※この作品はR-18です。

獣・獣人短編集   作:神座(カムクラ)

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4.狐の嫁入り (狼獣人♂×狐獣人♀

 

 

 「生け贄ですか…」

 

 

 歴史ある白狐獣人の一族の娘は他の一族の者や里の友達となに不自由なく暮らしていたが、ある日長に呼ばれてある一族の生け贄になれと言われた。

 

 

 「さほど驚きませんね。やはり母親から聞いていましたか。」

 

 

 「…私の父があの一族であると教えてもらいました。」

 

 

 「そうですか。では改めて説明しましょう。」

 

 

 強い陰の力をもつ狼の一族がいた。彼らはとある有名な魔狼の末裔とも言われていたものの他と変わらずおだやかに暮らしていた。

 

 しかし100年ほど前、広い地域で大規模な災害が起き、それに続けて凶作になった。そしてあるとき誰かが、災いの影響をあまり受けていなかったその狼の一族こそが災いの根源だと言い、それは瞬く間に広まった。

 

 あらゆる種族が彼らを迫害し、彼らとは真逆の陽の力をもつ白狐の一族がその"災い退治"に大きく貢献した。

 

 その後絶滅の危機に瀕した狼族の長は敵達の目の前で命を懸けて本当の災いを呼んだため、過ちに気づいた白狐は彼らと契約を交わし和解した。

 

 狼族の要求は年頃の処女の娘を一人、一夜の間捧げること。絶滅の危機に瀕し、雌と子供を集中的に狙われほとんど失ってしまった彼らの最優先事項は同胞をふやすこと。

 

 もちろん白狐以外の種族とでも普通に子供を作ることができるものの、報復を恐れて嫁に来る者はいない。加えて何にも染まっていない純潔の白狐は自らの真逆の力だけが宿る子種を注がれると体が過剰に反応して必ず孕む。狼の一族はそこに目をつけた。

 

 1度孕むと耐性がついて以降は普通になる。だから身を捧げるのは一夜だけ。狼族も白狐に依存したくはなかったので狼族が8人生まれるまでと期限をもうけ、これまで選ばれた4人の白狐の娘は泣きながら彼らに身を捧げたのだが困ったことに産まれるのは白狐の子ばかり。

 

 白狐として生まれ宿しているのは陽の力でも混血なら狼の子が宿りやすいのではと考えた白狐の一族は、それに該当する彼女を次の供物に選んだのだった。 

 

 

 「心苦しいですが、一夜だけです。狼の子が生まれればその子供の面倒は向こうが見てくれます。私達一族の子供が生まれたのならその後の暮らしをできる限り支援します。どうか引き受けていただけませんか。」

 

 

 女長は頭を下げる。捧げられた後はいつも通り暮らせると、その後普通に家庭を持てば良いと言った。

 

 捧げられた母は自分に対してどこかよそよそしく、ある日それを指摘するとその時のことを話してくれた。自分のことは可愛いと思っているが父親の面影があり、それを見るたびその時を思い出すのだという。

 

 

「あの、母が捧げられた時、ずっと泣き叫んでいたと聞いたのですが…本当なんですか?」

 

 

 長は重々しく頷いた。

 

 

「…我々からも最大限配慮するようお願いしていますが…彼らは家族を我々に奪われている。何をされても文句は言えないのです。」

 

 

 きっと次はお前になる、と母から聞いていたこともあって気落ちはしなかった。それに自分が断れば他の誰かが代わらなければならない。

 

 

「…覚悟はしていました。私が行きます。」

 

 

「…申し訳ない。」

 

 

 自分は異性との接触に関してはかなり厳しく育てられた。そのことからも自分が捧げられることになるとなんとなく察していた。もちろん、誰かに恋心を抱いた状態で捧げられることを避けるための、こちらを思ってのことなんだろう。

 

 水面下で準備は進んでいたらしく明日捧げられると告げられ、その日の晩はご馳走だった。あまりに急で実感も湧かず嘆いたり葛藤したりする暇もなく、それも狙いのひとつなのだとやけに冷静に分析していた。

 

 

「…相手の機嫌を損ねては駄目よ。」

 

 

 翌日、黄昏時に母にくしで全身の毛をとかしてもらっているとポツンと言われた。

 

 

「向こうも長引かせたくないだろうしすぐに終わるから。帰ったら湯を沸かして、すぐ休むと良いわ。きっと食事する余裕はないでしょう。明日からは体に気をつけて、美味しいものたくさん食べないとね。」

 

 

 きっと可愛い子供が生まれるから、と励ましているつもりなのかもしれないが狼の子が生まれれば向こうに渡すことになっている。面会くらいはさせてくれるのだろうか。いや、一夜だけ捧げて、生まれてすぐ渡すのであれば全てが夢だったようになんとも思わないのかもしれない。むしろ狐の子が生まれてこれからずっと育てる方が辛いのかもしれない。

 

 

「大丈夫、お母さんの時もそうだったけどみんなが優しくしてくれるから。…頑張って。お母さんもついて行くから。」

 

 

 それから少しして長が自分を呼びに来る。そして長と母と数人の同族に連れられて狼の一族の里へ向かった。自分は、少し水に濡れただけで透けてしまうくらい薄い捧げ物用の衣を一枚纏っているだけだったので付き添い人の視線が気になったが、母は安心させようと無理に微笑み、他は申し訳なさそうにこちらを見返した。

 

 

「来たか。」

 

 

 里に近づくとこちらを待っていたらしい狼獣人がこちらに向かって歩いてきた。銀色の美しい毛並みの狼族の男は予想以上に体格が大きい。こちらを憎々しげに見る彼が自分の相手なのだろうか。そう思うと急に恐怖がおそってくる。こちらを覗き込んできたその険しい狼の顔が一瞬緩み、細い目が見開かれる。

 

 

「ほう……混血とは聞いていたが、今回も上物だな。」

 

 

「我々の宝でございます。大事に扱って頂けると……」

 

 

 ふと、足が震え始めた自分よりも母の身体が震えていることに気がついた。姿を見るだけで震えるほどのトラウマを抱えるとは、一体どんなことをされたのだろう。

 

 

「宝ね。だが子を産ませるには早くはないか。それとも身体が小さいだけか?」

 

 

「…確かに我が里でもまだ結婚が許されていない歳ですがほんの数年の差です。身籠るには十分成熟しています。」

 

 

 長がそう返すと彼は鼻で笑った。

 

 

「さすがお前たちだ。願い出れば待ってやっても良かったんだがな。数年でもその時期なら差が大きいのではないか?まぁ我々も早くお前達の保護から抜けたいから別に構わないが、前みたいに泣き叫ばれるのは御免だぞ。」

 

 

 森の道を進むと平たく丸い石造りの住居が見えてくる。

 

 

「カイ、客人を案内しろ。」

 

 

 呼ばれた狼族の若者が付き添い人達を寂れた里の奥へ連れて行く。また夫婦らしき狼族の男女が離れたところから品定めするようにこちらを見ていた。

 

 

「俺と、あの族長夫婦と、あの坊主。これで全員だ。」

 

 

 いよいよ心臓が飛び出そうになっていた私は思わずえっ、と彼の顔を見上げた。

 

 

「他は皆殺された。お前達の活躍で。まぁ、そのときお前は生まれてないだろうからお前に言っても仕方がないか。」

 

 

 被害者である彼にそう言われてしまうと、確かに何をされても文句を言えない複雑な気持ちになる。

 

 

「脱げ、そんなもの意味はない。」

 

 

 衣を引き剥がされ、全身を舐められるように見られた。

 

 

「確かに処女だな。次は我々の一族の子供が生まれると良いが…しかしまぁ、お前達の腹を借りないといけないとは皮肉なものだ。俺も前は妻も子供もいたがどうなったかわかるだろう?存続のためとはいえ好意のかけらもない相手を抱くのはこちらも負担なんだ。この程度で済んで、しかも今のところお前達の子をふやしているだけなんだから感謝してもらって良いんじゃないか。」

 

 

 優しさのかけらもない一言に思わず泣きそうになったのを堪えていると、ふんわりと頬に手を添えられた。

 

 

「だが不思議なものだ。好意もなく、期待が外れて生まれた狐の子で、しかも初めて会うのに自分の血が混ざっていると思うと愛着が湧いてくる。」

 

 

 しんみりと言って、彼は私を抱きしめた。限りなく優しい抱擁だった。意味を悟って何か言おうとしたが遮られる。

 

 

「お前の相手はさっきの坊主だ。抵抗しなければ穏やかに済ませてくれるだろう。」

 

 

 抱擁を解くと私の手首を取って引いた。

 

 

「もう行くぞ。長引かせたくないんだろ。」

 

 

 彼に連れられて、灯りがついている住居に向かう。その周りには付き添い人達が心配そうにこちらを見ていた。

 

 

「なんだ、今まで通りお前達の前で種付けしたほうが良かったのか?」

 

 

「いえそういう訳では…」

 

 

「入れ。」

 

 

 扉を開けて背中を押して強引に中に入れる。すぐにバタンと閉められた。

 

 

「やぁやぁ、随分可愛いお嬢さんだ。」

 

 

 中にいた狼獣人の青年は瑞々しい銀色の体毛をなびかせながら歩み寄り、立ち尽くす少女を見下ろした。先の狼と比べればやや小柄だったものの彼女からすれば見上げる背丈だ。

 

 

「いきなりで悪いけど、泣かれる前に取引しよう。」

 

 

「取引…ですか…?」

 

 

「お前は一切抵抗しない、拒否しない、俺の言う通り俺に委ねる。そうしたら俺も優しくしてやる。どうだ?」

 

 

 戸惑いながらうなずくと頭を鷲掴みにされて、口を重ねられた。マズルそのものを咥えられて嫌でも舌が絡まる。ジュプジュプと唾液が音を立て、糸を引いて離れた。

 

 

「良い子だ。…まぁそう怖がるな。その方が身のためだぞ。」

 

 

 この建物にはベッドひとつしかなくそのために建てられたものだとわかる。

 

 

「外からお前の付き添い達が見ているだろうし、あいつらを安心させたいなら俺に委ねた方が良いぞ。」

 

 

 以前は外で行われたそうだが狼側も晒されることになるので今回からはやめたらしい。代わりに外からは見えて内側からは見えないよう術をかけたのだという。

 

 

「白狐の一族も馬鹿だな。まじないに気づかないとでも思ったか。」

 

 

「えっ?」

 

 

 何も聞いていないので驚き動揺すると、彼が抱きしめてくる。柔らかな毛に鼻を埋め、スゥッと息を吸い込む。

 

 

「良い匂い。香油だな。お前の匂いを邪魔しない、良い塗り方をしてる。ただの香油じゃない。まじないがかかってる。」

 

 

「そんな…私はなにも……」

 

 

 怯える彼女の頭を優しく撫でる。

 

 

「ん、別に怒ってないぞ。感情を落ち着かせるようにしてある。お前達を憎んでるであろう俺たちが、感情昂って乱暴にしないように、お前を守るためにつけたんだろう。大事にされてるんだな。」

 

 

 さっき母が繕ってくれたときにくしに塗られていたのだろう。果たして相手に気がつかれても効果があるのだろうか。

 

 

「じゃあさっそく始めようか。」

 

 

 ベッドに横になるよう指示された彼女は言われた通り横たわる。狼の青年も衣を脱いで裸体になり、彼女の横に寝て抱きしめた。

 

 

「さすがにいきなりはかわいそうだから、慣らしてあげよう。俺も普通に恋人を作ってみたかったもんだ。あぁ、下は見ない方が良いと思う。」

 

 

 顔を上げさせ無理やり胸に埋めさせると彼女の秘部に手を伸ばし、指を入れた。

 

 

「んっ……」

 

 

「力抜いとけ。良いじゃないかこれくらい、お前達がしたことに比べれば何でもない。」

 

 

 二本の指で大事な場所ををいじくり回され身体をこわばらせるともっともなことを言われてしまった。

 

 

「せっまいなぁ、入るか?これ。入れてやるけど。そうだお前、名前は?」

 

 

「ミル…です……」

 

 

「俺はカイだ。なぁミル、今夜お前は俺の子を孕む訳だが、」

 

 

 第一関節を立てた状態でグリン、と回され身体がビクつく。

 

 

「狐の子だったら会いに行っても良いか?どんな子供が生まれるのか見てみたい。」

 

 

「私はっ……構いませんが……」

 

 

「じゃあお前も、狼の子が生まれたら会いにきて良いぞ。会いたくなったらの話だが。」

 

 

 十分に濡れてきた膣から指が抜かれ、ミルは仰向けに押し倒される。太ももあたりに彼の生殖器らしきものがあたった。

 

 

「おっと見るなよ。理由はあとでわかる。」

 

 

 すぐには入れず、彼はしばらくミルを愛撫し続ける。

 

 

「察してるかもしれないが、俺は迫害を経験してない。和解して契約を結んだ後に生まれた。だからお前に恨みもない。」

 

 

「優しく…してくれますか…?」

 

 

 あぁ、とカイは頷いた。彼の金色の瞳は穏やかだった。

 

 大きな手が彼女の顔を撫で、たくましい身体が彼女の身体に擦り付けられる。

 

 

「俺たちの一族の子供ができたら生まれてすぐ俺たちが引き取ることになっているが、もしその子供を手放したくないと思ったら、俺はそれでも構わない。俺とお前でその子を育てよう。子供にもその方が良いだろう。」

 

 

「本当に……?」

 

 

 彼女の足に手をかけて開かせる。彼女の腹に熱く固いものが乗せられた。

 

 

「この先、俺はお前の一族の処女に、定期的に種付けすることになるだろう。だがもし、お前が俺の子を孕み続けることが苦ではないのなら、お前を嫁にしよう。毎回初対面より、見知った相手と子を作った方が俺も気が楽だ。」

 

 

 ピトリ、と秘部に熱いものがあてがわれる。カイがミルの頭を片手で押さえ、なおかつ上半身を密着させて体重をかけているので陰部は見えなかった。

 

 

「深呼吸するんだ。大丈夫、約束は守る。むしろよく大人しくしてたな。もう少し嫌がられるかと思った。」

 

 

「怖い…です…でも思ってたよりずっと優しくしてくださっているので…」

 

 

 するとカイは少し笑って、両手で彼女の顔を掴むと額を合わせた。

 

 

「そう言われるともっと優しくしたくなるじゃないか。一夜限りじゃ惜しいな。俺の嫁になってくれよ。大事にするからさ…」

 

 

「それは……っ……」

 

 

「深呼吸。」

 

 

 押し当てられていたものが侵入し始めた。カイは片手で己の肉棒を支えて強く反発してくる彼女の膣に押し込む。

 

 

「はぁっ…あっ……」

 

 

 圧迫感は指と比べ物にならない。太く、重い。狭い膣が押し広げられて、奥に進むたびにグリグリと変な音を立てている。

 

 

「せっまいなぁ…これ形変わっちゃうかもしれないな。どうせ来年には子供産むんだから良いのか。」

 

 

「あっ…少し……まって……」

 

 

「大丈夫、もう半分入ったから。」

 

 

 肉棒から手を離して彼女を抱くと、腰をズン、と落とした。一度では引っかかって奥までいかなかったもののズン、ズンと腰を落とすと先端が子宮口にぶつかった。

 

 

「…やり過ぎたか?」

 

 

 彼女は息絶え絶えだった。恐怖と痛みで涙目になりながらも必死に深呼吸をする彼女はむしろそそった。

 

 

「ほら見ろ、ここまで入った。」

 

 

 初めてカイは彼女に結合部を見せた。根本あたりがまだ露出していてそこだけ見ても彼女にとって巨根であることがわかり、その巨根が深々と自分に刺さっている様を見せつけられると急に子供のことが頭をよぎった。これで自分は孕ませられる……

 

 釘付けになっているミルをみてカイは笑みを深める。肝がすわっている子だ。彼女が感じている恐怖は見知らぬ大きな相手との行為そのものに対してであって、狼族に対してではないのだろう。彼女の温かい膣は想像以上にきつく、無理矢理押し広げている感じがして気分が昂る。カイは思わず舌舐めずりをした。これは愉しめるかもしれない。

 

 

「あっ…なんか……」

 

 

「感じたか?思ったより具合が良いから先走りが漏れたみたいだ。」

 

 

 それはほんの少量の液だろうが、ミルは、彼女の身体は自分の胎内に彼の陰の力が放出されたことを感じ取った。

 

 

「動いてしばらくすれば嫌でも欲しくなってくるだろう。俺も同じだ。純粋な陽の力を持っていて一回出せば確実に孕む雌と繋がってる。それに俺を拒絶しない。こう見えてかなり興奮してるんだ。」

 

 

 身体を倒して彼女をしっかりと抱く。彼女には悪いけれど、早くは終わらないかもしれない。健気で小さくて可愛いこの白狐を悦ばせてみたい。あわよくば自分のものにしたい。

 

 ふぅ、と息をついてズンズンとピストンを始めた。

 

 

「うっ…くっ……」

 

 

 単調で浅い腰振りだったがまだ苦痛があるらしく彼女が顔を歪め牙を食いしばる。こちらからは見えないが彼女の母親もしっかりと見ているはずだ。その背徳的な興奮も相まってこれ以上加減する気は起きない。

 

 ふと脇腹と背中のこそばゆい感触に視線を下げると、彼女が自分を抱きしめて愛撫しようとしているのが見えた。

 

 

「お前……」

 

 

 それはほとんど無意識だった。本能的な行動とも言えた。不安を紛らわすため彼に甘えていたのだ。もちろんそれは彼の気遣いがあってのことだった。

 

 これで自分は身籠る。不安も、太い雄槍に貫かれる苦痛もあるけれど少なくともこれは強姦ではないとミルは感じていた。ほんのり腹に感じる彼らの力を忌々しいとは思わなかった。本当は彼らもこんなことはしたくないのだと、さっきの父親との短い会話や自分を最大限配慮し子供にも会いたいと言っていたカイからそれを感じ取った。そして、一族の罪を背負い彼らの子を身籠る覚悟をしたのだ。

 

 

「んっ……ふっ……」

 

 

「感じてきたか?俺の方もだ。」

 

 

 まだ鈍痛が勝っているが彼の剛直からの強烈な快楽がそこまで迫ってきている。拒んだら、途端に辛くなるだろう。奥を強く押し上げられる度にチクリと極細の針に刺されたような刺激が走る。どこかもどかしい。

 

 もし貫かれたら…

 

 

「このコリコリしてるところを押し上げてるのわかるか?良い感触だ。」

 

 

 嬌声を出し始めた彼女の頭を撫でて、奥に先端を付けた状態で一旦止まる。先が尖った肉棒の先端が解れつつある奥の1番柔らかいところにあたるよう調整して、彼女に深呼吸するよういうと呼吸のタイミングを計らって肉棒の先端に全体重をかけた。

 

 

「ゔっ…!」

 

 

「落ち着け落ち着け、裂けやしないから。」

 

 

 メ゛リ゛、と奥で音がした。痛い、それにこれ以上はまずい、とさすがに彼を押し返そうとしたが組み伏せられていて意味がない。足をバタつかせたが肉棒が更に食い込むとピタリと止まり、小刻みに震えた。

 

 

「あ゛っ……」

 

 

 壊れる、壊れる、しかし彼はやめない。首筋を舐められ名前を囁かれると一瞬力が抜けた……

 

 メキメキメキッと音がして、命を育む聖域をこじ開けられ一気に侵入された。

 

 

「あ゛ぁ゛ーっ!!」

 

 

 身体がガクガク震え思考回路がショートして叫び散らす。痛みすら置いていかれてそれが過ぎ去るのをただ待つしかなかった。

 

 

「ふぅ……ふぅっ……」

 

 

「全部入った。大丈夫だ、しっかり咥えてる。」

 

 

 胎内で脈を感じる。一瞬子供が出来たのかと勘違いしたが、それは彼の肉棒から伝わる鼓動だった。途端に身体の力が抜けた。そしてじわじわと快楽が身体を蝕み始めた。肉棒が全て胎内に収まったことで彼と完全に密着し、それに優しさと安心感を覚える。

 

 

「もう…大丈夫…です……」

 

 

 口で荒く呼吸しながら、これ以上彼を待たせるまいと促した。すると彼は何故か寂しげな笑みを浮かべた。

 

 

「良い雌だな、お前。子宮の中までぶちこまれて、無理矢理孕ませられるってのに。」

 

 

「え……」

 

 

「さっき言ったことは本気だが冗談でもあるし期待はしてない。でも今夜俺と過ごして子供を産んで、もしそれが嫌じゃなかったら、そして他に想い人がいなかったなら子供連れて俺のところに来い。そうしたらお前を妻にする。以降俺は白狐の処女を要求しない。悪い話じゃないだろ?まっ、ゆっくり考えてくれ。」

 

 

 言葉を返そうとしたが彼が少し動いて胎内の肉棒がほんの少しずれただけで身体が痙攣した。そしてズリッと引き抜かれるとその快楽に大声を上げた。

 

 

「あっあぁっ!!」

 

 

 ズゥンと再び一気に仔袋まで押し込まれ、行為が始まった。

 

 

「どうだ気持ちいいだろ……力を抜いて受け入れるんだ。もっと良くなれるぞ。」

 

 

 大きく腰を引いて突き出す。動きそのものはゆったりしているが強い摩擦が2人に大きな快感を与えていた。

 

 結合部から透明な液が噴き出したが動きは止まらない。ミルの純粋無垢な身体に剛直が何度も打ち込まれる光景は外からもはっきり見えていた。

 

 

「ミル……」

 

 

 彼女の母親は涙目でそれを見守り、狼族は無表情で種付けされる瞬間を待つ。音はあまり聞こえていないので細かいことはわからないが、少なくとも前よりは穏やかなので後は早く終わることを祈っていた。

 

 そんなことはつゆ知らず、大きな狼族の青年に抱かれているミルは快楽に支配されつつあった。

 

 

「あぁミル…可愛いぞ……」

 

 

 腹をかき回されて声を上げ続けている彼女の顔はすっかり緩んでだらしなく舌を出している。胎内に出された先走りに反応してお腹は疼き、ゾクゾクと全身を這う快感と彼の温もりが相まって至福を感じている。恥ずかしくて抑えていた嬌声も、彼が可愛い可愛いと言ってくれるので遠慮なく出している。

 

 

「あっ…んっ…んんんっ!」

 

 

 また彼女が大きく達して震える。カイは深々と肉棒を沈めて下腹部を密着させると小刻みに収縮を繰り返す膣の感触を愉しみながら彼女のピークが過ぎるのを待ってやった。

 

 気がつけば自分もよだれを垂らしていた。こんなに熱い夜になるとは思ってもいなかった。もっと激しくして、彼女を堕として自分のものにしてしまおうか。マズルを咥えると彼女も貪りついてくる。激しくするまでもなく、素直に快楽を享受しているらしい。

 

 

「どうだ…?欲しくなってきたか…?だいぶお前を感じられるようになってきた。お前もだろ?」

 

 

 ミルは一瞬目を逸らして自分の腹を、そして密着している下腹部を見る。意思とは無関係に膣がうなっているのがわかり、それによってただ挿れられているだけでも快感が伴う。すっかり肉棒に慣れてしまった子宮は先走りでは足りない、と疼いている。

 

 快楽に浸ることで逃避していたが、改めて言われると不気味に思った。先走りだけでこんなに反応している。その何倍も濃い精液を注がれたら、今の身体なら間違いなく孕ませられる。それを怖いと思う気持ちと嬉しいとおもう気持ちが入り混じった。

 

 

「腹にいる時も会いに行きたい。それくらい良いだろ?俺の子だ。」

 

 

 彼の目を見て、魅了されてしまったかのように目が離せなくなる。

 

 

「もっと熱くしたいが出してからも長いから外にいる奴らが退屈するだろう。そろそろ出すぞ。心の準備はいいか?」

 

 

 そう言って見下ろす彼の瞳はさっきより柔らかい。その瞳に操られるように頷くと彼はまた密着してくる。

 

 

「…元気な赤ん坊を頼むぞ。」

 

 

 彼女は今度こそ完全に押さえ込まれ、力強くピストンされる。それは文字通りの種付け。ミルはその快楽に喘ぎながらその瞬間を待つ。彼の鼓動が早い。彼の興奮も最高潮だ。後数回腰を打ちつけられたら種付けされる。妊娠したら、自分は…

 

 

「…って、まっ……てっ……!」

 

 

 どうせ交尾結合もするだろうし聞き入れられなくても良かったが、彼は止まってくれた。

 

 

「…どうした?」

 

 

 そのまま射精するつもりだった彼は怪訝そうに彼女を見つつ息が整うのを待った。

 

 

「出したのか?」

 

 

「いや……」

 

 

 外の者達は結合部を見るが、愛液で濡れているだけで白濁は見えないし肉棒も脈動していない。しばらく待っていると狼の青年が彼女を抱いたまま起き上がって、ミルがカイの上に向かい合って座るような態勢になって彼女の背中と結合部が外にいる者に見えるように向きを変えた。

 

 ミルは顔を緩め、カイに身体を預けていた。少し悲しげな顔をしている気もしたが、彼に促されるまま口づけを交わすとうっとりとした顔つきになる。

 

 

「…残念だったな白狐の長、お前達の宝はあいつに奪われたようだ。」

 

 

 意味を問うた長に、見てればわかると返した。

 

 

「これでみんなに俺たちの全身が見える…本当に、俺の妻になるんだな?生涯俺の側にいて、俺の子を孕み続けると誓うんだな?」

 

 

「そうすれば……他の子はあなたに捧げられない…そうすれば…子供と一緒にいられる……家族でいられる…んですよね…?」

 

 

 カイは彼女の顔を引き寄せて口づけする。この体位だとちょうど目線が同じくらいになるので惚けた顔を至近距離で眺めた。一族の仲間のため、無理やり産まされる子どものために人生を捧げようとしている。素晴らしい女性だと思った。それなら自分は一生彼女を守りたいと思った。

 

 

「なら俺は生涯お前のそばにいて、お前を愛して、お前を幸せにすると誓う。」

 

 

 そこまで言われると思っていなかったのか目を見開いた彼女のマズルを甘噛みする。彼女にも促してマズルを甘噛みさせると顎を肩に置かせて抱きしめ下から優しく突いた。耳元で喘がれて背筋がゾクリとする。緩やかな快楽に一晩中浸っていたかったが、付き添い人達に早く帰ってもらうためせり上がってくる快感を堪えることなく腰を動かす。

 

 

「出すぞ…」

 

 

「はい…」

 

 

 抱く力を強めると彼女もまた強めてくる。しばらくの間愛液まみれの雌雄が擦れる音と2人の息遣いだけが響き、互いの背中を撫でる。

 

 動きが止まり、密着して彼が少し前屈みになる。そして肉棒が震えて熱いものが奥にぶつかってお腹に溜まっていくのを感じた。

 

 

「んんっ……」

 

 

「はぁっ……どうだ……感じるか……さぁ……受け入れてくれ……」

 

 

 力が染み込んでくる。身体が悦んでいる。もちろんはじめての感覚、けれど身体中がこの雄の子種を得たことを喜び、そして彼をもっと昂らせようと彼と繋がっている部分を動かした。

 

 

「あっ……」

 

 

 結合部に熱く固いものがあたる。彼の興奮が最高潮になったことで雌を固定し栓をするコブが露出した。

 

 

 カイが彼女をコブに押し付け、同時に下からも力を加える。彼女の腰が逃げないように押さえるとコブの上部がめり込んで、ヌルンと全部が入った。

 

 

 「ンングゥッ!!」

 

 

 「ウウッ…」

 

 

 もっとも敏感な亀頭球をギュッと包まれ、快楽のツボをコブで圧迫されて2人は抱き合い喘ぐ。コブは更に肥大して彼女の膣を引き伸ばす。カイはガクガクと痙攣するミルの腰を擦った。

 

 

 「ゆっくり息をするんだ…」

 

 

 言われた通り荒く深呼吸をするとそれに合わせて膣が波打ち両者に快感を与える。暴虐じみた快楽に浸れるのは彼を信頼しているから。泣いて抵抗する気持ちもよくわかる。頭がおかしくなってしまいそうな快感だ。でも安心して委ねられる。

 

 少し時間が経つと幾分かは落ち着いたものの常に絶頂寸前で少しでもどちらかが動いたり膣が締まったりすると達してしまう。ただひたすら動かないように彼に抱きついていたのだが彼に口付けを求められたときに少し力が入ってしまい、達した。

 

 顔が完全に緩んでいる彼女をみてカイは笑った。そしてその顔をベロンと舐めて抱き寄せる。

 

 

「最初の捧げ物がお前でよかった。」

 

 

 頭と腰を撫でて頬擦りすると彼女も脇腹や背中を愛撫する。するとカイが少し前屈みになった。

 

 

「んっ……」

 

 

 第二の射精が始まって、トン、トン、とお腹が脈を打ち濃い力が注がれる。まるで胎動のような優しい脈動にミルは穏やかに絶頂して膣が子種を吐き続けている肉棒にねっとりと絡みつく。彼の雄の存在は胎内にはっきりと感じているがその境界は無くなってしまったような感覚だった。

 

 ミルは自然と微笑んでいた。これで私は彼の子どもを身籠る。染み込んでくる力は温かく、拒絶する気持ちは起きない。彼と触れているところから彼の寂しさと、受け入れてくれた喜びが伝わってくる。きっと彼なら大事にしてくれる。なら怖くない。安心して子どもを産める。

 

 射精は長く続いて、ミルは胎が膨れ腹の皮が張ってくるのを感じる。でもそれを苦しいとは思わなかった。栓をされているのでほとんど漏れず、ずっと抱き合い時々口づけしながら愛撫する。何度も絶頂し、時間を忘れて身も心もひとつになった。

 

 穏やかな射精の快楽に浸る彼もまた幸福を感じている。生贄という形で来たのに自分に心を許してくれた彼女に恋をしていた。これで彼女は子を孕む。ゆっくり膨れる腹を一緒に愛でて、産んで良かったと思ってもらえるようにたくさん愛情を注ぎたい。彼女も子供もたくさん笑わせたい。

 

 射精の勢いが弱くなり、止まる。カイは満足げに大きくため息をついて、彼女を少し持ち上げて肉棒を引き抜いた。身体に埋まっていたものがなくなると彼女の膣と子宮口が急激に収縮して精液を閉じ込める。お陰で大部分が彼女の中に収められ、残りは溢れ出て周囲に独特な匂いを漂わせる。

 

 ここでミルは初めて彼の雄槍を見た。白濁にまみれたそれは萎えかけているのに十分大きく、彼が行為前に自分に見せなかった理由が分かった。さっきこんなものを見せられたら恐怖で身体が強張ってしまうだろう。こんなものが埋められてもなんともない自分の体に感心した。

 

 

「ミル、大丈夫か。」

 

 

「大丈夫です……」

 

 

 抱き合ったまま余韻に浸っていると扉がノックされ、ミルの父親が入ってくる。

 

 

「終わったか。」

 

 

「あぁ。明日までには孕んでるだろう。」

 

 

 カイは惚けたままのミルの頬を撫でて、その目をまっすぐ見た。

 

 

「本当に良いんだな?」

 

 

 ミルはボーッと彼を見つめ、そしてうなずいた。

 

 

「この子を妻にしたい。明日一度返す。」

 

 

 見てわかっていたからか特に何も言われずに、彼が付き添い人達を帰したので今度こそ2人きりになって甘えあった。

 

 

「気持ち良かったか。」

 

 

「はい、とても。」

 

 

「普段どおり喋ってくれよ。」

 

 

「……うん。」

 

 

 カイは微笑むとそっと抱擁を解いた。

 

 

「興奮してると出るもんだな。」

 

 

「膨らんでるよね…これ……」

 

 

 華奢な白狐の腹は精液で満たされ膨らみを帯びていて重い。そのお腹を2人で撫でる。明日には新しい命が宿っていることだろう。そのためにフル稼働しているのか胎全体が熱く感じた。

 

 ふとミルは粘液にまみれた肉棒を見る。だいぶ硬さを失っているようだが大きさはあまり変わっていない。彼から離れ、肉棒に付いた白濁を舐めとる。良い匂いだと思った。彼は特に何も言わず舐め続ける彼女の頭を撫でていた。

 

 

「んっ…」

 

 

 ムク、と肉棒が硬くなり始める。彼の中にはまだ欲が渦巻いているのだ。肉棒を咥えてマズルで包むとすぐに大きく硬くなった。そのまましゃぶるとまた先走りが出てくる。あんなに出されたのに、もう確実に孕むのに、新鮮な雄の匂いを嗅いで彼女の身体もまた熱くなる。

 

 

「ミル、」

 

 

 言葉での確認は必要ない。肉棒を離すとうつ伏せで股を開かされ、彼が覆いかぶさってくる。誘うように秘部がヒクヒクするのを感じた。

 

 

「んあっ……」

 

 

 ズブリ、と雄槍が再び膣壁をかき分け奥へ進み、もう一度彼を受け入れるために緩み始めた子宮口を難なく突破する。彼との間に愛が芽生えた今、後ろから激しく突かれても歓びしか感じない。必要がない行為なのに彼が純粋に欲を向けてくれることが嬉しいと思った。

 

 彼はすぐには動かず文字通り身体を重ねたまま彼女を味わっていた。

 

 

「俺たちだけの時間だ。愛してるぞ。」

 

 

 口づけと笑みを交わして、彼女は目を瞑って身体の力を抜き、彼は下腹部だけを動かした。

 

 腰使いは激しかった。ヘソの奥をえぐられお腹の奥に重い突きを受けて身体が痙攣し声を上げる。雄槍が動くたびにさっきの精液が逆流してぐちゃぐちゃ音を立てながら辺りの匂いを濃くしていく。

 

 さっきとは違い、誰かが待っているわけではない。射精が近づくとカイは一旦根元まで入れた状態で動きを止めて彼女と一体になったような心地良い感覚に浸りつつ収まるのを待ち、また腰を動かす。

 

 愛情のこもった拘束で身動きができない彼女はひたすら声を上げ、彼も時折口づけしながら夢中で腰を振る。獣のように理性を飛ばし、しかし気遣いは忘れず快楽を貪る。長く続いた我慢も限界が訪れると愛しい妻にコブを押し込んで欲のまま子種を注ぎ込んだ。

 

 ドクドクと脈打つ肉棒、彼の荒い息遣い、彼の重さ全てが快感と幸福感に変わる。ミルは意識が遠くなっていくのを感じたが抗おうとは思わなかった。何もかも彼に委ねて快楽に堕ちていく、その幸せを感じながら。

 

 

「落ちたか。」

 

 

 寝息をたてながら時折身体を震わせて声を漏らしているので快感は感じているらしい。流石に初めてで二回連続は身が持たなかったようだが、後悔はない。彼女に包まれている己の雄が脈打つ感触を独り愉しみながら彼女のふわふわな毛並みをそっと撫で、やがて射精が終わると名残惜しく思いながら萎えた肉棒を引き抜いて彼女を仰向けに寝かせて自分もその隣に寝そべった。

 

 

 

 

「ん……」

 

 

 スッと意識が覚醒する。瞼を開けると明かりは消えていて、自分は寝息を立てている彼のすぐ隣に寝かされていた。

 

 精液と陰の力で満たされているお腹が熱い。2回目の熱く激しい行為ははっきり覚えている。あの時は快感と幸福感しかなかったが、今はとにかく心が落ち着かない。深呼吸してもう一度寝ようとしても、心拍まで上がり始める。どうしたものかと思っていると隣でごそりと音がして、彼に抱きしめられた。

 

 

「…ごめんなさい、起こした?」

 

 

「まぁな。……お前の腹ん中にあるのはお前とは真逆の力。不安や恐怖を感じてもおかしくはない。時間的にもそろそろ…」

 

 

 何かに怯えているように体を震わせる彼女をギュッと抱き、熱い口付けを交わす。

 

 

「怖くないぞ。大丈夫、俺がこれからも側にいる。」

 

 

「うん。」

 

 

「それとミル、妻になったんだから、もう少し頼って良いんだ。今回はたまたま起きたから良かったが、次また怖くなったら起こしてくれて良いから。」

 

 

「うん。」

 

 

 彼の声と匂いと温もりが心を穏やかにする。けれどお腹は熱くなる一方だ。

 

 

「はぁ……はぁ…うっ……」

 

 

「ミル、俺のこと、愛してくれるか?」

 

 

「もちろん……優しくしてくれて…ありがとう……」

 

 

「……みんなに恐れられる。友すら片手でも余る数。でもお前が怖がっていたのは子作りそのもので俺じゃなかった。次の捧げ物は違うかもしれない。だからお前と仲良くなって、番になって愛し合いたかった。」

 

 

 いよいよ息を荒げる彼女に囁いて少しでも不安を和らげようとする。やはり彼女をすぐに返さなくて良かったと思う。

 

 

「どっちになろうがどうでも良い。両方生まれても俺からしたらどちらも同じだ、ミル。大丈夫だ、深呼吸していろ。」

 

 

 彼女が顔を歪ませる。力の性質と本能を利用して無理矢理子供を宿らせるのだから心身の負担も大きい。

 

 

「あう……カイ……」

 

 

 カッと熱くなり、視界が歪む。夫となった彼の名を呼んで不安を拭ってもらう。

 

 

「っ……はぁ……はぁ……」

 

 

 無意識に息を止めていたらしく苦しくなって半ば咳き込むように喘いだ。

 

 

「ミル……」

 

 

 抱く腕を緩めて、まだ精液で膨れているお腹に2人で手を当てる。熱さは引いていき、そこには確かな脈動が生まれていた。

 

 

「宿ったな。俺たちの子供だ。まさか一回きりのこの瞬間を見ることになるとは思わなかったが。」

 

 

 彼は嬉しそうに微笑んで私に頬擦りする。彼が側でこれだけ励ましてくれてもこんなに不安になるなら、独りで私を身ごもった母はどれだけ辛かったのだろう。

 

 熱も脈動も収まると思い出したかのように眠気が襲ってきた。

 

 

「…落ち着いたわ。」

 

 

「寝れそうか?」

 

 

「うん。」

 

 

「色々と疲れたろう、起こさないから好きなだけ寝るといい。」

 

 

 彼女の瞼が落ちるまで、カイは真新しい嫁を撫でる。あの悲劇を直接体験していない自分たちなら対等になれる。外出もたくさんしよう。仲の良い狼と白狐の夫婦が見慣れたものとなれば子供が狼でもきっと受け入れられやすくなるはず。

 

 

「…たくさん欲しいな、子供。…お前の機嫌と運次第か。愛想尽かされないように気をつけないと。」

 

 

 ひとりで言ってひとりで笑い、眠りに落ちるまで安らかな寝顔を見つめていた。

 

 

 

 おわり

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