afnすとーりー:キツネノボタンとの日々 X指定版 作:hiden456
夜、もう寝ようと言う時になって、キツネノボタンが唐突にこう言った。
「団長、わたしちょっと試してみたい事がある。」
藪から棒にどうしたのだろうか。と言うより此方にそう言って来ると言う事は何か手助けが必要なのだろうか。
「夢に干渉できる魔法があるのって知ってる?」
そう言うのはネムノキの十八番だが、前から自分の騎士団に居る花騎士にも何人か使い手が居る。ニゲラの特技だったはずだ、後ウェルウィッチアも似たような事ができるとか。
「団長、詳しい。それでね、できる人にやり方を聞いてみたの。」
できるようになったのか?
「流石に赤の他人の夢を覗いたりするのは難しいし、あんまりやりたいとも思わない」
ニゲラはそれで他人に嫌われた事があると言う。身近な人が魔力にあてられた事のあるキツネノボタンにとっても他人事と言う訳では無いのだろう。
「でも、寝てる人のすぐ傍でとか、夢でもわたしに会いたいって思ってくれてる人の夢になら、多分もうちょっとで干渉できそう」
キツネノボタンに夢でも会いたいと思ってる人が自分以外にも居たとしたら、釘を刺す必要があるな。
「そんな事しなくてもわたしは団長の恋人だし副団長。団長以外のものになんてなりたくない」
それなら安心だ。なんとなく手を伸ばして彼女の頭を撫でる。
「んふー。団長、これ好き。なでなでされるとわたしも幸せ。ねえ団長、団長はわたしに夢でも会いたい?」
そりゃそうだ。職権乱用(第一副団長の業務および権限の拡大解釈)をしてまで彼女と一緒に居る時間を確保してこそいるものの、自分は彼女の恋人だが騎士団皆の団長でもあるし、彼女は自分の恋人だが、任務に戦力として欠かせない花騎士。常に一緒とは行かない。
「団長と、夢で会えるように練習したい。付き合いなさい。」
危険じゃないなら一向に構わない。具体的にはどうすれば良いのだろう。
「団長はわたしの事を想いながら眠って。後はわたしが団長の夢を魔力で明晰夢にして、そこに出てきたわたしにわたしの夢を重ねると、団長に夢でも会える」
制約や副作用、危険は?
「魔力を遠くに届けるのに慣れた花騎士さんなら大丈夫だと思うけど、わたしが団長からあんまり離れた所でこれをやって失敗したら、魔力が洩れて大変な事になっちゃうかも」
キツネノボタンの隣で眠りながら試す分には問題無いのか。
「下手するとわたしと団長の距離の半径の範囲の全員が昏睡しちゃう」
むちゃくちゃ危険だった。
「後、あくまで夢の主導権は団長だから、団長がわたしに変な事したいって思ったら多分わたしは抵抗できない。まぁ、団長は優しいから、その心配はしてない」
…つまり自分に変態的な欲求があると全てキツネノボタンに駄々漏れになってしまうのか。
「駄々漏れどころか、多分無意識にしちゃう。団長、変な事考えないでね?」
少なくとも、彼女としたいプレイと「興味はあるが自分の彼女にする気は無いプレイ」は別けて考えているつもりだが、夢ならそこの箍がはずれる事もありうる。…多分大丈夫だ、もし大丈夫じゃなかったら殴ってでも止めてくれると助かる。
「夢だから多分止められない。団長、わたしはそれでも団長と夢で会いたい。団長、付き合ってくれる?」
少し考えるのでちょっと抱きしめさせてくれないだろうか。
「それで考えられるの?」
そういいつつも自分の胸にぴったりとくっついてくるキツネノボタン。目の前で彼女の大きな狐耳がゆらゆら揺れる。目を閉じて彼女をぎゅっと抱きしめた。顔に当たる耳が少しくすぐったい。
「団長、息くすぐったい」
お互いに同じような事を考えている事に思わず笑みがこぼれる。キツネノボタンも表情こそ変わらないように見えるが、少し楽しそうだ。
「ね、団長、夢でわたしに会ってくれる?」
分かった。ひとまず夢で彼女に酷い事をしてしまわないように、むしろ彼女主導の妄想でもしながら眠る事にしてみよう。
「団長、やっぱり優しい」
初めて会った時から、彼女に主導権を取られた夜から、今でもずっとキツネノボタンの事が好きなんだからしょうがない。
「団長、好きな人の言う事って聞きたいタイプなの?」
眠る前から主導権を取っていく。
「むしろ団長の性癖、全部知りたい。ベッドの下の本で大体分かったけど、まだ団長の口から答え合わせしてない」
恥ずかしいからそれこそ夢の中で聞いてくれ。
「むふふ、楽しみ、楽しみ」