アヤワスカが魔法操作でローション内にうまく閉じ込めた俺の精子を排水溝に流すついでに一緒にシャワーを浴びてスッキリし、まったりとテイクアウト飯を食ってからベッドでフェアリーボイスピロートークを繰り広げれば、あっという間に眠りに落ちていた。
その日会ったばかりの冒険者に対して無警戒過ぎるが、俺はチート持ち。
敵意を感じれば即時臨戦態勢になるので問題ない。安心なのだ。
フェアリーボイス。心地よいスヤァ
「――おっ?」
すっきり覚醒する目と頭。
窓から差し込む朝日の具合から朝の早い時間であることを察する。今日悪夢を見なかったのは隣で妖精が眠っていることが大きいのかもしれない。
「おはよう。アヤワスカ……って、居やしねぇ。」
ピロートークフェアリーどこ行った? アレは夢だったのか?
机に目を向けると二人で食い散らかしたテイクアウトの残骸が目につき、やはり昨日はフェアリーのアヤワスカと致したのだと認識しなおす。
「おっ?」
『早く起きちゃってミーニャが心配だから見に行ってくる。朝ごはんに食酒亭で落ち合いましょ』
残骸を利用した書置きを見つけ納得。
今日は段取りではミーニャが一人でチェックアウトして合流する手はずになっていたが、昨日の打ち合わせの時や、その他の時のミーニャの態度を思えば、しっかり者のアヤワスカが心配になっても仕方ないように思えたからだ。
とりあえず見せ金として机の上に置いておいた巾着財布の中身を確認するが減っていない。
5,000Gの値をアヤワスカに付けたし2,000Gくらいは持ってくんじゃないかと思っていたのだが、無料で良いと言ってくれた言葉の通り金に手は付けなかったようだ。
もし5,000G以上の額を持って行っていれば必要以上の信頼はしないし、2,500Gくらいまでなら様子見。そして今みたいに何も手を付けていないのは好印象だ。俺の中のアヤワスカの信頼度が、また一つ上がった。
冒険の最中に『どこまで頼っていいか』そして『どこまで頼られて良いか』の指標となる信頼関係ってのは重要だ。
基本的に戦いになれば無敵に近いチートを持つ俺だが、仲間同士の信頼というのは、まったく別物。『それはそれ。これはこれ』という奴だ。どれだけ強くても人間的に信頼できないヤツとは冒険はしたくないというのが当然の人情だろう。
そしてこの信頼というのは些細なことの積み重ねが重要になるから、こうして小さな罠を作って、どこまで信用して良い相手か計っているのだ。
もちろん俺が計っているように、アヤワスカ達も俺のことは計っているはずだろう。多分ミーニャではなく、頭の回るアヤワスカが先に俺の相手をしたことも、その一環のはずだ。むしろ、もし俺をどの程度信頼するかすら計っていないとしたら俺が逆に不安を覚えてしまい信頼度を下げるとも言える。
今のところ二人は冒険者として、そこそこ信頼して良い感じだし、向こうもきっとそう思ってくれていると思う。
ぼんやりとそんなことを考え、ひとつあくびをして身体も覚醒させる。酸素よ、身体を巡るがいい~。
「うっし! 歯ぁ磨いてクソしてチェックアウトすっかな!」
食酒亭での二人の合流に向けて動き出すのだった。
・。・。★・。・゜☆・。・。★
「あ~、ブレイクにゃー。」
「あら? もう来てたの? おはよ。」
「おう、おはよう。美人の恋人が二人もできて、そんな恋人たちと初めての待ち合わせだっつーのに待たせるとかさ……そんなの男のすることじゃねぇだろう?」
朝一の挨拶。
いつでも恋人に対しては思いつくままに褒めて持ち上げるべし。
「意外とキザなこと言うのね。」
「似合わないにゃぁ~。」
「俺もそう思う……って、なんだ? ミーニャその恰好。」
「似合うかにゃ~?」
「似合う似合う! すっげぇ可愛い! けどなんでそんな村娘っぽい格好なんだ?」
ミーニャは冒険者らしい格好ではなく、少し長めのひざ丈のスカートにブラウスとベストを羽織ったような、街のどこにでもいそうな普通の娘の格好をしていた。
「フフン♪ 昨日囮作戦話してたじゃない。これなら小さな村に帰る途中の娘に見えるでしょ?」
「あ~、なるほどな! 確かに見えるわ。」
「辺鄙な村の娘が街に出稼ぎに来て、ある程度稼げたからお土産いっぱい買って帰ることにした。護衛とかよくわかんないけど仲の良い男に頼めば何とかなるよね~……って感じの雰囲気を目指したのよ。」
「結構年季の入った中古の服を選んだから、ちゃんと着古した感じも出てるにゃん。」
「なるほどなー! 良い良い! ちゃんと村娘してる!」
俺と並べば、素人の村娘が出稼ぎの帰路を甘く見通し、冒険者気取りの素人の男を適当に丸め込んだって感じに見える。
なにせ俺も冒険者っぽい格好はしていても獲物らしい獲物も持ってないし、傍目にはイキってる感じの世間知らず素人冒険者っぽく見えないことも無いだろうからな。
まぁ、俺の見た目が勝手に考慮されているのは、ここはひとつ飲み込もうじゃないか。
別に? 別に構わんとも。だって、俺? 自分で? そういう風に演出してるんだし? ほんとだし?
それになによりミーニャと村娘プレイで致せるのだ。この素晴らしさに比べ、俺の見た目が頼りないと思われていたことなど大した問題じゃない。
それにこのコスプレも、俺の戦いにおける実力をしっかり把握して信頼しているからこそ盗賊を沢山釣ろうと二人が工夫してくれているのだからな。俺の弱そうな演出と実力を信頼しているからこその工夫なのだ。
うん。なんだ。こう信頼されてしまうと、ちょっと興奮してくるな。
「ちょっとブレイク、なにもぞもぞしてんの?」
「おっとスマン。村娘コスプレがあんまりに可愛くてつい。」
「うにゃん。」
すこしおっきした。
「昨日しっかりヌいてあげたのに、ほんとスケベね。」
「あれは気持ちよかった……ありがとなアヤワスカ。なんなら今からもう一回やってくれてもええんやで?」
「バカなこと言ってないで、ホラ、朝ご飯食べてさっさと準備して行くよ。」
「ちぇーっ」
アヤワスカの指揮の下、俺たちは行動を開始した。
と言ってもまずは朝飯なのだが。
朝は大抵簡単なものが多く、バゲットをソーセージとチーズを齧りながら食い、時たま野菜をまるかじりするかスープか茶をすする程度の物で済ますことが多い。
こういう定番的に決まった物であれば注文して出てくるまでも早いし用意する店も楽。それにボリュームも充分あるから腹も膨れて一日頑張れる。
もちろん種族ごとに合った朝メシってのがあるから、それぞれお気に入りの店があるのだが、基本人型サイズで肉や野菜に抵抗がない種族の朝はこんな感じが多いように思う。
なお、フェアリーのアヤワスカは果物を食ってた。さすフェ
ちなみにフェアリーは、あんまり量を食えないからオヤツとか間食が大好きみたいだ。
単純につまみ食いが悪戯っぽくて好きなだけかもしれんがな。
朝メシを早々に終え、村娘コスプレのミーニャとフェアリーのアヤワスカと共に昨日購入手続きを進めておいた荷車や駄載獣となるロバを受け取った。
俺もこっちの世界に来るまで知らなかったんだが、ロバは力強い。馬と比べても引けを取らないと思うくらいには役に立つ。買った荷車もロバに合った小型の物で万が一の際は俺でも引けるサイズの物にしてあるのだが、ロバってかなり賢こくて言うことも聞くから逃げられるような事はないだろう。なので、これくらいの荷車を引かせるのであればロバ一択だ。
「よーしよしよし♪」
村娘コスプレの猫獣人ミーニャも可愛がってるくらいにはロバは可愛い。ビバロバ!
餌も奮発して草だけじゃなく豆とか麦とか雑穀を用意しちゃう! 塩も用意しちゃう! だから頑張るんだぞう?
荷車合体ロバの背に乗ったアヤワスカと手綱を引くミーニャに荷車の操作を任せ、俺は先行して運搬依頼を受けた荷物の引き受け処理に向かう。
今、俺たちの居る街は色んな場所に行く際の拠点となるような利便性が高い街だ。火山地帯だって2~3日で行くことができるし他地域へも向かいやすい。つまり様々な物が集まるので運搬依頼に困ることはない。
特に今回俺たちの向かう先は有翼人淫魔店『有翼人エルドリー』がある森林地帯。結構遠い位置にあるから運びにくい物は留まっているし、こげつきに似た状態になっている物もあるからガンガン受けられた。
もちろん俺のこれまでの依頼達成の実績記録があるから多く引き受けられるんだがな。
実績のないヤツが『いっぱい運びますよー! もっともっと!』って張り切って受けて、持ち逃げされたり盗賊に盗まれたら笑えないので任せない。だからこそ俺の実力は知らせなきゃいけない所には、きっちりある程度までは見せてあるんだよ。
もちろんあり過ぎる実力から勧誘もされたけれど、所属したら規則だの諸々に縛られることになるし、それが嫌だからフリーでいるんだけどな。なにせ俺は1日1回は女と致さなくてはならないのだから!
「よっこいせ! ……っと。」
「ブレイクー、今積んだ箱は何?」
「あ~? どれどれ? キッチン用品みたいだな。目録チェックしといてくれ。」
「はーい。」
とはいえ、今回の運搬依頼の荷物は基本的に安物が多い。何しろ金があるヤツは圧倒的機動力のケンタウロス輸送隊を使うし、大事なものは全部『速い! 強い! 高い!」のちゃんとした輸送隊に任せることになるからだ。
つまり俺たちフリーの冒険者が運ぶのは『あまり金をかけず』『急がず』『運べそうなら運んで』という品物だらけ。今積んだキッチン用品なんかも『あったら便利だけど、わざわざ作るまでではない。でも並べればそこそこ売れる』とかそんな感じの商品なのだろう。
だが、安物だって塵も積もれば山となる。荷車に引かせる量になれば一財産だ。高級品と違って気軽に売り捌き安いから盗賊も狙って損はないだろう。
荷物を積みながら、これから向かう先を思い浮かべる。
森林地帯。これから森林地帯に向かうのだ。とうとう有翼人の囀りを聞くことができるんだ!
『有翼人エルドリー』も森の中にあるらしく、おおよそ街自体が、ほぼ森なんだろうな。
住んでいる種族もこの街とは大分変わるんだろうし、多分、森好きなエルフやウッドエルフがいるんだろう。それに森好きな獣人も。アナウサギの獣人は居るんだろうか……マイコニドとかノームとかも多いんだろうな。コロポックルとかもいるのかな?
うん。街に着いたら他の淫魔店も探して楽しもう。
着いた先に思いをはせながら積み込みをしてたら、いつの間にか終わってた。
一旦そのままロバと荷を預かってもらい昼飯を取ったら冒険の旅に出発だ。
というわけで、この昼飯を食ったら、しばらくは携帯食とか簡易な食事になる。
故に、この昼飯では街の有難みを噛みしめなくてはならない。
「ステーキとサラダ食べるにゃあ~!」
「私パンケーキ! フルーツとジャムたっぷり!」
「俺、唐揚げと揚げポテトとエール! あとキュウリの浅漬け!」
「あーっ! ミーニャもエールっ!」
「ちょっとあんた達ねぇ……いい加減にしなさいよ? これから依頼なのよ? メイドリーさぁん! 私も花蜜エール!」
食は大事なのである。