――ライブハウス『CiRCLE』で行われるガールズバンドによるライブ公演。大盛況、大熱狂のままに公演は終了。参加したバンドのメンバー達による締めの挨拶をして、楽屋へ戻ってくる。
その中に『Afterglow』の姿はあった。
バンドの華であるボーカル兼ギターの美竹蘭が戻ってくるなり、タオルで汗を拭う。
「お疲れー蘭ちゃーん! 今日もカッコよかったよ!」
「……別に。普通だし」
『Poppin`Party』の戸山香澄が変わらない満面の笑みを向けてきていた。それに返事をしながら、照れ臭くなって視線を逸らす。
ライブとあれば当然として『Roselia』も参戦していた。
「美竹さん」
「なんですか、湊さん」
「お疲れ様」
「……そちらも」
「ええ」
会話が、続かない。しかし、何か言いたげにジッと顔を見つめてくる湊友希那の視線に耐えかねて蘭が口を開いた。
「あの、なにか用ですか?」
「いいえ。ただ、ちょっと思うことがあるだけよ」
「何か言いたいことでもあるなら手短にお願いします」
「そう。なら、最近は随分と調子が良いみたいね。特に美竹さん、高音の安定感が良かったわ」
「えっ……あっ、そう……ですか?」
「…………」
「それ、私も思ってたんです! なんかいつもよりスゴイなーって思って!」
見つめてくる友希那に、純粋な好奇心の香澄の二人から詰め寄られて蘭も言葉を曇らせる。
「べ、別に。何も特別なことなんかしてないですけど……」
「そう。『Afterglow』全体に言えることなんだけれども、どこかバンドとしての完成度が高まった気がするわ。この数週間の間に」
「……あたし達だって、ちゃんと練習してるんですよ」
「蘭ちゃん、友希那さん。この後ポピパで打ち上げやるんですけど良かったら一緒にどうですか! さーやのパンも沢山あるんですよ」
香澄の言葉に、モカが耳を立てていた。
「ほほぉー。パンが沢山……山程食べたいですなぁ」
「じゃあモカちゃん、来てくれるかな!」
「いいですともー、と言いたいところだけども残念ながら」
「アタシ等はアタシ等で打ち上げパーティやるからさ。またの機会に」
「だけどモカちゃん的には山吹ベーカリーのパンが沢山はお宝の山みたいなものなので」
「じゃあ今日はモカ抜きで打ち上げやる?」
「そんな殺生なー。酷いこと言わないでよー蘭ー」
「冗談だって」
いそいそと帰り支度を始める蘭達を残念そうに眺める香澄と、どこか腑に落ちない様子の友希那。
練習量も普段どおりのはずだ。それほど何か特別なレッスンを積み重ねているわけでもない。スタジオ練習だって、予約も多くなかった。だと言うのに、『Afterglow』のライブはいつも以上に盛り上がっていた。
「湊さん、どうかしましたか?」
「……いいえ。なんでもないわ、紗夜」
「でもさー。やっぱりなんていうの? モカ達ちょっと成長したっていうか、一皮むけたっていうの? 『Roselia』に負けないくらいになってきたよね」
「それでも私達が一番よ」
「湊さんの言う通りですね。打ち上げも兼ねて、反省会にしましょう」
「じゃあ友希那さん達も打ち上げは別にやる感じなんですか?」
「そうね。誘ってくれてありがとう、戸山さん。でも気持ちだけ受け取っておくわ」
「わかりました! じゃあまた次の機会に! お疲れさまでした!」
「ええ、お疲れ様」
友希那達『Roselia』も帰りの支度を進めようとしていたところに楽屋の扉がノックされる。
「ういーっすお疲れー。って、蘭達はもう帰ったのか。はえーな」
「あ、エヌラスさんお疲れ様でーす! 打ち上げ来ませんか!」
「お前は手当り次第かよ!」
さすがに見かねて有咲のツッコミがとんできた。
「あー、お誘いは嬉しいんだが俺もこの後用事があってな。それにライブの後片付けもあるし、掃除押しつけられたし。いつ帰れっかなー、日付変わる前に帰りてーなー」
「え、えぇ……?」
「いやほら。ここ最近は本業でこっちのシフトめちゃくちゃ休んでるし。その穴埋めってことで俺が掃除引き受けたんだから自業自得なんだけどな? それにまりなさん達も打ち上げっつーか飲み会っつーか、そういうの行きたがってたし?」
(根はいい人なんだけどなぁ……なんつーか、普段がなぁ……)
オカルトハンターとして普段から夜通し活動しては、霊能学講師として学校に顔を出して、その上でライブハウスのスタッフ。さらにガールズバンドのサポート。一体いつ休んでいるのか疑問になるが、エヌラスは時間の管理能力だけはやたら上手い。
「ま、そんなわけで。俺も打ち上げに参加したいところだが、今日は勘弁な。また今度誘ってくれよ」
「じゃあ私達もお掃除お手伝いー、はちょっと無理かぁ……」
「まぁまぁ香澄。また今度にしよ」
「うぅ~。じゃあエヌラスさん。また次の機会に!」
「ああ。友希那達も今回のライブお疲れ様」
エヌラスの労いの言葉に友希那も挨拶を程々にしていた。だが、なにか思い当たったのか改めて声をかける。
「……最近の美竹さん達について、何か知らないかしら?」
「? なんでまた」
「『Afterglow』の完成度の高さについて、と言えばいいかしら」
「いや、だからなんでまた……」
「音楽に妥協はしたくないの。美竹さん達の今日のライブはいつもと違った感じがしたわ。そうなると、あなたくらいしか心当たりがないのだけれど……」
疑いの眼差しに対して、肩をすくめていた。
「んなわけねーだろ……俺がどんだけ忙しいと思ってんだ」
「……それもそうね」
「というわけで、早いところ帰り支度進めてくれ。全部掃除しなきゃならないんだから」
「どれだけ押しつけられたんですか……」
「ライブハウス、全部の掃除。一人で」
香澄達と友希那達が『CiRCLE』を後にして、まりな達がエヌラスを置いて先に打ち上げ(飲み会)に向かってから二時間後――。
床のワックス掛けからトイレ掃除に補充も全部、一人で終わらせて最後に店の戸締まりを確認してからエヌラスが退店する。終わる頃には汗だくになっていた。
「お、疲れさまでしたちくしょう……無茶な仕事させられるのは慣れてるけどよ……」
実際のところ、過去にやらされた仕事はこの程度の無茶振り、無茶とは言わない。
「あっちぃー……マジで日本は夏が近づくと夜でも暑いな……」
しかもまだ夏に入ったばかりだと言っていた。ここから先、本格的に夏が来ればこれ以上に気温が高くなるらしい。
「……夏の間だけ北極にでも逃げるかな」
アホなことをぼやきながら、エヌラスは自宅に向けて歩き出していた。
もののついでに、コンビニによって必要なものを買い揃えておく。遅めの夕飯に、雑貨を買い込む。
マンションの階段を登り、最上階の一角にある自分の部屋へ向かう。隣と、下の階は空き部屋だ。一時期は幽霊マンションなどと騒がれていたのも以前の話。除霊を条件に一部屋借りることが出来たのも『CiRCLE』オーナーの力添えがあったからだ。ありがたい話である。
エヌラスが自室の部屋の鍵を開けると、すでに室内は灯りが点いていた。
別に家を出る時に照明を消し忘れたわけではない。
「あ~、つっかれたぁ……」
リビングから寝転がるようにして顔を見せたのは、モカだった。
「おー。みんな、家主様のおかえりですぞー」
「あ、おかえりなさい。エヌラスさん」
「やっと帰ってきた。随分と遅かったから心配してたんですけど」
「そりゃ、ライブハウス一人で掃除してきたら遅くもなるわ」
モカだけでなく、巴に、ひまりに、つぐみに蘭と――『Afterglow』がくつろいでいた。勝手知ったる人の家。テーブルの上にはみんなで作った夕飯や買ってきた惣菜などが食べかけで置かれたままになっている。テレビも点けて、まるで我が家のように。
エヌラスが腰を下ろすと、つぐみがすぐに紙コップを用意してジュースを注いで差し出す。
「それはお疲れさまです。はい、どうぞ」
「ありがとな、つぐみ。今日はライブ終わってから帰るの、随分早かったがどうしたんだ?」
率直な疑問に、つぐみ達は押し黙った。隣に座っていた蘭が、袖をつまむ。
「そういう、約束ですし。向こうで顔合わせたら、あんまり話せないじゃないですか……人気者なんですから」
「ふふー。エヌラスさん、蘭はですね~。ヤキモチ焼いてるみたいで――」
「ちょ、ちが……! そんなこと一言も言ってないし!」
「そっか。蘭は別に俺のことなんかいいのか……」
「そんなわけ……っ~~! い、言わせないでください……恥ずかしいん、ですから……」
袖をしっかりとつまみながらも、蘭が身体を寄せてくる。顔を赤くしながらも、頬を膨らませて拗ねた様子で。
黒髪に、赤いサイドメッシュを入れた頭を撫でる。
「おつかれ、蘭。今日も頑張ってたな」
「…………いつも通り、ですよ」
「そうか。なら、いつも通り頑張ってたな。つぐみもひまりも、モカも巴も。だいぶ遅くなったが――乾杯」
『カンパーイっ』
紙コップを持ち上げて、遅めの打ち上げにエヌラスも乾いた喉を潤そうと中身を一気に飲み込んで空にした。
「あ、あの……それで、ですね。エヌラスさん」
「ん? なんだ、ひまり」
「――ご、ご飯とお風呂と私達、どうします!?」
「いや、そりゃ全部に決まってんだろ……」
「欲張りセットですなぁ」
「それ言ったらお前達もだろうが、モカ。飯食って、風呂入って、あとはお楽しみって、だいたいここ最近いつもの流れだろ?」
「でもそこで、迷わず全部いくあたりエヌラスさんも強欲ですしー」
「大人は欲深いんだよ。とにかく腹減ったわ、残り物全部食っていいか?」
「ど、どうぞ! よかったら、まだ何か作りますけれど……」
「ん? じゃあ食後のデザートでもお任せで頼めるか、つぐ」
「はい! 任せてください。あ、台所借りますね」
腰を上げて台所に立ったつぐみが、早速デザート作りに取り掛かる。それを尻目に、蘭はエヌラスの服の袖を掴んだまま離れようとしなかった。モカも猫のようにくつろいで勝手に膝の上に頭を預けている。
「……ん……すぅ……」
「蘭、寝るなよ? あと俺風呂入ってないし、結構汗かいてきたからあまり嗅ぐのは、そのー……ちょっと気恥ずかしいんだが?」
「……あたしは、嫌いじゃありませんけど?」
「そっかぁ……んで、モカはなんで人の膝枕でくつろいでんだ?」
「ちょうどいい高さの反発枕でー。あ、そのご飯ちょっとくださーい」
「いいご身分だなおめーはよぅ……ほれ」
「もー、蘭もモカもズルいよぅ。私だってくっつきたいのにー」
「もうちょっとの辛抱だって、ひまり。そういう順番ってじゃんけんで決めたんだしさ」
「うぅ~~、巴~」
「いや、だからってアタシにくっつかれてもなぁ……」
「いーでしょー? 落ち着くんだもん」
「……あー……」
ひまりに身体を押しつけられて巴が赤面しながら顔を逸らしていた。
「その、ひまり。胸が当たってるんだけどな……」
「当たるんだから仕方ないじゃん」
「わざと――じゃないんだよな?」
「……エヌラスさん、巴がえっちなこと考えてるー!」
「巴ならまだかわいいもんだろ。あとつぐみが可哀想だからいちゃつくな」
「私は大丈夫だからエヌラスさんとくっついてていいよ皆!? そんな遠慮しなくても」
「そーそー、つぐの言う通り。夜は長いんだからー。ね、蘭~?」
和やかなムードの中で、一人だけ口数がいつも以上に少ない蘭にモカがいたずらっぽい笑みを浮かべながら声をかけてみる。しかし、予想通りというべきか。
「……そうだけどさ」
「ん~~? 蘭ってばどうしちゃったのかなー? 顔は真っ赤でムズムズうすうずしてるみたいだけど」
「…………モカ、怒るよ」
「んふふ~♪ 蘭は、コッチが欲しくて辛抱たまらん様子ですなぁ?」
ポン、ポン、と。
モカは、エヌラスのズボン。その股間を優しく叩いてた。だが、頭を軽くはたかれる。
「飯食ってんだから、そこを触るな」
「そ、そうだよモカ! 行儀悪いよ!」
「いや、でもひまりはこの間――」
「ひゃあぁあ~~、てょもえ! あれは言わないでぇ~!!」
「あれは本ッ当にエロかったな。うん」
「確かに。ひーちゃんの恥ずかしいところ丸見えだったねー」
「ひまりにあんな趣味があったなんて驚きなんだけど」
「あのな、お前ら。俺食事中なんだが」
落ち着いて飯を食わせてくれ。そんな思いは儚く届かない。
そこに運ばれてくるのは、つぐみお手製のホットケーキ。
「はい、お待たせしました」
「美味そうー、というよりもつぐの作るお菓子はどれも美味しいんだけど」
「うぅ、さっき食べたのにお腹空いてきちゃう……」
「じゃあモカちゃんがひーちゃんに代わって食べましょう。そしてカロリーだけはひーちゃんに送ってしんぜよう」
「無慈悲ー! そんなのやだからね!」
「ちゃんとおかわり作るから喧嘩しないでー!」
――切っ掛けは、些細なことだった。
あれは、ライブが終わった後の昂揚感が抜けきらなかった日のこと。
打ち上げと称してエヌラスの家に上がった蘭達は、そのまま半ば勢いという形で相手を押し倒してしまった。熱く火照った身体の熱が冷めやらぬままに、衝動に身を任せて。
抵抗しようと思えば、五人程度組み伏せられたはずだ。力づくでやり返すことだって。だが、エヌラスはそうはしなかった。
痕が残らないように、痛くならないように、少なくとも怪我だけはしないようにと配慮してくれたのだ。
一連の行為が終わって、夜が明けて。罪悪感と、後悔に泣きじゃくりながら謝罪を繰り返す蘭達に向けてエヌラスは一言だけ返した。
――俺でいいなら。
ただ、それだけ。
自分達のワガママと、自分達の勝手な気まぐれに巻き込んで。それでも言葉一つで許してくれた。それが、嬉しくて、悲しくて、やはりまた泣いてしまったのを蘭達は覚えている。
それ以来。ライブが終わる度にこうしてエヌラスの家に集まるのが当たり前になってしまっている。合鍵を渡されてからというもの、たまにライブをした日以外でも。
そうでなくても。気がつけば……五人で共有する“大人の玩具”になっていた。
最初こそ、ただ欲に突き動かされるまま。だが、五人でちゃんと話し合って使う順番を決めたりもした。それでもどうしても我慢できなくなった時は、メンバー同士で――というのもよくある話。
今日は、お風呂を巴とひまりが担当していた。
一糸まとわぬ姿となって、二人で挟み込む形となってエヌラスの身体を洗っていく。
「よい、せ。ん、しょ……」
「…………あの、痛くないですか?」
「いや、全然? そうかしこまるな、巴。リラックスリラックス」
「そうは言われても……」
前側を担当している巴の視線は、股間に向けられていた。タオルを捲かずに身体を洗っているものだから、どうしても目につく。思わず生唾を飲み込んでしまう。その音が浴室に響く。ぎくしゃくとして様子で注意力散漫な巴に、エヌラスは手を差し出して頬を撫でる。
「気になるなら、洗ってくれてもいいんだぞ?」
「え、あ……あー、うーん……」
「というか、その。さっきからひまりが胸を押しつけて背中を洗ってくるものだから俺も我慢するの大変なんだ……」
「ひまり、わざとか?」
「だ、だってこうすると男の人喜ぶってネットに書いてあったし!」
「……調べたのか?」
「ひまり、お前これ以上エロくなってどうすんだ」
「エッチじゃないもーん! うぅ、せっかく喜ばせようと思って色々調べたのにぃ」
豊満な胸をエヌラスに背中に押しつけながら頬を膨らませていたひまりをなだめていると、巴が恐る恐る股間に触れた。
触れる度に思い出す、下腹部の熱さ。快楽の波。
「ぇ、あー……うー……」
「巴がするなら私もする。独り占めしちゃダメだからね」
「そ、それもそうだよな! えっと……そういうわけなので、一回……いいですか?」
「一回、じゃなくて一発って言うとエロさが増す」
「じゃ、じゃあその……一発……先に、アタシ達で」
エヌラスが頷くと、二人に身体を任せた。
深呼吸を繰り返してから、巴が顔を近づける。
自分の顔の前にそびえ立つ竿の迫力に、吐息がこぼれた。
「えっと、確か……根本、から……?」
たどたどしい手つきで巴が根本から先端に向けて舌を這わせる。その変わらない初々しさも、ウブな反応も、慣れない手つきも楽しませる材料でしかない。時折、不安そうに見上げてくる視線とぶつかり、口にするよりもエヌラスは頭を撫でて頷く。
「そう。上手だぞ、巴」
「……れろ……、はぷ……」
「味の感想は?」
「あ、味とか聞かれても……わかんないですって」
「私も手伝うよ」
「じゃあ、ひまりにお手本見せてもらうか」
「お手本って言われても、私もそこまで自信ないですけど……がんばろ、巴」
「……ああ」
胸を寄せながら、ひまりが先端にしゃぶりつく。巴は手で根本からゆっくりと擦りあげる。
丁寧に舐め回していく舌使いに、たどたどしい手つきのちぐはぐな動きはなんとも言えないくすぐったさがあった。唾液に濡らされて竿を濡らしていくと、今度は巴の手つきが徐々に艶めかしい音を立てていくとそれに顔を真っ赤にしていた。
「ぅあ……風呂場だから音が反響して、余計にエロい気がする……」
「はむ。ん、ちゅ……もぉ、巴ってばちゃんとしてよぉ……ん、む。私ばかり頑張ってるんだから」
「そうは言われても……じゃあ、ほら。逆にしてみるか。アタシが――しゃぶる、から。ひまりが、こう……搾り取る感じで」
「ん。んぅ~~……ちゅぱっ。わかった、じゃあ交代ね」
最後に一度だけ強く吸い付いてから、ひまりが巴と代わる。
「……間接キス」
ポツリとエヌラスが呟くと、動きが固まった。だが、こちらの顔色を窺いながらも上目遣いで巴が先端を咥える。それを確認してからひまりが竿をしごき始めた。
ゆっくりと優しく、緩急をつけながらもリズムをとって。手の中で熱く脈打つ感触を楽しんでいるのか、ひまりは巴の横顔を見つめながら頬を赤らめている。それは決して浴室の暑さだけではない。
「巴、おいしい?」
「んっ……! ひまり、なんかエロくなったよな……」
「そ、そう? だってエヌラスさんで練習したら、巴も喜ばせられると思って……」
「……ごめん、実はアタシも同じこと考えてた」
「えっ!? じゃあ最近ちょっと付き合い悪かったのって」
「いや、だって! ひまりがアタシとした時痛いって言うから!」
「巴はがっつき過ぎなの! もっとゆっくりって言ってるのに、あんなに激しくするから……」
「だ――それはその、ひまりが可愛すぎるから悪いんだよ!」
「私のせいなの!? エヌラスさん、巴ひどいと思いませんか!」
「実際ひまりはめちゃくちゃ可愛いから仕方ないと思うが、もうちょっと我慢することを覚えような、巴は」
これまで何度か交互に相手をしていたが――巴はどこか我慢弱い。ひまりの凶悪な肉つきではそれも仕方ないことかもしれないが、そこはちゃんと相手のことを考えておかないと傷つける結果となる。
「ほら。エヌラスさんだってこう言ってるし。巴はお預け!」
「ぅ……ア、アタシもエヌラスさんに稽古つけてもらったんだから前よりは上手になってるんだからな」
「ほんとに?」
真偽の程を視線で問いかけるひまりに、エヌラスは腕を組んだ。
「んー。まぁ、確かに以前よりは良くなったな」
「エヌラスさんがそこまで言うなら、あとで……ね?」
「――あ、ああ。もちろん。今夜のアタシが一味違うこと、ひまりに教えてやるからな」
「ところでお前ら。いつまで人のを握ってるつもりだ。くすぐったいんだが」
「「あ……」」
「一発抜くなら抜くで、はっきりしてくれ。このままじゃ後で暴発しかねん」
その犠牲者が誰になるかはわからないが、二人が顔を見合わせてから熱く隆起した竿を見つめる。それになにかひまりが思いついたの手を合わせた。
「そうだ。あのね、巴。ちょっと、してみたいことあるんだけど……手伝ってくれる?」
「え、ああ……いいけど。なにするんだ?」
「えっとね。こうして……ん、しょ」
「ひまりのおっぱいにエヌラスさんの飲み込まれてるけど、アタシはどうすればいいんだ?」
「巴も同じようにおっぱいで挟んであげて」
「え、えぇ? ひまりほど大きくないんだけどな……っていうか、でかすぎるんだよ」
「いーいーかーらー!」
「あー、うん。はいはい……ん、あつ……!」
巴とひまりが抱き合い、胸を押しつけ合う。その谷間に挟まれる形でエヌラスの男根がある。なんとも言えない柔らかさの肉の密着感。少しでも動けば擦れ合う二人の胸に、腰が落ち着かなかった。気持ち、巴の方が強めに押しつけている。
「一人じゃできないからやってみたかったの」
「えっと、エヌラスさん。こういうの、何ていうんです?」
「……ダブルパイズリ?」
「なんか、エロい言葉ですね」
「エロいからな実際、こうして目の当たりにすると」
両手の空いているエヌラスは、そのまま二人の頭を撫でて先を促した。
ひまりが動き、それに合わせて巴もゆっくりと動き出す。胸を上下させながら、覗き込む先端を二人が舌を絡ませながら刺激していく。
竿は柔らかく熱い密着感に、亀頭はくすぐられるような快感に晒されてエヌラスも少し息が荒くなる。その上、巴とひまりが舌を絡みつかせて唾液が谷間を濡らしていくとスムーズに二人の胸の動きが激しくなっていった。ピンと勃った二人の胸の先端も擦れ合っている。
「んー! ふぅ、はぁ、あ! これ、なんかすっごくエッチになっちゃう……!」
「ひまり――ん、ひまり……!」
「ゃ、とも……まって、んっ……!」
巴がひまりに向けて舌を出し、唇を塞いだ。唾液を貪るようなキスを繰り返していると、エヌラスが巴のお尻を撫でる。それに驚き、身体を震わせて離れた。
「は、ひぇ?」
「おまえなぁ……あれだけ一緒に頑張ったのに我慢できてないじゃねーか」
「ぅ……! いや、その……いざ実物を前にすると中々難しくって……」
「わかる。だが、それはそれとしてちょっと巴はお預け。ひまり、頼めるか」
「ふ、ひゃい! 巴は少し我慢しててね」
「うぅ……」
ひまりがエヌラスの竿を胸で挟みながら、先端を強く吸い上げて激しく胸を上下させる。
重量感のある豊満な胸に絞り上げられる形で、エヌラスは焦らされていた射精感を解放した。それを驚きながらも口内で受け止めて、落ち着くまで口を離さなかったひまりだったが、口に含みきれずに溢れてこぼれ落ちていく。
やがて、エヌラスに見せるように大きく口を開けた。舌の根本が見えなくなるくらいに注がれた白濁液を確認してから、頷く。すると、トロけた顔でひまりが喉を鳴らして飲み込む。少し咳き込みながらも、再び口を開けるとすっかりそこは空っぽになっていた。
「ハ、ぁ――。ごちそう、さまでしたぁ……」
「いつも無理して飲み込まなくてもいいんだぞ、ひまり」
「えっ。で、でもだってこうしないと汚れちゃうと思って」
「……裸なのにか?」
「あ…………」
ポカンと、開いた口の塞がらないひまりの胸の谷間に白い線を描きながら精液が垂れていく。
バスタオルを巻いて、顔を真っ赤にしながら出てきた巴とひまり。そしてエヌラスがリビングに戻ってくるとつぐみが後片付けをしていた。
「やっと上がったんですね。随分と長かったみたいですけど」
「まー、ちょっと盛り上がって。後片付けしてもらって悪いな、つぐ」
「気にしないでください」
「蘭とモカは?」
「一足先にベッドでくつろいでます」
「アイツらは、まったく……風呂にも入らず何してんだ。つぐも洗い物、そこまででいいぞ」
「あともうちょっとですから」
「いいから。ほら」
「でも……あの、お風呂だけでも!」
「そのままが良いって言ったらどうする?」
「……、恥ずかしい、ですけれど。はい――エヌラスさんが、ご所望なら」
手を繋いでつぐみが洗い物をきりのいいところで切り上げ、三人と一緒に寝室の扉を開ける。
薄暗がりの中、ベッドの上で蘭とモカが身体を重ね合っていた。乱れた吐息に、脱ぎ捨てた衣類。下着姿の二人が何度もキスを繰り返している。
「こらー、二人共。つぐに洗い物任せて楽しむな、可哀想だろ」
「ん、ふぇ……? だって蘭が我慢できそうになかったのでー」
「……は、ぁ……ぁ……それ、言ったら。モカだって、ここ、熱くして……」
リビングからの灯りに照らされるモカの綺麗な股間も、濡れて照らされている。蘭に触られてくすぐったそうにお尻を振っていた。
「いいの、モカ。みんなに見られてるよ?」
「これはちょっと、さすがにモカちゃんでも恥ずかしいかもぉ……あの」
「はいはい、んじゃ。リビングの灯りも消すからつぐも脱いでくれ。お前以外はみんな準備できてるみたいだし」
「えっと、電気消してもらってからでいいですか……?」
「全然かまわない。ほら、巴もひまりも先にベッド行ってていいぞ」
部屋の灯りを一通り消してから、エヌラスはつぐみが服を脱ぐのを手伝う。
肩に触れるだけでも小さく身体を震わせ、慣れない緊張感を誤魔化すように笑っていた。
「えへへ、やっぱりちょっと……まだ緊張しちゃって」
「今夜は俺が頑張る方だから、つぐは休んでていいんだぞ?」
「でも、エヌラスさんもお疲れみたいなので、やっぱり私が頑張らないと」
「いーからいーから、今夜は俺にツグらせろ」
意気込むつぐみの手を引いて、エヌラスは抱き抱えながらベッドに腰を下ろす。流石に人数が人数だけに手狭になって身体を寄せ合い、重ね合う形となって身体を落ち着かせていた。
蘭も、不意に自分の身体が汗ばんでいることに気づいて浴室に向かおうとするが、その腰をモカに捕まれ、更に下着をエヌラスに脱がされて脱出に失敗する。
「何処行くつもりだ、蘭」
「ど、どこってお風呂……汗臭い、気がして……」
「じゃあキレイにしてやらないとな。なー、モカ」
「そうそう。蘭はあたし達に任せてくれればだいじょうぶー」
「え、でも……! 巴もひまりもお風呂入ったのに!」
「いや、アタシ等はエヌラスさんの身体洗うのに一緒に入っただけで」
「うんうん。みんなで入るとなると狭いし」
「ベッドだって窮屈なんだけど……」
「それはそれ。これはこれ。モカー、蘭を逃がすなよ」
「はーい。御用だ御用だー、んふふ~。蘭の肌すべすべで気持ちいい~♪」
「ちょ……んひゃ!」
蘭の身体を弄るモカ。その反対側では頬を寄せ合う巴とひまり。そして、その間に挟まれる形でエヌラスとつぐみが抱き合っている。
唇を軽く重ねてから、額を合わせた。手早く服を脱がせて、下着姿のつぐみをベッドに優しく寝かせる。
「今夜は、つぐからでいいのか?」
念の為ひまり達に確認を取ると、静かに頷いた。
「ちゃんと満足させてあげてくださいね」
「誠心誠意努力させていただきますよっと。そういうわけで、つぐみの準備から始めるか」
「は、はひ! 今夜も、その……よろしく、お願いします――」