二月中です。お楽しみに!
登場人物の性器発言ってどう思います?
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有り(エロくなるからばっちこい)
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無し(日輪刀、鞘とオブラートに揶揄って)
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作者にお任せ