※この作品はR-18です。

グリザイアの幻影   作:unknownname

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14.彼女と、会社

 「何だと?」

 

 「だから…別にそれでもいーよって…」

 

 何を言っているのだこの女は。と、蓮は困惑する。普通ここはドン引きして態度を変えるのが普通じゃないのか?それとも俺の認識が間違っていたのか?とか色々と推測するが、彼は理解が追い付いていなかった。それよりも彼の“暴露作戦”が見事に失敗し、窮地に陥ってしまったこの状況を一刻も早く打開しなければならない。

 

 「本気か?天音」

 

 蓮の問いかけに天音は静かに頷く。目は本気だ、これは質の悪い冗談なんかじゃない。そう気が付いた時にはもうクライマックスを迎えていた。

 

 「それで…返事は?」

 

 彼女は頬を赤らめ、上目遣いで蓮に求めてくる。そんな様子を見て蓮の決意が揺らぐ。そして、自分の魅力を恨んだ。こんなの、悪い事ばかりじゃないかと。

 

 「そんなに言うなら…いいよ」

 

 「えっ!」

 

 蓮の渋々の承諾に天音は驚く。

 

 「ただしさっきも言ったように、俺は“クズ”だ。そこは勘違いしないでくれ」

 

 「わ、分かった!…あ、ありがとう!」

 

 彼女はすごく嬉しそうに笑って見せる。その笑顔を見た蓮に、ふと昨日の様な違和感が襲う。――これでまた一人。その邪悪な思考がどこから沸いたのか分からないが、彼はその邪念を急いで振り払う。

 

 

 「ね、ねえ。…そう言えばここ誰も来ないんだよね」

 

 何を思ったのか、天音はそう言って頬を赤らめると、トロンとした目で体操着をはだける。そんな彼女に呆れた蓮は「ハァ」とため息をつくと、踵を返して引き戸に向かう。

 

 「ちょ、ちょっと!何帰ろうとしてるの?」

 

 「ケガ人なんだから大人しくしておいた方がいい。俺は先に戻ってる」

 

 「ちょっとー!今の雰囲気どうなったの!」

 

 

 

 

 色気づく天音を放置して保健室を出てきた蓮は、昇降口の自動販売機の前で考え込んでいた。運動の後はやはり無難に水を選択するのがいいのか?それとも欲求に正直になって、炭酸飲料を…。考えれば考えるほど無限に続く螺旋階段みたいにぐるぐると思考が複雑に、こんがらがっていく。

 

 そうやって悩んだ挙句、買ったのはお茶だった。

 

 「ずいぶんと悩んでたのね~」

 

 背後から女性、学園長の声が聞こえた。

 

 「が、学園長?」

 

 「私も買いたいものあるからちょっとどいて~」

 

 蓮は慌てて退くと、お茶のキャップを外す。

 

 「いつからそこにいたんですか?」

 

 「うーん、十分前?」

 

 十分も気配を消して背後に潜んでいたのか。中々侮れないな…学園長。さっさと立ち去ろうと思っていた蓮だったが、とある疑問を抱えたままもやもやしていたので、学園長にぶつけてみることにした。

 

 「…榊 由美子だが」

 

 「あら、榊さんがどうかした?」

 

 「別にどうと言うことはないんだが…榊って例の“榊”か?」

 

 学園長は蓮と同じお茶を購入すると、キャップを開け、一飲みする。

 

 「あなたがどの榊の事を言っているか分からないけど…この学園を運営する“東浜電鉄グループ”の総帥、榊 道明(さかき みちあき)さんの娘さんよ」

 

 話すのが不快だと言わんばかりに、学園長はぐびっとお茶を飲む。一方で、蓮は聞きたいことが聞けて満足したので、飲みかけのお茶と共にその場を後にした。

 

 (東浜電鉄グループ…か)

 

 学園長からの話を聞いて確信を得た蓮は、更に浮かび上がる疑問を整理していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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