※この作品はR-18です。

キミイロに染まるヒストリア   作:ぽっぷ!

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終章 フタリノイロに染め上げて

桜の花が満開になった。

空を見上げて、スマホで写真を撮る。

 

 

「もう卒業か…」そう呟く。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あの花見から一年。色々あった。

ニドルがやってきた。

女王オルトが目覚めた。

それを、みんなで食い止めた。

…俺がオルタナたちから記憶を奪われそうになった。

 

なんやかんやで色々あったが、みんな、卒業だ。

 

オルタナの卒業というのは、年齢に左右されないようだ。使命を全うしたオルタナは、一人の女性としてこの学園から巣立ちできるのだ…とどこかで聞いた気がする。

 

 

明日、19名の卒業式が行われる。

 

 

自らキャプテンを志し、就任してから色々あった。

たくさんのオルタナとの出会い。

ベルルやメーヤとの出会い。

元オルタナの教師たちとの出会い。

残酷な運命。

抗うべき未来。

そして…

 

 

「…結衣」

 

 

結衣のことを、今でも想っているのであった。

 

 

 

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「…というわけで、君には最後に、みんなをまとめて、最後のミーティングを開いてもらう」

理事長室に呼ばれた俺は、理事長の話を聞いていた。

なんだかんだあったが、この人にもとてもお世話になった。この人の指示がなければきちんと業務をこなせていなかったかもしれない。とは言っても、記憶を消そうとしたのはこの人なんだが。そこは許さないからな?

 

 

「ミーティングはどのような感じで行えば良いでしょうか?」

「君が今のオルタナたちを束ねてきたんだ。最後まで君の好きなようにやるといい」

「…若干投げやりすぎませんかね?」

「とはいっても、新任のキャプテンは決まっていて、その仕事の引き継ぎも完了しているのだろう?なら、それ以上残すことはないだろう」

「はい」

そう、俺もみんなの卒業と同時に、キャプテンをやめ、妃十三学園を出ることとなる。キャプテンとしての日々は楽しかったが、自分でも決心がついたのだ。そう…

 

 

「それに君は、やるべきことがあるだろう?」

こちらを見つめ、ニヤニヤする理事長。悪い大人の表情だ。

「…もしかして」

「もしかして?君と織宮君が恋仲なのは薄々気づいていてな。…恋愛禁止を唱えてはいたが、それはキャプテンとオルタナとの関係が崩れることを危惧していたからでな。勿論黙認してたわけではない。…君が、信頼できるキャプテンであると、オルタナたちの信頼度…特に、織宮君の雰囲気から感じ取ったんだよ」

そういえばそうだった。恋愛禁止条例なんてありましたっけ。なんか例外みたくなって申し訳ないっす。

「バレてましたか」

「まぁ私も男だ。恋する男子の雰囲気はよくわかる。…私も君みたく若い頃はオルタナたちに恋したさ。でも無理だった。私は一歩踏み出せなかったからな。キャプテンとオルタナとの関係を壊せない。でも君はやってのけた。オルタナと恋仲になったこと。そして…記憶を消されなかったこと。歴代キャプテンでも例外だらけだ」

昔のお偉いさんの昔話だ。うわ、となりながらも理事長も同じ境遇でキャプテンをやっていたとなると、なんだか安心というか。

 

「それで、織宮君とのことは?」

「ほぇ?」唐突に振られて、間抜けな声が出てしまった。

「他のオルタナたちに伝えているのかね?君が織宮君と付き合っていることを」

「…伝えてませんね」

「まぁそうだな…だから今の君がいる、といったところか」

「…伝えた方が良いですか?」

「いや…もう明かしてもいいのではないかな、と」そう言うと、また悪い大人の顔をしていた。

 

「何はともあれ、君もある意味では卒業だな。…おめでとう」

「…ありがとうございます」

そうおじきをし、しばらく話をしてから理事長室を後にした。

 

 

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「…ふぅ」

長い小説を読み終えた。これがこの妃十三学園最後の読者と考えるとなんだか物寂しい。

既に残りの図書委員には仕事の引き継ぎを行い、私が最後の鍵閉めを行うこととなった。

 

 

私も、もう卒業である。

 

 

たくさん苦しいことがあったけど、みんながいてくれた。そして…キャプテンがいてくれた。だからこんな私でも強くなれた。

 

この学園でいろんなことを知った。たくさんの不思議。たくさんの発見。ひとつだけの…恋。

全部大切な宝物。

 

 

鍵を閉めて図書館を見上げる。たくさんの出会いをくれたこの図書館にも感謝だ。

 

 

 

職員室に鍵を返すついでにラウンジを覗いてみる。夕暮れ時のラウンジにしては珍しく、誰もいない。

「…新鮮」そうぽつりと言葉が出た。

多分他のみんなも卒業だから、思い思いのことをしているのだろうか。

 

 

 

屋上に出てみる。

ここも、大切な場所。

誕生日を祝ってもらったり、バレンタインのチョコを渡したり、…告白して付き合い始めたり。そんな場所だ。

屋上から見える景色は、学園に来てからだいぶ変わった。学園内にも様々なものができたし、景色からはいろんなものが消えたりした。でもこの馬車も、あの空も、変わらない。雲の中に見えた光は、まっすぐに未来へ向かっているように見えた。

 

 

「…結衣」

 

 

後ろからかけられた声に、意識が行った。この生活の中でできた、大切な人だ。

 

「…きゃぷてん」

 

 

 

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探していた結衣は、屋上にいた。

放課後から各オルタナに卒業前の個別の挨拶に回っていた。結衣を最後にしたのは…言いたいことがたくさんあるからだ。

 

「まずは卒業…おめでとう」

「うん。…最初は退屈だなぁって思ってたけど、たくさんの出会いがあった。感謝」そう微笑んだ。

オルタナに目覚める前はあまり学校に行けてなかった、という話を聞いて一時は心配ではあったが、いろんな出会いがあったようで、今でもこうして笑ってくれていることにありがたみを感じる。

「たくさんの本も読めた」

「いろんな本を読んでたな」

「きゃぷてんが『砂猫の惑星』を読んでたって聞いた時は、運命を感じた」

「楽しみにしてた続編を俺が先に呼んじゃって、結衣がふてくされちゃったときもあったな」

「そういえば…〜っ…」恥ずかしそうな俯く。すぐ照れるのも、可愛らしい。

「あとは『ハピネス・ラヴ』だっけーー」

「〜〜〜っ…!!」ポカポカ叩いてくる。優しい。痛くない。

 

 

「…ところで、結衣は卒業後は大学に行くんだよな?」

こくりと頷く。宇宙学とか、そのあたりの分野に強い大学を志すことを決めていたのだった。それで、推薦入試をなんとか勝ち取ったようだ。

「将来はやっぱり、研究者的な感じなのか?」

「…合っているようで合ってない。正確にはオカルト研究員になる」

「…オカルト、研究員?」

「そして最終的に…独立して自分の研究センターを作り、宇宙人と邂逅して言葉を覚えて交流を深めるの」

「宇宙みたいな壮大な夢だな」

「まぁまぁ、夢を見るのは自由でしょ?」

まあ確かにそうだ。HARDCOREと同じ。夢はデカい方がいい。宇宙の友達…いわばGalaxy Friendsもできるのかもしれない。

だから…そんな夢を応援してあげたい。

 

「もし…そんな壮大な夢を叶えるために不要じゃないなら、俺も支えてあげたい」

そう真面目にいうと、結衣がきょとんとした顔になってしまった…がその後ふふっ、と吹き出した。

「勿論。だって…」

 

 

「きゃぷてんは、大事な大事な存在だから」

 

 

「いつまでも、支えてくれたら嬉しい」

 

 

俺は無言で結衣に抱き着いた。その後、二人でそっとキスを交わした。

 

「ふふっ…きゃぷてん、大好き」

「俺もいつまでも…結衣が大好きだよ」

 

夕焼けに包まれた俺たちは、多分、昼だったらわかりやすいくらい顔を真っ赤にしてるはずで。

そのくらい好きで、愛おしくて、お互いが大切なんだ。

 

 

「…明日みんなとも最後だし、付き合ってること言っちゃうか」

「…だね。隠してても嫌だし…乃々と恋もいるし」

「あー…やっぱ大丈夫かな…」

なんか不安になってきた…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

卒業式が行われ、全ての卒業行程が終わった後、オルタナたちをラウンジに集めた。最後のミーティングだ。

みんなに感謝を述べたり、逆に感謝されたり。改めて、キャプテンという仕事ができてよかった、と心から思う。

 

 

「ところでこれは関係ない話ではあるが」切り出してみる。みんなこちらを向いた。結衣を手招きして、こちらに来させた。

「隠しておくのもしょうがないし、卒業のタイミングで伝えようと思ったんだが…私事ですが結衣と付き合っています」なんで最後改まってんだ俺。

みんなの反応を見てみよう。流石に驚きの表情が見られるだろう…

 

 

「やっぱり結衣っちと付き合ってたんだ!お似合いだね〜!」と美弥花。

 

「二人ともやっぱり成立してたんですね!今から結婚式のプランを練りますか…?」と若菜。何の心配だ。

 

「ふふ、お付き合いおめでとうございますっ」嬉しそうな詩音。

 

「ゆいんごの彼氏になっても、ゆいんごには一緒にアイドルやってもらうからねっ☆」と桜子。

 

「そっかー、結衣とかぁ〜…ちょっと意外やったわ」と直美。

 

「結衣はなかなか曲者だぞ。私ですら手を焼いたんだからな」謎ドヤ顔の真知。

 

「結衣ちゃんと、ですか…お似合いのなかよしさんですっ♪」と乃々。

 

「ちょっ、やっぱラブラブじゃ〜ん!ちょ〜ぴったしっしょ!」と愛梨。

 

「今からお祝いしましょ〜!ケーキなら作りますっ」既にケーキ作る気満々なこはる。

 

「おにーちゃん、ゆいちゃん、おめでとにゃんっ♪」素直に祝ってくれるつむぎ。

 

「結婚なされる場合はお気軽に西園寺グループにご連絡ください。私共で最高の結婚式を作り上げますわ」玲も既に結婚に向けてノリキ気である。早いって。

 

「おめでとう。こういうの…ソウシソウアイ、って言うんだよね…?」とシルビア。

 

「恋愛も青春よね〜…!ってキャプテン!?勿論、えっちなことはダメなんだからね!?」小百合…ごめんなさいもうしてます。喋らないけど。

 

「ダーリンのお嫁さんは結衣だったのか〜…ダ〜リンっ、ちゃんと大事にしてあげなきゃダメだべ?」と恋。

 

「お二人が幸せになるためなら、どんなことでもボクにお任せですっ!」胸に手を当て、いつものように言う日奈。

 

「キャプテンという醜い生き物が結衣さんという女神に拾われたわけですね。結衣さん、この駄犬のお世話は大変ですよ?」といつも通りの態度の千穂。

 

「ふふ…お幸せに、ですね〜」そう微笑む未幸。

 

「結衣とキャプテンが、か…最強のパーティー編成だな」とナタリー。

 

 

ちょっとだけ恐れていたが、みんな歓迎してくれていて本当に嬉しい。ありがたい。

これでひっそり恋愛しなくていい…とかいうわけではないが、肩の荷が降りたわけだ。

「まあそんなわけで、俺たちのことは温かく見守ってくれると嬉しい」

そう言うとみんなが頷いた。本当、いい子達を持ったな、と思う。結衣の方を向くと、照れたような笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

「それでそれで?どっちからコクったの?」

まぁ愛梨のこの質問を皮切りに、恥ずかしい質問タイムが始まったのは言うまでもないが…

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

夕陽に染まる街並みを丘から眺めている。近くには桜の木があり、風に吹かれた花弁がちらちら舞っている。

あの後結局パーティーが催され、ケーキを食べたりゲームをしたりして19人との最後の時間を楽しんだのだった。

 

 

「そういえば、キャプテンはどうするの…?」

「?」唐突に結衣に話を振られ、キョトンとしてしまった。

「キャプテンがキャプテンやめたらどうするのかなって…」

なんだそういうことか。それなら。

 

「結衣のために、俺もUMAとか宇宙学とか、いろんな知識を養おうかなって考えてる。早い話が大学院かな。…まぁそんな簡単な話じゃないんだろうけど」

「うん、私も頑張るから、キャプテンも頑張って」そう彼女は言ってくれた。

「あ、あと」思い出したかのように、結衣は次の質問をしてきた。

 

「これからキャプテンのこと、なんて呼んだらいい?」

そういえばそうだった。だから俺の名前を教えた。

 

 

「ーーっ…不思議な名前」

「いや不思議ではないだろ」不思議なんて言うけど普通に日本男児につけられる名前だ。

「私には、キャプテンはキャプテンって名前があったから…」

「ならキャプテンのままでいいよ、俺もその方がなんか嬉しい」

「ふふっ…じゃあいつも通りで呼ぶね、きゃぷてん」そう言い、微笑んだのだった。

 

 

 

沈む夕陽が、俺たちを照らす。

二人で見る景色が変わろうと、俺たちは多分変わらない。

だからこそ。

 

 

「これからもずっと…一緒だよ、結衣」

「ふふふっ…ほんとにほんと、だよ?」

 

 

まだ色の塗られてない物語を、未来パレットを手に持って、俺たちの色で塗り上げて行こう。

そう願い、二人で歩み続けていくのであった。

 

 

 

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お読みいただきありがとうございます。ぽっぷです。

 

 

 

「キミイロに染まるヒストリア」スクール編完結です。

最後くらいみんなに告白しようと思って…セリフが思い浮かばん!むずい〜!ってなりました。普段喋らないキャラを喋らすのは大変だぁ…というわけでセリフ量に差がありますがきっと二人を祝う気持ちには変わりはないでしょう。

あとここでは書いてなかったですが、ベルルやメーヤ、残っている五牙の面々は既にシャドウ・スフィアに帰還しているものとします。本文に入れられる余裕がなかったのぢゃ…

 

 

正直書き足りないです。でもサービス終了の話を聞き、こちらも一旦完結させたいな、という気持ちが強まりました。結衣の親密度最終話の影響もありました。一度ピリオドを打ちたかったのです。

 

 

 

では一旦とは?スクール編とは?

はい答えはこちら。

 

 

「キミイロに染まるヒストリア アフター編」と題して、少しだけ投稿をしようと思います!!!

アフター編では、親密度最終話で描かれた未来をもとに、ちょくちょく書いていこうと思います。

後個人的にスクール編の小話として少し書きたい話があるので…

あとほんの少しだけお付き合いください。

 

 

では元ネタ解説。

 

 

 

恋愛禁止条例→メインの最初で触れられたり、恋が撤廃ー!みたいなこと言ってたやつ。正直みんないらないって思ったでしょ?独自解釈を詰め込んで理事長が許す流れを作りました。こういうのも、いいでしょ?

Galaxy Friends→エモとスピードの魔術師、Kobaryoが2016年夏に発売された「HARDCORE SYNDROME X」に書き下ろした楽曲。とっても強い。こばちんのスピードコアはいいぞ。

未来パレット→作曲家sky_deltaと歌手の藍月なくるによるユニットEndorfin.の楽曲。2019年冬にdjgenki.netより発売された「REVOLUTION OF HAPPY? #03」に収録。歌手もメロディも全てがエモなのでみんなも聴こう!なくるさんボイスは良いぞ。

 

 

 

 

最後になりますが、スクール編、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!

読んで頂いている、という実感があるからこそここまで書いてて楽しかったです。

これからもゆいんごとのヒストリアを綴っていきますのでどうか読んでいただけると幸いです。

アフター編の更新はもう少し間を開けると思いますが、どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

では。

 

 

 

 

かわゆいんご。

 

 

 

 

(アフター編もよろしくお願いします!)

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