※この作品はR-18です。

血界戦線Lovers 改稿   作:九折

4 / 12
どうも
少し話を変えました。



第4話 職場の異性との関係

 

 

 

 

レオが幼かった頃あれはいつの話だったか。

ミシェーラの車椅子を押しながら何気ない日常の切れ端を黒い箱に収めつつぼんやりとしていた時だった。

相変わらずミシェーラは楽しそうに両手を合わして話している。生返事というほどではないがあいづちや身振り手振りを踏まえて語るレオは幸福感を感じていた。

先にある「彼女の目を取り返す」という不安にはいい鎮痛剤だ。

ふと歩道から遠くにある魔境へと目を向ける。

深く濃い白煙を包むようにいくつかの巨大な触手がまるで街を守るかのように、中から出さないように在り、そしてそれは現実のものだとは思えないほどに機敏な動きをしていた。

カツッと車椅子が止まる。

しかしかの魔境ヘルサレムズロットに囚われていたレオは段差があったことに気づかず、そのまま等速直線運動を続けようとし、力の均衡が崩れ、車椅子がつんのめる。

 

「ああぁっ」

 

声を大きく上げたのはレオ。

なんてことはない。少し車椅子が彼の手から離れ、加速してしまっただけだ。

ミシェーラも最初こそ驚いたものの、すぐにタイヤのハンドルをつかんでバランスをとりつつブレーキをかける。

そんなたまにあるちょっとしたミス。

それでもレオにとっては当のミシェーラが疑問符を浮かべる程度のことなのに、ひどく絶望感に苛まれた。

兄なのに妹を不安にさせてしまった。

その事実はまるで一瞬の出来事を何倍にも引き伸ばしてレオを染め上げ、レオは大きく手を伸ばす。

そう、手。

反射的に出るのは手であり、家族と繋がる手、助ける手、守る手、手、手、手………。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------

 

 

レオの視界の先には手はない。

あるのは大きな蛇腹を持った異界の存在。

視界を埋め尽くす風化しこそぎ落とされた世界。

レオの人生でいつも連れ添った手はなく、肘から先は砂のように崩れ去っていた。

 

「ああああああっあああああ゛あ゛あ゛っああああ゛っあ゛あああっ!!!!!」

 

絶叫だ。

慟哭だ。

痛烈な現実がレオを侵食していく。

 

「レオっ!!」

「レオくんっ!!」

 

後ろの2人はすぐに己が流派の奥義を繰り出す準備をする。

レオナルドは崩れ落ちた。

どんな時だって勇気を持って暗闇の中に一筋の光を探し追い求めた彼でさえ、突然の身体欠損と今までと比べるべくもない痛みに意識が途切れる。

斗流血法を発動した2人は焦りと心配を怒りのエネルギーへと変え、より疾く目の前のクズを消し炭にすることを誓っていた。

ツェッドが酸素を凝縮し一点へと集め、ザップが点火。最適な酸素濃度調整と炎上調整は過去類を見ないほどに洗練されていて無駄はなく、完璧とも言える動きだ。

蛇腹を持った頭をまるでハンマーヘッドシャークのようにした異界の存在は回避行動を取るもすぐに炎上、ツェッドによる気流操作で体の穴から内側を焼かれ、爆発する。

この存在が何らかの幻影や蘇生方法を持っていなければ絶対に復活できないと思えるほどに燃やし尽くす。

あたりには崩壊したアスファルトと電柱、信号機、野次馬の死体で散々な絵面だった。

ツェッドが急いでレオに駆け寄る。

 

「レオくんっ!」

 

ザップは茶化す時でもそんなことすら考えずに急いで救急へと電話する。

素人から見ても、レオの両手からの出血量は死に至るレベルだ。

赤くはなく、暗い真っ黒な血液が漏れ出し止まる気配はない。

ザップは急いでレオの脇の下から血液の糸を太めに出し、縛り上げる。そしてそのまま切られた部位もできうる限り出血を抑えるために締め上げた。

 

「くぞっ救急は待ってらんねぇっ!」

「僕の血法でレオくんを浮かしますっ!」

「俺が抱えるからテメーは邪魔者をどけろっ!」

 

今ほど2人の息があった姿を見たものはおそらく誰もいないだろう。

2人は颯爽とその場を後にした。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

前に走っているはずなんだ。

絶対にそうだ。

途中何度も怪我をしたり、行き止まりだったり、つまづいたりでうまく進めないけれど、それでもほんのちょっぴりでも前に進んでいる実感はある。

黒いタールの中を思い足を持ち上げて進む。

気を抜いたら、水そこで足を滑らせそうでほとんど爪先立ちで歩いているけど、転ぶ気配はない。

まだだ、まだいける。

クラウスさんはいつだって僕を助けてくれた。

ザップさんだって………ひどい人だけど、いい人だ。

ツェッドさんも優しい。スティーブンさんだって時折怖いけど、優しい。K・Kさんもいつだって気にかけてくれる。

チェインさんだって………僕の手を持って空を飛ばしてくれる。

手を。

手?

手、ないけど。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ああああああああああああああああああああああああああっあああああああ!!?」

 

レオが叫びながら、病院で目を開けるとそこには手があった。

いつもの手だ。

黒子も同じ、シワも同じ、肌色も同じ、だ。

涙が頬を伝う。自分の体を失うということはこれほど恐ろしいことなのか、と理解した。

辺りを見渡せば病室だろうか、窓の遠くからは減るサレムズロットの独特な光源がビル群から覗いているが、ここは郊外の病院で静かなものだった。

窓際に人影を発見する。

 

「くっクラウスさん……ですか?」

「……残念。僕だ。」

 

意外な人物。というわけでもなく、暗い病室に怪しく佇むなんていうホラーを仕掛けるのはこの狂人くらいだ。と思った。

 

「フェムト……。」

「………色々大変だったそうじゃあないか。」

「そうなのか……な。」

 

いつもテンションが高い彼が今日はどうもおとなしい。もとよりちゃんとした場では静かだが、それでも彼ならきっと「ははぁっ!手がっ無いあはははははははっ!」と、笑ってもおかしくはないはず。

 

「………まぁ、友が大怪我をしたんだ。普通に僕だって心配はするね。彼女も。」

 

フェムトが指すと、レオに被せられた布団の膨らみからピンク色の髪が覗いていた。どうやらアリギュラも病室にいたらしい。疲れて寝てしまったようではあるが。

 

「「私が治せば一発よっ!」って暴れたもんで首を殴りつけたんだ。」

 

強制的に寝かされたらしい。

 

「君はことの顛末を理解できていないだろうから僕からある程度説明する。」

 

フェムトからさらに入った切り分けられたリンゴのような果物を渡されながら聞き入る。

あのあとザップとツェッドが幻界病棟ライゼズにレオを担ぎ込んだ。

その頃にはレオの顔色は青く、もはや死人の域に達していたらしい。

すぐに執刀が始まる。あいにくルシアナは限界ギリギリで仕事をしていたのですぐに執刀できないはずではあったのだが、ライブラにはお世話になったということもあって優先的に手術してもらうことができた。

といってもレオの両手が消え失せた理由が不明なために治療は困難を極めた。

空間的に切断されたのであれば、切り離された側の手があるはずで、それがないということは別次元に転移させられたのか。

それとも時間を操って強制的に風化作用をはやめたのか。

下手に治療して失敗するのが怖い。

そんな状況で奇跡が起こる。

しかし奇跡というには不気味なものだ。

ヘルサレムズロットにおいて利益がある偶然というのは裏が怖い。

結論としては、レオの手は断面から生えてきた。

人はトカゲのような自切機能のように体を切って生やすなんて機能を持ち合わせていないのは誰でもわかる。

しかしじゃあまた切るか?ということもおかしいわけで、結局経過観察で止血と輸血という処置が施された。

そこから2ヶ月。

レオはずっと昏睡状態だった。

 

「まじか。」

「まじまじ。君だいぶ彼女に感謝したほうがいいよ?」

「誰?」

「あの犬だよっ。雌犬。」

「?………………………………チェインさん?」

「そんな名前だったような?まぁ名前はどうでもいい。その犬はまさに忠犬というように君の病室に2日に1回は顔を出してた。」

「まじ?」

「まじまじ。」

 

申し訳なさ、罪悪感、嬉しさ、むず痒さ、不甲斐なさ、などを織り交ぜた感情が足先から頭にじんわりと流れる。

 

「ここ、人手不足なんだって?雌犬が君の世話をしていたんだ。」

「世話?」

「君、2ヶ月も寝たきりじゃあ、ベッドと背中の肉が一体化してひどい怪我をするよ?筋肉を定期的に揉まないと固まってしまって復活できなくなるし、何より20代の若者が2ヶ月風呂に入ってないとか無理でしょ?」

「はぁあああああっああん!?」

 

何を言われているのか、察してしまい慌てるレオ。

2ヶ月間看病をチェインにされていたのは流石に恥ずかしすぎるし、ちょっと男として辛い。もう顔向けできない。

 

「まぁ何はともあれ僕たちもあらゆる観測方法で君を検査したけど異常は見られなかった。たぶん本当に偶然が重なった不幸だったわけだ。最悪その綺麗な手、何かの拍子になくなったら今度はこっちでどうにかするから。」

「あっ…………あんがと。」

「ああぁきもいきもい。かゆいかゆい。間違って世界滅ぼしちゃうだろう?」

「それはやめろ。」

 

そういうと、フェムトはアリギュラを付きのものに担がせて真っ黒い壁に吸い込まれるように消えていった。音もなく、静寂が訪れた病室は月明かりに照らされて、何とも空虚さを表していた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

翌日。

ライブラの面々が順繰り各々の巡回を終えて病室へときていた。

ツェッドとザップは一緒に昼休憩できたらしく、レオにと渡された果物をザップが遠慮なく我が物で食べてる姿に苦笑しているところツェッドが取り返してくれた。

 

「なぁっレオレオっ。お前あの犬とどういう関係なんだ?」

 

顔と顔が数センチしかないような距離まで詰め寄ってニヤニヤしながら近づいている先輩をヘッドバッドで牽制しつつ、普通に「友達」だと告げる。

 

「彼女はレオくんの看病を率先的に引き受けていたので。レオくんはもう頭が上がらないかもですね。」

「なぁっ!おいっレオっ!教えろってっ!なんか弱み握ってんだろ!?なぁ!?」

「うっせぇっ!」

 

先輩を綺麗に治った右手で殴り飛ばし、レオは苦笑した。

 

「そりゃあもう感謝しかないです。」

「ですね。……あ、ほらゴミクズさん時間ですから行きますよ巡回。」

「ああああああっ!?てめーいま何つったぁあああぁぁぁぁぁぁ!?」

 

叫びながら血法で縛られて病室から出て行く生ゴミに哀れみの視線を送りながら、騒々しさのなくなった穏やかな部屋に戻ったことに少し安堵する。

 

「ふぅ。」

 

午前中にはクラウスが飛んできて、労る気持ちと、ゆっくり休むよう言われた。

スティーブンもBBがでない限りはそこでおとなしくしてろと笑っていた。K・Kは何やらずっと「おほほほほほっ!」とうざい実家の母親みたいな笑い方をしながら背中をバンバン叩いてきたのでザップと大して変わらない気持ちにはなっていた。

 

「まぁでも手が治ってよかった。これで今度発売されるゲームができる。」

「なんてゲーム?」

「Dead:Stranding Z Battle3ってゲームで昔から大好きだったんです。今度新作が」

「まぁ男の子だし右手ないと不便だよね。」

「そうそう、やっぱり手がないとどうもムラムラとした時に…………ふぁっ!?」

 

レオが左横を見るとそこには先ほどザップがおいていった「デスハムスター2」の人形の上にスーツの美人が立ちながら腕を組んで首を「ウンウン」と動かしていた。

 

「チェインさんっ!?」

「よっ!」

 

ビシっ!

 

と人差し指と中指を揃えてカッコよく挨拶する彼女に何だか懐かしさを感じたレオだった。

レオはすぐにベッドの上で土下座姿勢になる。

 

「こっこの度は大変ご迷惑ぉぉぉぉっ!」

「…………………そうだね。心配した。」

 

チェインの発生位置が近くなったのでおそらく床に降りたのだろう。音もなく降りるとはさすが人狼である。

そして彼女が茶化さず少しだけ、少しだけ責めるような言い方をしてくれたことにレオは救われた。

誰だって共に気を使われるより、体を預けてもらったほうが嬉しい。

 

「いろいろ………看病とか。」

「そうだなー。まぁ下の世話はいいとしてー、男特有の生理現象とかー。」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああっ!」

 

レオはベッドの上で土下座しながら横に転がり回る。

恥ずかしさ、申し訳なさ、発狂ものだ。

 

「まぁ。」

「いやほんとすみまっ」

「無事でよかったよ。」

「………………………………はい。」

 

レオは少しだけまるで自分が姉に叱られた弟のような気持ちになり新鮮だった。ぽりぽりとこめかみをかく。

病室内には微妙な雰囲気が立ちこめるが、それでもレオはこれこそが友への感謝だとあらためて下を見ていた視界を上へと向ける。

そこにはチェインがいる。

チェインはいつもとかわらないクールな、無関心さを貫いた表情ではあった。それでも、これはレオだからこそわかるものではあるが、そう、まさに嬉しそうだった。

嬉しそうに目尻をすこしだけあげて目を細めている。

 

「………ありがとう……ございます。」

「ん。どういたましてー。」

「…………手………がっ……無くて。」

「……うん。」

「妹を……掴めなくって………。」

「……うん。」

「チェインさんと飛べなくって……。」

「………だね。」

「怖かった…………です。」

「…………よく頑張った。」

 

チェインはレオの肩に手を乗せて、そのまま体を横へ滑らせ、首へ回して肩を組む。まるで男友達がふざけて円陣を組むかのような動作にレオは目を白黒させた。

 

「ちぇちぇちぇっチェインさん!?」

 

チェインがレオの右手に手を添える。

 

「ちゃんと……あるね。」

「……………はい。」

「えいっ」

「ぇ」

 

 

チェインはレオの右手を自分の左乳房に添えさせた。

 

 

「ふぁああああああああああああああああっ!?」

 

突然のありえない行動に、昼の病院だとしてもありえない声量で声を発してしまい咄嗟にチェインから口を押さえられてしまうレオ。

レオは慌てて手を離そうとするがチェインがそれを拒む。

 

「ちゃんと、感じる?」

 

そう聞かれてしまい暴れることが急にバカらしくなってしまうレオ。

性的なことを考えるよりこの問いの真意と彼女がなぜこんなことをしてまでレオに問いただしたのかを汲み取る。

左手には服の上からでもわかるボリュームと弾力のある女性的な感触が強く感じられた。そしてうっすらと鼓動を感じる。

 

「……………はい。」

「よかった。」

 

チェインはそのままベッドに腰掛けたまま足をジタバタさせて靴を飛ばす。

レオはその飛んでいった靴を見ながら、鼻に入ってくる女性特有の香りとチェインのほんのちょっぴり酸っぱいにおいにめまいがするが、なんとか意識を保とうとする。

 

「そっその家とかは大丈夫ですか?」

「いや、マジでベーわ。いつもの部屋に逆戻り。」

「じゃあすぐに戻らないとダメですね。ご飯はちゃんと食べれてます?」

「最近はハンバーガーばっかかなぁ?」

「……野菜多めの食生活にしますね。洗い物とかは?」

「食器は流石に臭いから全部捨てた。服は1週間触ってないね。」

「うわぁ…………。」

 

レオは想像するにかたくない汚部屋を想像してしまい脳内で絶望感ある世界を視てしまう。

言外に、「だから早く帰ってこいよ。」といっているように感じて2人とも恥ずかしくなったのはいうまでもない。

チェインはそのままレオの頭をポンポンとはたく。

 

「ところでさ?」

「はい。」

「いつまで揉んでんの?」

「………いやぁ超絶美人の最高部位を触れる機会など今世これしかないような気がしましてそれにしてもチェインさんも意外とだいたすみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

レオの入院期間が1日のびた。

 

 

 

 

 




高校の頃に心底仲良くなった女の子がいまして。
腐女子で奇抜な娘だったんですが、高一の時点でFカップだったその子は仲良くなりすぎて頼めば胸くらい揉ませてくれたんですよね。
「あ?別にいいよ減るもんじゃないし。」と。
そういうのをなんていうか「信頼」とか「信用」っていうんだろうなって。そこまで相手に許せてしまう関係は美酒より酔いました。
若干R-18要素かもしれませんがまぁ計画受けたらその時考えましょう。

もっとエロほしい?

  • ほしい
  • ご自由に
  • いらない
  • あったりなかったり
  • 微エロ程度で
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。