※この作品はR-18です。

優しき日輪と鬼殺隊の美蝶   作:蓮紅

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※キャプション必読・リクエストに関しての説明あり
*超辛口表現有り。苦手な方ご注意下さい。
・鬼滅の刃原作に関するネタバレあり。原作未読の方は閲覧注意。
・鬼滅の刃二次創作小説です。
・原作・キャラクターの性格・設定等改変の可能性大。一部キャラ崩壊注意。
・思い付き次第で何度も編集を繰り返す可能性大。お時間がある時で良いので、良ければ読み返してみて下さい。
・誤字脱字等のミス・内容の矛盾等の指摘は大歓迎。理不尽なクレームは受け付けません。
・コメント・メッセージ大歓迎。創作意欲の燃料になります。コメント・メッセージの返信は必ずさせて頂きますのでどしどし御投稿下さい。
・SS内容に関してはネタパクリと言う名の盗作を間違えてしないよう気を付けてますが、もし私が投稿した作品が既に別の作者様と作品内容が酷似していた場合、メッセージにて御連絡下さい。

※リクエストに関して
メッセージにてリクエスト内容を御連絡下さい。
以下規約
・100%受け付けられると保証された訳では御座いません。創作意欲次第で承諾する場合もお断りする場合も御座います。
・炭治郎×鬼滅女子のみ。
・作者は遅筆。またリアルの都合や他SSの執筆で投稿が遅くなる可能性大。
・CP、全年齢かR作品か、ネタの内容を御記入下さい。ネタの内容が詳細で有れば有る程、筆が進むので御協力をお願い致します。


第肆拾玖話 鬼殺隊の美蝶も日輪を回想す

「あははっ。禰豆子ちゃん。もうちょっとで終わるから、良い娘で待っててね~?」

 

「んんっ~~~♪」

 

産屋敷本邸にある一室で、鈴を転がす様な美しい女性の声が聞こえて来た。

 

女湯で酒をそれなりに飲んだ所為か、酒精が回って少し酔っている蜜璃が楽しそうに笑いながら、禰豆子の美髪を三つ編みに編んでいる。禰豆子も蜜璃にやって貰えて嬉しいのか、蜜璃に釣られて楽しそうに声を上げている。

 

「ヒック……た~~んじろうくぅ~~ん。にひひひっ。」

 

「あの、しのぶ様……私は炭治郎さんではありません。アオイです……この部屋に炭治郎さんが居てくれたら、とは思いますけど。」

 

一方でしのぶは炭治郎の名前を呼びながら、アオイに抱き着いて頬摺りをしていた。

炭治郎と勘違いされてしのぶに頬摺りをされているアオイは、酒臭さとしのぶからの絡みに耐えつつ相手をしている。

 

「……あぁ~~……アオイィッ~~此処って何処ですかぁ~~?」

 

「……此処は御館様が手配して下さった、私達の御部屋ですよ。しのぶ様。」

 

女湯で最も多く飲酒していたしのぶは、泥酔した様子でアオイに抱き着きながらしつこく絡む。

アオイはそんなしのぶを見て鬱陶しいとも疎ましいとも一切思わず、しのぶの絡みを適当に流しつつ苦笑しながら相手を努めていた。

 

アオイはカナエが殉職して以来、炭治郎と結ばれるまでの間にしのぶがどれだけの苦労を背負って来たかを、最も間近で見て来た人物である。故にこんな無防備な姿を晒してくれるのは、寧ろ大変喜ばしい事態であった。

 

しのぶを微笑ましく見ていたアオイだったが、其処へ部屋の襖が開かれた。其処には水の入っていると思われる人数分の湯呑茶碗と、薬らしき錠剤をお盆に乗せて持って来たカナヲが入室して来た。

 

「しのぶ姉さん。お水を持って来たわ。それと珠世さんがね、私達の為に二日酔いのお薬を処方してくれたのよ」

 

カナヲは泥酔しているしのぶを心配しながら、禰豆子を除いた全員にお盆に乗せていた湯吞茶碗を取って渡した。水が入った湯吞茶碗と二日酔いの薬を受け取ったアオイ達は、目礼してカナヲに礼を述べてからしのぶに手渡そうとする。

 

「しのぶ様、どうぞ。」

 

「んんっ~~~。」

 

しのぶは身体をフラフラとしながら、アオイが持つ湯吞茶碗に手を伸ばして取ろうとした。しかし受け取り損ねてしまい、水が入った湯吞茶碗はしのぶの小さな手から零れ落ちた。

 

「あっ……。」

 

「「あぁっ!?」」

 

しのぶが受け取り損ねた湯吞茶碗は、ゆっくりと畳の上に落下して行く。アオイと蜜璃はその様子に声を上げて動揺するが、咄嗟に動けなかった。

 

「!」

 

しかし、カナヲだけは違った。その身体能力と持ち前の超人的な視力を以て、二人が声を上げて動揺している間に湯呑茶碗を受け止める事に成功した。

 

「やっ、やったっ!?」

 

「流石カナヲちゃんねっ!」

 

それもただ受け止めるのではなく、一滴も水を零す事無くである。これにはアオイと蜜璃も感嘆の声を上げて、カナヲを称賛する。

 

「?」

 

一方で禰豆子だけは状況を理解しておらず、一人で首を傾げていた。

 

「もう……姉さん。飲ませて上げるから、お口開けて?」

 

「んっ……あ――んっ。」

 

しのぶはゆっくり口を開けると、カナヲは口に親鳥が雛に餌を与えるが如く、しのぶの開いた向かって錠剤を放り込んでから水をゆっくりと流し込んだ。

 

「(ゴクッ!)……ふぅ。」

 

「御粗末様でした。姉さん。」

 

薬と水を飲み干したしのぶに、カナヲはそう言ってから湯吞茶碗を下げてお盆の上に乗せた。アオイ達も各々の薬を摂取した。

 

「カナヲ……ごめんねっ。」

 

「っ!……姉さん、別に謝らなくても良いのよ?」

 

しのぶがシュンとした様子で謝罪の言葉を口にしたのを聞いて、カナヲは気にしていないと言わんばかりに笑顔で答えた。

 

「ううん、違うの……アオイも、ごめんなさい。」

 

「「?」」

 

カナヲ続けてアオイもしのぶから謝罪されて、二人は何故自分達にしのぶが謝罪するのか分からず、首を傾げるしかなかった。そんな二人を他所に、しのぶは悲しそうな表情を浮かべながら、二人をゆっくりと抱き寄せた。

 

「「……」」

 

しのぶの様子が気になった禰豆子と蜜璃も、静かにしのぶ達の様子を見守った。禰豆子達から視線を受けながら、しのぶはゆっくりを語り始めた。

 

「私……私ね、カナエ姉さんを殺した童磨(上弦の弐)を討つ為に、毒を飲み続けたと言ったけれど……それは嘘。本当は違うの。」

 

「「「っ!!?」」」

 

しのぶの唐突な告白を聞いて、禰豆子を除いた三人は驚愕した。驚愕するアオイ達を他所に、しのぶは自身の告白の真意を語り始める。

 

「今だから、はっきり分かるの……仇敵(かたき)討ちは勿論したい。姉さんの無念を晴らしたい……でもそれは尤もらしい言い訳を言っているだけで、そんなものは本当に只の建前でしかなくて……。」

 

しのぶは其処まで言うと、一度口を噤んで沈黙した。少しの間を置いてから、しのぶは重い口を開いて話を再開させた。

 

「私はただ単に……さっさと死にたかっただけ。……早く楽になって、お父さんやお母さんの……姉さんの傍に行きたかっただけなの……っ。」

 

「「「!!!」」」

 

しのぶが心の奥底で隠していた、その悲しい願望を聞いたアオイ達。しのぶが隠し持っていた自身達の想像を遥かに超える悲しい願望を聞いて、思わず絶句して身体を硬直させてしまった。

 

「大切な人に置いて逝かれる悲しみを、誰よりも分かっている筈なのに……ごめんね。姉さんと違って、駄目なお姉ちゃんで、ごめんねっ……。」

 

しのぶは何時の間にか、身体を震わせながら涙を流して泣いていた。しのぶは泣きながら、アオイとカナヲの強く抱き締めて謝罪の言葉を口にする。

 

「「!!」」

 

そんなしのぶの謝罪の言葉を聞いて、二人は両眼を見開いた。そして咄嗟に、しのぶに抱擁を返す。

 

「そんなっ! そんな、事っ……ないよっ! しのぶ姉さんッ!」

 

「そうですっ! カナヲのっ……カナヲの言う通りですっ! しのぶ様はっ! 私達の最高の姉様ですっ!!」

 

敬愛する姉分のその様な言葉を聞いて、黙っていられる筈も無い。アオイとカナヲは涙腺に溜まっていた涙を決壊させる様に流しながら、力一杯しのぶを抱き締めた。

 

「うわぁ――んっ!! しのぶちゃああんっ!!」

 

蜜璃も貰い泣きしながら、しのぶ達の下へ駆け寄って三人纏めて強く抱き締めた。

 

「……」

 

そんな四人に向かって、今まで黙って状況を見守っていた禰豆子も動き出した。普段と異なり、蜜璃と同様の三つ編みの状態のまま、しのぶ達の下へ向かった。

 

「あっ! 禰豆子ちゃんっ……っ!」

 

蜜璃が禰豆子に気付いて声を掛けると、一瞬驚いた表情を浮かべる。自分達の下へ向かいながら、鬼化して妖艶な大人の姿になっていたからだ。髪型が三つ編みの為、普段とは違う魅力が見て取れた。

 

「「「「!」」」」

 

「んんっ!!」

 

禰豆子は我が子を抱擁する母の如き、優しき慈母を連想する様な笑みを浮かべてしのぶ達を優しく抱き締めた。しのぶ達は一瞬驚いたが、抵抗する事無く禰豆子の抱擁を受け入れる。

 

「…………ふふっ。」

 

すると不意に、しのぶから零れる様な笑声が漏れた。其処からアオイやカナヲも、可笑しそうに笑声を上げる。泣き声が響いていた室内は瞬く間に、室内は明るい笑声に包まれていた。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「すぅ……すぅ……。」

 

「んっ……。」

 

「すぴぃ――。」

 

暫くして禰豆子としのぶ、そして蜜璃が敷かれた布団の上で寝着いていた。

 

「ねぇ、アオイ。」

 

「なぁに? カナヲ。」

 

カナヲがアオイに話し掛けると、アオイは即座に応えた。

 

「しのぶ姉さん……()()()私達に弱音を吐いてくれたね。」

 

「っ!……うんっ。」

 

カナヲの指摘を聞いて、アオイは驚きながらも強く同意した。

 

この緊急柱合会議では、幾度かしのぶの本音と言う名の弱音を聞く事が出来た。

 

しかしそれは、全て愈史郎の手によって間接的に知る事が出来たものばかりである。

何れにせよ、しのぶから直接聞いたものは一つも無かった。

 

「今回はお酒の力を借りてたってだけかもしれないけど、信頼されてるって……頼られてるって嬉しいわね。」

 

「っ!……うんっ!」

 

アオイの言葉を聞いて、カナヲは笑顔で強く同意した。

 

「「……」」

 

それから僅かな間、沈黙するアオイとカナヲ。すると二人は自然と禰豆子達がしっかり寝入っている事を、目視で念入りに確認していた。

 

「……アオイ、あのね……。」

 

「奇遇ね、カナヲ。私も丁度、貴女に言いたい事があったの。」

 

「っ!」

 

カナヲが決意を秘めた様子でアオイに話し掛けようとすると、アオイは察した様子でそれを静止した。

驚くカナヲに、アオイはある提案をした。

 

「提案なんだけど……一緒に炭治郎さんと愛し合いに行かない?」

 

「!!」

 

アオイの提案を聞いて、カナヲは驚いた様子で両眼を見開いた。そんなカナヲの様子を見て、アオイは微笑を浮かべる。

 

「やっぱりそう思っていたのね。」

 

アオイは予想通りとばかりに、カナヲを見た。カナヲはアオイの指摘に肯定する様に、力強く首肯して答えた。

 

「しのぶ姉さんに一番は譲ったけど……私だって女だもの。愛される好機をむざむざ逃がす心算なんて、毛頭無いわ。」

 

「同感ね。それに此処でお互いに潰し合うなんて、馬鹿馬鹿しいわ。だから……一緒に炭治郎さんに、目一杯可愛がって貰いましょう?」

 

「…………大賛成。」

 

カナヲは満面の笑みを浮かべて、アオイの提案に賛成した。それからアオイは医療箱から()()()()を取り出した後、カナヲと仲良く室内から退室して行った。

 

廊下を二人仲良く並んで歩くアオイとカナヲは、再び相談を始めた。

 

「炭治郎だけど……どうする? 待つ? それとも……捕まえに行く?」

 

「…………」

 

カナヲの物騒な提案に対して、アオイは無言で懐からある物を取り出した。

 

それは愈史郎から貰った、二枚の『紙眼』であった。

 

「……(ニヤリッ)」

 

アオイの手にある『紙眼』を見たカナヲは、ニヤリッと艶めかしくも恐ろしい笑顔を浮かべていた。そんなカナヲの笑顔を見て、アオイも同様の笑みを浮かべていた。

 

二人が浮かべていた笑顔は、獲物を定めた肉食動物に等しいものであった。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「糞っっ!!」

 

産屋敷本邸の一角で、怨嗟に満ちた声を上げて壁を殴り付ける男が居た。尤も、その声は正確に言うと怨嗟と言うより悔しさに近いものであったが。

 

その男とは、晩餐以降姿を現さなかった蛇柱・伊黒小芭内であった。その頸には、愛蛇の鏑丸の存在もあった。

 

「……っっ。」

 

小芭内は悔し気かつ立腹した様子で、もう一度壁を殴り付けた。顔の下半分を包帯で覆っているその顔は、幾つもの青筋が浮かび上がっている。その脳裏には、直前の出来事を思い出させていた。

 

『っ!……お前は……』

 

『んっ?……何だ、伊黒か。』

 

小芭内が(トイレ)から戻った際に、愈史郎と遭遇していた。

 

『……こんな所で、何をしている?』

 

愈史郎はあの後、何事も無かったかの様に身体を起こしていた。それから看病などをしてくれた炭治郎達に礼を述べた後、単独行動をしていた。

 

『炭治郎達と風呂から上がった所だな……その後であまねから耀哉の奴が俺を呼んでいるらしいから、今から耀哉(あいつ)の部屋に向かう所だ。』

 

『!』

 

敬愛する耀哉の名前が愈史郎の口から出たのを聞いて、小芭内は思わず愈史郎を睨み付けた。

 

『お前が、御館様の御部屋に……っ?』

 

『そうだが、何か問題でもあるのか?』

 

愈史郎が小芭内を睨み返すと、小芭内は忌々しそうに小さく舌打ちをした。そんな小芭内を見て、愈史郎は鼻で嗤った。

 

『お前如きに止められる理由なんざ、一つも無いんだよ。もう良いよな? 俺はさっさと耀哉の下へ……と思ったが折角の機会だ。あいつの下へ行く前に、伊黒に話しておきたい事がある。』

 

『……何だと?』

 

愈史郎の言葉を聞いて、小芭内は怪訝そうな表情を浮かべた。そんな小芭内に構わず、愈史郎は質問を行なった。

 

『伊黒は甘露寺の事が、好きな様だな? 当然だが、一人の女として。』

 

『!!?』

 

愈史郎は単なる質問ではなく、ある種の確信を持って小芭内に尋ねた。小芭内にとって愈史郎の質問内容は想定外だった様で、明らかに動揺していた。

 

――分かり易い奴め……。

 

愈史郎は動揺する小芭内を見て、ある種の同族嫌悪に陥りながらもそれを無視して話を続ける。

 

『一々否定とかしてくれるなよ? 面倒臭いだけだからな。お前が甘露寺に好意を抱いている事くらい、見れば誰でも分かるわっ。気付いていないのは、肝心の甘露寺だけだろ。』

 

『……』

 

先手を打つ様に愈史郎が一方的に言い終えると、小芭内は愈史郎に答えずに沈黙を貫いた。しかし愈史郎からすれば、その沈黙は肯定に等しいものだった。

 

『言いたく無いなら言わなくても良いぞ。……ただ俺がこの先、()()()()甘露寺の前で口を滑らせても、一々文句なんて言って来るなよ?』

 

『っ! 貴様っ!!』

 

愈史郎からの脅迫を受けて、小芭内は額に青筋を浮かべて睨み付けた。鏑丸も小芭内の憤怒に同調して、威嚇の声を上げる。しかし愈史郎からすれば、そんなものは微風程度のものでしかない。

愈史郎は小芭内と鏑丸に構わず、聞こえる様に独言を呟いた。

 

『まぁこの口を閉ざすだけの()()があれば、墓場まで持って行ってやっても良いがな。』

 

『!』

 

暗に答えろと言わんばかりに、愈史郎は小芭内を再び挑発した。小芭内は再び愈史郎を睨み付けた後、周囲を見渡して誰も居ない事を確認してから、諦めた様子で愈史郎に答えた。

 

『……ああ、そうだ。俺は甘露寺の事が好きだ……彼女には()()()()()()()()()と、()()()()()()()()。』

 

小芭内は一度深呼吸をしてから胸を張って、その様にはっきりと断言した。

 

『そうか。ならそんなまどろっこしい言い方をしていないで、四の五の言わずにさっさと告白したらどうだ? お前と甘露寺の間を妨げる、邪魔な障害なぞ無い筈だろう? まさか恋に現を抜かしていられないなんて、真面目腐った戯言を間違ってもほざくなよ? それは甘露寺に対する立派な侮辱だぞ。』

 

『!!』

 

小芭内の退路を事前に塞ぐ様にそう忠告した愈史郎は、こう言われて小芭内は何と言うのか気にしながら返答を待った。

 

蜜璃は素敵な恋をしたいと常々口にしている事は、鬼殺隊で知らぬ者などいない程、有名な話だ。恋愛を否定する事は、即ち蜜璃を否定する事に繋がってしまう。

 

五つを数えるまでの間が開いてから、小芭内は絞り出す様に開口する。

 

『……穢れた俺では、彼女の傍に居るこそすら憚られる。だから俺は甘露寺にこの想いを伝える事は、絶対に無い。』

 

『……つまり、お前は飽くまで傍観者として、甘露寺を見守る事に徹すると?』

 

『……そうだ。』

 

愈史郎が真偽を見極める為に質問すると、小芭内は首肯して即答した。しかし、そんな小芭内を見た愈史郎の反応は想像を超えるものであった。

 

『はっ、よくもまぁ其処まで嘘偽りを並べ立てられるもんだ。』

 

『!?』

 

愈史郎は小芭内の決意に対して、根底から全否定して嘲笑した。小芭内はその嘲笑を聞いて、怒るよりも先に茫然としてしまう。

 

『だったらお前……何故甘露寺と仲良くしていた炭治郎を、ずっと睨み付けていたんだ?』

 

『!!!』

 

愈史郎の指摘を受けて小芭内は反論する所か、顔を逸らしてしまった。そんな小芭内の態度が、益々愈史郎の憤怒の炎に油を注ぐ。愈史郎の神経を逆撫でしている事に気付かず、小芭内は漸く反論の言葉を口にした。

 

『それは……あんな複数もの女と同時に交際して居る様な不埒な奴が、甘露寺に近付く事など許されないからだ』

 

『炭治郎とどう接するかを判断するのは甘露寺本人がする事で、お前の仕事じゃないよな? 宇髄の事も侮辱しているが、あいつの事などどうでも良い……伊黒、尤もらしい言い訳を並べて、誤魔化そうとするは止めて貰えるか?……お前は誰であろうと、自分以外の男が甘露寺に近付く事が許せないだけだろうがっ。』

 

『!!!』

 

愈史郎が咎める様に指摘した内容を聞いて、小芭内は両眼を見開く程に動揺した。小芭内の動揺を見て、愈史郎は鼻で嗤って嘲笑する。

 

『言動を見るからに、陰湿なお前の事だ。甘露寺に近付く男は可能な限り、裏で排除していたんだろう? 違うか?』

 

『なっ!?……っっ。』

 

『……フンッ。』

 

愈史郎の追撃を受けて、小芭内はこれまで以上に動揺した。小芭内が見せたこの動揺こそ、愈史郎の指摘を肯定したも同然であった。そんな小芭内の動揺を見て、愈史郎は鼻を鳴らして苦々しい表情を浮かべた。

 

事実、蜜璃は本人が思っている以上に、鬼殺隊では非常に高い人気を得ている。その天真爛漫な性格は殺伐とした鬼殺隊に置いて、日常を思い出させてくれる稀有な存在として男女問わず愛され、大いに慕われている。蜜璃の人気の高さはしのぶと双璧を成すと言われているが、実際はしのぶを凌駕する程だ。

 

それ故に何十人もの隊士が蜜璃に告白しようとしたのだが、それは全て事前または直前に隊士達を小芭内が牽制して、実行すらさせなかったのである。

 

愈史郎が何故小芭内が裏で行っていた牽制行為を見抜けたかと言うと、自身にも心当たりが有り過ぎたからだ。

 

過去二十年間もの間で珠世に好意を抱く患者を、遠ざけたり追い出したりした経験が愈史郎自身にはある。その回数も既に、軽く百回を超える。時には恋文を破り捨てたり、燃やしたりした事もあるのだ。

 

当然だが追い出したのは飽くまでその患者達が完治してからであり、其処は医療従事者として道を外れる様な愚行は犯してはいない。

 

兎に角、自身が過去に陰湿な行為を行っていたからこそ、小芭内の行動を見抜く事が出来ていた。尤も、愈史郎が正直にそんな過去を小芭内に暴露する様な真似はしないのだが。

 

『……お前は甘露寺の幸せを、心から願っていたりなんかしていない。お前は、甘露寺と一緒に幸せになりたいんだ。そうだ。自分の手で、甘露寺を幸せにしたいと思ってる。醜い嫉妬心を心の奥底で燃やして、自分以外の男が甘露寺の傍に居るのが許せないだけだろ? 健気な傍観者を気取っているが、結局お前の本心はそれなんだよ。』

 

『……』

 

愈史郎が看破した小芭内の本心を口にすると、小芭内は完全に口を閉ざして、俯いてしまう。愈史郎が口にした事は、全て事実であったからだ。

 

しかし愈史郎の口撃は止まらない。そればかりか、止めと言わんばかりに小芭内に向かって最大の叱責を正面から言い放った。

 

『想いを告げる勇気も無い意気地無しの(カス)如きに、嫉妬心も独占欲も抱く資格は無いっ! この腰抜けの臆病者がっ!! 身の程を弁えろっ!!』

 

『!!!!!』

 

愈史郎にそう言われた瞬間、小芭内の頭の中で何かがキレる音が聞こえた。それから我に返るまで、小芭内の記憶は残っていなかった。ただ頭の中の何かがキレる音が聞こえたと同時に、頭の中が真っ白になった事だけ小芭内は覚えていた。

 

 

 

♦︎

 

 

 

『っ!!!』

 

いざ我に返って見たら、左手で愈史郎の衣服を鷲掴みにして壁際に叩き付けていた。よくよく見渡してみれば、血痕らしき物が衣服を汚している。そうなっている要因は自身の赤く染まった右手が、雄弁に物語っていた。

 

『……事実を指摘されて、だんまりを決め込んでやり過ごす事も出来ず、癇癪を起こして暴力を振るとは、躾のなっていない餓鬼だな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?』

 

小芭内に殴られたであろう愈史郎は、懲りもせずに小馬鹿にする様に小芭内を嘲笑する。鬼である愈史郎からすれば、男性にしては非力な小芭内に殴られても蚊に刺された程度の取るに足らない些事である。

 

戦闘能力では愈史郎に圧倒していようと、鬼としての身体能力や膂力だけを見れば愈史郎に分がある。事実、愈史郎は小芭内を脅威とは見ていないので反撃する様な真似はしなかった。

 

『……そう言うお前はどうなんだ?』

 

『はぁ?』

 

小芭内は今にも射殺しかねない程に鋭い視線で愈史郎を睨み付けると、愈史郎は理解不能と言わんばかりに声を上げた。

 

そんな愈史郎の態度に苛立ちで額に青筋を浮かべながら、小芭内は言い放った。

 

『お前が珠世に想いを寄せている事だって、見れば分かる。その珠世が竈門炭治郎と親しくしていたが、お前は何とも思わないと言えるのか?』

 

『!』

 

鼻で嗤いながら、愈史郎を小芭内は挑発した。

 

『……フッ。』

 

しかし愈史郎は小芭内の挑発に対して、不敵な笑みを浮かべて嘲笑う。

 

『俺としては、歓迎すべき事だな。』

 

『っ!?……何だとっ。』

 

愈史郎の想定外の発言を聞いて、小芭内は動揺を覚えた。そんな小芭内を見て、愈史郎は嘲笑しながら自身の想い口にした。

 

『お前が甘露寺を愛している様に、俺は珠世様を愛している。だが珠世様がもし炭治郎に想いを寄せていてそれで結ばれると言うのなら、俺は喜んでそれを祝福しよう。』

 

『っ!』

 

愈史郎が清々しい表情を浮かべてそう宣言すると、小芭内は両眼を見開いていた。次に愈史郎は再び嘲笑する様な笑みを浮かべてから、小芭内を見下して言い捨てた。

 

『俺の願望は、珠世様が幸せになって下さる事だ。それが叶うなら、俺はこの命だって喜んで捧げよう。俺と一緒に幸せをだなどと、畏れ多い願望なんて抱いていない……想いを告げる勇気も無い癖に、叶いもしない身の程知らずな欲望を抱いているお前とは、根本的に違うんだよ。この俺をお前如きと一緒にするな。このどっち付かずの、見るに堪えない見苦しい(カス)め。』

 

『!!!……チッ!』

 

愈史郎の嘲笑を聞いた小芭内は、忌々しそうに舌打ちをすると突き放して壁際に叩き付ける様に愈史郎を解放した。それからは愈史郎と口を聞く事も無く、その場を早々と去ったのである。

 

「……っっ。」

 

小芭内は不快感で吐きそうになるのを、必死に抑え込む為に血が滲まんばかりに唇を思い切り噛んだ。尤も、それは顔の下半分を常に覆っている包帯で見えはしないのだが。

 

「シャ――っ。」

 

主人である小芭内を心配して、鏑丸が声を上げる。そんな健気な様子を見せる鏑丸を片手で撫でながら、小芭内は笑みを浮かべて話し掛けた。

 

「鏑丸。俺なら大丈夫だ、問題無い……さぁ、一緒に温泉へ入りに行こうか。」

 

小芭内はそう言うと、鏑丸と共に男湯へと向かって行った。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「…………って事があったんだよ。」

 

「あははははっ。大変だったんだね、愈史郎。」

 

小芭内との悶着を愚痴る様に語る愈史郎に、耀哉は楽しそうに笑う。因みに愈史郎は耀哉の自室へ来る途中で使用人に頼んで、着替えを貰って衣服を着替えていた。その為、衣服に血などは付いていない。

 

「……」

 

「耀哉、どうかしたのか?」

 

楽しそうに笑っていた耀哉だが、不意に神妙な表情を浮かべて沈黙する。そんな耀哉の様子を見て、愈史郎は声を掛ける。

 

「君達が鬼殺隊(私達)に提供してくれた吹き矢だけど、『隠』の隊士(子供)達では量産は荷が重かったらしい。だから刀鍛冶の里に、量産の方をお願いしたよ。」

 

「そうか、其処は勝手にしてくれ。」

 

吹き矢に関して変更点があった事を愈史郎は聞いたものの、然程関心が無さそうであった。

 

「……愈史郎、ありがとう。君には感謝しても仕切れない。」

 

「!」

 

耀哉は愈史郎に向かって、深く感謝しながらゆっくりと頭を下げた。唐突に耀哉に感謝された愈史郎は、小恥ずかしそうに頭を掻いた。

 

「まさか、()()()を言っているのか?……俺には俺の目的があった。だから感謝なんて、必要無いと言った筈だぞ。耀哉。」

 

「それでもだよ。君が自ら憎まれ役を買って出て矢面に立ってくれた御蔭で、私達は結束出来たと言っても過言では無いのだから。」

 

耀哉はそう言うと、緊急柱合会議が行われる前の密談を思い出した。愈史郎も密談の内容を思い出しながら、話を続ける。

 

「俺からすれば、言いたい事を遠慮無く言いたい放題言えて大満足なんだがな……そして尚且つ、俺の目的も果たせた。それはお前にとっても、都合が良かったんだからそれで良いだろう?」

 

「君が行冥達を挑発し罵詈雑言を浴びせる事で、怒りを一身に受けて珠世への反発を防ぐ。珠世が君の言動を非難する事で、逆に行冥達の印象を良くする……か。」

 

耀哉は愈史郎から事前に提案を思い出す様に、その内容を呟いていた。

 

「鬼舞辻無惨と言う共通の敵が居ようと、そう単純に呉越同舟と言う訳には行かないさ。鬼殺隊(お前等)(俺達)が手を組もうとすれば、どう考えたって反発も禍根も残る。一般隊士(下っ端)共はどうとでもなるが、柱は流石に不味い。」

 

愈史郎は其処まで言うと、嘲笑とも自嘲とも解釈出来る様に鼻で嗤った。

 

「……なら、珠世様ではなく俺が憎まれた方が遥かにマシと言うものだ。珠世様は御優しい御方だ。表面上では何とも思われなくても、やはり気にされる事だろう。対しては俺は、何とも思わない。あいつらに嫌われようが憎まれようが、はっきり言ってどうでも良い。」

 

「……」

 

愈史郎が其処まで言うと、耀哉は静かに愈史郎に向かって頭を下げた。耀哉が自分に向かって頭を下げる様子を見て、愈史郎は可笑しそうに笑う。

 

「ははははっ。まぁ最悪の場合、殺されるのは俺の頸一つで済ませないといけないって計算もあるからな。俺なんざ居なくても大局に影響はしないだろうが、珠世様は違う。あの御方無くして、無惨に勝利を得るなんて有り得ない。」

 

「珠世が無くてはならない存在だと言う事は認めるよ。そしてそれは愈史郎、君にも該当する。君の存在も、鬼殺隊(私達)にとっては代替えの利かない逸材なのだからね。」

 

愈史郎が自身を過小評価する様な発言を聞いて、耀哉は怒る様にその発言を否定した。

 

「……だがやはりこれは、恥ずべき行為だったね。これでは君ばかりが、損を被ってしまう。無惨を倒す為には固く結束しなければならないのに、君が嫌われる事で結束するなど……。」

 

耀哉は後悔する様に、愈史郎ばかりが不利になった事実も呟いた。そんな耀哉に、愈史郎は苦笑する。

 

「本当に今更過ぎる話だ。無惨を誘き出す為に炭治郎と禰豆子を、囮として利用する為に優遇していた策士の言葉とは思えないな。鬼への憎悪やら何やらを持ち過ぎるあまり、大局を見据えられない悲鳴嶼達にお灸を据えて叱責するという意味でも、お前にも利はあった。何よりお前も俺に罵られて、十分痛い目に遭っただろう? 俺の事なら、気にするな。少なくとも俺は後悔していない。」

 

「……分かったよ。愈史郎が其処まで言うなら……。」

 

愈史郎に言われて、耀哉はこれ以上は無粋と謝罪を止める。だが心中では、心の奥底から感謝の念を愈史郎に捧げていた。

 

「ただ、俺の所為で炭治郎が斬られてしまったからな。その補償はしてやってくれ。俺からも、後で炭治郎(あいつ)に償いたい。」

 

「勿論だよ。私だって炭治郎への御礼は、まだ十分にしたとは微塵も思っていないからね。」

 

炭治郎の事を思い出して、二人は申し訳無さそうな表情を浮かべる。因みに愈史郎の罵詈雑言の真意については唯一、炭治郎だけが事情を知らされていた。

 

『うぅ……分かりましたよ。皆が悪く言われるのを聞くのは辛いけど、それも鬼殺隊の為だと思えば俺も我慢出来ますから……』

 

耀哉と愈史郎は炭治郎が二人の真意を知った時、複雑な表情を浮かべていた事を思い出していた。

 

もし炭治郎が真意を知って居なければ、良くも悪くも真っ直ぐな彼だ。きっと愈史郎を止めようとしたに違いなかった。炭治郎が愈史郎の罵詈雑言を止めなかったのも、二人の真意を知っていたからである。

 

「……それにしても小芭内、か……。」

 

其処まで話すと、耀哉は小芭内の名前を不意に呟いた。愈史郎も小芭内の名前を聞いて、僅かに眉を動かす。

 

小芭内(あいつ)だけ、何か蚊帳の外と言った感じがするな。」

 

「皆と一緒に居る事は、あまり好まない子だからね。それに過去の事情もある。」

 

「事情なら、誰でも持っているだろ。そんなものが言い訳になるかっ。」

 

吐き捨てる様に愈史郎がそう言うと、耀哉は怒る訳では無く苦笑する。

 

「そんなに小芭内の事を、悪く言わないで上げておくれ……小芭内()に殴られた君が、そうやって嫌うのも無理は無いかもしれないけれど。」

 

「ふん……小芭内(あの馬鹿)を見ていると、少し前の自分を思い出すんだよ。」

 

「っ!……ほう?」

 

愈史郎が忌々しそうに呟いた内容を聞いて、耀哉は興味深そうに愈史郎を見詰めた。

 

「言わんぞ。誰が好き好んで自分の恥部を晒すか。」

 

「おやおや、それは残念。」

 

本当に残念に思っているか分からないからかい交じりの楽し気な声を上げる耀哉に、愈史郎は忌々しそうに睨み付けた。

 

――まぁ……本当に少し前までの俺は、小芭内(あの馬鹿)と同類だったがな。しかし、女湯の会話を聞いてしまったら、なぁ……。

 

愈史郎は心中で、静かにそう思った。そう、珠世の嬌声を聞いて気絶してしまった愈史郎だったが、途中で目を覚ましていたのだ。そして鬼の超人的な五感により、炭治郎達みたいに耳を澄まさなくても会話は丸聞こえであった。

 

――珠世様が望まれるなら、俺は応援しなければならないだろう。俺の我が儘の為に、珠世様を不幸にしては本末転倒だ……ふっ。ほんの少し前の俺なら、絶対にそうは考えなかった。考えられなかっただろうな。

 

愈史郎は少し自虐的な感情を抱いて、思わず笑ってしまう。

 

――だが、今の俺なら大丈夫だ……何故なら俺には俺と珠世様の間にしかない絆と、約束がある。あんな小芭内(腰抜けの臆病者)とは違う。

 

愈史郎はそう言うと、ある光景が脳裏に浮かんだ。

 

『珠世様。"たられば(もしも)"……"たられば(もしも)"の話です。此の世に生まれ変わりと言うものがあるならば……もし同じ時代に生まれて、再び出会えたら……貴女がまだ独り身だったらで良い。その時は、俺と夫婦になって下さいませんか?』

 

『っ!』

 

――……珠世様は何も答えて下さらなかったが、静かに頷いて下さった。だから大丈夫……この約束があるから、俺は素直に珠世様の幸せを願い祝福出来る……。

 

愈史郎は珠世と交わした、此の世で自分と珠世だけが知り得る約束を思い出して、密かに喜びに浸った。

 

「……」

 

愈史郎が何も言わずに静かに笑みを浮かべているのを、耀哉は暫く静かに見詰めていた。

 

「愈史郎。君は今、とても良い笑顔をしているね。」

 

「っ!……そうか?……そうかもな。」

 

耀哉がそう言うと、愈史郎は否定せずに機嫌良く答えた。

 

「それはそうと……伊黒は大丈夫なのか。小芭内(あの馬鹿)を散々罵った、俺が言うのも何だがな。」

 

「……気にしなくても、良いんじゃないかな? 如何にかなると、私はそう思っているよ。」

 

愈史郎が小芭内について懸念を覚えると、耀哉は楽観的とも取れる発言をした。そんな耀哉に、愈史郎は肩を竦めた。

 

「それはお前のお得意の勘とやらか?」

 

「ああ、勘だね。」

 

愈史郎の質問に、耀哉は即答して肯定した。

 

「お前が言うなら、本当にそうなるんじゃないのか? まぁ、俺にとってはどうでも良いが。」

 

「小芭内を気に掛けている時点で、どうでも良いとは思っていないだろうに。愈史郎は本当に、優しい子だねぇ。」

 

耀哉がそう言うと、愈史郎は少し頬を赤くして反論する。

 

「茶化すなよ。」

 

「茶化してなどいないよ……愈史郎、君は私の大切な剣士(子供)達の一人になったけれど……そんな不器用な優しさと思い遣りの心を持つ君の事を、私は対等な友人……いや親友の様に思っている。」

 

「!!」

 

耀哉の告白を聞いて、愈史郎は驚いて思わず両眼を見開いた。それから少しして、恥ずかしそうに頬を少し紅潮させてからフンと鼻を鳴らした。

 

そんな愈史郎を見て、耀哉は楽しそうに笑った。

 

「愈史郎、今後ともよろしく頼むよ。」

 

「ああ、よろしくな。」

 

耀哉と愈史郎は互いにそう言ってから、二人は固く握手を仲良く交わした。

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

「さて……いきなりで悪いんだけど、君に早速相談したい事があるんだ。」

 

「本当にいきなりだな……何だ? 力になれるかは内容によるぞ?」

 

愈史郎は興味深そうに、耀哉の相談内容を聞くべく傾聴する。

 

「実はね……炭治郎の風評被害を、如何にかして払拭させようと思ってね……。」

 

「……無理だろ。嫉妬って奴は持ってない奴が抱くもんだ。炭治郎には有名税とでも思って、潔く甘受させろよ。第一、お前は無関係だろうが。」

 

耀哉の相談内容を聞いた愈史郎は、馬鹿馬鹿しいとばかりに一蹴する。そんな愈史郎に、耀哉は苦笑する。

 

「そう言わずに、付き合っておくれよ。これでもし炭治郎が他の剣士(子供)達に刺されたりなんてしまったら、一大事じゃないか。頼むよ、我が親友(とも)よ。」

 

「どうしろってんだよ、たくっ……。」

 

愈史郎は悪態を零しながら、耀哉の相談に乗った。それから二人して炭治郎の風評を払拭すべく、ああでもないこうでもないと夜遅くまで考える事となった。




お待たせ致しました。

小芭内の誕生日だというのに、小芭内だけ受難が続いていて申し訳なく思います。
救済……になるかは分かりませんが、それは続きにご期待下さい。

出会った当初は直ぐ炭治郎に暴力を振るいまくっていた愈史郎ですが、原作には無い経験を積んだ御蔭で、かなり大人になっています。
愈史郎なら自分の事よりも、珠世を第一に考えるだろうという私の願望も入って居ますが、御了承下さい。

次回の更新ですが、少し伸びて9/25(土)を予定しております。それまでお待ち下さいませ。

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唯翔様 https://www.pixiv.net/users/5377104

鬼滅の刃関連で素晴らしい絵を描かれる神絵師様です。Twitterのお題箱でリクエストを常時受け付けておられます。

唯翔様ご自身は何でもいける派なので、BL作品も多いですから苦手な方は御注意を。またリクエスト内容がBL作品が多いので、是非炭治郎×鬼滅女子をリクエストされては如何でしょうか? 私もして頂いております。
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