afnすとーりー:キツネノボタンとの日々 X指定版 作:hiden456
「団長、まずはかけ湯。桶に汲んで?」
桶にお湯を一掬いして彼女の前に差し出す。
「かけてくれないの?」
その前に温度が快適か確認してもらおうと思ったのだ。
「おー。確かに、熱かったら大変大変」
そういって指を桶につけるキツネノボタン。こっちを見て頷く。大丈夫だったようだ。
「ちょっと熱いけど入れないほどじゃない。団長、かけて」
まずは足、次に肩から、そして尻尾をしっかりと濡らして最後にもう一度足を流す。
本当は股も洗うべきなのだが。
「団長、えっち」
違う。かけ湯の作法と衛生から鑑みてだな。
「まぁいい、そっちは自分でやる」
そういってキツネノボタンに桶を取られた。仕方が無いので別の桶を拾いに行こうとした所でキツネノボタンに呼び止められる。
「団長、わたしは終わった。だから次は団長。そこに座りなさい」
どうやらかけてくれるらしい。
自分がしたのと同じように、しゃがんだ自分の足、肩から全身とお湯をかけられる。
「団長、前洗うから見せなさい」
なんですと。
「あとお尻も洗ってあげようか?」
…ひょっとしなくてもわざと言っているんだよな?
「ばれた。怪盗は引き際が肝心」
そういってキツネノボタンは桶を置くなり風呂に飛び込んだ。
仕方が無いので彼女の置いていった桶でそのあたりを流し、自分も風呂につかる。
ふう…温かい。
「えへへ、団長、団長」
そう言いながら風呂の対岸からこっちまでぱちゃぱちゃと移動してきて、そのまま嬉しそうに横にくっついてくるキツネノボタン。そう言えば今更だが尻尾は完全に温泉に浸けて大丈夫なのだろうか。
「駄目ならヘチマさんが言うから大丈夫じゃない?」
それもそうか。
「そんな事より温泉、わたし温泉ってあんまり入った事無い」
そううっとりとしか形容できない顔で肩まで浸かるキツネノボタン。
確かに、目立つ耳と尻尾ではあまり大衆浴場や共同浴場に行く機会も無かったのだろう。彼女の事を抱き寄せてぽふぽふと頭を撫でる。
「貸切にしてくれて嬉しい。キツネノボタンは幸せ者」
そう言ってこっちを見上げるキツネノボタン。軽くキスをして、今日は思いっきり羽を伸ばそうと言った。
「ん。団長もゆっくりする」
そう言って足を伸ばすキツネノボタン。そこそこ風呂は広いのに、完全に二人の場所は狭い一角で完成してしまっているような錯覚を覚える。確かに、こんなにまったりできるのは久しぶりだ。
「ねぇ団長」
どうかしたのか?
「何でもない、ちょっと呼んでみただけ」
そう言って後頭部をこちらにぐりぐりと擦り付けてくるキツネノボタン。湿気で少しいつもより強く香る彼女の髪と耳を楽しむ。
「団長、わたしの耳になにか用事?」
別に用事は無いが、なんとなくさわさわと触る。
「いいよ、団長、後で洗ってくれるなら、よだれでべたべたにしても許してあげる」
何故か口でする許可が出た。彼女の耳の根元を口に含み、歯が触れないようにはむはむはむとあまがみをする。
「えへへ、団長、好き。団長の事も団長に耳を触ってもらうのも、団長に耳をはむはむされるのもぺろぺろされるのも全部好きぃ」
そう言って目の前で自分に背を向けたキツネノボタンがあごまでお湯に浸かる。
水中でお湯を吸った彼女の尻尾が自分の体に巻きつこうとして来るのだが、毛が漂ってなんだか大変な事になっている。
「団長?」
そのまま舌でキツネノボタンの毛並みに沿って耳を先端まで舐め上げる。
「ん、くすぐったい、だんちょお」
可愛らしいキツネノボタンの反応を独り占めする、最高の贅沢を楽しむ。
「団長、こっちのお耳も舐めなさい」
そう言って反対の耳を押し付けてきたキツネノボタン。先ほどまでしていた側と同じように可愛がる事にする。
はむっと口に含み、根本を舌で舐め、そのまま黒っぽい耳の先端まで舐め揚げる。
一通り終わった後、キツネノボタンがこっちを向いてくれないので顔を覗き込んだ。
「だんちょぉ…」
目元がとろんとして口元が緩み切ってた。
のぼせたらいけないので一旦上がるか?
「ん…。それも良いけど、団長、わたしの体、洗って?」
そう彼女にお願いされてしまった。そう言えば入る前にそういう話になっていたな、では洗ってあげるので一旦お湯から出ようか。
「じゃあ上がる」
そう言ってお湯から出ようとするキツネノボタン。その大きな尻尾からボタボタボタっと大量のお湯が滴る。その重みに負け尻尾が下向きになってしまったキツネノボタンは少し不服そうな顔をした。
「むぅ」
仕方が無いので尻尾を下から支えて、湯船の外で軽く水を切る。
「団長、ありがと」
気にするな、役得だ。それよりも、彼女の尻尾がずいぶんとほっそりしてしまった方が気になるのだが。
「毛が長いと大変大変。団長、ちゃんと洗ってね」
洗うのも乾かすのも大変そうだが、その分後でモフらせてもらえたらきっと気持ちいいに違いない。
「じゃあ団長、行こう」