天衣ドルマスター 作:りりーまるれーん
ということで更新です。
カーテン越しに差し込む光を感じて薄く目を開いた。ぼんやりとした視界に映るのは見慣れた天井。古ぼけた2DKアパートの一室。PCやベッドを設置して私室扱いにしている部屋だった。
いつもの我が家にいつものベッド。けれどその中にあっていつもと違うものがひとつ。ベッドに横たわる俺の傍らに温もりがあった。布団を軽くまくって覗き込めば、俺の胸元に寄り添うように小さな頭がある。
昨日から我が家の所有物あるいは
そう。昨晩は彼女といっしょにベッドに入ったのだった。抵抗する彼女を説き伏せて。当然、今後も彼女の寝床は俺の懐になる。激動の一日にさすがの彼女も疲れていたのか、最初は傍らの俺を警戒していた彼女もわりとすぐに寝付いた。そして今もしどけない寝姿を晒している。
薄いベビードール越しに透けた胸が呼吸に合わせて穏やかに上下している。これも昨晩俺が無理に彼女に着せたものだ。肢体を隠す役目を放棄した男の情欲を煽るためだけの一品。それを本来男の欲望とは無縁のはずの幼子が着ている。非常に扇情的な光景だ。
呼吸に上下する胸の上にちょこんと鎮座した薄桃色が目に楽しい。ふとベビードール越しに手のひらを当てて円を描くように撫でてみた。シルクのさらさらとした手触り。そしてひっかるような尖りの感触。
むくむくと悪戯心を刺激された俺は脇から布地の下に手を突っ込む。そして爪先でかりかりと引っ掻いてみた。するとしばらくして、明らかに尖りが堅さを増した。やや体積も増えたような気がする。こんな歳でも体は刺激を受け取るらしい。
弄り方を変えてみた。親指の腹で上からくりくりと押し潰してみる。あるいはぎりぎり摘まめるかどうかのものを上下に扱きあげてみたり。いつの間にか夢中になって延々と続けていた。
どれほど経っただろうか。5分ほどかあるいはもっとか。きっと俺が送り続けた刺激のせいだろう。彼女の眉間が顰められたかと思うと、その眼がゆるゆると開かれた。素早く手を引く。
寝ぼけ眼で俺の顔を確認した後、視線が左右する。そして再び俺へ。ここで現実を認識したのか苦々しい表情を浮かべるとともにしっかりと目が開いた。いつまでも俺にくっついている気はないのか、すぐに身を起こした。
彼女が起き上がったことで二人の位置関係が変わった。変わらず不機嫌な表情で俺を見下ろしてくる。彼女は気づいていないが先までの悪戯で尖りを増した乳首がベビードールの薄い布地を下から押し上げてしまっていた。その非常に背徳的な姿が俺の目を楽しませるのだった。
さて、いつまでも遊んでばかりもいられない。食前のキスをしてから近くのコンビニで買ってきたもので軽く朝食を済ませた後。本業のための時間に充てることにした。
和室の押し入れから将棋盤を引っ張り出し、適当に部屋の中央当たりに設置する。座布団もその前に。次に私室からノートPCを持ってきて傍らに置き、今日研究する予定だった最新型の局面の棋譜を呼び出す。それに合わせて盤上に駒を並べた。
俺の研究時の方法は様々だ。PCだけでやることもあれば今日のように実際に駒を並べることもある。効率だけでいうならPCだけで済ます方がいいのだが、実際に並べることでより良く頭の中に入ってくるような気もする。ということで場合によってスタイルを使い分けていた。
指し進めながら一手一手の意味を自分なりに考え、棋譜をなぞる以上の手がないか検討していく。そうやって小一時間ほど過ごしただろうか。ふと俺に注がれる視線に気づいた。視線のもとへ目をやると、ダイニングキッチンに続くふすまを頭一つ分だけ開けてこちらを覗く天衣と目が合った。
食後、彼女には向こうで自由にしているように言っておいたのだが。放置されたらされたで俺の動向が気にになってしまうらしい。
覗き見ていたことがばれたためか少々バツが悪そうにしながらも、開き直ったのかふすまを開け放ってこちらに近づいてくる。これは少々意外だった。俺は昨日から彼女を興味に任せてべたべたと弄り回している。これで好かれると思うほど俺も脳天気じゃない。嫌われているどころか憎まれていてもいいくらいだろうが……それが自分から近づいてくるなんて。
「あなた……将棋指すのね」
何をしたいのかと見守っていると、彼女から出てきたのはそんな言葉だった。見れば分かるだろうに何が言いたいのか分からず「ああ」とだけ返す。
「将棋指しで九頭竜八一ってもしかして……」
そこまで言われて理解した。彼女は俺の正体に思い至ったらしい。いや、正体というほどたいそうなものじゃないが。とりあえず頷いて見せた。
「やっぱり……最年少竜王の……」
「知ってたか」
そう。俺の職業はプロ棋士。そして天衣が言ったとおり、先日行われた竜王戦でタイトルを奪取した。16歳4ヶ月での獲得は竜王位としてもタイトル保持者としても最年少記録だった。将棋を知る人間の間ではそれなりの有名人である。
昨日は天衣を手に入れた初日ということもあって、彼女を構うことにすべての時間を費やしたが普段はそうもいかない。プロ棋士として日々の切磋琢磨は必須だ。それに切実な理由もあった。
金がない。
竜王戦で得た賞金はそのほとんどを天衣の代金に注ぎ込んでしまった。日々の対局料や竜王挑戦までの道中で得た賞金は多少あれど納めないといけない税金を考えると少々苦しい。それに大切な愛玩具である彼女の食事や服など維持・メンテナンスにもそれなりの金額を使いたい。
けれど、まだ駆け出しの棋士である俺が参加できる棋戦は限られる。そう考えると日々の対局での白星の積み重ね、それに年末の竜王位防衛をなんとしても果たす必要がある。そんなことを考えていると。
「お父様が将棋好きで……」
「アマ名人だったな。俺も何度か会ったことあるぞ」
天衣の亡き父、
「あなたが私を買ったのってもしかしてお父様と関係が……?」
「いや。まったく関係ないぞ」
どこか期待するようにおずおずと聞いてきた彼女の質問をばっさり否定する。目に見えてしゅんとする天衣。が、言葉の通り彼女を買ったことと彼女の父親とはまったく関係ない。そもそも関係があるのなら彼女にこのような扱いはしないだろう。
彼女を買ったのはただただ性欲の対象としてどストライクだったからだ。天衣本人は覚えていないだろうが、以前、天祐氏に引き合わされる形で俺は天衣と会っている。
『このくじゅ! ちかよらないで!』
『きもちわるりゅいかお、ちかじゅけりゅんじゃないわよ。このくじゅ!』
『おうましゃんごっこしゅるわよ。よちゅんばいになりなちゃいよ!』
彼女は幼さの中に気の強そうなところも見えて、俺の好みのタイプだった。それに彼女が将来、超絶美人に成長するだろうことは約束されているようなものだ。そんな彼女を成長の過程ごとまるっと自分のものにできる。そう知ったとき、それを実現できるだけの金が手元にあった。これで迷う理由はないだろう?
「単純におまえが俺の好みだったから買っただけだ。そうじゃなきゃ見知らぬ子供に大金を出したりしない」
口惜しそうな様子の天衣にそう素直に伝えると、彼女は驚いたように目を丸くした後、頬を赤く染めた。これは怒りを買ったかな。ご機嫌取りというわけじゃないが、ふと思いついたことがある。
「天衣、将棋はしたことあるのか?」
「……お父様とお母様とはよく指していたわ」
「今も興味があるなら、俺が教えてやろうか?」
彼女は真意を探るかのように俺の表情をうかがった後、やがてこくんと顎を縦に振った。この俺の誘いには深い意図があったわけじゃない。ただ思い出したのだ。
天祐氏には生前、天衣が望むなら俺の弟子にしてやってほしいと言われていた。娘を玩具にする罪滅ぼしというわけじゃないが。彼への義理を果たすため、それくらいのことはしてもいいかと思った。
座布団をもう一枚、盤を挟んだ対面に置く。そしてちょいちょいと手招きして彼女を座らせる。駒を並べるよう指示すれば、拙い手つきながらも迷わず駒を開始位置へと並べ直していく。それを見ながら俺も駒を並べ直す。そこから飛車角香車2枚を落として。
「「よろしくお願いします」」
俺の玩具にして初弟子となる彼女のその実力を見るために。二人にとって初めての対局を開始した。
ここまで読んでいただいた方はもうお気づきでしょうが、原作から各種設定を少々いじっています。
最たるものとしては天ちゃんの年齢。原作登場時は9歳ですが本作では5歳。ということで八一との年齢差はより開いています。
その他の登場人物は、姉弟子や桂香さんたちは原作通り。あいちゃんやJS研はおそらく天衣と同じ扱いになるかと。彼女たちが出るまでこの作品が続けばですが。
あと薄々お察しになってかと思いますが、天ちゃんとの本番はまだだいぶ先になります。まだ5歳だからね。仕方ないね。