感想も、一言でもとても嬉しいので、是非…。
蓮は深々とお辞儀をする。その姿は、さながらショーを演じる
――“
奇想天外な行動で観衆を楽しませる“道化師”。狼狽する彼女の目には、雨宮蓮という男がピエロに見えていた。自分はこの男に感情を揺さぶられている。掌で、いいように転がされている。彼女がそう気づいた時にはもう遅かった。“ショー”は終わりを迎え、蓮は深々とお辞儀をする。「楽しんで頂けたかな?」というセリフが今にも彼から聞こえてきそうだが、彼女は何よりも終始彼の独壇場であったのが許せなかった。
――なんなの、この男…。
丁寧な姿勢から直る彼の顔は、前にみた「雨宮 蓮」の顔に変わっていた。それは、まるで今まで被っていたマスクを脱いだように、コロッと呆気なく変わっていた。さっきの“悪魔のような笑み”はどこに…?
「あなた…どういうつもり?」
榊は食い下がる。ここは何としても一矢報いてやらないと気が済まない。が、咄嗟に出たのは曖昧な質問。
「…どういうことだ?」
もちろん疑問形で帰ってくる。榊は勢いを、自ら湧き上がる、彼に対する畏怖と怒りに託す。
「なぜ、“自供”したの?バカなの?」
「馬鹿とは…心外だ」
「だって貴方は自ら正体をバラした。私の根拠のない“憶測”なんて“それは気のせいだ”とか“杞憂だ”とかで有耶無耶にできたじゃない…」
「確かに。でもそうする
「っ!!…何それ、あなたこの秘密がバレたらここには居られなくなるんじゃ…」
「――“バラさない”…だろ?」
「なにっ!」
彼女自身、蓮が何を言おうとしているかは薄々気が付いていた。しかし、彼女に芽生えた“反骨精神”が思わず彼のキザなセリフに噛みついてしまう。
「交換条件もなしに、いきなり脅し。どうせ口から出まかせだろう」
「そ、それはっ…」
「本当に俺を消したいなら、何も言わず立ち去り、そのまま学園長に届け出ていただろう」
「…」
榊は完全に黙る。再びペースは蓮へと戻る。
「別に喧嘩を売るつもりはないが、今は証拠不十分。届け出たとしても相手にされないのがオチ。かといって学園側で調べても何も出て来やしない。警察と東京地検が総力を挙げても無理だったからな」
すると、蓮は硬直する榊の横を通り過ぎる。
「…他人の事を詮索するのは頂けないな」
「そんなの…私の勝手でしょ?」
「それじゃあ俺は君の事情に突っ込んでもいいのかい?」
「事情…?」
一瞬、榊の表情が曇る。もちろん蓮はそれを見逃さない。
「それじゃあ、俺は寝るから」
ただその一言を残して、蓮は屋上の扉から出ていった。