※この作品はR-18です。

転移放浪記~まさかの幕末!?   作:北ノ覇王

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流れ者、危なっかしい弟子を取る

体を鍛えるにはまず、食わねばならぬ。これは親父から教えられた事だ。特にこの小僧は痩せ過ぎている。

 

「良いか小僧、まずは朝、昼、夜にしっかり食って貰う。金?小僧を食わせるぐらいの金はある。まずは鍛錬に耐えれる体を作らねばな」

 

「俺は今からでも出来る」

「たわけ。そんな貧弱な体では武術など極められん。まずは小僧の体づくりからだ」

 

1ヶ月を掛けて基礎体力向上、筋力強化のみに絞って行わせ、食事をしっかり食わせた。

 

「だいぶ肉が付いてきたな。そろそろ本格的にしごいてやるか」

 

「ようやくか。待ちわびた」

 

さて、体術は習うより慣れろって言うしな、型を覚えるより確実に動ける体捌きと、確実に殺せる技を見い出せってな

 

「小僧、お前の好きな様に殴りかかってきな。遠慮はいらんぞ」

「わかった」

 

獣の如く体勢を低くし、地を蹴り、突進してくる。猪よりも速い動きではあるが所詮はガキだ

 

「ほっ」

 

ちょうど良い位置に来た小僧の顎を蹴りあげる。

 

「があっ!?」

「体勢を低くするのは良いが蹴りの餌食だな」

 

脳を揺さぶられた小僧は地面に大の字で倒れる。

 

「おらどうした?1発で終わりか」

「う…がああ!!」

 

立ち上がりと同時に拳を振り回すが当たるわけがない。張り手で頬を張り飛ばし、服を掴んで投げる。

 

「飯が食えなくなっては困るな。顔はやめとくか」

「ハアハアハアハア」

「って訳で腹な」

 

拳が小僧の腹にめり込む

 

「うごっ!?」

「痛いよな?痛くなくするにはどうすれば良い」

 

わざとゆっくり蹴りを放つと、無意識だろうが両腕で防いで見せた。

 

「そうだ!よし、ここまで。防御の大切さはこれでわかっただろう?ちなみに無手以外の、刀は斬られたら死ぬ」

 

「抜刀斎の前にお前を殺す」

 

ふらつきながら立ち上がった小僧の白髪に手を置く

 

「へっ、やれるもんならやってみろ小僧」

 

そこからの月日は少年を成長させるには充分だった

 

「はあああ!!」

 

突き、打つ、払う、蹴り、明らかな高威力の打撃が巻藁に打ち込まれる。

 

「おう、小僧。精が出るじゃねぇか」

「師よ、俺の名は縁です」

「はっはっは…俺に勝てたら呼んでやるって言ったろ」

 

健康的な食事と鍛錬法により、背丈も急成長を遂げた小僧は既に少年から青年へと至っていた。

 

「師よ、そろそろ日本を出て大陸へ行ってみたいと思っている」

「ほぉ?まあ、そこらの輩には敵じゃねぇしな。これ以上は野暮か…既に免許皆伝はやってもいい技量だ」

 

小僧は今では俺とまともに打ち合える程度にはなっていた。それこそ緋村と良い勝負が出来そうだ。今の段階なら死ぬことはないだろ

 

「ほんじゃあ、卒業試験と洒落込むか」

「師よ、今までの恩を返させて頂きます」

 

 

いつも通りに倒れ伏した小僧を、上から見下ろす

 

「頑張ったじゃないか」

「はあ…いまだ師に至らず…か」

「充分過ぎるぜ…縁。世界を見てこい」

 

その言葉を聞いた小僧、縁は目を見開いてニヤッと笑いながら

 

「ありがとうございました。師よ」

「へっ、次に会う時を楽しみにしてるぜ」

 

 

翌日、俺が起きた時には既に縁は居なかった。

 

あばよ…我が弟子。

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