「ん……っ」
薄暗い寝室。肌に触れる大きな手。汗ばみ、火照った身体を撫でる手に、大和麻弥が身体を震わせる。
服を脱がされ、下着一枚でベッドに座り込んで異性と肌を触れ合わせる――まさか、ジブンがそんなことになるとは思いもしなかった。
それも一度や二度ではなく、これで何度目だろう。その度にこうして、肌を合わせている。それでも今だに自分の処女は守られていた。
「あ、あの……エヌラスさん?」
「ん?」
「えと、いつも思うんですけど……ジブン、眼鏡邪魔じゃないですかね」
マッサージのように胸を揉まれながら、そのこそばゆさに身体をよがらせながら麻弥がエヌラスに振り返って尋ねる。
「俺は邪魔と思ったことはないけどな」
「それはエヌラスさんが、ん、ジブンのこと後ろから……んひゃ……っ」
「後ろからだけじゃないだろ」
「――、そ、そうですけど……」
胸を持ち上げられて、指先で乳首を弾きながら擦られる。それだけで麻弥は下腹部に熱が籠もる。お腹の奥からこみ上げてくる火照りに身体が跳ねた。
下着もすっかり濡れてシミになっている。手持ち無沙汰になっていた手で触れれば、指先が湿り気を帯びた。
「麻弥」
「ひゃいっ……、ご、ごめんなさい。フヘヘ、なんか変な声、出ちゃいますね……」
「可愛い声出しやがって、いじめるぞ」
「こ、これ以上されたらジブンおかしくなっちゃうので手心を加えてくださいよ!」
「んー? どうなるのかちょっと楽しみだから、いじめていいか?」
「それは、その……えっと……、」
耳たぶを甘く噛まれて、麻弥が声を堪える。
期待と興奮と、少しだけの怖さがあった。だが、こうして何度も身体を委ねている内にわかったことと言えば、本気で嫌がるようなことだけはしてこない。紳士的、というよりも節度を守った品のある触れ合い。
最初は、本当に怖かったけれども。それでも、ここまで辛抱強く付き合ってくれた。
「でも、ちょっと期待もあるっていうか……されてみたい気持ちもあったりしますね」
「ほんとに駄目な時はちゃんとやめるから安心してくれ」
「…………」
「なんだ、その疑いの眼差しは」
「エヌラスさん、ジブンがあんなに駄目って、嫌がってたのにお尻ばっかり……」
「本番禁止って言うから」
「だ、だからってお尻の方なんて変態みたいじゃないですかぁ!」
「今じゃすっかり胸もお尻も感じるようになった麻弥が言ってもなぁ」
「そうしたの、エヌラスさんじゃ……ん、っひゃあ!? おし、お尻いじるのやめてくださいってば!」
胸からお尻に向けて伸ばした手がアナルを弄り始めて、麻弥が逃げ出そうとするもののエヌラスに抱き寄せられてしまう。足を開き、下着をずらされて指先で軽く押し込まれる。挿入には到らずとも、そうされてしまうだけで身体は反応してしまっていた。
「う、うぅ~。ジブン、処女なのにお尻でこん、なっ……うひぅ!」
「麻弥が良いって言うなら俺もそっち使わせてもらうんだけどな」
「……あの、他の人達にこんなこと、してませんよね? 日菜さんとか……」
「どーだろなー?」
「そ、そんなこと言うとさせてあげませんよ」
「ここまで来ておあずけはちょっと辛いぞ」
ぷぅ、と頬を膨らませて麻弥がエヌラスを睨むが、その仕草が可愛らしくて逆に頬を擦り寄せられる。
「どうなんですか、エヌラスさん」
「してない。こんなことするの、麻弥だけだ」
「…………あの、なんでジブンなんですか?」
「なんでって。不満か?」
「いえ、その……不思議で仕方なくて」
パスパレの中で、どうしてジブンなのか。他のバンドを差し置いても、なんでこういう関係になってしまったのかと疑問で仕方なかった。
いつもは日菜に絡まれて困っているのは知っている。だがそれを本気で嫌がっているようには見えなかった。
イヴにしても、普通に仲が良さそうに思える。並んでいても美男美女として遜色ない。
彩も千聖も、相性が悪そうには思えなかった。
だからこそ、尚更にどうしてジブンが選ばれたのか解らない。
「千聖のおかげかな」
「え。千聖さんの?」
「麻弥のことで頭悩ませてたみたいだったから、相談に乗ったのがきっかけだな」
「それは、初耳です。直接言ってくれればよかったのに……ちなみに、千聖さんはなんて?」
「もっとオシャレに気を遣うようにしてくれたらいいのにって」
「それは、いつも言われてることですね……ジブンも気を遣おうとはしてるんですけど、どうしても疎かにしがちで」
エヌラスの手が頬を撫でる。そのまま髪の毛先を指で弄り始めた。
「でも、それでジブンとこうする理由がちょっと結びつかないんですけれど」
「まぁそうだよな。それで、だ。麻弥のこと色々見てたら、まぁなんというか……俺が先に参ったというか、欲しくなったというか……」
「…………」
「……まぁ、そういうわけで」
「えっと、つまり……ジブンのことが、好きになってしまったと……?」
「そうだよ、悪いかよ……」
それはなんと言えばいいのか。胸の奥が温かくなる。筆舌に尽くしがたい、満ち足りた心地に麻弥が言葉を失う。
――この人は、ひどく不器用だと気づいたのはいつからだっただろうか。
戦闘も知識も人生経験も豊富なのに、誰かに対する優しさや気遣いが不器用で、手探り状態になる。それは経験の乏しさからくるものだと思っていたが、少し違った。
エヌラスは、恋に臆病になる。誰かを本気で愛することに対しては、人一倍気を遣う。
その理由も原因もわからないけれど。そんな姿を見ると、あの時――白鷺千聖を助けるために付喪神達に立ち向かった人と同じとは思えないほど弱々しく見える。
きっとこの人は、痛みや困難よりもずっと、誰かの温もりや優しさに弱い。
「――――」
そう気づいた瞬間に、麻弥は顔に火が点いたように熱くなった。息が詰まり、言葉にならないほど嬉しくなる。
こんなにも身体を寄せてきているのは、臆病なりに頑張って甘えてきているのだと。そう思えば、自分の身体を撫でる手も、預けた背中を支えるたくましい身体も愛おしい。
手を握る。刀を持って、銃を握って、魔術を使う手は、思ったよりも柔らかくて。人間の手と全く変わりがなかった。指を絡めて小さく握ると、優しく握り返される。
「……エヌラスさんの手、大きくて、温かいです」
「麻弥。お前、ちゃんと肌のケアしてるか? 機材を弄るんだから人より痛みやすいだろ」
「そ、そこまで見る人いませんって」
「俺が見る」
手を引き寄せて、手の甲にエヌラスが口づけをすると麻弥が顔を逸らした。
「照れてるのか?」
「あ、当たり前です! 好きな人にこんなことされたら――って、あ……」
「…………」
「えと、今のは……聞かなかったことに……」
「無理」
「で、ですよねぇ~……あははは……」
なんというか、もう、台無しだ。いい感じの空気も雰囲気も、なけなしの色気も。お互いにほとんど身体を隠していないというのに。
「あの、エヌラスさん」
「ん?」
モジモジと麻弥が太ももをこすり合わせながら向き直る。少しズレた眼鏡を直して、気恥ずかしくなったのか胸を手で隠した。
「……今日は、ジブンが、頑張りますから。任せてもらってもいいですか?」
「ああ。じゃあ、麻弥のご奉仕期待していいんだよな?」
「で、でも本番だけは禁止ですからね! そこだけは譲れません!」
「全部任せる。好きにしてくれ」
頬を捕まえて、軽くキスをしてからエヌラスは顔を離す。
「……やっぱり、ジブンの眼鏡邪魔じゃないですかね?」
「口でする時は外した方がいいな。汚れると拭くの大変だし」
「わ、わかりました……じゃあ、がんばりますね」
「んっ……あむ……はぁっ。エヌラスさんの、いつ見ても大きいですね……ジブン、上手く出来てますか?」
「ああ、その調子で頼む」
眼鏡を外して、陰茎に舌を這わせる麻弥の頭を撫でる。心地よさそうに目を細めながら、根本から舐め上げて濡らしていくと、皮を剥いたまま先端を舌先で丹念に舐め始めた。キャンディを咥えるように頬張り、そのまま小さく頭を前後させると上目遣いで反応を窺いながら繰り返す。
「ハァ――。これ、ジブンの身体に入って……す、好き放題してたと考えると……なんだか変な気分になりますね……んむ……」
「すっかりフェラも慣れちゃったな、麻弥」
「ん、ぷぁ……! もぉ、そういうこと言わないでください。ジブンも、色々勉強してたりしたんですから」
「へぇ」
「……そのせいで、最近はちょっとバナナ食べにくいですけど――ってそんなことまで言わせないでください」
先端を咥えて、竿をゆっくりとしごく。キツすぎない握り方で根本から搾り取るような手つきでピストン運動を繰り返していた。程よい力加減に、異なる快感の波が絶え間なく押し寄せてくる。思わず、身体が反応してしまう。そんなエヌラスの顔を見上げながら、麻弥の奉仕は続いていた。
「ん……は、ぷっ、んっく……! はぁ……、フヘヘヘ……」
「美味しそうにしゃぶりやがって……」
「ジブン、このニオイ……癖になっちゃってますね。これ嗅いでると、その……」
落ち着きがなさそうにお尻を振っている。
「おなか、熱くなっちゃいます……」
「お腹だけか?」
「え、っと……お尻も、期待しちゃってて……なんだか今日のエヌラスさん、ちょっぴりイジワルじゃないですか」
「今夜はちょっと、そういう気分なんだ。麻弥も嫌がってないみたいだし」
「~~~~、そ。それはその……ジブンだって、そういう日だってあります」
お尻が疼く。下腹部が火照り、熱を帯びる。自分の太ももを伝う熱い雫に麻弥が恐る恐る手を伸ばして指で掬う。割れ目から堪らず溢れ出していた愛液は生暖かく、指で伸ばせば糸を引いていた。
(うへぇ……こんな、濡れて……でも、こっちは絶対ダメです。こんなのされたら――お尻だけでも、あんなに気持ちいいのに)
背筋を駆け上がる快楽の波に麻弥は身体を震わせる。
想像するだけでも、堪らない。口内から涎が出てしまう。それを誤魔化すように咥えているペニスに垂らして手で塗りつけていくと、鈴口から汁が溢れた。
「エヌラスさんも、気持ちよくなってるみたいで嬉しいです。カウパー、出てきてますよ? んっ、ちゅる……っ。んく……はぁ……まだ、出てますし……」
「それだけ麻弥の口が気持ち良い証拠だ……っ。そのまま、な?」
「ふぁい、がんばりまふ……はぷっ、……」
「咥えたまま、喋るな。くすぐったい」
「ほぇ? ふぉーれふか?」
「……こんにゃろ、エロメガネめ」
「ふえへへ……」
頭を撫でられて、口はガサツでぶっきらぼうなのに髪を整える手に麻弥の目が惚けたように伏せられる。頭頂部から、後頭部にかけて、そのままうなじまで何度も何度も優しく撫でられるだけでも麻弥は思考が溶けるような錯覚に陥っていた。
コレをされた後は、決まって――喉の奥まで咥えこまされる。口内を満たし、喉まで届く陰茎の熱さと固さと、ニオイに身体が小刻みに痙攣した。
「んっ~~~~……!!」
息苦しさを覚えてところで、すぐに離される。
「はっ、はっ、はっ、あっぅ……! か、かるく今ので……イッちゃいました……」
「俺まだ満足してないぞ。がんばれ、ほら。頭撫でてやるから」
「んひゃ……ぁ……はい……んぷっ、はぁっ。んっぶ、じゅぽっ……!」
歯を立てないようにして、唇を形に沿わせてすぼめて丁寧に舐めていく。舌でちゃんと裏筋もカバーして口いっぱいにしゃぶる。根本から吸い上げ、何度も頭を上下させていると陰茎が膨張して堪えるのが手に伝わってきた。そこで一度、口を放して手で緩くしごく。
「そろそろ、出そうですかね?」
「んっ……ああ……」
「じゃあ、ラストスパートかけます。あむ……! んっ、う~~!!」
少しだけ息を整えてから、一息に咥えると麻弥が動きを激しくさせた。根本からせり上がってくる熱を我慢できずにエヌラスは麻弥の口内に全て吐き出す。頭を離さないように押さえつけながら射精が治まるのを待つ。
「んぶっ、ん、ぅううぅ~!? ん、ふッ! んぅむぐ……んっ、くっ、んっんぅ……!!」
驚きながらも、口内にとめどなく吐き出される精液を喉を鳴らしながら飲み込んでいく麻弥だが、それでも勢いに負けて口の端から垂れていた。
(この、ニオイ……)
決して良い匂いじゃないのに。口内から、鼻に充満していく精液のニオイに麻弥は身体の力が抜けていく。それでも口は放さずに、飲み込んでいくとようやくその勢いが収まってきた。
溢れないようにゆっくりと陰茎から口を離すと、顔を見上げながら大きく開ける。口内であふれる唾液と精液が混ざり合って充満したニオイに脳まで白く染め上げられそうになりながらも麻弥は奉仕の証拠を見せつけていた。舌を出して、それから口を閉じて咀嚼するようにかき混ぜると、ゆっくりと大きく喉を鳴らして一気に飲み込む。
喉の粘膜まで飲み込んだような音を立てて、エヌラスの精液を胃袋に流し込んだ。口の中が空っぽになった証拠を見せると、指を入れられる。
舌を指で撫でられながら、口内を触診していく。
「ハッ。あっうぅ……ん、はぅっ……えぬらす、さん……? ジブン、ちゃんと出来てましたか……?」
「ああ。気持ちよかった。でもほら、麻弥」
「……ふ、え?」
「もうちょっと、“お掃除”してくれるか?」
「ぁ――はひ……」
飲み込みきれなかった精液で汚れた陰茎を麻弥の手に握らせると、再び頭を近づけた。溶けたアイスクリームを舐めるように、根本から先端にかけて掬い上げていく。
「ん……すー、はー……すぅ……♪」
「……どうした、麻弥? 気に入ったのか、そのニオイ」
「え? ふへへへへ、そ、そうかもしんないです……癖になっちゃって……。頭、まっしろになりそうで……たまんないです……」
「ほら。まだ終わってないんだから、もうちょっとがんばってくれ」
「あっ……そ、そうでしたね……」
麻弥が綺麗に舐め取ると、エヌラスはそこで眼鏡を掛けさせてから手をティッシュで拭き取っていく。
「それじゃあ、次はどうしてくれるんだ?」
「えっと……寝そべってください。ジブンが動きますので」
仰向けに寝転がると、麻弥が足を開いて跨ってくる。腰をぺたんと座り込ませると、ぎこちなくもゆっくりと前後させた。秘部から垂れてくる愛液を、まだ固さを保つ陰茎に塗りたくる素股に、陰核が擦れて不規則に身体を震わせる。
「んッ……! あ……ダメですから、ね! こっちは絶対に! 後ろで我慢してください!」
「わかったわかった。でも、麻弥も我慢できなさそうだけどな」
「そ、それは……うぅ……否定できませんけどぉ……それでもこっちの穴はダメですからね?」
頑なに、処女だけは守ろうとする麻弥にエヌラスが頷いた。
それから身体を慣らすようにゆっくりと腰を前後させると、手で陰茎を支えてお尻の穴にあてがう。
最初は指でもキツく締め付けて侵入を拒んでいた場所だというのに、今となってはすっかり物欲しそうにしていた。
「あの、それじゃ……いきます……ね」
「難しかったらサポートする」
「はい。ありがとうございます。じゃ、じゃあ……挿れます……っ」
お尻の穴に異物を挿れる、という背徳感に麻弥が身体を強張らせながらも、それを受け入れた先の快感を教えこまれた全身が待ち侘びている。
「えっと、まずはしっかり濡らして……先端だけ……んっ、っくぅうぅ~~……!」
亀頭を飲み込んでいく麻弥のアナルに、苦しそうな声が出ていた。それでもしっかりと咥えていくと、腰を浮かせて息を整えている。
「んぅ。は、ぁ。ど、どうです……? ちゃんと、んっ。入ってますか……?」
「そのままゆっくり。腰を下ろしてくれるか」
「も、もうちょっとだけ待ってくれません? あの、腰が……ぞくぞくしちゃって……」
「そうは言われても、俺も焦らされてたまらんしなぁ……」
「じゃあ……ジブンのおっぱい、揉んでいいので……」
「そういうことなら」
「て、手つきがいやらしいですよ!? ん、っふ……ぁ――!」
脇腹からじっくりと身体を堪能するような手つきで撫で上げていくと、胸を下から持ち上げて揉みしだいていく。
「ふ、ゃ……! んっ……」
エヌラスの指先が乳輪をなぞり、焦らすような手先で円を描く形で麻弥の胸を刺激していた。手頃な大きさで揉むのも挟むのもできるくらいには育っている。
「そん、な。先っぽばっかりぃ……! じ、焦らさないでくださいよぉ」
「俺も焦らされてるんだからおあいこだ。ほーら、いいのか麻弥? このままずっと揉むぞ」
「う、うぅ~、んっ! わかりましたからぁ……はぁ……っ……! うっあ……あつ……」
実は最近少し衣装がキツくなってきたりしていた。ブラもそうだ。だが、それを口にするとますますイタズラの材料にされそうなので麻弥は言わないことにしている。
腰を落としていくと、火傷してしまいそうな熱い異物が自分の身体の中へ侵入してきているのがわかる。腸の中で脈打っている感覚に思わず背筋が震えた。
――何度も、自分の中で跳ねる熱い感触。為すすべもなく、犯される体内の熱さを身体が思い出すだけで麻弥は腰を抜かしそうだった。
「ふぅ、はぁ……! んっ、あっあッ――! んっ~~!!」
グッと、押し込んでいく。お尻の穴を広げながら、腰を打ちつけると麻弥は大きく息を吐き出して肩を上下させていた。その間も、エヌラスの手は愛撫するのをやめない。
「おっぱい、弄られる度に……ジブンの、あの……お、――こ……キュンキュンして……」
「ここ、すごく濡れてるぞ」
「んっひゃ! あ、だめ、ですってばぁ! 触っちゃ…―んぅ! 広げないでくださいよぉ!」
「いやらしくひくついてるぞ、麻弥の」
「ぅ、ぅぅ~……!」
胸から離した手で麻弥の秘部を広げて観察する。膣口から愛液が溢れ、その入口は餌を求めるように蠢いていた。濡れて光る陰部の卑猥な魅力に、エヌラスは中指で触れる。熱く湿った膣はすんなりと受け入れて咥えていった。窮屈なほど締めつけてくる麻弥の膣壁を弄ると、手を伸ばして必死に抵抗しようとする。
「ちょ、ちょっとぉ……!? ダメ、ですってばぁ」
「すごい締めつけだな。指でもこんなに吸いついてくるなんて」
「んひぅ! 指、中で動かしちゃダメですって……ホント、やめ……! ひぃ、やっあぁ!」
嫌がる麻弥に、エヌラスが指を引き抜いた。上体を起こして背中に手を回して抱きしめると、優しく背中を叩く。
「わかった、わかった。ちょっとイジワルし過ぎたな」
「むぅ~……!」
「そんな怒るなって。な?」
額を合わせると、麻弥が上目遣いで睨みつけてきていた。頬を膨らませている。しかし、何かに気づいたのか眼鏡を直した。頬に手を添えて、顔を近づけてくる。
「……ん?」
「エヌラスさんの眼。微妙に色が違うんですね。左目の方が、色が暗いっていうか……なんだか不思議な感じです」
「今まで何度かキスしてた時に見てただろ」
「……」
「今度はどうした」
「あ、いえ……あの、さっきジブン……飲んじゃったので……キス、嫌がるかと思って」
「………」
「――ふぇ!?」
頬に手を添えられて、そのまま口の中に舌を入れられて麻弥が驚いて身体をすくませた。舌でなぶられる口内に、応えようとぎこちなくだが動かす。腰を掴まれると、今度は下から突き上げられた。
「ん、はぁ――! エヌラス、さ……」
「ぷは……。麻弥がしたかったら、していいんだぞ? 俺だってしたい事色々あるのに我慢してるんだから」
「……お尻でする以外にも、ですか?」
「以外にも、沢山」
「た、たくさん!? ジブンのこと、どうする気なんですか……」
「んー、そうだなー……一言でまとめると」
身体を抱きしめて、胸を合わせる。高鳴る鼓動が重なり、温もりに身を任せたくなる。
麻弥の耳元で、エヌラスが呟いた。
「お前を、俺の女にしたい」
「~~~~」
「そうしたら、もっと、色々と――気持ちいいことしてやるんだけどな」
「ぁ、の……今、以上にですか……?」
「戻ってこれなくなるくらいの事、してもいいんだぞ?」
想像をかき立てられて、麻弥の身体が小刻みに痙攣する。また、軽く達したようだ。
目を潤ませながら、足を開いて腰を浮かせると動き始める。
「ん……! ……麻弥?」
「ふぅっ。んぅっ……! ジ、ジブンのこと……こんなにしておいて。まだ、するんですか? もう、お尻でイクの、覚えちゃったじゃないですかぁ……! な、なのにこれ以上気持ちいいことなんて、教えられたら――エヌラスさんで、いっぱいになっちゃいます」
とめどなく溢れる愛液が、陰茎を伝う。それを潤滑液にして、抵抗感の減った竿がアナルを深く突き上げてくる。
ついお尻に力が入ってしまい、より締めつける形となって麻弥が腰を上下させていた。すっかりエヌラスの形を覚えてしまったアナルから伝わってくる肉棒の熱さに麻弥が甘い声を出す。
「んぅぅぅっ……! ジブンの、お尻だって……ひぅっ! はぁ……、すっかりエヌラスさんの覚えちゃって……、たまに一人でする時だってあるんですよ……?」
段々と慣れてきたのか、腰の動きからぎこちなさが消えていく。徐々に滑らかに、艶かしくなっていくたびに肉と粘膜の擦れ合ういやらしい音が鼓膜をくすぐってきていた。頬を紅潮させて吐息と共に嬌声を挙げながら腰を打ちつける。
「ど、どうしてくれるんですか。んっ。ジブン、アイドルなのにこんな、えっちにされちゃって……せ、責任とってくれるんですよね」
「勿論。ここまでエロくしておいて、他のやつに誰が渡すか」
「んっ~~! も、ぉお。そんなこと言われると身体が……熱くなっちゃうじゃないですか」
すっかり汗ばんだ身体で、息を荒くしながら麻弥は腰の動きを止めようとしない。
「それで? こっちの穴は使わせてくれないのか? こんなに物欲しそうにしてるのに」
「ひぃっうッ! や、そこ――クリ、だめ……! イッちゃい、ますからぁ……」
「どうなんだ、麻弥」
「あ――あの、そこは……えっと。ジブンが卒業するまで、我慢してもらってもいいですか? それまでは、お尻で……もちろん、胸でも、口でもがんばりますけど……」
「わかった。約束する。卒業まではコッチ、お預けってことで」
「んぴゃ!? で、ですからソコ、触っちゃダメですってばぁ……」
「じゃあそれまでは。麻弥のお尻で我慢するか。ハリも肉付きも弾力も良いこっちを思う存分堪能させてもらうかなっと」
「ひゃ、うっ!? え、エヌラスさん!? ちょっと、待っ……! そんな。動かれ、たらぁ……! い、イッちゃ……! あぁ。ジブン、お尻で、イッちゃいますからぁ! もっと、ゆっくりお願いします!」
「そうは言われても……! さっきからずっと焦らされてて俺も辛抱堪らないんだよ……!」
「だ、め――! きちゃ、気持ちいいの、収まんなくって――!」
身体を痙攣させて、麻弥が寄りかかってくる。身体を受け止めて、エヌラスは尻肉を鷲掴みにすると激しく突き上げた。引き締まるアナルの収縮に、搾り取られるような形で二度目の射精を果たすと、それに合わせて麻弥も一気に身体の力が抜けていく。どうやら、絶頂したらしい。先程から何度か軽く達していたからか、完全に腰が抜けている。口から漏れる言葉も、どこから呂律が回っていなかった。
「らか、ら……だめって、イッ……んぅ……! まだ、出て……! あ、ふ……ふぁ……、すご……出て、ぇ……」
「っ、ふぅ――! 麻弥……」
「んぇ……? はぷっ、ん、ちゅ……ちゅぱっ――ん、んぅー……♪」
身体を預けてくる麻弥の身体を抱きしめながら、何度も唇を重ねる。首に手を回して、身体を委ねきった相手の体温を抱きしめていると眠気が襲ってきた。
アナルから陰茎を引き抜くと、麻弥が小さく声を漏らす。
「んぅ……ふぅ……ふぅ――は、ぁ……お尻、すーすーしちゃいます……」
「んー? そっか。なら、何かで塞いでおかないとなー?」
「あ、ちょ……ダメですってばぁ……ぁ――♡」
体勢を変えて、麻弥を押し倒すと口では嫌がりながらも頬は緩みきって、まるで何かを焦がれるように視線は一点を見つめていた。
――パスパレ芸能事務所。
レッスンを終えて、トレーニングウェア姿の彩達が汗だくになりながらクールダウンタイムに入る。
「あ、千聖さん。ちょっといいでしょうか?」
「あら。どうかした、麻弥ちゃん」
「えっとですねー……その、ちょっとアドバイスを頂きたいんですけれど」
「私で良ければ」
「助かります。ハンドクリームとか、どういうのがいいんでしょう。オススメとかあれば、教えてもらってもいいですか?」
「…………」
「…………」
「………………」
「…………あの、千聖さん?」
驚きのあまり声が出なくなっていた。疑いの眼差しさえ向けられるレベルで。ちょっぴりそれには麻弥も傷つく。
「えっ、あ。ええ……その、ハンドクリーム?」
「はい。その、まずは少しずつ意識していこうかなと、思ってですね……手先のケアなら手洗いの一環で習慣づけやすいんじゃないかと言われまして」
「誰から?」
「エヌラスさんからですけれど――」
あ、やべ。地雷踏んだ。麻弥がそう思った頃には既に遅く、聞き耳を立てていた彩と日菜が飛んできた。遅れてイヴも何事かと近寄ってくる。
「なになに、千聖ちゃんがあれほど言っていたのにコスメに見向きもしなかった麻弥ちゃんがエヌラスさんの一言で!?」
「流石はエヌラスさんですね。チサトさんのお眼鏡に適った働きです!」
「よかったね千聖ちゃん。これまで長い道のりだったね」
「ええ、そうね。ダメ元で頼んでみて、本当にダメかと思っていたけれどまさか本当に麻弥ちゃんを説得してくれるなんて思ってなかったわ……」
「え、えぇぇ。そこまで言われるとジブン、なんだか逆に傷つくんですけれども……」
「ごめんなさい。麻弥ちゃんもやっとスキンケアを自覚してくれるようになってくれて感無量だわ」
「そこまでですか!?」
ハンドクリーム、ということで彩と千聖がオススメの商品を検索していた。時間があれば次の休みにでも買いに行こうかと考えていたが、日菜だけは首を傾げている。
「でも、なんでハンドクリームなの?」
「えっ!?」
「シャンプーとか、香水とか。そっちの方が目に見えて効果が出ると思うんだけど」
「そ、それはー……そのー、ですねぇ……?」
「……へー? ふーん? そっか、うん! まぁそういうことなら、それはそれでアタシは良いと思うけど」
「あの、日菜さん……?」
「麻弥ちゃん、頑張ってね!」
(これ、ジブン確実に日菜さんにバレているやつなのではないでしょうか!?)
現に、氷川日菜が物凄く意地の悪い笑みを浮かべていた。
それはまさに、新しい玩具でも見つけたような小悪魔的なスマイルで。
「? よくはわかりませんけれど、マヤさんがオシャレに目覚めたので一件落着ですね!」
「イヴちゃん。美容も継続が肝心なのよ? 三日坊主じゃ困るのだけれど」
「多分、きっと大丈夫です! エヌラスさんならマヤさんのことを立派な女性にしてくれますから! 期待しています!」
「ぼぶふぉおぁっ!?!?」
「わぁー!? 麻弥ちゃん大丈夫!? どうしたの突然噴き出したりなんかして!? って、私のスマフォがぁー!?」
スポーツドリンクを口に含んだ瞬間、イヴの言葉に麻弥が盛大に噴き出した。オススメのスキンケア商品を見せていた彩の携帯は犠牲となった。哀れ新型。
――後日。
エヌラスと一緒に買いに行く姿を発見されてまたひと悶着あったのは、また別なお話。