――商店街。馴染みの北沢精肉店。看板娘の皆に愛される北沢はぐみの笑顔を見るために通う常連客も少なくない。特にオススメはコロッケ。買う予定がなくてもついつい勧められて買ってしまう者も多かった。
中には自炊できずに最初からコロッケ目当ての客がいたりする――例えば、エヌラス。
いつの間にやら、すっかり馴染みの客としてはぐみの両親と兄妹にも顔を覚えられてしまっていた。
「お、先生さんじゃないか。今日もコロッケ?」
「どうもこんにちは。ええ、今日もコロッケで」
「山盛り?」
「特盛で」
一人暮らしという話だがそれにしても大量に購入していく。それも週三回くらいの頻度で。たまにササミも買っていくようだが野良猫の特別報酬に当てられているとかなんとか。餌をあげないでくださいという看板が最近街に増えてきた原因はこの男でもある。でも猫ちゃんは賢いので鳥を襲ったりしない。とてもかしこい。
花咲川女子学園の非常勤講師をしているという話だが、それも兼業。本業がどういった物なのかは把握していない。しかし、サングラスを掛けたこの先生の顔を見たときのはぐみの笑顔ときたら、太陽より眩しかった。
しかしまぁ、よくも飽きないものだと感心する。
娘が世話になっている。厚意から、よければ夕飯は一緒にどうかと誘ってみるが丁重に断られた。夜は夜で他の仕事をしているらしい。
特盛のコロッケが入った袋を手にして店を後にするかと思いきや、その足でやまぶきベーカリーに入店していく。
本当に不思議な先生だ。
少し前の海外旅行からはぐみが帰ってきてからというもの、何かと世話を焼いている。
誰にでも優しくて、誰もが頼りにしている。なのに、どうしてか。
――いつの日か、不意に消えてしまいそうな危うさがあった。
エヌラスがいつものように公園のベンチに腰を下ろしてコロッケを頬張る。
ここ最近。気がつけば北沢精肉店に足を運んでいた。コロッケ美味しいからね仕方ないね。
「もぐむぐ……、」
カラス達が「美味そうなもん食っとるやんけ」と目を光らせている。何だこの害獣共、今夜はテメェ等を焼き鳥にして食っちまうぞ。エヌラスが睨み返すと即座に飛び去っていった。
どうにも最近は調子がおかしい。調子が狂う、といった方が正しい。
海外旅行でかなりの無茶をしたその時から。どうにか身体を持ち直したが、それでも倦怠感にも似た調子の悪さはついて回る。
どうにか治療したいところだが、現状で用意できる道具による施術も限界があった。手っ取り早く治す方法があるにはあるが――なにぶん、その手段と行為が色々と問題なのであって。
それを強要するわけにもいかない。
「……はぁ」
こうして一人、公園のベンチで黄昏れながら考える。師匠がいれば、時間の無駄だと一言で切って捨てているだろう。
生憎とこちらは人間性を切り捨てられるほど人間を辞めていない。……捨てきれない、といった方が正しいかもしれないが。
そんなわけで。エヌラスはこうして人知れず怪異と鎬を削りながら、日々を過ごしていた。
解決策が目と鼻の先にあるのに、実行できない歯がゆさを覚えつつもコロッケの出来栄えに舌鼓を打つ毎日。コロッケ美味しいからね仕方ないね。
「エヌラスさーん!」
「むお?」
コロッケを頬張るエヌラスが振り向けば、そこには元気に鞄を振り回すはぐみの姿があった。
駆け寄ってくるなり、隣に腰を下ろす。
「それ、うちのコロッケだよね? エヌラスさん今日も買ってきてくれたんだ、ありがとー! とーちゃんも喜んでたよ!」
「はぐみん家のコロッケ、美味いからな。つい買っちまう」
「うちのコロッケ食べて早く元気になってね、エヌラスさん。こころんも言ってたよ。最近のエヌラスさんは何か難しい顔してるって」
「……あー、まぁ。そりゃあな」
「何か悩み事?」
「ああ……ちょっとな」
コロッケを食べながら、はぐみと肩を並べる。顔を見上げてくると、手を握ってきた。
「はぐみでいいなら、相談に乗るよ。なにかしてあげられること、ないかな?」
「それも難しいんだよなぁ……」
「お願い! エヌラスさんは命の恩人なんだし、どーんと胸を借りるつもりで何でも言ってよ」
「何でも、ね――例えば」
「んーと……何でも!」
「……本当に?」
「うん!」
それはおそらく。はぐみの考えられる範疇の“何でも”という話だろう。
エヌラスは深く頭を悩ませた。――こうして一人で抱え込んでいても仕方ないだろう。話せる相手には話すべきかもしれない。
「そのー、まぁ……なんというかな。はぐみの……胸を借りたいんだが」
「? それだけでいいの?」
「……はぐみが良いなら」
「うん! いいよ!」
両手を突き出してエヌラスからの反応を待つはぐみだが、相手は動く気配がなかった。
「その、此処じゃちょっと恥ずかしいな。人目につくし……できれば、部屋に来てほしいんだ」
「――――えっと、はぐみ一人で?」
「……難しいよな」
「…………」
顔を赤くして手を引っ込めたはぐみが指を組み合わせながら、落ち着かない様子を見せる。
「……んっと……それって、その……」
「――それくらいでしか、持ち直せなくてな」
「……はぐみで、いいの?」
「こんな形で頼みたくはないんだが、この先なにが起きるかわからない。またあんな事にならないとも限らないからな」
この世界は、おかしくなってしまった。他ならない自分の責任だ。
責務は果たす。それが終われば――。
「……ま、待っててくれる? はぐみ、準備してくるから!」
「えっ? ああ……おう」
「じゃ、じゃあまたあとで!」
鞄を持つなり、公園からはぐみが走り去っていく。
その後姿を見送ってから、エヌラスも腰を上げた。気がつけば、足元には野良猫が集まろうとしている。生憎と今日は持ち合わせがない。ええい寄るんじゃない、コロッケは俺の晩飯だ。
「……部屋片付けるか」
野良猫に付きまとわれながら、マンションへ向かう。
――部屋に戻れば、広げたままの道具が散らかっていた。いずれも戦闘用であり、エヌラスは自分の身体を治療するための医療道具を持ち合わせていない。全て魔力依存の銀鍵守護器官で補っていた。
リビングでエヌラスは、私服に着替えてお泊りセットを持参してきたはぐみと対面する。顔を真っ赤にしながら正座していた。
いつもの溌剌さはなく、しおらしい態度のまま座り込んでいる。
「…………」
「あー……はぐみ? 夕飯は食べてきたのか?」
「う、うん。もうバッチリ! お腹いっぱい食べてきちゃった!」
「そっか。ならよかった」
落ち着きがなく、そわそわとしていた。
「――あ、あのね。エヌラスさん。こういうのって好きな人としかしちゃいけないんだって」
「知ってる」
「でも、エヌラスさんのこと好きだから、全然大丈夫! あ、えっと。大好き、だから大丈夫だよ?」
「ああ。ありがとな、はぐみ。俺もはぐみのことが大好きだ」
気の利いた言葉が出てこないのは申し訳ない限りだ。
どうにも、こういう時は口下手になる。
「……我ながら、不器用で情けなくなってくる」
「そんなことないよ! エヌラスさん、いっつもカッコいいもん!」
「そう言われると悪い気はしないな」
「……いつも血だらけだけど」
「それは……すまん」
はぐみが両手を差し出していた。
「エヌラスさん――」
「ん?」
「……はい。いいよ?」
「……悪いな。ちょっと失礼」
エヌラスの頭を胸に抱きしめる。それに合わせて、はぐみの身体に手を回して抱き返した。
早鐘を打つ鼓動が頭に響き、その心音を聞いているだけで心が落ち着く。
「……んー」
「どうした、はぐみ」
「えっと……こころんとか、かのちゃん先輩みたいにおっきくないから。いいのかなって」
「いいんだよ、そんなこと気にしなくて」
はぐみなりに気にしているようだ。
「――はぐみ」
「……えっと、エヌラスさん。ちゅー、してみたいんだけど……いい、かな?」
「ああ」
「えへへ、ありがと。してみたことないから、してみたかったんだよね。んー」
唇を突き出すはぐみに、エヌラスは軽く唇を重ねる。
「……ん、えへへ。なんだか思ったよりドキドキするかも……ね、もう一回してもいい?」
「何回でもいいぞ」
「じゃあ、沢山してくれる?」
「さっきより少し長めにするぞ、はぐみ」
「うん!」
首に手を回して、はぐみが抱きしめてきた。長く唇を重ねて、やがて息が続かなくなったのか少しだけ苦しそうな声を漏らす。
「――ん、んー……! ん、はぁ……」
「大丈夫か?」
「う、うん……なんか、はぐみの胸が、すごいきゅーってなって、ドキドキで、心臓飛び出しちゃいそう」
「そうだな。はぐみのドキドキ、俺にも伝わってきてる」
「……、どうしよう。恥ずかしくって頭がふわふわする……」
「顔が真っ赤だぞ、はぐみ」
「だ、だって……」
「まだするか?」
「……ん」
小さく頷いたはぐみの唇を塞ぐと、エヌラスが舌を挿れる。
驚いて身体を離そうとするが、思うように力が入らないはぐみの口内に入り込んだ舌先が触れ合った。エヌラスもすぐに顔を離すと、息を荒くしている。
「びっくりしちゃった……」
「悪い、驚かせて」
「……そういう、ちゅーとかもあるんだ……エヌラスさん――はぐみも、してみていい?」
「ああ。ほら――」
「ん、ちゅ……! これ、けっこう……んむぅ……れろ、はぁ……むずかひいね……」
「舌でなぞるようにするんだ。こんな感じに」
「んー、む~……! ん、ふぅ……!」
エヌラスが実践してみせると、はぐみが言われたとおりにやり返してきた。そのぎこちなさが初々しくて、堪らなくかわいく思える。
唇を離せば、涎が垂れていた。糸を引き、喉を鳴らして飲み込む。
羞恥心から顔を真っ赤にして、目尻には涙を溜めていたはぐみが吐息をこぼしながら強く抱きついてくる。
「はぐみ、汗臭くない? お風呂はいって、ちゃんとキレイにしてきたんだけど……」
「いい匂いする。大丈夫だ。ちょっとくらい汗臭くても俺は気にしないが」
「な、なんかそれはやだ! だって、恥ずかしいもん!」
「かわいいかわいい。よしよし」
「うぅ~……」
「むしろそれは俺が気にする方なんだが……俺の方は、汗臭くないか?」
「くんくん……えっと、爽やかな感じのニオイと、うちのコロッケの匂いがする!」
「全部食っちまったからな……」
「だからかな。エヌラスさんにぎゅーってされてるとすっごく落ち着くんだ」
頬を擦り寄せてくると、そのまま深く息を吸い込んで息を整えていたはぐみの頭を抱きしめるようにして撫でる。
「――はぐみ。続きはベッドでな?」
「う、うん……」
「やっぱりちょっと怖いか?」
「ちょっとだけ。でも、大丈夫! はぐみ、エヌラスさんが優しいこと知ってるもん!」
「なら、期待に応えないとな。よいせっ」
抱きかかえたまま立ち上がり、隣の寝室にはぐみを寝かせるとエヌラスはそのまま覆いかぶさった。苦しくないように少しだけ腕で身体を浮かせて。
「……え、えっと。エヌラスさん、あのね?」
「ん?」
「……はぐみ、初めてでわかんないから……たくさん教えてね」
「教えることいっぱいあるから、覚えられるか心配だな。でもはぐみはスポーツ得意だし、きっとすぐに慣れるよ」
「うん! それじゃ、えっと……どうしたらいいの?」
「そうだなー。まず服を脱ぐところからだな。俺が脱がせてもいいが……」
「こ、こう……? んっしょ……」
思いの外あっさりとはぐみは着ていた服を脱ぎ始めた。羽織っていたパーカーを脱ぎ、シャツ
も脱いで、ホットパンツを下ろす。あっという間に下着姿になるが、顔は真っ赤なままだ。
エヌラスも同じように着ていたシャツを脱ぐと、はぐみが目を丸くしている。
「わぁ……エヌラスさんの身体、すっごいね! 触ってみてもいーい?」
「ん? ああ」
「わーい。えへへ。腕もお腹も、胸もカチカチで、スポーツしてる人って感じ」
スポーツどころではないのだが。
僅かに盛り上がる筋肉を興味津々でペタペタと触ってくる無邪気なはぐみだが、自分が今ほとんど裸に近い状態であることを忘れているのではないだろうか。
「はぐみ、くすぐったい。それなら俺もはぐみのことくすぐってやる。ほれほれ」
「ん、あははは! エヌラスさんくすぐったーい! はぐみも負けないよー!」
最初こそ意気込んでいたが、腰を撫でられたり、お尻や胸を弄られているうちにはぐみの勢いが段々と落ちていく。声を押し殺しながら身体をくねらせて、何かを堪える様子を見せていた。
――エヌラスが気がつく頃には、まるで借りてきた猫のように身体を縮こまらせてベッドの上で大人しくなっている。目を潤ませて、頬を赤く染めながらジッと見つめてきていた。
その手は、口元と下着に向かって伸びている。その内ももを伝う液体も、パンティに染みを作っていた。
「……ん、ふぅ……んぅ……エヌラス、さん……」
「ほら、どうしたはぐみ。さっきまでの元気さなくなって」
「えっと……なんだか、ムズムズして……」
「お腹のこの辺りか?」
「う、うん。そこ……! でも、エヌラスさん。なんでわかったの?」
おへその辺りを撫で回されて、くすぐったそうに身体をすくめるはぐみを抱き寄せる。
「はぐみも“女の子”だからな」
「……」
「ん? どうした」
「エヌラスさん、はぐみのことをちゃんと女の子って見てくれてたんだ……」
「当然だろ。ほら、その証拠に俺もこんな風になってるし」
はぐみの手を取り、エヌラスは自分の昂ぶる股間に触れさせた。その慣れない膨らみの硬さに触れて、はぐみが目を丸くしている。だが、触れた手を離そうとはせずに、好奇心の赴くままに撫でていた。
薄暗がりの中で、触れ合う肌が熱い。エヌラスの陰茎をゆっくりと撫でるはぐみと、落ち着かせるように素肌を撫でる手が熱を持っていた。
はじめてなのに、はぐみは自分の身体が求めているモノを目の当たりにして身体を震わせている。女の子の官能的な本能に翻弄されるままに、小さな口を開けて近づけていく。
柔らかくて温かい舌と、口内に包まれてエヌラスが反応した。
「ん、ふえ……あむ……けっこう、おっきい……はむ……ん、ぷ……」
「っ……はぐみ……」
「ちょっと、しょっぱい……?」
「はは。そこは流石にな……」
「あ――エヌラスさん、いやだった?」
「そんなことない。ほら、はぐみ。その調子」
「うん……こう、でいいの?」
両手でしっかりと剥いて、その先端を丁寧にはぐみが舐め取っていく。エヌラスも手をはぐみの下着に向けており、熱く濡れた箇所を弄っていた。
唾液が擦れて、淫靡な水音を立てている。それに混じってはぐみの小さな嗚咽がこぼれていたが、段々と積極的になってきた。いつもの明るい調子に戻ると、喉まで咥えている。
「んぅ、ふぁ……エヌラスさんのこれ、はぐみの口に入り切らないかも」
「じゃあ、はぐみの下の口なら入るかもな。ちょっと失礼」
「ひゃあ!? ――ぁ、エヌラスさん……! これ、はぐみの恥ずかしいとこ、全部見えちゃう……」
「そうだな。はぐみのかわいいところ、全部見えちゃってるな。おしりも、ここも」
膝裏を持ち上げるようにしてベッドに押し倒して、はぐみのおしりを撫でる。俗っぽい言い方をすれば「まんぐり返し」という態勢を維持するように、はぐみが自分で身体を支えていた。
エヌラスはそんな羞恥に耐えている姿に、おしりを撫でる。それから下着をずらしてキツく閉じられた秘部を親指でなぞっていた。はぐみが身体を震わせると、ますます反応を示している。
「んぅ……!」
「ここ、気持ちいいのか?」
「う、うん……なんだか、おなかの奥の方がじんじんしてきて……、むずむずしちゃう」
「じゃあ、こうするとどうだ、はぐみ」
「ん……っ。な、なんか入って……んぅ! ぐりぐり、しちゃだめえ……!」
指を一本だけ入れて、はぐみの膣を弄る。それだけでも素直な反応を見せていた。身体も、すっかり女の子として出来上がっているだけに純粋にエヌラスを受け入れている。指でほぐしていたエヌラスだったが、二本目を挿れて中を弄り始めた。少し窮屈な圧迫感にはぐみを息を乱れさせている。しかし、運動が得意なだけあってその息苦しさには慣れているようだ。それとは別に波のように押し寄せてくる快感に呼吸を荒くしている。
「んっ、はぁ! エヌラスさ、そこ、触っちゃ……! はぐみ、変になっちゃ――! ぐりぐりって、ゆびされちゃうの気持ちいいよぉ!」
「あんまり意地悪しちゃ可哀想だもんな。指、抜くぞ」
「ふ、ぁ……! あ……」
すっかり“女の子”としての顔を見せるはぐみの目線は、エヌラスの膨らみに向けられていた。それが欲しくてたまらない表情を見せられて、先端を割れ目に向けてあてがう。
指を挿れられるだけでもはぐみは快感の波に泳がされるだけだったのに、それ以上に熱くて太いモノを挿れられたらどうなってしまうのか。不安と期待に揺れる中、それでも足を持ち上げて身体の火照りに思考を奪われていた。
「エヌラスさん、はぐみ早く、それ欲しくてたまんない……ムズムズが、止まんないの」
「じゃあ……挿れるぞ。少し苦しいかもしれないけど、はぐみなら頑張れるな?」
「う、うん! エヌラスさんのために、はぐみもがんばるね! だから――」
エヌラスがその期待に応えるように押し込んでいくと、はぐみが想像以上の苦しさに悶えている。しかし、まだ先端部分だけだ。そこが一番キツイのだろう。エヌラスは申し訳なく思いながらも、奥までゆっくりと挿入していく。
きゅうきゅうと締めつけながらも熱い肉壁に包まれる男根を落ち着かせると、はぐみも顔を痛みと苦しさに歪めていた。だが、それでも必死に我慢している。
「んぅぅっ! ……ん、エヌラスさんの、おちんちん入っちゃってる……!」
「痛くないか?」
「えっと、わかんない。なんか、おまたのところきゅーって……ふ、ぁ! ぁ……ぬいちゃうの?」
「これを、こうするんだ」
「んぅっ! また、はいって、ぇ……! はぐみのおなかから出てきちゃう」
息苦しそうにその前後する陰茎を見つめていた。
最初はゆっくりとスローペースで動くエヌラスに合わせて、はぐみも体勢を整える。足で腰を持ち上げるようにすると、半ばブリッジのような姿勢で身体を支えていた。その腰を手で掴み、エヌラスが負担を和らげる。
「んっ。あっ……!」
「はぐみ、大丈夫か?」
「う、うんっ。ちょっと、おなか苦しいけど、大丈夫だよっ。んっ! ぁ! こえ、出ちゃ……! はぐみ、エッチな気分になってきちゃった……!」
「辛かったら、体勢変えるから言ってくれよ」
「あっ。でも、これ……! はぐみも、きもちいいよ? いい、筋トレになりそう! んぅっ! エヌラスさんも、大丈夫?」
「ん。俺は大丈夫だが……どうした」
「だって、なんだかちょっぴり難しい顔してるから。はぐみの、気持ちよくない……?」
「そんなことない。すげぇ気持ちいいよ」
「じゃあどうして?」
「――なんかちょっと、悪いことをしてる気分になって。それも興奮するんだけどな」
身体を支えていた手を伸ばして、はぐみが抱きしめていた。密着する素肌の温もりと、体格差から足を組んでエヌラスに全身を使ってしっかりと抱きつく。
「はぐみ、全然気にしてないよ。だから、エヌラスさんのしたいようにしていーよ? だって、エヌラスさんはこころん達の命の恩人なんだもん。はぐみも、大好きだし……」
「……そう言われると、俺も命張った甲斐がある。それじゃ、はぐみの厚意に甘えて――もうちょっと、激しくするぞ」
「ふ、あ!」
ゆっくりとした動きで攻めていた腰を、奥まで深く突き上げるとそのまま何度も深くノックする。深い快楽に、はぐみが腰を震わせて愛液でますます結合部を濡らしていた。口からも短い嬌声が漏れている。
ぴっちりと閉じられていた秘部は挿入された陰茎によって広げられ、今や深く咥えて大きく口を開けていた。涎を垂らすほどにしゃぶりついて離そうとしない。
「はぐみ、みんなと比べて女の子っぽくないから――ちょっと、心配だったんだ。エヌラスさんのこと、満足させられるかなって」
「心配しなくても、大丈夫だ。ちゃんとはぐみで気持ちよくなってる。それに、今以上なんて望んだらそれこそ贅沢ってものだ」
頬にキスをして、はぐみの身体を何度も突き上げる。そのたびに少し苦しそうな声がこぼれるが、エヌラスはそれ以上に自分の中にある情欲が沸々と沸き上がるのを感じていた。
動きの間隔を身体で感じていたのか、はぐみも少しではあるが自分から動き始める。不意に奥深くまで挿入されて腰を震わせているが、それでも一生懸命に動こうとしていた。
「ひゃぅ! んっ! あぅ! エヌラス、さ――はぐみ、なんか、きちゃ――!」
「スポーツしてるだけあって、はぐみの身体……結構、締まってるな」
「ん、んぅぅっ! は、ひゃうっ!」
「俺も――、一回出すぞ。はぐみ」
「ふ、え!? で、ちゃ? あっ……! んんんんぅ!!」
深く突き上げられて、中で震える陰茎から吐き出される白濁液の勢いに身体をのけぞらせる。抗いようのない勢いで注ぎ込まれていく感触をたっぷりと身体で感じ取りながら、はぐみは足腰に力が入らなくなっていた。
「は、ぁ。はぁ……はぁ、はぁ……! んっ……、エヌラスさんの、びゅーって……いっぱい出て……すごく、おなか変な感じ……」
「――っ、ふぅ……はぐみ……」
「ぁ……ん。むっ、んむ……」
抱き合いながら、エヌラスと舌を絡める大人のキスを堪能する。まだそれは慣れないのか、舌がぎこちない動きをしていた。
陰茎を引き抜くと、自分の秘部から溢れ出る精液を見て驚いている。指で大陰唇を広げながらまじまじと見つめていた。
「ぁ――、あふれて、きちゃった……なんか、もったいないね」
「っと、ティッシュどこだっけな。ほら、はぐみ。拭き取るからそのまま」
「う、うん……。これで、いいの?」
割れ目を広げながら、溢れる精液を拭き取られる感触にはぐみが口元を押さえる。
「ぅ……!」
「どうした?」
「……え、えっと。エヌラスさんに、そこ触られると……なんだか、はぐみの身体ざわざわしちゃう。お、おかしいの、かなぁ……?」
肩で息を整え、口から熱い吐息をもらしていた。初めての行為を終えた割には、まだ元気そうにしている。元になる体力が他の子に比べて多いからか。
健康的な肢体は火照り、どこか色っぽく見える。確かに女性的な特徴は控えめではあるが、それでも慎ましい主張をするように胸の先端はぴんと勃っていた。エヌラスが顔を近づけて舌で舐め取ると、はぐみが背を震わせる。
「え、エヌラスさん……!? はぐみ、おっぱい出ないよ……?」
「ん……、ここ。かわいいなと思って」
「やっ……! ぺろぺろされると、くすぐったい……!」
「んー」
「すっちゃ、だめぇ……! また、むずむずしてきちゃう」
足を閉じて我慢できなさそうに擦り寄せるはぐみの身体を抱き寄せて、まだ硬度を保つ陰茎を下腹部に添える。
「じゃあ、また……お腹の中、ゴリゴリってしないとな」
「ぁ――ん、うん……エヌラスさんの、おっきいので……はぐみのこと、いっぱいにして?」
小さな身体を抱きかかえながら、下から何度も突き上げる。中で吐き出される二度目の射精を受け入れても、まだはぐみは息を荒くしていた。だが、すっかり足腰に力が入らなくなって全身を預けてくる。
興奮冷めやらぬままに、エヌラスがはぐみをお姫様抱っこしたまま浴場へ連れて行った。
全身の汗をシャワーで洗い流して、それから泡立てたスポンジで身体を洗っていく。
「んっ、やぁあ。エヌラスさんの触り方、すっごいえっち」
「はぐみの太もも、触り心地良くて。つい。特に、この内側が柔らかくて」
「あはは、ちょっと、くすぐったいってばぁ! ん、ひゃ……! そこ、もっとぉ」
くちゅくちゅと、浴場に響くいやらしい音にはぐみが唇を突き出してキスをねだる。エヌラスはそれに応えて、口を塞ぎながら指の動きを激しくしていく。腰を浮かせて反応しながら、陰核を擦られてはぐみが身悶えしていた。やがて大きく身体を痙攣させたかと思うと、ぐったりと脱力する。それから、少しだけ間を置いておしっこを漏らしていた。
エヌラスがゆっくりと口を離すと、はぐみは惚けた表情を見せたまま、舌を出している。まるで欲情した犬のように息を荒くしながら。
「はっ、はっ、はぁ……んっ! エヌラス、さぁん……」
「――――はぐみ、悪い。無理でも付き合ってもらうからな?」
「んぇ? んひゃあぅ! あ……♪ エヌラスさんの、またカッチカチに――♡」
「ほら、また挿れるぞ……いく、ぞ」
「うん、うんぅ! もっと、はぐみのこと突いてきもちよくして! ふあぁ! これ、ゴリゴリってされるの、はぐみ好き、これ、大好きぃ!」
挿入されてから、先程よりも乱暴な腰使いで激しく突き上げられると苦しそうにしながらもはぐみは与えられる快楽に身を委ねていた。すっかり力の入らない身体を何度も揺らして、だらしない顔を見せている。普段の無邪気な姿からは想像もできない色気のある表情と仕草にエヌラスも思わず衝動のままに腰を動かしていた。
「ん、あ! エヌラスさん、はげしくして! んぅ! あっ、んん! あ、あっ! はぐみ、エヌラスさんのお嫁さんになるぅ!」
「――はぐみ」
「だから、もっと。もっと、ぎゅーってはぐみのこと、抱いて?」
息を荒く乱れさせながらも、必死に身体を抱きしめる。はぐみが何度目かに達しながら、深く呼吸を繰り返していた。
さすがにもう限界なのか、エヌラスが名前を呼んでも反応がどこか薄い。
ぐったりと身体を投げ出すはぐみのことを抱きしめながら、エヌラスは身体を洗うつもりで入った風呂場でまた行為に及んだことを深く反省した。こういう時、ついつい歯止めが効かなくなってしまう。相手は人間の女の子だというのに。自重しよう――できるだけ。
湯船に浸かり、はぐみを後ろから抱きかかえながらゆっくりと身体を温める。のぼせない内に風呂を出てしっかりと身体を拭いてから、シーツを取り替えたベッドに寝かせた。
「……ん、エヌラスさん。はぐみのバッグ取ってもらえる?」
「ああ。これか。ほら」
「ありがと。えへへ、なんだか裸で抱き合うの気持ちいいね。でも、えっと……パンツくらいは穿いた方がいいと思うんだけど……」
「……そうだな」
「はぐみ、もうしないからね。えっと、今夜はもう遅いし――で、でもエヌラスさんがどーしてもって言うなら、あの……もういっかい、だけだよ?」
指を組み合わせながら見つめてくるはぐみに、危うく甘えそうになりながらエヌラスはその顔にパンティを押しつけて隠した。バカなことを言わないで寝てくれると助かる。性欲が暴走する前に。
「……ね、エヌラスさん」
「ん?」
「……ぎゅーって、して? そうしたら、きっとぐっすり眠れそうだから」
「こうか?」
「うん。ありがと……、ドキドキするのに、あったかくって……すっごくおちつくんだぁ……それに――」
「…………寝付きがいいな」
相当疲れが溜まっていたのだろう。それに付き合わせた自分が言うのもなんだが。
はぐみを抱きしめながら、エヌラスも目蓋を閉じる。こうして誰かを抱きながら眠るのは、心地よいものだ。
そして、その度に――遠く忘れたはずの、奪われた残滓が目蓋にちらついては離れない。
――後日。
「こころーん!」
「あら、はぐみじゃない。今日はいつもよりずっと素敵な笑顔だわ! なにか良いことでも見つけたのかしら? 宝物を見つけたみたいよ」
「うん! はぐみ、今日はなんだかすっごく身体が軽いんだ! エヌラスさんのおかげかも」
「エヌラスのおかげ? それは気になるわね。教えてもらえない、はぐみ?」
「いいよ! でも、他の人には内緒ってエヌラスさんに言われてるから」
「じゃあハロハピの皆には教えてあげましょ。美咲にも花音にも、薫にも」
「世界を笑顔に。がハロハピだもんね! はぐみ達が笑顔になってないとダメだよね!」
エヌラスが社会的に死ぬまでカウントダウンが刻一刻と迫る。しかし、当人は知る由もなく本日も猫の相手をしつつ、商店街でコロッケを買い食いしつつ、まりなに怒られていた。
――そんな奴が地球の命運を左右するのは、また別なお話で。