※この作品はR-18です。

優しき日輪と鬼殺隊の美蝶   作:蓮紅

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※キャプション必読・リクエストに関しての説明あり
・鬼滅の刃原作に関するネタバレあり。原作未読の方は閲覧注意。
・鬼滅の刃二次創作小説です。
・原作・キャラクターの性格・設定等改変の可能性大。一部キャラ崩壊注意。
・思い付き次第で何度も編集を繰り返す可能性大。お時間がある時で良いので、良ければ読み返してみて下さい。
・誤字脱字等のミス・内容の矛盾等の指摘は大歓迎。理不尽なクレームは受け付けません。
・コメント・メッセージ大歓迎。創作意欲の燃料になります。コメント・メッセージの返信は必ずさせて頂きますのでどしどし御投稿下さい。
・SS内容に関してはネタパクリと言う名の盗作を間違えてしないよう気を付けてますが、もし私が投稿した作品が既に別の作者様と内容が酷似していた場合、メッセージにて御連絡下さい。

※リクエストに関して
メッセージにてリクエスト内容を御連絡下さい。
以下規約参照
・100%受け付けられると保証された訳では御座いません。
・炭治郎×鬼滅女子のみ。
・作者は遅筆で怠惰癖あり。またリアルの都合や他SSの執筆で投稿が遅くなる可能性大。
・CP、全年齢かR作品か、ネタの内容を御記入下さい。ネタの内容が詳細で有れば有る程、筆が進むので御協力をお願い致します。


第伍拾玖話 日輪と美蝶の歓迎会

「うおぉっ! 何だこれはっ! 美味ぇっ! そして甘ぇっ!!」

 

伊之助が塔の如く幾枚も積み重ねられたパンケーキの塔から、一枚を突き匙(フォーク)で自身の口内に放り込んだ後にそう言って感激していた。

 

パンケーキにはたっぷりと牛酪(バター)と蜂蜜が塗られていたので、当然伊之助の口元はべたべたになっていた。しかし伊之助はそれに構わず、どんどんパンケーキに突き匙(フォーク)を刺して夢中で食べて行く。

 

――あいつ、あの猪仮面だよな……信じられねぇ。何だよ、あの女みたいなキレーな顔……身体が男だから不自然過ぎてきめぇな。

 

何とも言えない様子で、獪岳は伊之助を見ながらそう思っていた。それから視線を逸らすと、ある兄弟の下へ視線が移った。

 

「兄ちゃん。蜂蜜より餡子が良いよな?……乗せて良いか?」

 

「……おうっ。」

 

憑き物が取れた様子の玄弥が少し照れながら、パンケーキの付け合わせに用意された餡子を掬って実弥に用意されたパンケーキの上に乗せた。

 

「……ありがとなァ」

 

玄弥の気遣いに実弥もまた照れた様子で、頬を掻きながら礼を述べた。玄弥もまた、嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

しかしそんな仲の良い不死川兄弟の雰囲気を、ある人物が跡形も無く消し飛ばす事になる。

 

 

 

ドンッ!

 

 

 

「「!!?」」

 

鈍い音が不死川兄弟の耳に入り、二人揃って何事かと音がした方を見た。すると実弥のパンケーキには、大量の餡子が無造作に乗せられていた。

 

「……えっ?」

 

「んなッ……っ!?」

 

玄弥は呆けて唖然とした様子で、実弥は両眼を血走らせ額に青筋を浮かべながら自身のパンケーキを睨み付けていた。玄弥は照れながらも勇気を出して実弥の為に持った餡子が、無造作に盛られた餡子の山で埋もれて姿が跡形も無く消失していた。

 

――誰だァッ!? こんな馬鹿な真似をしたクソは……ッ!

 

実弥は苛立ちを隠す事無く、餡子を盛った元凶を探し始めた。すると実弥が思うよりも早く、その元凶を発見した。

 

「……最初の餡子だけだと足りないだろう? (不死川が喜ぶ様に)俺が盛ったぞ。」

 

ムフフと重要な任務を完遂したが如き達成感に満ちた様子で、義勇が口元に笑みを浮かべて不死川を見ていた。

 

「……ありがとよォ……。」

 

そんな義勇の様子を見て、実弥は義勇が自身の為に善意と好意で餡子を盛ったので怒るに怒れなかった。怒りつつも案分呆れながら、そして疲れた様子で礼を述べた。

 

「……ムフフッ。」

 

実弥に初めて礼を述べられた義勇は、再び口元だけ気持ち悪い笑みを浮かべていた。

 

「……」

 

そんな義勇と実弥のやり取りを、玄弥は口を挟まずに黙って見守るしか出来なかった。

 

――あれが水柱……何っ時も無表情で何考えてるか分からねぇって聞いていたが、本当だったんだな。つーか、風柱怖ぇ。

 

獪岳もまた玄弥以上に呆れつつ、それでいて戦慄しながら義勇と実弥のやり取りを見ていた。

 

慌てて視線を変えたが、其処には恐らく獪岳が一番見たくない人物が自身の視線に映った。

 

「えへへへっ。禰・豆・子、ちゃ~ん。突然だけど、この突き匙(フォーク)を持って欲しいんだ。」

 

善逸がデレデレと情けない顔を晒しながら、蜂蜜と牛酪(バター)がたっぷり塗られたパンケーキが突き刺さった突き匙(フォーク)を手渡していた。

 

「むっ?」

 

禰豆子は要領を得ないと言わんばかりに首を傾げていたが、善逸が言った通りにパンケーキが刺さった突き匙(フォーク)を持って居た。

 

「そのままで居てね。それじゃ早速、頂きま~す。パクッ!」

 

善逸は急いで頭を動かして、禰豆子が持つ突き匙(フォーク)に向かって口を含んだ。そしてパンケーキを食べて味をじっくりと味わう。

 

「う~~んっ! 禰豆子ちゃんに食べさせて貰うと、格別に美味しくなるねっ!」

 

善逸は口元にパンケーキの食べカスを付けながら、御機嫌な様子でそう言った。それから善逸の要求は、更に一段多くなって行く。

 

「禰豆子ちゃん。今度は禰豆子ちゃんの方から、俺に食べさせて欲しいなぁ~……あそこに居る天元さん達みたいにさ。」

 

「うっ?」

 

御機嫌だった善逸が一転して恨めしそうな表情を浮かべながら、ある方向へ指差しをした。自然と善逸が指差しをする方向へと、禰豆子は視線を向ける。

 

「天元様、どうぞ。」

 

「あぁっー! 雛鶴さんばっかりずるいっ! 天元様、私もっ!」

 

「こらっ! 急かすんじゃないわよっ!……あたしのも食べてくれますよね! 天元様っ!」

 

「おいおい、地味に落ち着けよ。ちゃんと全部食うから。派手に。」

 

其処には宇髄夫婦が、仲睦まじい様子でパンケーキを食べている光景だった。善逸にとって、それは嫉妬心を抱かせる光景だったらしい。

 

「……良いもんね。俺だってこれから、禰豆子ちゃんに食べさせて貰うから。禰豆子ちゃんっ! あーん。」

 

善逸は自身に対して言い聞かせる様にそう言うと、口を喉仏が見える位に大きく開けて禰豆子がパンケーキを食べさせてくれるのを待っていた。

 

「……んー。」

 

善逸が大口を開けて待っている姿と、自身が持つ大き目に切られた蜂蜜塗れのパンケーキが突き刺さっている突き匙(フォーク)に視線を交互に向ける。禰豆子が持って居る間にも、パンケーキから蜂蜜がポタポタ机の上に落ちていた。

 

「……………んっ!」

 

決意した禰豆子は、善逸の口に向かってパンケーキが突き刺さっている突き匙(フォーク)を突き出した。

 

 

 

むにゅ

 

 

 

「ん?」

 

しかし禰豆子が持つパンケーキが突き刺さっている突き匙(フォーク)は、軌道がズレて善逸の頬に直撃した。

 

パンケーキが突き匙(フォーク)の先端を覆う様に突き刺さっているので、貫通して善逸の頬に刺さる心配は無い。しかしパンケーキには蜂蜜がたっぷりと塗られていたので、善逸の顔は蜂蜜塗れになっていた。

 

「えへへへへぇ~~~禰豆子が俺にあーんしてくれてるぅ。ふひひひひ。」

 

しかし善逸は一切気にする事無く、自身にとって至福な現状に酔い痴れていた。

 

「うぅっ~~♪」

 

禰豆子は善逸にパンケーキを押し付けるのが面白くなって来たのか、楽しそうにパンケーキを善逸の頬に押し当て続ける。その度に、善逸の顔は蜂蜜塗れになって行った。

 

「……色惚けてやがんなぁ。あのカ……善逸の野郎は……。」

 

獪岳は呆れ果てながら、弟弟子である善逸の様子を見ていた。

 

善逸に対する印象は、自身の裁判時からある程度変化していた。修行を逃げ出す泣き虫の恥知らずと言う印象は、既に消失しつつある。流石にあの時の言動を見れば、善逸にも成長があったと認めざるを得なかったのだ。

 

尤も、禰豆子との間に繰り広げられる見苦しい醜態を見れば、若干疑わしくもなりそうなものであったが。

 

因みに鬼である禰豆子の存在に最初こそ面食らっていた獪岳であったが、絶対に傷付けるなと言う厳命と事情の説明を受けていたので現在は何とも思ってはいない。

 

そもそも獪岳は鬼と言う存在に対して、自身の過去故に怒りの対象ではあっても嫌悪や憎悪は他の隊士達と比べて非常に少ない。

 

「……っ!?」

 

獪岳は見るに堪えんとばかりに、禰豆子と善逸から視線を反らした。その矢先に、ギョッとした表情を浮かべて眼前の光景に愕然とした。

 

その時、身体は自分の意志より先に反応していた。その鋭く早い動きは、鬼殺隊の一般隊士の頂点に位置する筆頭位階『(きのえ)』の階級を得ているに相応しい精度であった。

 

「テメェッ!?  いきなり何をしやがるっ!?」

 

「あっ? さっきからボーッとしやがって。どうせ食わねぇんだったら、俺が貰ってやるよっ!」

 

何と大広間の騒々しいやり取りに呆れていたので、パンケーキを食べる手が進まなかった 伊之助は獪岳の隣に座っていた事もあり、伊之助は獪岳はパンケーキを食べないと解釈して横取りを試みたのである。

 

「そいつを俺様によこしやがれっ!」

 

「ふざけんなよクソ猪野郎っ!?」

 

双方共に譲らないので、此処から獪岳と伊之助の取っ組み合いが始まろうとしていた。しかし其処へ、パンッ! と手を叩く音が大広間に鳴り響いた。

 

「……喧嘩なら外でやりなさい。」

 

「「……はい。」」

 

行冥の威圧を全身で感じて、獪岳と伊之助はその場で平謝りするしかなかった。冷静さを取り戻した獪岳と伊之助は、互いに何も言わずに再び席に付いた。

 

「……岩柱殿。お手数をお掛けして申し訳ない。」

 

「いえ。慈悟郎さんもお気になさらず……。」

 

獪岳と伊之助の騒動を止められなかった慈悟郎が、行冥に謝罪も兼ねて頭を下げた。しかし行冥は気にした様子は一切無さ気で、慈悟郎の頭を上げる様に促した。

 

「沙代。美味しいか? 遠慮せずに、沢山食べると良い。」

 

「……(コクコクッ。)」

 

それから慈悟郎は元より、獪岳と伊之助の事など一切気にも掛けずに行冥は美味しそうにパンケーキを食べる沙代に夢中になっていた。長年の誤解を解き、和解出来たのだから当然とも言える。

 

本来ならば獪岳と伊之助の様な喧嘩を仲裁するのは、炭治郎が主に担う役割なのだが炭治郎本人はそれ所では無かった。

 

「炭治郎君……はい、あーん❤」

 

しのぶは愛おしそうに笑みを浮かべながら、切り分けられている蜂蜜と牛酪(バター)がたっぷりと塗られたパンケーキを突き刺した突き匙(フォーク)を向けて炭治郎の口に移そうとしていた。

 

「い、頂きます……あーん。」

 

炭治郎はしのぶの手に持つパンケーキが突き刺さった突き匙(フォーク)に顔を近付けると、口を開けてそのパンケーキを食べ始めた。炭治郎の口内からは、パンケーキの柔らかく甘い生地と蜂蜜の味が広がって行く。

 

「美味しいですか?」

 

「はい。美味しいですっ。」

 

しのぶの質問に、炭治郎は笑顔でそう言って応える。しのぶはそんな炭治郎からの返事と笑顔に、自然と笑みを浮かべた。しかし炭治郎は笑顔にも関わらず、汗を一筋流していた。何故なら炭治郎はしのぶの反対側になる右隣から、眼に見えない圧力をヒシヒシと肌で感じ取っていたからだ。

 

「炭治郎。私のも食べて。」

 

其処へ炭治郎の右隣に居た、アオイがしのぶと同様にパンケーキが突き刺さった突き匙(フォーク)を持って炭治郎に食べさせようとしていた。

 

「……うん。あーん。」

 

アオイは笑顔なのだが、其処からは言葉に出来ない圧力が明確に感じられた。しかし炭治郎はそれを表情には出す事無く、笑顔でアオイから差し出されたパンケーキを口にした。

 

「……ふふっ❤」

 

炭治郎が自分のパンケーキを食べてくれるだけで幸せなのか、それだけで愛おしそうな笑みを浮かべるアオイ。その一方で、炭治郎は未だに眼に見えない圧力を感じ取っていた。

 

「はい、次っ! 次は私っ!!」

 

そう大声で言っていたのは、しのぶの隣に座っていたカナヲである。カナヲはパンケーキを乗せた皿を片手に持ちながら、もう片方の手には切り分けたパンケーキが突き刺さった突き匙(フォーク)を持って居た。乗せた蜂蜜が机上に零れ落ちない様に、パンケーキを乗せた皿を持って居たのである。

 

「あーんっ!❤」

 

「むぐっ!?」

 

カナヲは待てなかったのか、炭治郎の口内に目掛けてパンケーキが突き刺さった突き匙(フォーク)を突き出した。

 

不意打ちを喰らった炭治郎はあーんとすら声に出せず、動揺から当惑の声を漏らした。

 

それでも直ぐに平然とした表情を作って取り繕うと、そのままモグモグとパンケーキを食べた。

 

「お、美味しかったよ。カナヲ。」

 

「良かった……っ❤」

 

炭治郎がそう言うと、カナヲは幸せそうな笑みを浮かべて喜んだ。

 

「……うわぁ。必死だなぁ。」

 

そんな炭治郎達の様子を見て、少し離れた所で無一郎はそう言って内心で嘲笑した。無一郎が嘲笑したのはしのぶ達であり、炭治郎は含まれていない。

 

最初こそ羨望の眼でしのぶ達の行為を見ていたが、炭治郎に心労を掛けたくないと考え直して自重していたのである。

 

それからある人物が気になったのか、無一郎は一瞬だけ炭治郎から視線を逸らしてその人物を視界に納めた。

 

「どう? すみちゃん。なほちゃん。きよちゃん。美味しい?」

 

「「「はいっ! 凄く美味しいですっ! 恋柱様っ!」」」

 

一方で蜜璃はしのぶ達に便乗せず、なほ達にパンケーキの味に関しての感想を聞いていた。すみ達は初めて食べるパンケーキの味に感激しており、両眼を輝かせてパンケーキを味わっていた。

 

「……(チラッ)」

 

蜜璃は炭治郎達の様子気が気になって、流し目でチラっと視線を一瞬だけ向けた。

 

より正確に言えば蜜璃もしのぶ達と同様の行為を炭治郎にしたかったのだが、しのぶ達から怒りを買ってしまい許されていなかった。その発端は、蝶屋敷の厨房にて起こっていた。

 

『炭治郎君……良かったらこのジャム、一口味見してる?』

 

『えっ? 良いんですか?!』

 

『ええ。一口だけね。はい、あーん❤』

 

『頂きますっ! あーん。』

 

そんなやり取りが、その時炭治郎と蜜璃の間で行われていたのだ。

 

『…………』

 

あまりに自然に行われていたので、しのぶ達も咄嗟に反応出来なかった。

 

『蜜璃さんっ!?』

 

『蜜璃様っ、ズルいですっ!』

 

『抜け駆けしないで下さいっ!?』

 

しかし我に返ると、蜂の巣を突いた様な騒動になる。しのぶ達は一斉に炭治郎と蜜璃、正確には蜜璃に詰め寄った。

 

『えっ、えっ?~っっ……。』

 

蜜璃はしのぶ達のあまりの反応速度に、咄嗟に言い訳すら考え付かずに両眼を泳がせるしか無かった。

 

『……蜜璃様がそうするなら、私だって……っ!』

 

『私もっ!』

 

『そうですね。それが一番公平です。』

 

しのぶ達も蜜璃の物真似をしようと、各種ジャムに手を伸ばした。しのぶ達が各々でジャムを手に取った瞬間、現況に何も口も手も挟まずに見守っていた無一郎が徐に開口した。

 

『……そうするのは胡蝶さん達の勝手だけど、そのジャム? って奴はそんなに量がある訳でも無いよね? 皆の分もそうやって減らす心算なの? 皆も待っているし、このままだとパンケーキも冷めるよ?』

 

『!』

 

無一郎の冷静な一言を聞いて、しのぶ達は我に返った。そして互いに顔を合わせると、悔しそうな表情を浮かべながらジャムの瓶を机にゆっくりと置いた。

 

そんな経緯もあってか、しのぶ達は躍起になって炭治郎にパンケーキを食べさせていた。そして蜜璃は抜け駆けしたと言う負い目もあったので、羨望こそすれど参加は諦めていたのである。

 

因みに結果的にしのぶ達を妨害した無一郎は、しのぶ達から忌々しそうに睨み付けられたと言うのは最早言うまでも無い。反対に無一郎はしのぶ達に睨まれた事等一切、気にも掛けなかった。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「良いなぁ……。」

 

しかし幾らしのぶ達を慮って諦めこそすれ、炭治郎と甘い一時を過ごしたいという願望が無い訳では無い。蜜璃は無意識の内に、その羨望の念が口から零れ出ていた。

 

「!?」

 

その無意識の呟きは、蜜璃から比較的近くに座っていた小芭内の耳にしっかりと入っていた。蜜璃が呟いた一言に、小芭内は驚きを隠せない。

 

「…………」

 

小芭内としては今直ぐにでも炭治郎に突撃したい位であったが、幾ら何でもそれは暴威が過ぎる話であった。

 

「か、甘露寺……それは一体どう言う……。」

 

蜜璃が炭治郎と甘い一時を過ごす事に羨望の念を抱いているのか、それともこの行為自体に対する純粋な憧憬なのか、小芭内には判別が付かなかったのである。

 

其処で蜜璃に真意を聞こうと小芭内は身体を僅かに震わせながら、蜜璃にその呟きの意図に付いて尋ねようとした。しかし小芭内が尋ねる前に、その真意は蜜璃の真意が明確に判明する事になる。

 

「ねぇ炭治郎君。今回の歓迎会、どうだった?」

 

『!』

 

蜜璃は炭治郎にしっかり聞こえる様に、少し大きい声でそう尋ねた。蜜璃に尋ねられた炭治郎は、パンケーキを食べるのを止めて蜜璃に顔を向けた。その表情は、少しだけ困った様子だった。

 

「はいっ! 俺は楽しいし、開いて良かったと思いますっ!……後はご本人達はどう思っているかどうかですけど……。」

 

「本当っ?!」

 

自身の感想を述べた後に炭治郎が珠世達の反応が気になると思いながら話していたが、蜜璃は炭治郎が口にした言葉を聞いて少し身体を前のめりにして再度確認を取った。

 

「ほ、本当です。パンケーキは美味しいですし、み……甘露寺さんと料理するのは楽しかったですし……もしまた機会があるなら、またしたい位ですよ。」

 

「……そっかぁ……。」

 

炭治郎からそう言われて、蜜璃は嬉しそうに表情を含羞ませた。それから蜜璃は炭治郎の近くまで移動すると、アオイを押し退けて炭治郎の右腕を抱き抱えた。

 

『!?』

 

「えっ……えっ!?」

 

その中で炭治郎が一番困惑しながら、蜜璃に視線を向ける。その際に炭治郎はチラッと右腕に視線を向けると、右腕は蜜璃の谷間にすっぽりと嵌って包まれる様にその豊満な乳房の感触を右腕全体で感じていた。

 

そして直ぐに蜜璃の谷間から視線を外して蜜璃を見ると、その表情は羞恥心から少し両頬を赤く染めていた。それが逆に、蜜璃をより魅力的な女性に魅せていた。

 

「だったら何時かね、私の御屋敷に来て欲しいな……私も炭治郎君とお菓子作りが出来て楽しかったわ。またしようよ……今度は二人きりでね。」

 

『!?』

 

蜜璃は囁く様に炭治郎にそう言ったが、声量が思ったより大きく大広間も静まり返っていた為に大広間全体に蜜璃の声が広がっていた。

 

蜜璃に誘われた炭治郎であったが、蜜璃の提案を聞いて最初に反応したの炭治郎では無かった。

 

「無理です。駄目ですっ!」

 

 

 

ガシッ!

 

 

 

『!!』

 

しのぶはそう叫ぶと共に、炭治郎の左腕に強く抱き着いてそのまま抱き抱えた。

 

「しのぶさんっ!?」

 

炭治郎は左腕に感じる新たな柔らかい感触に動揺しながらも、しのぶに返事した。

 

「っ!……コホン。」

 

炭治郎に名前を呼ばれたしのぶは少し照れ臭そうに頬を赤く染めた後、軽く咳払いをして何時もの微笑を浮かべながら蜜璃を真っ直ぐ見詰めた。

 

「炭治郎君は任務以外は蝶屋敷で過ごしているんです。他の方の屋敷へなんて、行っている暇はありません。そうですよね。炭治郎君❤」

 

「えっ、えっと~~。」

 

威圧感すら感じるしのぶの笑みを目と鼻の先から感じ取った炭治郎は、冷や汗を流しながら回答に詰まっていた。

 

「えっ~~しのぶちゃん。それって束縛だよぉ。炭治郎君の行動を制限するなんて、私は駄目だと思うな。」

 

そんな困っている様子の炭治郎を見て、蜜璃が代わりにしのぶへ抗議した。

 

「ねぇ炭治郎君。良いでしょう? 今直ぐって話じゃなくて、お互いに時間が出来た時で良いから。」

 

しかし蜜璃はしのぶの返答に興味は無いのか、直ぐに視線を再び炭治郎に向けて囁き掛ける。それも先程よりも強く、炭治郎の右腕を抱き寄せながらだ。

 

「っ!」

 

そんな蜜璃の行動が、しのぶの怒りの炎に油を注ぐ。直ぐにしのぶは青筋を浮かべながら、蜜璃に対抗する様に左腕を強く抱き寄せた。

 

「あら。それでしたら、また蝶屋敷ですれば良いだけじゃないですか……炭治郎君も蝶屋敷に、と言うより私と一緒が居る方が嬉しいに決まってますよね?」

 

優しい口調でそう言うしのぶであったが、否定したら承知しないと言わんばかりの眼光を宿した上目遣いで炭治郎を見詰めていた。

 

「……私も、炭治郎が蝶屋敷に居てくれなきゃ嫌。」

 

カナヲはそう言うと、炭治郎の背中から思い切り抱き着いた。それも単純に抱き着くのだけは無く、自身の服越しの乳房の感触を炭治郎の背中に押し付ける様にである。

 

「それでしたら、蜜璃様が蝶屋敷へ御越し下さい。何時でも大歓迎致しますから……。」

 

アオイはしのぶとカナヲの二人と比較して、控え目に蜜璃を拒絶しながら右手を伸ばして炭治郎の左手を握り締めた。

 

「むぅ!……っ!」

 

蜜璃が不満そうに両頬を蛙の如く膨らませたが、しのぶ達は炭治郎から離れようとはしない。

 

『……』

 

そんな炭治郎達を、行冥達は静かに見守っていた。しかしそれは、見守るだけでは終わらなかった。

 

「甘露寺、君は「取り合うのは勝手だけど、炭治郎に迷惑が掛かっているって分かってる?」……っ!」

 

小芭内が蜜璃に質問をしようとしたのだが、其処へ無一郎が無粋にも割り込んで問い詰めて来た。

 

小芭内は青筋を浮かべて無一郎を睨み付けたが、無一郎は小芭内の事など眼中にも無かった。無一郎は小芭内を無視すると、そのまま言葉を続けた。

 

「全く、盛りの付いた犬猫じゃないんだから……炭治郎も大変だね。」

 

無一郎はそう言って、炭治郎を労った。炭治郎が無節操なのがそもそもの原因なのだが、無一郎は炭治郎に非があるとは思っていない。無一郎は更に、ある事について指摘する。

 

「全く、()()にまで痕なんか付けて……隠せないんだから炭治郎の事も、もうちょっと考えてあげなよ。」

 

「うぅっ…………うん?」

 

「……あれ?」

 

無一郎の指摘を聞いて、アオイとカナヲは頸を傾げた。心当たりが無かったからだ。

 

「首筋?」

 

「……?」

 

しのぶと蜜璃もまた、心当たりが無く無一郎の指摘に疑問を感じる。

 

「!?」

 

一方で炭治郎だけは無一郎の指摘を聞いて、慌てて片手で頸を覆い隠した。しかしその行動は、却って墓穴を掘る事になる。

 

「「「「……」」」」

 

「っ!」

 

しのぶ達四人は静かに視線を合わせて目配りをした後、スッと視線が据わったと炭治郎は感じた。

 

「炭治郎……その首筋、誰に犯られたの? 私達じゃないよね?」

 

「っ!」

 

カナヲがしのぶ達を代表して、炭治郎に訊ねた。カナヲの表情は能面の如く無表情で、それが逆に炭治郎を戦慄させた。

 

「「……」」

 

一方でアオイは責める様な視線で炭治郎を睨み付け、しのぶは逆に笑顔を浮かべていた。二人に共通していたのは、どちらも額に青筋を浮かべていた事であった。

 

「み、皆。ちょっと落ち着こうよ……。」

 

逆に蜜璃だけは、炭治郎を守る様にしのぶ達を宥めようとした。尤も、現在のしのぶ達にはあまり効果は無かった様だが。

 

「あの……えっと……っっ。」

 

炭治郎は困った様子で、視線を右往左往させていた。言いたい事があるのだが、上手く言葉に出来ない様子であった。しかし一度生唾をゴクリと飲み込むと、話し始めた。

 

「か……かなたちゃん達が、俺の頸に付けたんだよ。」

 

『!』

 

炭治郎の証言を聞いて、しのぶ達は驚きから両眼を見開いた。するとアオイとカナヲが、納得した様子で声を上げた。

 

「そう言えば炭治郎、輝利哉様達と一緒に寝てたっけ?」

 

「そうだったわね。其処を私達が連れ出し……ん、んんっ!……輝利哉様達がお休みになってから、一緒に行動したのよね。」

 

『……』

 

カナヲが同意を求める様にアオイに尋ねた後、アオイは一瞬真実を口にしそうになって慌てて自身の口を噤んでから、事実に近い嘘を口にした。

 

しかし嘘は飽くまでも嘘であり、それを見抜けない人物はパンケーキを貪っている伊之助となほ達の三人娘だけであった。アオイの嘘を聞いて、しのぶ達は半眼になってアオイとカナヲを睨み付けた。

 

「……ふーん。そう……じゃその様子だと、()()にも気付いてないみたいだね?」

 

『?』

 

無一郎が呟いた一言に、しのぶ達は疑問に思った。無一郎が口にする()()とは一体何を指し示しているのか、分からなかったからだ。

 

「……ふふっ。」

 

そんなしのぶ達を見て、無一郎は少し笑う。それから満面の笑みを浮かべて、優越感たっぷりに自身の白くて綺麗な歯を見せ付けながらある事実を口にした。

 

「炭治郎の左肩に歯形が残っているんだけど……それ、僕が付けた痕なんだよ。」

 

『!?』

 

『!』

 

「~~」

 

無一郎の爆弾発言とも暴露を聞いて、しのぶ達は驚愕する。しかし驚愕していたのは、しのぶ達女性陣だけであった。

 

「あ~そう言や俺達が温泉に入った時に、時透が派手に炭治郎の肩に噛み付いてやがったな。」

 

「そんな事があったのですか? 天元様。」

 

「おうよ。派手に面白かったぜ。」

 

雛鶴に尋ねられた天元は、当時起こった事を思い出して笑いながら話していた。

 

そんな天元達であったが、炭治郎はそれ所では無かった。

 

「ちょっ!? カナヲッ! 何をして……って!? アオイ、しのぶさんまでぇっ!?」

 

「炭治郎っ! じっとしてて!」

 

「直ぐ終わるからっ!」

 

「二人の言う通りです。()()を見せて下さい。それに()()とか()()が入ったら、大変ですからね。」

 

「傷口とか黴菌とか雑菌とか、先刻(さっき)から胡蝶さんって好き勝手言ってくれるよね。」

 

其処には炭治郎の隊服を脱がそうとする、アオイとカナヲの姿があった。

 

しのぶも炭治郎が無一郎に噛まれた痕を確認したいのか、二人の行動に賛同して制止しようとはしなかった。

 

そしてしのぶの発言を聞いて、無一郎は両眼を据わらせながら苛立ち気に反応していた。

 

「……(ギシギシ)」

 

そんな炭治郎達の戯れとも茶番とも言える一面を見て、善逸は両眼を血走らせながら歯軋りを繰り返していた。

 

「おいっ……。」

 

そんな弟弟子である善逸の姿を見て身を引きながら、兄弟子である獪岳は善逸に声を掛けた。

 

「……(ギシギシギシギシ)」

 

「……っ。」

 

しかし善逸は炭治郎達の様子に集中している所為か、獪岳の声が聞こえていなかった。そんな善逸の反応と耳障りな歯軋りを感じて、獪岳は苛立ち気に青筋を浮かべる。

 

「おい、善逸!」

 

「!」

 

獪岳に強く名前を呼ばれた善逸は、漸く炭治郎達から視線を外し歯軋りするのを止めた。

 

「……あの噂って、本当だったのかよ。」

 

「あの噂って何だよ。」

 

「蟲柱と継子が男取り合ってるって噂だっ!……見た限りだと、本当にしか見えねぇが。」

 

獪岳と善逸は、炭治郎達をチラチラと横目で見ながらヒソヒソ話をしていた。ヒソヒソ話の議題は、蝶屋敷から鬼殺隊全体に広がった噂である。

 

その噂とは当然、炭治郎を巡ってしのぶとカナヲが殺し合いをしたと言う話だ。強ち間違っても居ないので、当事者達以外は修正されないままに噂は広がる一方であった。

 

善逸も真実を知っているのだが、修正しようとは思わなかった。

 

「まぁ、間違っちゃ居ないかな……ちくしょうっ! 炭治郎の奴っ!! 女の子が自分の為に取り合ってるとか、そんな羨ましい経験しやがってぇっ!!……。」

 

「……」

――まぁ、見苦しいって一言で片づけられねぇわな。男にしちゃ、羨ましい話なのは間違いない。

 

嫉妬心を燃やしている善逸の様子を見て、こればかりは流石に否定する気にはならなかった。尤も、それを開口して口に出す事は無かったが。

 

「……」

 

そんな獪岳と善逸の二人を、育手である慈悟郎は何も言わずに黙ってみていた。しかしその両眼は、僅かに潤んでいた。

 

――二人共、仲良くなったなぁ……。

 

二人の不仲具合を知っている慈悟郎は、僅かでも歩み寄っている事実に密かに感動していた。

 

「もう……皆していきなり隊服(ふく)を脱がしに掛かるなんて、酷いじゃないですか……。」

 

獪岳と善逸がヒソヒソ話をしている間に、其処には半裸状態でぐったりしていた炭治郎が隊服をいそいそと着替え直していた。

 

炭治郎は無一郎からの爆弾発言を聞いたしのぶ達に、隊服を脱がされて噛まれた痕の確認を半ば無理矢理させられたのである。

 

炭治郎は抵抗したのだが、数の差もあって抵抗虚しく隊服を脱がされていたのであった。

 

「炭治郎ってば、同性(同じ男)だからって油断し過ぎだと思うわ」

 

「輝利哉様もおんなじことをするなんて……」

 

「ふ、二人とは別に何も無かったからっ!?」

 

ジト目で自身を睨み付けて来るアオイとカナヲに、炭治郎は慌てて釈明した。

 

「当然です。寧ろあったら困ります。」

 

炭治郎の釈明を聞いて、しのぶは溜息を吐きながらそう言った。しのぶ達にしても、炭治郎が同性にまで興味を持っては今後の死活問題なので真剣な様子であった。

 

「カァァ―――ッ!!」

 

『!!』

 

其処へ一羽の鎹烏が、蝶屋敷の大広間に飛んで来た。鎹烏は甲高い鳴き声を上げながら、炭治郎の前に止まった。

 

「竈門炭治郎ッ! 手紙ダッ!!」

 

「……手紙?」

 

炭治郎は鎹烏の言葉を復唱する様に独りでに呟くと、自然と鎹烏の足元を見た。確かに鎹烏の右足には、手紙と思われる紙が括り付けられていた。

 

――誰からだろう?

 

炭治郎は手紙の存在に疑問も覚えつつも、鎹烏の右足に括り付けられている手紙を丁寧に取り外した。

 

鎹烏は右足に括り付けられていた手紙が炭治郎の手に渡ったのを確認すると、その場で反転して炭治郎に背を向ける。

 

「手紙ノ持ち主ハ言ッテイタ! "皆ノ前デ読ミ上ゲロ"ト!」

 

「えっ? 読み上げる?」

 

「サラバダッ! カァァ―――ッ!!」

 

炭治郎は鎹烏の言葉の内容が一瞬だけ理解出来ず、復唱してから理由を聞こうとした。しかし鎹烏は言いたい事を言うと、その場から直ぐに飛び上がり、窓から蝶屋敷を立ち去って行った。

 

『……』

 

「……炭治郎、取り敢えずその手紙だけど……言われた通り読み上げてみたら?」

 

炭治郎達は蝶屋敷から飛び去って行く鎹烏を、黙って見送る事しか出来ない。其処へ無一郎が、普通に手紙の内容を読み上げる事を推奨する。

 

「無一郎君……そうだね。そうするよ。」

 

炭治郎は無一郎の提案に賛同して、手紙を読み上げる為に手紙を広げて行く。手紙の全容が眼に入る様に、全て広げると炭治郎は徐に手紙を読み始めた。

 

 

 

やぁ炭治郎。輝利哉だけど、突然のお手紙ごめんね。

 

他の皆と一緒に、蝶屋敷の歓迎会は楽しんでいるかな?

 

参加出来ないのは少し残念だけど、僕も元気になった父上と前みたいに過ごせて嬉しいんだ。

 

それにこれでまた珠世さん達だけじゃなくて、皆との親睦が深まってくれたら言う事は無いよ。

 

突然だけど、僕から提案と言うかお願いがある。

 

本人の意志の事も考えたけど……やっぱり普通に人前でも、小芭内の事は名前で呼んであげても良いよ。

 

小芭内の事だから、本当は皆にも名前を呼んで欲しいのに恥ずかしがって自分から言おうとしないと思うので、炭治郎の口から伝えて欲しい。

 

これでもっと小芭内が皆と今より親密になってくれたら僕も嬉しいから。

 

じゃあ、またね。お手紙待ってるよ。

 

産屋敷輝利哉

 

 

 

『…………』

 

炭治郎が手紙を読み終えると、蝶屋敷の大広間はシーンと静かになっていた。炭治郎を除いたしのぶ達の面々は、反応に大小あれど手紙の内容に驚愕している事は分かる。

 

「っ!?……っっ?!」

 

特に当事者である小芭内は、声も出ない程に動揺していた。蜜璃の炭治郎への好意に呆然としていたのだが、最早それどころでは無かった。

 

「あの……炭治郎君から動揺が見られませんが、何か事情を把握しているんですか?」

 

「はい? いやぁ事情と言うか、輝利哉……様と一緒にお風呂に入った時に偶然、小芭内と鏑丸が温泉に居て其処で仲良くして頂いたんですっ!」

 

しのぶに尋ねられた炭治郎は、楽しそうに温泉での出来事を話していた。

 

「お、おい炭治郎っ! あまりベラベラ喋るなっ!」

 

炭治郎が躊躇無く温泉での出来事を暴露するのを見て、小芭内は炭治郎に注意した。しかし咄嗟に行ったからか、ある事実に気付いていない。

 

『!?』

 

その一方で、行冥達は気付いていた。小芭内が炭治郎の事を名前で呼んでいた事実にだ。

 

小芭内がこれまで、人前で誰かを名前で呼んだ事は無い。それは生前、幼馴染同然の杏寿郎の前でもだ。

 

小芭内からすれば公私混同をしてはならないし、鬼狩りの職務に専念する為に互いに決めた取り組みであった。

 

これは小芭内の故郷である八丈島の酷遇が招いた、人間不信により引き起こされていると言う事実もあった。

 

その様な小芭内の個人的な事情を行冥達は知る由も無いが、どうあれ気難しい小芭内が炭治郎を名前で呼んだ事実に驚愕せざるを得なかった。

 

しかしこの行冥達の驚愕を、ある人物の行動の所為で跡形も無く吹き飛ばされる事になる。

 

「……おばない。」

 

『?』

 

不意に蝶屋敷の大広間から、ボソッと小芭内の名前を呼ぶ声が響いた。決して大きな声では無いと言うのに、その声は蝶屋敷の大広間に居る炭治郎達全員の耳にきちんと聞こえた。

 

「……ムフフッ。」

 

炭治郎達は漸く、小芭内の名前をボソッと呟いた人物を特定出来た。その人物とは、義勇であった。

 

『……!?』

 

義勇が小芭内の名前を呼んだ事実に、炭治郎達は驚愕していた。その驚愕の大きさは共通なのか、変顔になっている者達も少なくない。

 

「!? !!?!?! ?!!?!?!?」

 

「シャッ!? シャッ、シャア――ッ!!」

 

特に驚愕していたのは、義勇に名前を呼ばれた小芭内であった。あまりの動揺振りに、言葉にならない声を上げている。そんな小芭内を見て、鏑丸も心配する声を上げる程だ。

 

「お、おいッ。伊黒っ。」

 

続けて小芭内と親しくしている実弥も、小芭内を落ち着かせようと声を掛けた。しかし小芭内は聞く耳を持とうとはしない。

 

このまま騒動に発展すると思われたが、其処は別の人物の思わぬ機転によって防がれる事になる。

 

「……小芭内さんっ!」

 

『!!』

 

其処へ再び、小芭内の名前を呼ぶ声が蝶屋敷の大広間に響いた。その声は、義勇では無く蜜璃であった。

 

「!!??」

 

すると小芭内は、頸を痛めるのではないかと心配する程の速度で蜜璃の方へ顔を向けた。既に義勇の事は、小芭内の頭の中には無かった。

 

「か……甘露寺っ?」

 

小芭内が動揺しながら、蜜璃を呼んだ。小芭内の両眼には、照れ臭そうにしている蜜璃の姿があった。

 

「えへへっ。何だか照れるね……私の事も、蜜璃って呼んで良いよ。小芭内さん。」

 

蜜璃は両頬を僅かに赤く染めながら、楽しそうに再び小芭内の名前を呼んだ。

 

「……(フラッ)」

 

しかしそれだけでも、小芭内には効果は抜群だったらしい。唐突に力を失って後ろ向きに身体をよろめた。

 

「おいィィィッ!?」

 

「…………」

 

其処へ実弥が慌てて、小芭内を支えた。小芭内の顔を覗き込むと、包帯で顔の下半分が隠れているとはいえ、明らかに幸せそうな表情で呆然としていた。

 

『……』

 

「……何とかなったみてぇだな。」

 

「そうだな。」

 

力無く呟いた獪岳に、善逸は静かに同意した。こうして珠世と愈史郎の為に開催された歓迎会は、紆余曲折の末に如何にか無事に終了した。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「はぁ……。」

 

「ふふっ。流石にお疲れみたいですね? 炭治郎君。」

 

溜息を吐く炭治郎に、しのぶは背後からクスクス笑いながら声を掛けた。

 

「しょうがないよ。でも、楽しかったわね。炭治郎君。」

 

「……ええ。そう思います。蜜璃さん。」

 

続けて蜜璃の声も、炭治郎の背後から聞こえて来た。炭治郎は同意するも、振り向こうとはしない。

 

炭治郎の様子をよく見ると、少し困った様子で右手で頬を掻いていた。

 

実は炭治郎達は現在、蝶屋敷の大浴場で入浴しようとしていたのだ。それにしのぶと蜜璃も参加している。

因みに炭治郎達が居るのは、女風呂の方だ。全員が湯浴みを着用している。

 

「しのぶちゃん。今更だけど、他に人が入ってこないかしら?」

 

「大丈夫ですよ。アオイ達は料理中だし、他の女隊士は蝶屋敷に居ませんから。だから誰か他の人が入って来る事はありません。」

 

「そうなの。分かったわ……それにしてもしのぶちゃんったら、ふふっ。」

 

蜜璃がしのぶに尋ねると、しのぶは自信を持ってそう言った。しのぶが言う様に、アオイ達は現在、夕食に向けての調理中であった。本来ならば其処に、炭治郎達も加わる筈であったのだ。

 

妹分であるアオイ達に面倒な仕事を全て押し付けて抜け駆けするしのぶの様子に、蜜璃は苦笑せざるを得ない。

 

因みにしのぶはアオイ達に対して、罪悪感等は一切無い。寧ろ産屋敷別邸で抜け駆けをした罰だとさえ思っている。そんなしのぶの様子を見て苦笑する蜜璃に、しのぶはジト目で睨み付けた。

 

「全く……私と炭治郎君の二人だけで、ゆっくりお風呂に堪能する筈でしたのに……。」

 

「え~~そんな事言わないでよ。二人が何処かに行こうとするんだもん。後を付けるに決まっているじゃない。」

 

しのぶが文句を零すと、蜜璃は少しだけ両頬を膨らませてしのぶを見付けた。

 

しのぶが言う様に、本当は炭治郎と二人で大浴場に向かう筈だったのだ。其処を蜜璃が気付いて後を付け、そのまま大浴場の前にある脱衣所に乱入したのである。

 

「言っておくけどしのぶちゃん。お風呂は()()()()()をする場所じゃありません。炭治郎君もよ……自重してね?」

 

「も、勿論ですっ!」

 

「……分かってますよ。」

 

炭治郎は焦った様に承知すると、しのぶも少し眼を逸らしてから承知した。以前に薬師寺邸の浴場で我慢し切れず情交(セックス)に至った経緯は、とても蜜璃に話す事は出来なかった。

 

「別に大浴場(こんな所)でしなくても……私は蜜璃さんより遥かに炭治郎君に愛されてますからね。焦ってする必要は無いのです。」

 

自分に言い聞かせる様にそう言ったしのぶであったが、その内容はまるで蜜璃を挑発している様であった。

 

「……はいっ?」

 

「しのぶさん?」

 

当然だが蜜璃が、しのぶの声色の意図を気付かない筈が無い。そして炭治郎も、困った様子でしのぶに声を掛けた。二人の反応に対してしのぶは、フフンと鼻を鳴らしながら話を続けた。

 

「事実ではありませんか。私は昨日今日に炭治郎君と結ばれた蜜璃さんと違って、一番最初に結ばれた正室ですので。何か異論でもお有りですか? 蜜璃さん。」

 

「うぅっ……。」

 

しのぶの正論に、蜜璃は後退って俯いた。しのぶが言う様に、昨日結ばれたばかりの蜜璃では、回数に置いてしのぶには敵わなかった。

 

「…………回数も大事だけど、やっぱり質が一番大事なんじゃないかな?」

 

「はい?」

 

一瞬だけ俯いていた蜜璃だったが、それだけ言うとしのぶの反応を待たずに行動を始めた。

 

 

 

バサッ!

 

 

 

「「!!」」

 

蜜璃は脱ぎ捨てる様に、着用していた湯浴みを脱ぎ捨てた。蜜璃の湯浴みは、そのまま大浴場の床に落ちる。

 

「其処の椅子に座って、ちょっと待っててね。炭治郎君。」

 

蜜璃はそう言うと、設置されてある石鹸を手に取って身体を洗い始めた。

 

「……っ。」

 

炭治郎は直ぐに視線を逸らすと、言われた通りに蜜璃の隣に座った。

 

「……」

 

しのぶは蜜璃が何をする心算なのかと警戒しながら、炭治郎の隣に座った。炭治郎は蜜璃としのぶの間に、挟まれる様に座る事となった。

 

「良し。こんなもので良いかな?」

 

「「……?」」

 

その間に、蜜璃は身体を洗い終えた様だった。しかし蜜璃の身体を見ると、全身が泡だらけにのままであった。

 

しのぶは視覚でその様子を確認し、炭治郎はその優れた嗅覚で石鹸の濃い匂いを嗅ぎ取った御蔭で分かる事が出来た。

 

炭治郎はとしのぶが疑問を抱いている内に、蜜璃は行動に移った。

 

「えい!❤」

 

「「!?」」

 

蜜璃は泡塗れの裸体のまま、何と炭治郎に抱き着いたのである。蜜璃は炭治郎の首筋に両腕を回し、その豊満な乳房を炭治郎の背中と左腕に押し付ける形で横から抱き着いていた。

 

「おわぁっ!?」

 

「……はあぁっ?」

 

蜜璃の唐突な行動に炭治郎は素っ頓狂な声を上げ、しのぶは青筋を浮かべて蜜璃を睨み付けた。二人共揃って、蜜璃の行動に思考が付いて行けなかった。

 

「炭治郎君。私が君の身体を洗ってあげる。だからじっとしてて? 尤も……。」

 

蜜璃は其処まで言うと、口元を炭治郎の左耳にまで近付けて魅惑的に囁いた。

 

「気になるんだったら、好きなだけ触っても良いからね。炭治郎君だったら私、大歓迎だから……んちゅっ❤」

 

「っ!……蜜璃さんっ。」

 

炭治郎は直ぐに顔を蜜璃に向けると、蜜璃は両頬を赤く染めて少し恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに炭治郎に微笑んでいた。そして蜜璃はそのまま炭治郎の左頬に、優しく口付け(キス)を落とした。

 

「……(ゴクッ)」

 

身体から感じる蜜璃の豊満な乳房の感触と優しい口付け(キス)に気になるが、それ以上に可愛らしく愛おしい蜜璃の表情に炭治郎が意識しない筈が得なかった。

 

「蜜璃さんっ! お風呂場で()()()()()は無しでは無かったのですかっ!?」

 

しのぶは激昂しながら、蜜璃に問い詰めた。しかし蜜璃は悪びれる事無く、石鹸の付いた身体を擦り付けながらしのぶに反論を始めた。

 

「しのぶちゃん。私が言った()()()()()って勿論、情交の事だよ? でもこれはただのお触りだし、私は炭治郎君の身体を洗っているだけだもん。」

 

「!!」

 

「しのぶちゃんは回数に拘るけど、私はどれだけ深く愛して貰っているかが重要だと思うなぁ。」

 

蜜璃の一方的な言い分を聞いて、しのぶは更に青筋を濃く浮かべて激昂した。そんなしのぶを無視して、蜜璃は持論を述べた後に引き続き石鹸塗れの身体を炭治郎に擦り付けていた。

 

「どうかな? 炭治郎君? 気持ち良いっ?」

 

「は、はい。とっても、気持ち良いです……。」

 

炭治郎は背中に抱き着いて石鹸塗れの身体を擦り付ける蜜璃の柔らかい身体の感触と甘い匂いを感じて、平常心を保つのが精一杯であった。

 

「……っ。」

 

しかし炭治郎の愚息は、炭治郎の我慢に反比例して勃起していた。湯浴みからもはっきりと、天幕を作っている事が丸分かりであった。

 

「あらっ。」

 

そんな炭治郎の愚息の様子を、蜜璃が気付かない筈が無い。蜜璃は両眼を見開いた後、思わず舌を魅惑的にペロッと舌なめずりした。

 

「……もう背中はこれ位で良いよね。じゃあ、今度は前の方を……。」

 

「えっ!? それは、待っ……っ!?」

 

炭治郎は自身の前方に移動しようとする蜜璃を、思わず立ち上がって制止しようとした。

 

「させませんっ!」

 

「「!」」

 

すると炭治郎は右側から衝撃が飛んで来た。その衝撃の正体は、しのぶであった。

 

「しのぶさんっ。」

 

「ふふん。お待たせしました。炭治郎君❤」

 

立ち上がっていた炭治郎に抱き着いたしのぶは、前方に移動しその鍛えられた胸板に改めて抱き着いた後に上目遣いで炭治郎を見詰めていた。

 

蜜璃が炭治郎に身体を擦り付けている間にしのぶもまた掛け湯をして身体を濡らすと、大急ぎで石鹸を身体中に塗っていたのである。漸く準備期間を終えて、しのぶは炭治郎に抱き着いたのであった。

 

「むぅ。私が全部洗ってあげようと思ったのにぃ~~。」

 

「残念でした。此処からは私も参加しますから。」

 

残念そうな声を上げる蜜璃に、今度はしのぶが優越感たっぷりに勝ち誇った様子で蜜璃にそう言った。

 

「「……ふふっ❤」」

 

しかし互いに視線を交えると、同時に笑声が漏れた。

 

「あっ……えっ、とっ……。」

 

「炭治郎君。このままじっとしててね❤」

 

「此処から先は、二人でおもてなしをさせて頂きますから❤」

 

蜜璃としのぶに前後で抱き着かれて固まっている炭治郎に、蜜璃としのぶは愉快そうにそう言った。

 

それから炭治郎は、長時間に渡ってしのぶと蜜璃から濃厚な接待を大浴場で受ける事となった。

 

尤も、蜜璃が忠告した様に最後の一線までは超える事は無かった。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「今日は賑やかで、楽しい一日だったわね。」

 

蝶屋敷のある一室で、楽しそうな笑いを含む声が響いた。そう言っていたのは、今回の歓迎会の主役であった珠世である。

 

「お言葉ですが、珠世様……あれは賑やかだったのでは無く、騒々しかったと言うべきです。馬鹿騒ぎとも言えますが……。」

 

珠世が呟いた一言に対して、そう反論したのは珠世唯一の従者である、助手兼護衛役の愈史郎であった。

 

二人は歓迎会の主役であったのだが、炭治郎達の間で起こる騒動ですっかりその存在感は影に隠れてしまっていた。

 

更には鬼である二人は人間の食事に付き合えないので、夕食会には欠席して用意された一室で休息を取っていたのである。

 

愈史郎は溜息を一度吐くと、そのまま言葉を続ける。

 

「俺達への歓迎会と称して、ただ騒ぎたかった様にしか思えませんね。単純に出汁にされた感が否めません。全く、騒ぐだけ騒ぎやがって……。」

 

「そう言う弄れた事は言わないの。でも良かったじゃない。少なくとも、悪い人達では無いわ……そう。鬼が居なければ、きっと普通に生きていられた。普通の良い人達よ。愈史郎は嫌だった?」

 

「……否定は、しませんよ。珠世様。別に嫌じゃありませんでしたから。」

 

珠世が口にした感想に、愈史郎は否定せず同意した。分かっていたとは言え、そう言ってくれた愈史郎に、珠世は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

其処へ扉がコンコンコンと、優しくノックされる音が扉の向こうから聞こえた。

 

「誰だ?」

 

「あの……入って良いですか?」

 

「ええ、どうぞ。」

 

愈史郎が誰だと尋ねると、比較的幼い声が扉越しに聞こえて来た。訪問者が予想出来た珠世は、入室を許可すると徐に扉が開いた。其処に入って来たのは、なほとすみときよの三人であった。

 

「あら、どうしたの?」

 

「そのぉ……改めてご挨拶に来ましたっ! 寺内きよですっ!」

 

「中原すみですっ!」

 

「高田なほと言いますっ!」

 

「「「珠世様っ! 愈史郎さんっ! よろしくお願いしますっ!」」」

 

きよ達は部屋に入室した後、珠世と愈史郎の前に並んで立ってから頭を下げて挨拶をした。

 

――こいつら、姉妹かと思ったが本当に違ったのか……いや、肉質から違う事は分かってはいたが。

 

愈史郎は見当違いな事を黙って思っていると、珠世はすみ達に答礼する。

 

「まぁ、ご丁寧にありがとう。改めて、珠世です。こちらは愈史郎。暫くの間、お世話になるわね?」

 

「は、はいっ! 私達に出来る事でしたら、何でも言って下さいねっ!」

 

なほがそう言って珠世に応えたのだが、珠世はそんななほ達の様子を見てある事実に気付いた。

 

――鬼の私達を前に、少し緊張しているみたいね……そうだ。()()()()()()()()()

 

珠世は徐に立ち上がると、布を被せていた物を取り出した。それは三枚の和紙であった。

 

「はい。これを貴女達にあげるわ。お近付きの印に、貰って下さる?」

 

「「「?」」」

 

珠世は三枚の紙を一人ずつ渡す。きよ達は真っ白な和紙を見て疑問に思ったが、裏返した瞬間にわぁと声を漏らした。

 

「これ、私達だ……。」

 

三枚の和紙の正体は、絵画であった。それぞれにすみ達が描かれていたのである。

 

――まさか、こんな形で役に立つなんて……炭治郎さんに、感謝した方が良いかしら?……。

 

珠世は心中で、そう思っていた。

 

実はこの絵画は、珠世が産屋敷本邸で描いた物だ。炭治郎の事が頭に浮かんで何も手に付けられなかった珠世は、気を紛らわそうと絵を描く事にした。その対象が、偶然にもなほ達であったのである。

 

「気に入って貰えたかしら?」

 

「はいっ!」

 

「凄く嬉しいですっ!」

 

「ありがとうございますっ! 珠世様っ!!」

 

きよ達は直ぐに、珠世に礼を述べて頭を下げた。すみ達は思わぬ贈物を貰い、とても喜んでいる事が良く分かった。それと同時に、目に見えて緊張感が解けていた。

 

それから他愛の無い会話を少しした後、すみ達は貰った絵画を大事そうに抱えながら退室した。

 

そんな無邪気なきよ達を見て、珠世は御機嫌な様子でこう考えていた。

 

――今度、紅茶でもご馳走しましょう。

 

珠世に、新たな楽しみが出来た瞬間であった。

 

――珠世様のはにかんだお顔っ!……素晴らしいっ。この眼に焼き付けねば。

 

会話に加わらなかった愈史郎は、いつもの様に珠世の美貌を見詰めるのに忙しかった。

 

 

 

♦︎

 

 

 

「珠世様、素敵な方だったね。」

 

「こんなに良い物を貰っちゃった。」

 

「そうだね。なほちゃん。きよちゃん。」

 

なほ達は珠世から貰った自分達の肖像画を見ながら、珠世に感謝していた。

 

するとすみが、ある事をなほ達に提案した。

 

「私、珠世様にお礼がしたいな。一緒に買い物に行って、御礼をしようよ。」

 

「良い考えだねっ! すみちゃんっ!」

 

すみの提案に、きよが賛成した。一方でなほは、少し難色を示した。

 

「私も御礼がしたいけど……天気、大丈夫かな?」

 

「雨が降る前に、帰って来たら大丈夫じゃないかな? なほちゃんは嫌?」

 

「嫌な訳無い。しのぶ様に許可を貰ってから、買い物に行こうっ!」

 

「「うんっ!」」

 

すみ達は廊下を歩きながら、珠世に渡す返礼の為に買い物に行く事を決めた。

 

それからきよ達は、アオイ達の料理を手伝うべく蝶屋敷の厨房へと足早に戻ったのであった。




お待たせ致しました。

佑季洋様(https://www.pixiv.net/users/11394230)のリクエスト「炭治郎愛され(炭しの蜜強め)でお食事会」の後編になります。

寧ろこちらが本命と言うか主菜と言う感じです。佑季洋様のリクエストに応えられていたら良いのですが、どうでしょうか?

難産でしたが、書いてて楽しかったです。
素敵なリクエストをありがとうございました<(_ _)>

次回作ですが、まだ日程ははっきりしておりません。ですがまだ比較的執筆し易いリクエスト作品なので、早めに投稿出来ると思っております。暫くお待ち下さいませ。
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