西暦2020年
現在、剣術は人気が低迷し
伝統ある古流剣術よりもスポーツ色が強い
剣道が広く周知されオリンピックにも選ばれた
命を懸けた死合は形を変え、面や防具を装着し
竹刀を使った危険のない試合として人気を集めている
俺はそんな剣道ではなく
めっきり少なくなった
古流派の家に産まれ育った
戦国時代に開かれ、同時に消えて行った流派
家はそんな有象無象の弱小流派の1らしい
家の流派は剣術と体術が基本で
剣を振るうしなやかな筋力と
体術に使う瞬発力を併せ持つ
幼い頃から複合筋肉を鍛えさせられた為
気が付くといわゆる細マッチョになっていた
15で免許皆伝を貰い、当主の証でもある
一振りの刀を譲り受けた
ずしっと重たく、抜いてみると
真っ黒な刀身が姿を現した
祖父から聞いた話によると材質は不明だが
戦国時代から折れず刃こぼれもしなかったらしいが
人斬り包丁と謳われた日本刀
今では芸術品とも言われているモノと違い
ただひたすら硬く黒い。刃は付いていないのか
重すぎて振り回すことも出来ない
我が流派は免許皆伝の後、当主は家伝の刀を使いこなせて
初めて真の免許皆伝に至るのだそうだ
そこから三年
俺は稽古を続け、刀を自在に操り
重量に頼らない斬鉄すら達成して見せた
身体も成長し続けており
背は175cm、体重は80kgにもなった
黒い長髪を布で縛り、ポニーテールにしている
「明日も稽古だ…早く寝るかな」
稽古は毎日続けることが大事だ
強くなる為ではなく今より弱くならない為に
参考までに彼の稽古のメニューは
素振りに始まり、巻き藁を突いたり
型をこなし、最後はランニングで流す
難があると言えば相手が居ないことだ
世界最強の格闘家と呼ばれた男も
戦ってみたが大したことがなかった
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「…で、ここは何処だ?」
寝間着にしていた浴衣と枕元に置いていた
黒刀だけが側にあっただけだ
雰囲気からすると京都だろうか
とりあえず腰に黒刀を差してみた
「おっ…何か騒がしいな。なんか斬り合いしてるな…あの水色と白のだんだら模様の着物…新撰組?」
◯視点変更○
まったくツイてない
暗殺帰りに嫌な奴らに遭遇した
見聞役も逃げやがった
新撰組1番隊隊長、沖田総司
新撰組3番隊隊長、斎藤一
かなりの手練れだ
しかも沖田は新撰組一の剣士
いかに飛天御剣流とはいえ
「人斬り抜刀斎とお見受けする。いざ」
「待ちたまえ沖田君、ここは私がやろう」
刀に手を掛けた沖田を斎藤がいさめる
「大丈夫ですよ、僕だって1番隊の隊長です」
「だが今は肺を病んでいるのでしょ?私の目は節穴じゃないよ。さがっていたまえ」
沖田が悔しそうに下がり、斎藤が刀を抜いて
突きの構えを取る
「新撰組3番隊隊長、斎藤一…参る!!」
「…人斬り抜刀斎」
斎藤が左片手平突き、牙突
人斬り抜刀斎が抜刀術の構え
さほど遠くない距離を詰めて
幕末の京都にて二人の剣士の戦いが始まる
そしてソレを見つめる沖田と異世界からの流れ者