覗き込んで来る色んな顔が、必死の形相で何かを叫んでいる。そんな中、私は暗くなっていく視界の端で飛び回る蒼い蝶を見た。あんなに綺麗な蝶を見るなんて初めてだ。考えるのも億劫になっていくのに、私はぼんやりとそんなことを考える。皆は気にならないのかな。
────何でこんなことになったんだっけ。
目と鼻の先にまでやってきた蝶に、手を伸ばす気力さえない。全身の骨が鉛になってしまったみたいに重い。何で今私は寝ているのだろう。さっきまで何かをしてたはずで、それを思い出すことも何だか大変だ。
────あぁ、そうだ。襲われてたあの子を庇って、それから……。
持ち歩くには物騒が過ぎるナイフで刺されて、それで倒れているんだった。それじゃあ寝ているんじゃなくて、もう起き上がれないのか。刺さった場所が悪かったかな。抜け落ちていく血の感触だけは嫌に伝わってくる気がした。
────あの子たちを遺して逝くのは、心配だな。
流石に私が助からないのは理解ができた。きっと保っても数分が限界だろう。つまりそれは、私が弟や妹たちを置いて先に死んでしまうことを意味する。いつも私に甘えていたあの子たちは大丈夫だろうか。巣立ちを最後まで見届けられないのは嫌だな。
────死にたくないな。
そうは思っても、もう身体はぴくりとも動いてくれない。真っ暗になった視界に蒼い光がチラつくだけだ。どうしようもない。そう頭では分かっていても、心は納得できなかった。
────死んでも死に切れない。
何のためにあそこに残ったと思っているんだ。捨てられた子供たちに教えなきゃいけないことはまだたくさんあるんだ。こんなところでまだ死ねるわけがない。
────死んでたまるものか。
何も感じることができない今、尽きかけていた気力だけはどうにか漲らせる。こんな道半ばで死ねるものか。私は送り出すのだ。大きく成長した弟や妹たちを。それを出来ぬまま、こんなところで。
────あぁ、でも……。
強い想いが心の奥底から発露する中、ふと頭を過る。アストラルがなければ、こんなことにはならなかったのかな。そう思った瞬間、白が爆ぜて広がる黒を塗り潰した。
身体が浮き上がる。何か大きなものに巻き込まれて。
「おっと、待った待った。彼の魂は僕が預かろう。そっちの方がきっと貴方たちにとっても有意義だ」
何も感じなくなったはずの身体で極光を、浮遊感を、そして、軽薄そうな男の声を知覚する。突然の事態に驚く間もなく、私の意識は光へと沈んでいった。
やっぱり親和性高いと思うの。OP歌ってる人一緒だし(?)