※この作品はR-18です。

異種族レビュアーになろう   作:卯月風流

14 / 20
14話 森林地帯への旅路 二日目

 

 無事に予定通りミーニャとの一戦を終え満足した俺は大人しく眠る事にした。ミーニャも垂れる精子でスカートが汚れないよう使い捨てシートを付けたパンツを履いて就寝。

 

 アヤワスカは、やはり夜に備え不寝番をして警戒するようだったので『俺が敵意を感じれば即時臨戦態勢になる』という特性を持っていることを証明する為にも、俺が眠った頃合いに少し離れてから敵意や殺気を向けて実験でもしてみるように伝えておいた。

 ただ、やる際には、悪戯心程度だと普通に見逃して反応しない可能性も有る為、少なくとも怪我をさせてやるくらいの悪意をもって攻撃をすることと、くれぐれも接近しすぎない様に注意するよう伝えておいた。これは真横など、あまりに近い位置で殺気を向けられた場合、俺が寝ぼけて状況把握できていない状態のまま反撃が進んでしまい、寸止めが間に合わない可能性を懸念してのこと。間違ってもアヤワスカに怪我はさせたくない。

 伝えるだけ伝えた後、実験に備えてミーニャとの添い寝は諦め、念の為多少の距離を取ってスヤァと就寝する。

 

 次に目覚めた時、俺は空中に浮かぶ水の塊を切り裂いていた。

 

 切り裂いた水の塊は、魔力の流れも同時に断ち切った為はじけ飛んだが、どうやらアヤワスカは『使い方次第では死にかねないような悪戯で窒息させることができるか試してみよう』という感じの攻撃をしてみたようだ。俺が伝えた内容が悪戯は見逃し、敵意や殺気は反撃するという曖昧なものだったから、その隙間を縫うような方法をいきなり試してくるのが、なんともアヤワスカらしい。

 さらに目を向ければフェアリーの小ささを利用して隠れんぼまでしている念の入れよう。見つけられるもんなら見つけてみろとでも言いたげだが、残念ながら俺は戦ったら大体勝てちゃうだろう系チート持ち。魔力の残滓から位置を辿るなどワケもないので、アヤワスカの居る場所に向けて即座に手を振っておく。

 

「本当に対応できちゃうのねぇ……」

 

 俺の様子に居場所が完全にバレていることを悟ったアヤワスカが顔を覗かせながら呟いた。尚、居た場所は背中を向けて眠るミーニャの向こう。

 ミーニャを盾にしているとも取れるがご愛敬。

 

「おやすみぃ。」

 

 とりあえず証明できたので一言告げて眠る。

 攻撃を受けると一瞬で覚醒するが、対応が終わればきっちり睡眠欲も復活するのだ。やっぱり眠いもんは眠い。

 

 その後2回程、暇を持て余したアヤワスカに違う悪戯攻撃で起こされたが、その内の1回は近くで眠るミーニャに向けての攻撃で、ミーニャへ向かう攻撃でも俺が起きるかどうかの実験も兼ねていたようだ。

 その攻撃でも俺が目を覚ましたおかげで夜中の警戒については多少の信頼が得られた。

 

 

 ・。・。★・。・゜☆・。・。★

 

 

「んがっ」

 

 4回目の起床。

 ちょいちょい起こされていたおかげで寝たけど眠い。

 

「おー! ほんとだにゃー!」

 

 俺の左手が魔法の矢を握りつぶしていた。

 放ったのだろうミーニャがパキパキと握りつぶされる魔法の矢を見て、手を叩いて喜んでいる。

 

「んあぁ……おはよう……」

 

 朝の起床時間になっていたようで、まだ薄暗いと感じるような朝焼け手前の空模様。

 アヤワスカが焚火を絶やさずにいてくれたようで、寝ていても焚火の光で明るい感じがしていたので夜中と変わりない雰囲気が漂う程度には、まだまだ眠っていたい時間だ。

 だが今回の冒険は、ほぼ日が落ちると移動をやめて野営準備。野営準備ができたら飯つくって食ってヤッて寝るということの繰り返しだ。昨日はミーニャと一回しかしてないし睡眠時間だけで考えれば十分な程に取れている。もちろん邪魔されて起こされてなければの話だが。

 

 あくびをしながら、ぼけっとそんなことを考える。

 

「すごいのにゃーブレイク。」

「おう。すごいよー俺。」

「まだ寝ぼけてるみたいね。」

「んにゃ、そうみたいにゃ。」

「夜中に何回も起こされりゃあ眠くて当然だろがい。ふぁ〜あ……」

 

 軽く文句を言いつつ、朝もはよから動き始めている二人に目を向ける。

 鍋が火にかかっており、そこそこいい匂いも漂っていた。

 

「おっ? 朝メシ作ってくれたのか?」

「そうにゃ!」

「料理はミーニャに任せれば安心できるのは昨日で分かったでしょ?」

 

 昨日のミーニャのメシは美味かったので、ミーニャの作る朝メシというだけで期待から腹が減る。

 飯にありつこうと身体を動かすとベッドで寝るのとは違う固さや底冷えの寒さ、それらの影響で、どうしてもコリが生まれていた。身体を軽くほぐしながら調子を見るが、やはり少し冷え気味で筋肉が硬い気がしてならない。といっても戦ったら大体勝てちゃうだろう系チート持ちだから、戦い事態には支障ないのだがな。

 

「あ~……やっぱ野営は身体がバッキバキになるなぁ……」

「人間はそんな感じみたいね。ミーニャは温かいわよ。」

「猫獣人は体温高いからにゃあ。ほいにゃブレイク。今日はサンドイッチでもしようかと思ったんにゃけど、もうパン固くなってたし、結構寒かったから体があったまるパンがゆにしたのにゃ。」

 

 カップにパンがゆをよそって渡してくれるミーニャ。

 受け取ったカップから濃厚なチーズの香りが漂って、なんとも旨そう。

 

 アヤワスカが既に食べているパンがゆは、チーズとパンだけのようだが、俺のカップには削ぎ取った塩漬けハムとスパイスがふりかけられていてチーズの香りだけでなくスパイシーな香りも混ざっていて食欲をそそる。

 食欲につられるまま湯気の昇るカップに口をつけた。

 

「あちっ! ……は~、あったまる~……うめぇうめぇ。」

 

 そこそこ対策しているとはいえ底冷えの響いている身体にあったかい食べ物は5割増しで美味しさを感じる。

 

「んにゃ。よかったにゃあ。」

 

 しかも食ってる物を、にっこり微笑む美猫獣人が作ってくれたとなれば更に5割増しのうまさだ。あったかさと美人の手料理というアクセントで元々うまいメシが倍以上に美味くなる。

 

 ミーニャはエロくて可愛くて料理も美味い。最高の恋人だなぁ。

 

 まぁ、寝てる俺に躊躇も容赦もなく矢を撃ってこれるのは……冒険者として頼もしいとでも思っておこう。

 

 

 

 ・。・。★・。・゜☆・。・。★

 

 

 

 メシを食って後片付けをし早々に出発する。

 日が出ている時間内しか移動に適さないのだから、のんびりだらだらしているのはもったいないのだ。

 ちなみにロバも奮発した飯をふんだんに食っているので元気満々。水もしっかり飲んでるし塩も舐めてたから今日もしっかり働いてくれるだろう。

 

「ん~っ?」

「何よ?」

 

「いやぁ……んん~?」

「気持ち悪いわね。言いたいことがあるんなら言いなさいよ。」

 

 時々振り返って首をひねる俺を、ロバの上のアヤワスカが面倒くさそうに突っ込んだ。

 

「おう……んじゃあまぁ聞くけど、なんか逆じゃね?」

 

 昨日の夜番をしていたアヤワスカが、そのまま起きていて、ミーニャが日向ぼっこしながら寝ているのだ。

 昨日の様子から昼はアヤワスカが寝てミーニャが動き、夜はミーニャが寝てアヤワスカが動く感じだと思ったが、どうにも逆。

 

「言わんとすることは分かるわ。でもね私達コンビで交代制を組む時は、本当なら昼は私、夜がミーニャの担当なのよ。」

「あ、そうなの?」

 

「そうよ。そもそもミーニャは猫獣人だし夜の方が血が騒ぐような夜行性。本来は夜の方が元気なのよ? その性分を考えたら、そっちの方が自然でしょ?」

「は〜……さよか。それじゃどうして昨日はイレギュラーなパターンを?」

 

「あら? ブレイクったら分からないの?」

「おう。わからんぞ。」

「はぁ〜、女心が分からないことを、そう自信ありげに誇られてもねぇ……」

 

 俺の考える素振りすらない返答にアヤワスカが溜息をつきながらフワリと俺の横まで飛んできた。

 

「あんた昨日がミーニャとの初エッチだったでしょう? 私と違って、しっかり本番の。エッチする相手のことくらいよく知りたくなるのが人情ってもんじゃない?」

「あ〜……そういえば昨日は移動中ずっとミーニャと喋ってた気がするなぁ。」

「ミーニャって猫獣人にしては身持ち固い方だからね。エッチする前にしっかりブレイクのこと知って仲良くなっておきたかったんでしょ?」

「まぁ、確かに仲良くはなった気がするなぁ。色々聞いたし話したし。」

「私もブレイクが起きる前にミーニャと話したけど、アンタ結構なつかれたみたいじゃない。」

「おっ? そうか?」

 

 発情したら相手してと念を押されたし『なつかれた』と言われるのも悪い気分はしない。

 

「まぁ私もブレイクの夜襲警戒の能力を昨日ある程度見せてもらえたし、ミーニャも満足するくらいには仲良くなった。だがら私たちはブレイクのことを信用してみようって話に落ち着いたワケよ。というわけで今日から通常パターンに戻すわね。すっごい眠いけど。」

「おぉ、なんだ。俺のことを信用してもらえたのなら嬉しいな。」

 

 信用が早すぎる気がしないでもないが、美人二人の信用は素直に嬉しい。

 

「眠いならミーニャと一緒にアヤワスカも寝てていいぞ? どうせ日中はロバ引くだけだからな。もちろんなんかあったら、すぐ起こす。」

 

 上機嫌で伝えながら荷物の上で丸まって眠っているミーニャに目を向ける。

 猫の語源が『寝子』から来ていることに納得できそうな寝姿。猫獣人もやはり寝子っぽい。

 

 だが目を閉じて寝ていても、耳はきちんと起きていて、時々動いては音を探っている様子が見て取れる。

 日本に居た頃に猫は熟睡するのは3時間だけという豆知識を学んでいたから、猫獣人のミーニャも身体を休める省エネモードにしているだけなのだろうことが想像できた。昼はアヤワスカに任せていると言っていたが、実は、そう見えるだけでミーニャは常に警戒を怠ってはいないのかもしれない。流石獣人。

 

「ミーニャもなんだかんだで警戒に気を配ってくれてるみたいだしな。」

 

 俺の呟きに、ミーニャがそっと大きな目を開いて視線を一度だけくれた。

 そしてまたスっと目を閉じる。

 

「そう……じゃあわたしちょっとねる。」

 

 許可を得た途端に言葉がもう寝始めたアヤワスカ。ふよふよとミーニャの所へ飛んでいき、丸まっているミーニャに身体を突っ込んで暖を取って寝始めた。

 素直に提案に従うところに信頼感を感じないでもないが、ミーニャの肉布団はかなり羨ましい。あったかい上に柔らかそうだ。

 

 眠る二人から目を外し、前を向いてただ歩く。

 昨日は話っぱなしだったけれど、今日は黙々と歩く日になりそうだ。だが、それも悪くない。

 やはり実際に野宿をするとベッドが恋しくなってしまう。野宿中にミーニャを抱けるのは良いけれど、無駄に長引かせずに予定通りの5~6日の移動で到着できるように、今日はしっかりと距離を稼ぐとしよう。

 

 

 ・。・。★・。・゜☆・。・。★

 

 

 黙々と距離を稼いでいても、そこそこに警戒は怠らない。

 昨日のゆっくり進行と比べ少し早めの移動になっているとは思うが、後続の集団の距離が変わらないからだ。こうなると意図的に後続集団が速度を調整している可能性が高い。

 

 だが、その意図がどこにあるのかが分からない以上、こちらから敢えてちょっかいを出すこともない。もしかすると俺の強さを知っている人間がいて、その強さをモンスターや危険避けに利用している可能性だってあるからだ。なので今は後続よりも、すれ違う集団の方への警戒感が強い。

 当然のことながら野盗が野盗らしく襲ってくることは少ないからだ。

 

 基本的に野盗は冒険者を装ったり商隊を装ったりと工夫をする。隙を突いて襲う方が被害が少ないのだから当然だ。まぁ、野盗が化けている場合には、囮班と奇襲班がいたり、そこそこの数が周りに散らばっていたりするから俺からすれば分かりやすいんだがな。

 

「ん~……」

「……どうかしたにゃ?」

 

 俺から漏れる悩まし気な響きを耳ざとく拾ったミーニャがすぐに声をかけてくる。

 やはりミーニャは眠っているように見えて眠っていなかった。

 

「いやな、そろそろすれ違うだろう集団がいるんだけど……なんか普通の集団とも思えるけど変な感じもして判断が付きにくいんだよなぁ……」

「んにゃ? どういうことにゃ?」

 

「商隊なら斥候が先行して、その後に本隊が続く。輸送隊ならアホみたいなスピードで駆けている。冒険者ならそこそこの間隔を空けて、ある程度警戒しながら歩いてたりするから、なんとなく隊列だけでも、ある程度の感じが分かるんだが、なんか、一般人の集団っぽい感じなのに、微妙に違う気がするような、そんなよくわかんねぇ感じのヤツとすれ違いそうなんだよ……」

「んにゃ。」

「ふえ?」

 

 ミーニャが動き、その動きで目を覚ましたアヤワスカが可愛い声を漏らした。ミーニャはアヤワスカにシーツを被せてから俺の横に降り立って歩き始めた。

 

「よくわからない場合には警戒しとくに越したことはないにゃ。」

「おう、そだな。」

 

 アヤワスカは、むにゃむにゃと目をこすりながら荷物に隠れた。どうやら様子見を決めたようだ。

 ちなみに俺が本気で索敵すれば、分かる事も多いのだが、ミーニャがやる気になってくれたのだから成り行きに任せることにして、しばらく歩く。

 

 そして集団が見え始め俺は目を見張った。

 

「にゃあ……」

 

 そしてミーニャは冷めた目をしながら呆れたような声を上げ、再び荷物の上へと戻り始めていた。

 

 向こうからやってきたのは馬車。馬車なのだが引いているのは馬ではなく、男ミノタウロスが2人で引いていた。

 だが、その珍しい光景よりも馬車に目立つように付けられた派手な看板が目を惹きつけて止まない。

 

 『恵まれないサキュバスに愛の手を』

 

 そしてその横には

 

 『10,000Gのご寄付で、30分間サキュバスが感謝を捧げます』

 

 と記してある。

 

「移動……淫魔店……だと。初めて見た……」

 

 馬車を引く男ミノタウロスは用心棒も兼ねているのだろう。大きな馬車を力強い足取りでゆっくりと進んでいる。取り出しやすそうな位置にある大斧は、人を簡単に真っ二つにしてしまいそうな大きさで、その膂力が伺い知れる。

 人間では持つことも危うい武器を扱えるであろうミノタウロスが力強く引く馬車を、呆気に取られながら眺めていると、俺の様子を男ミノタウロスは軽く一瞥しただけで、そのまま歩みを進めていった。

 

 おおよそミーニャと二人組と判断し、早々に客ではないと察したのだろう。すれ違う馬車を眺めていると、馬車の窓から数人のサキュ嬢が手を振っていた。

 手を振っているサキュ嬢は綺麗な兎獣人、スライム娘、それだけでなく戦ったら強そうな女ミノタウロスなんかもチラリと見えた。きっと彼女たちは、いざという時には戦闘もできるサキュ嬢なのだろう。

 

「30分で10,000G……か。絶妙にギリギリのラインを責めてやがる。」

 

 街でこの値段設定であれば高級店かぼったくりかのどちらかだ。だが街の外の旅の途中となれば話は別だ。移動の最中で悶々とした男たちであれば、普段の倍以上の金額であっても一発お願いしたいと思わないはずもない。

 彼らが野盗という可能性も捨てきれないが、他に追跡する者の姿は見当たらないし本当に移動淫魔店をやっている可能性も捨てきれない。きっと怖いもの見たさで利用してみる冒険者もいるだろう。俺が一人だったら間違いなく利用した。値段設定も利用ターゲットも本当にギリギリのニッチな所を攻めている淫魔店。中々真似できる店じゃあない。

 

「世界は…………広いな。」

 

 俺の知らないことは、まだまだ沢山ある。

 そう痛感し天を仰ぐと、太陽がまぶしく感じられた。

 

 

 はてさて、あの馬車と出会った後続が一体どんな反応をするのか楽しみだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。