※この作品はR-18です。

天衣ドルマスター   作:りりーまるれーん

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原作14巻のラストに触発され、慌てて書きかけだったものを仕上げたでごわす


不協和音 ~四年目、十二月~

「ガハッ……!!」

 

 空嘔吐きが止まらない。視界が明滅し、呼吸もままならかった。すべてはこの終わらない一分将棋のせいだ。

 

 竜王戦第四局。ハワイでの初戦からまさかの三連敗を喫し、早々に迎えてしまったこの角番。彼女に多大な迷惑をかけながらも何とか精神状態を立て直した俺は必勝を期して対局場となる和倉温泉へと乗り込んだ。

 

 名人と竜王。誇張でなく互いが最善手を指し続けたその対局は、長らく机上の空論とされていた『最後の審判』を盤上に生み出し勝負無効。千日手の規定に準じて先後入れ替えての指し直しとなった。

 

 双方ともに二日制の持ち時間をすべて使い尽くすまで指した後での指し直し局。持ち時間が追加分1時間しかないその対局は早指し戦になった。30分の小休止の間に完全に早見え早指しのギアに変えてきた名人に対して、俺は二日制の時間感覚から上手く切り替えることができなかった。

 

 結果早々に持ち時間を使い果たしてしまった。名人も戦略からかあるときから持ち時間を一切使わず。以降俺たちは無呼吸でパンチを交わし続けるような1分将棋をずっと指している。

 

 

 

 時間が……時間が欲しかった。

 

 読み切るための時間が。けれどそんな俺の渇望を名人も見抜いているのだろう。自分も疲労の濃く出た顔を苦悶に歪めながらも残り僅かな持ち時間の消費を頑なに避け、俺との地獄巡りを続ける。

 

 どちらにも詰みがありそうな局面。時間さえあれば。けれど秒読みに急かされながら盤上でのたうち回るしかなかった。そして。

 

 それまで前後に激しく体を揺すり、苦しそうに顔を歪めていた名人が突如としてすぅっと上体を起こし動きを止めた。それは名人の中で形勢判断に変化があったことを意味していた。

 

 まさか。詰んだのか……? 

 

 絶望とこの1分将棋から逃れられるという安堵が同時に去来する。そしてギロチンが落ちるのを待つ罪人のような気持ちで名人の動きを見守っているとふと気になるものを目にした。名人が傍らの水差しに手を伸ばし、コップへ水を注ぎ始めたのだ。

 

 

 名人が最後の読みを入れる? 持ち時間を使って……時間が手に入る…………? 

 

 

 冷めた体に再び火が点る。思考が回転を始める。名人がコップを口元へ運ぶ。それは俺を見守って──

 

 

 

 ◇

 

 

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!」

 

 俺は怒りに任せてデスク上のものをなぎ払っていた。床に落ちたディスプレイには奇跡的に損傷はなく、Webブラウザを表示し続けていた。ポータルサイト上に表示されたニュースのヘッドライン。そこには『永世七冠誕生。タイトル獲得百期。九頭竜は最年少永世資格逃す』とあった。

 

 

 くそッ! くそッッ!! くそぉッッッ!!! 

 

 

 数時間前のことがまざまざと甦る。第四局の対局場となったひな鶴の一室。名人を囲む報道陣は勝因を問うた。それに対する名人の回答は『弟子の献身』だった。指し直し局が始まる前のほんの30分程度の休憩時間。その間に弟子の雛鶴さんは控え室を暖め、軽食を用意し、風呂と寝床を整えと準備万端で迎えていたらしい。そのおかげで回復できた体力が勝負を分けたと。

 

 あの時──名人は水を飲まなかった。何かを思い出したように瞬きをすると一旦コップを置き、先に手を指してから改めてコップをとったのだ。

 

 俺に時間は訪れなかった。結果読み切れないまま指し続けることになり……ほどなく投了した。

 

 投了を告げてから記者たちが押し寄せてくるまでの僅かな時間。未練がましく検討し直してみたら勝ち筋を見つけてしまって余計に自分が許せなくなってしまった。細いながらも攻めを成立させる手はあったのだ。結局それも投了後では名人の偉業を彩るエピソードの一つにしかならなかったが。

 

 がつんがつんとデスクを殴る。あと少しを指しきれなかったことを責めるように。当然そんなことで自分への怒りが収まるわけじゃない。けれど自身を痛めつける以外にやりようがなかった。

 

 拳からくる鈍い痛みの抗議を無視して再び振り上げたところでコンコンと戸をノックする音が鳴った。後に続いたのは俺のことを気遣う彼女の声。けれど今ばかりはそれも煩わしさしか感じない。放っておいてくれとだけ返した。

 

 けれどその言いつけは守られることはなく。きぃと音を立てて薄く戸が開く。隙間から彼女がすべりこんできた。そのままトトトと小走りに寄ってくる彼女。俺は無視したまま振り返りもしない。そしてデスクに打ち付けていた拳にそっと手を重ねてきた。

 

 それは俺の自傷行為を止めるためであり、いたわりであったのだろう。けれどその時の俺に彼女の思いを察するような余裕はなく、それを憐れみと受け取った。そして所有物から憐れみを受ける我が身があまりに情けなく、ただただ苛立ちを募らせた。

 

 

 

 この苛立ちをどうにかしたくて仕方なくて……そして思い至った。彼女の腕をむんずと掴む。そして半ば引き摺るようにしてベッドまで連れて行くとその上へと放り投げた。乱暴な扱いに抗議の声を上げる彼女。無視してひん剥きにかかる。

 

 なおも抵抗を続ける彼女の両手首ひとまとめにして押さえ、もう片方の手でぷちぷちとボタンを外していく。前をはだけさせてお次はキュロットスカート。パンツごと手荒く引っこ抜きその場に打ち捨てる。そして華奢な両足首を掴んで大きく割り開いた。

 

 大開脚にも関わらずそこは清楚に中身を隠し、真白な縦すじの状態を保っていた。けれどその清楚さも外面だけだ。開脚を強いたまま無防備な割れ目をぐりぐりと膝で押し潰す。そんな雑な愛撫で、そして彼女の意志に反して、瞬く間に彼女の欲しがりなそこは涎を垂らし始める。

 

 そこまでで準備は切り上げた。彼女のことを慮ればまだまだ足りなかろうが、これはあくまで俺本位な行為だから。ガチャガチャとベルトのバックルを外す。脱ぐ時間すらもどかしい。俺の愛棒もすっかり猛りきっていた。

 

 そんな俺の様子に彼女もようやく諦めたようだった。今日はまだ準備ができていないので待ってくれと言う。けれどこれからやることに前準備は必要ないのだ。無視して彼女の両脚の間に腰を進めようとして。そこでなぜか彼女と視線が合うのが気になり、その体を裏返した。うつ伏せにさせ、尻だけ上げさせる。

 

「ま、待ってっ……て? え、そっちは違──」

 

 いきり立った逸物を彼女の汁をこぼす源泉に押し当てて。そして俺は──

 

 

 

 

 

 

 ◇◇おまけ:竜王戦第四局指し直し局前の休憩時間にて◇◇

 

 

 

 小指の爪先程度の小粒な突起。それになぜこんなにも心引かれるのだろうか。薄桃のそれは俺の幼心を刺激してやまない。口に含んでみる。無味のはずなのになぜかほのかに甘みを感じる。甘噛みしてみる。初めは柔らかく。徐々に弾力を増していく。それはグミのようで、けれどそれよりも遙かに魅惑的な。

 

「…………楽しい?」

 

 不意に声が落ちてくる。そちらを見れば、呆れ混じりの瞳が俺を見下ろしていた。控えめに言って最高だと返す。彼女は美しい瞳を閉じると処置なしとばかりに深々と溜息をついた。残念ながらこの悦びを女の子と共有するのは難しいだろう。

 

 言葉を尽くす無意味さを悟った俺は早々に諦め、再びそれと向き合う。先の甘噛みのせいか、紅を増している。小さな外輪に較べるとやや育ちすぎな中心部。真白な平原ににょきっとそこだけ卑猥に突き出した尖りへ改めて吸い付いた。ちゅっこちゅっこと吸い出せばやはり甘い。まだ彼女のそこは本来の機能を果たせないはずなのに。

 

 無心で吸い付くその姿に心打たれたのか、呆れ顔だったはずの彼女は俺の後頭部に回した腕をそっと引き寄せ、自分の胸をより押しつけるようにしてくれた。やさしい。

 

 そして彼女のもう片方の繊手が俺の股間へと伸びる。半勃ち状態で外気に晒されている逸物の根元から先端へとゆっくりと撫で上げてくる。ぞくぞくくる怪しい手つき。そんな動きを4度5度と繰り返されると俺の逸物はガチガチに勃ち上がっていた。

 

 完勃起を確認すると彼女は一旦手の動きを止め、手のひらに唾液を垂らす。今度は白魚のような五指が逸物に巻き付いてきた。彼女の小さな手では幹を一周するのに足らない。けれどそのまま優しく扱きあげてきた。

 

 リズミカルに上下する手がにゅちゅにちゅと卑猥な粘着音を立てる。その手腕は既に練達の息に達している。特に裏筋と亀頭を撫でられると大きな快感が走った。いいぞ、という気持ちを伝えるため、より一層熱を籠めて彼女の尖りを吸う。

 

 

 

 それからどれくらい経っただろうか。熱いものが奥底からこみ上げてくる。彼女もそれを感じ取ったのだろう。手コキがより激しくなる。けれどあくまで根元から絞り出すように丁寧に。それはまるでガンバレガンバレと背中を押されているようで。

 

 まもなく決壊の時は来た。俺はリラックスしたままその衝動に逆らうことなく放出した。すかさず彼女は先端を手のひらで覆うようにし受け止めてくれる。指先は引き続き亀頭を撫でて最高に気持ちいい射精をサポートしてくれていた。

 

 やがて放出が収まって。俺は彼女の乳首から口を離した。ぱんぱんに血液が詰まって張り詰めたそれは俺の唾液でてらてらと輝いていた。彼女も逸物から手を放す。白濁にべっとりと汚れた手のひらを無言で眺めていた。そして「いっぱい出たわね」と一言呟くと、ぺろりと手のひらのものを舐めとるのだった。




執筆中聞いてたBGM:RADWINMPS「愛にできることはまだあるかい」
(熱い風評被害)
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