天衣ドルマスター 作:りりーまるれーん
沈みゆく夕陽に赤々と照らされた砂浜。その波打ち際には穏やかに打ち寄せる白波と戯れる水着姿の美少女がただ一人。最高に絵になる構図だと思う。そしてビーチベッドに横になりながら、その光景を独占している俺は今この瞬間世界中で最高の贅沢を満喫している男なのではなかろうか。
ぱしゃぱしゃと飛沫を立てて踊るように跳ねていた彼女は、ひとしきり満足したのかこちらへと引き返してきた。白い肌を茜に染める彼女に、俺は傍らのボトルクーラーに突き刺さっていたミネラルウォーターを引き抜いて差し出した。
ボトルを受け取るなりキャップを捻り切ると、よほど乾いていたのか一息に呷る彼女。ややもすれば乱暴なその所作。けれど唇の端からこぼれ落ちた一条の水が細い喉を伝う様がやけに色を感じさせる。今度は俺が乾きを感じる番だった。思えば先の機内での戯れも周りを気にして半端なものになった。それが余計に飢えを感じさせる原因になったのかもしれない。
◇
「ふあっ!?」
驚きの声を上げると、彼女は「ちょっと……!」と声を抑えながらも怒りを向けてきた。そんな彼女に俺はしーっと人差し指を唇に当てる動作で応える。そして今の彼女の声に反応した者が近づいてこないか周囲に意識を向けながらも、彼女の服の中に突っ込んだ腕はまさぐり続ける。
幸いにも彼女の嬌声に気づいた人間はいなかったのか、照明が落とされた機内はひっそりと静まりかえったままだった。安心した俺は一層愛撫に熱を入れ、押し殺した彼女の吐息だけがコンパートメント内に響いた。
ここは高度1万mの空を行く航空機の中。周囲から隔離された個室型の上質かつ快適な空間。大阪ーハワイ便の一席に俺たちはいた。竜王戦第一局の舞台へと向かう旅路の途中だ。保護者である俺が何日も不在にするのに一人残していくわけにはいかない、というお題目のもと
今回は彼女も同道していた。早すぎる就寝時間に暇を持て余した俺が悪戯をしかけたのはある意味予定調和みたいなものだった。
本人は一貫して嫌がる様子を見せながらも、下着の中に潜り込んだ俺の手指はあっという間に粘液に塗れていた。彼女の肉の花びらは主の意志をあっさりと裏切り無条件降伏していた。涎をこぼす陰唇をかき分け、鉤上に曲げた二本指で陰核の裏側当たりをざりざりと擦ってやれば彼女の両脚がぴんと伸びた。のけぞるように背をシートに押しつけ白い喉を晒している。あっさりと気をやってしまったらしい。
高高度からさらに天高く昇天した彼女が降りてくるのを、手の動きを止めてゆっくりと見守る。やがて硬直していたその肢体が緩み脱力した。だらりとシートに身を預けた彼女はこちらを恨みがましい目で見てくる。
そんな彼女に苦笑して──コンコンと戸をノックする音が響いた。瞬間緊張が走る。彼女はびくんと身を震わせ、中はぎゅっと俺の指を締めつけた。軽くいってしまったのか声なき声を漏らす彼女。俺も冷や汗を額に浮かべながら戸へと視線を向けた。
外からキャビンアテンダントの潜めた声。こちらの体調を心配しているようだった。俺は彼女が酔ってしまったようなので酔い止めをくれないかと返した。承知した旨を返すと足音は去って行く。
危機は去ったらしい。ゆっくりと息を吐き、彼女の中から指を引き抜くと俺もずるずるとシートにもたれかかった。さすがにそれ以上機内で何かできるわけもなく。
◇
そして俺は欲求不満を持て余しているというわけだ。彼女は飛ばしたものの俺自身はいってないからね。ここで一発抜いておくかと彼女に手を伸ばし。けれど背後から響いてきたざくざくと砂を踏みしめる音に手を止めた。
いったい誰だ。ここはホテルのプライベートビーチ。対局者にリラックスしてもらうためとのことで部外者は立ち入り禁止になっているはずなのだが。煩わしさとともに振り返った俺の視線の先にいたのは──銀髪セーラー服の美少女。
アイエエエ!? アネデシ!? アネデシナンデ!?
おかしい。姉弟子は「いややああああ! わしが、わしがりなりーを課金率トップに押し上げるんやぁぁぁ!!」と泣き叫ぶ
尋ねる俺を無視して姉弟子は、こちらを零度の視線で刺しながら言い放った。
「八一。あんた小学生になんて水着着せてるわけ。ロリコン」
その台詞に視線を彼女に戻す。あ。やっべ。
彼女のほっそりとした肢体を包むのは──というか包めていないが、かろうじてその肌に貼り付いているのは極小のマイクロビキニだった。白い肌に黒のコントラストが美しい。生地は薄くその下の尖りを隠さない。彼女との二人きりの空間で愉しむために用意した逸品である。間借り間違っても女子中学生に見せていい代物ではない。
「いやーこれはですね、姉弟子。なんと言いますか……」
「そんなに大騒ぎするほどの格好ですかね。これ」
必死で言い訳を考える俺を余所に、彼女はあっさりと言い放った。視線を落とし、興味なさげに肩紐をひっぱったり放したりしながら。そのせいでちらちらと薄桃色の乳輪が覗いてしまっているが本人に気にした様子はない。
「八一先生にお願いされていろんな服? を着てますけどその中じゃ比較的おとなしいほうですよ」
まあ極薄のベビードールやアナルビーズ付きの黒猫コスなどに較べればおとなしいと言えよう。……言えるよね?
姉弟子の怒りの矛先が口を挟んだ彼女へ向く。(頭が)おかしいんじゃないのかと噛み付くが彼女の反応は薄い。適当にながした上で最後は俺が喜んでくれるんだからいいじゃないかと結論づけた。姉弟子の怒りは加熱するばかり。やばい。
「空先生ももし好きな相手がいるならしてあげたらどうですか? こういう格好。きっと喜んでくれると思いますよ?」
どうせお前にはできやしないだろうけど。そんな嘲りが透けて見えるような物言いだった。どうやらその推測は正しかったらしい。赫怒に顔を染め自分はお前と違って体をつかって男に取り入るような安っぽい女ではないのだと言い返す姉弟子を彼女は鼻で嗤ったのだ。そして。
「そんなのだからその年になっても処女なのよ」
処女なんて単語知ってたんだね。おませさん(現実逃避)
そんなまさかと愕然とした表情を晒す姉弟子。彼女は下腹部を撫でながら艶然とした微笑を姉弟子へ向ける。そして「好きな人をお腹の中に受け入れるのってとっても幸せな気持ちになれるんですよ?」と訳知り顔に語って見せた。
まあ実際のところ彼女はまだ処女なわけだが。とはいえ本人はあれを本物のセックスだと思っているし、姉弟子もまさかお尻でしているなどと想像するはずもない。俺もそれを指摘することはできない。仮に口にしても両者から不興を買うだけだろう。事ここに至ってはなりゆきを見守るしかない。わいは無力や。
そしてまもなく。女たちによるマウントの取り合いに決着がついた。経験のあるなしというのは彼女たちにとってヒエラルキーを明確に決定づけるものだったらしく。姉弟子は殺気を孕んだ視線で俺をひと睨みするとざしざしと足音も荒く砂浜を去って行った。
その後ろ姿を見送りながら、俺はどうか誰にも黙っていてくださいと祈るしかなかった。わいは無力や。そして姉弟子の姿が完全に見えなくなった頃。彼女が俺の腕に抱きついてきた。濡れた瞳で俺を見上げている。
そのまま彼女は俺の腕をとるとパンツの下へと招き入れた。熱気のこもった小空間。俺の指先にはねっとりと熱い粘液が纏わり付いてきていた。彼女と視線を合わせた。そしてもうどうにでもなあれと割り切った俺は、彼女の洞窟へと指を進めるとともにその唇へと口づけを落とすのだった。