霧の湖と言えば妖精達の住処というイメージがある。現に氷の妖精チルノはここをナワバリにしているらしい。そしてクソ忌々しい吸血鬼も近くに住んでいるとか。
本来ならそんな場所には近寄りたくも無いのだが、そうこう言っている場合ではなくなった。
「……真っ赤だな」
「みたいだぜ」
今俺は偶々合流した魔法少女霧雨魔理沙と共に霧の湖の畔に立っている。そして目の前の湖は真っ赤に染まっていた。
「なんだなんだ?今度は霧じゃなくて水を真っ赤にする異変か?」
「前にも似たような事が有ったのか?」
「ああ、紅霧異変って言ってな」
そう言えば聞いた事あるような気がする。あの吸血鬼が大暴れした異変だとか何とか。……で、今度は湖を紅くするって?
「ま、なんにせよ怪しい奴はぶっ飛ばず。異変解決のセオリーだぜ」
「そう言って俺に武器を向けるのは止めろ」
「犯人は現場に戻るって言うだろ?」
「ただの野次馬の可能性も有るだろうが」
「怪しい奴は皆そう言うんだぜ!」
「普通の人も皆そう言うからな」
あー、弾幕ごっこは苦手なんだがなぁ。と思った次の瞬間、霧の中から誰かが飛び出して、魔理沙に向かって一直線に飛んで行った。
「へっ?」
ガキィン!!!
鋼鉄と鋼鉄がぶつかり合う音が響く。硬化した俺の腕と一振りの刀が、魔理沙の首の前で交差していた。
「……いきなり横入りしてきて、しかも殺しに来るなんて随分穏やかじゃねえな?」
「……吸血鬼殺し」
刀の持ち主は、人里で何度か見かけたことのある白髪の少女だった。
「なっ、妖夢!いきなり何するんだ!」
「……」
魔理沙への返答は刀で返し、魔理沙の衣服の一部を裂いた。
「ちっ!前みたいに問答無用ってか!?いいぜ、ならお前からやっつけてやる!!」
「待て魔理沙、コイツなんか様子がおかしい!」
妖夢と呼ばれた少女から歪な魔力を感じる。その魔力は両手首と両足首、そして頭から感じ取れた。
「……吸血鬼殺し……殺す……殺す……」
ブツブツと小さい声で何かを言い、二刀で俺に斬りかかってくる。
硬化した腕で受け止める……事が出来ず、左腕が斬り飛ばされた。
「なっ!!?妖夢テメェ!!」
「落ち着け魔理沙」
斬り飛ばされた腕を魔法で操り、妖夢と呼ばれた少女の腹を殴り跳ばす。まるで枯れ葉のように飛ばされる少女を後目に、斬り飛ばされた腕を繋げ治す。
「お、お前腕大丈夫なのか?」
「自己回復魔法はそこそこ得意でな。それよかアイツは?」
「アイツは魂魄妖夢、半人半霊の二刀流剣士だ。普段は冥界って所に住んでるんだが……」
「剣の腕はかなり高いな……俺の腕が斬られるとは思わなかった。魔理沙、探知魔法は使えるか?」
「あん?まあ一応使えるけど……」
「俺の勘が正しければ、アイツは『人形遣い』に操られている。ソイツを探してほしい」
「『人形遣い』?アリスの事か?」
「アリス?いや、多分ソイツじゃない。『人形遣い』は男だ。ああやって適当な人間を操る魔法が得意なクソ野郎だ」
「……成程、つまり最近騒がしい『外来人』だな?」
「まあそうだ。俺より機動力の高い魔理沙が探すのに適してる。……たぶんだが、アイツ以外にも操られてる奴が居るだろう。気を付けろよ」
「ハッ、私は天下の魔理沙様だぜ?そっちこそ気を付けろよ!」
そうして箒に跨り、空へ飛ぶ魔理沙。後を追うように妖夢が駆けるが、魔法でその脚を止める。
「お前の相手はコッチだ、半人半霊」
「……吸血鬼殺し……」
ヒュッと風を切る音が聞こえたと思ったら、すぐ目の前に妖夢が刀を大上段に構え、振り下ろしてきた。
「地属性魔法:金剛鉄の鎧」
ガィィンッ!
魔法で出来た鎧が刀を弾いた。
「折れるかと思ったら、随分丈夫な刀だなぁオイ」
「……」
ダイヤモンド並に硬く、竹のようにしなやかな魔法の鎧に深い傷が残っている。仮に同じ場所を斬られたら鎧ごと身体が断ち切られるな……。
そのまま何度も神速の斬撃が放たれるがその全てを紙一重で躱し続け、その攻撃の合間に魔法で出来た針を地面から飛ばす。身体に刺さって動きが鈍ればこっちのモノ……。と思ったが、飛ばした針全てを斬り落とされた。明らかに死角から飛んで来た針にも対応するとはかなり強いな。
……なら、水ならどうだ?
「水属性魔法:ウォーターバイツ」
霧の湖の水が大量に押し寄せ、俺ごと妖夢を湖に引きずり込む。
湖の中は荒れ狂う水流によって上下左右が滅茶苦茶になっている。俺は自身の魔法によって水流の影響は受けず、暴れる水流内に居る妖夢を見続ける。
すると妖夢は長い刀から短い刀に持ち替え、水流を
「嘘だろ?」
水の中でも、空中を駆けるような速さで俺に向かって斬りかかってくる。殺意高いな。
「水・光合成魔法:水龍の加護」
水龍の加護によって、水の中でも高速で移動できるようになった。妖夢が刀を振り下ろす速度よりも速く鳩尾を掌底で撃ち、妖夢の肺に入っている空気を押し出す。
「ガボッ……!」
大量の空気が妖夢の口から吐き出されても、水面に向かわずそのまま俺に向かって斬りかかる。ダメージを受けても水中の中でも尚神速を保つのは凄いが、それでも当たらなければ意味がない。斬る瞬間に刀の間合いの僅か外側に移動し、刀が振り下ろされたと同時に蹴りを妖夢の胸部に入れる。
「ゴボッ」
物理的に肺を押され、残っていた空気ほぼ全てが吐き出された。それでも呼吸の為に水面に上がるでもなく俺に向かって来る。既に見える顔色は真っ青だ。だというのに目には殺意の色しか見えない。
「水・風合成魔法:水竜巻」
高速で妖夢の周りを回り、物理的に渦を作り上げる。
妖夢は短い方の刀で渦を斬るが、渦は掻き消されずに妖夢を拘束した。どうやら魔法由来の水流は斬れるが、物理的なモノは斬れないようだ。
水上では竜巻が起こり、霧の湖の水が引っ張り上げられる。その流れに引かれて妖夢も水上の竜巻に巻き上げられた。
それを水中で確認してから俺も同じように竜巻の中に飛びこむ。
「ガホッ!ゴホッ!」
つむじ風に巻き上げられる枯れ葉のように飛ばされている妖夢はまともに刀を振れない程度に呼吸が乱されている。『人形遣い』によって操られてる者は
俺も妖夢も全身が紅い水に染まっているが、まあ仕方なかった事としよう。
「う……ぐっ……ゴホッ、ここは……?」
正気に戻ったのか、妖夢が起き上がって俺を見る。
「あ……貴方は……っ、どうやら、助けてもらったようですね……」
「大丈夫か?操られていた時の事は覚えているか?」
「はい……貴方を殺すように何度も暗示を……そうだ!他の人は!?」
「ん?今は妖夢だけだったが……」
「私以外にも操られてる人が……ッ!」
蛇符「バインドスネークカモン」
「季節外れのバタフライストーム」
瀑符「シライトフォール」
大量の弾幕が視界いっぱいに降りそそぐ。
「水・地・闇合成魔法:グラビティボルテックス」
空中に浮かんだ魔法の大渦が弾幕全てを吸い込み、圧縮する。
「っ、早苗さん……」
「リグルと河童……しばらく見ないと思ったらコレか……操られてるのはこいつらだけか?」
「いえ、まだ他にも居る筈です……!」
すると魔法の大渦の向こうでは更に妖怪達が集まって来た。中には見た事があるヤツだったり大妖怪と呼ばれるヤツも混じっていた。
行符「八千万枚護摩」
龍魚「龍宮の使い遊泳弾」
法灯「隙間無い法の独鈷杵」
「サブタレイニアンローズ」
「色々来過ぎだろ!!」
魔法の大渦に更に魔力を注ぎ、更に密度の高くなった弾幕全てを吸い込んでいく。既に手元の大渦には膨大な妖力が溜まっている。吸いこんだら、何処かに吐き出さなければならない。
「炎・風・光合成魔法:ブレイクブラスター」
吸い込んだ弾幕全てを解放して集まって来た妖怪達を薙ぎ払う。霧の湖の霧が全て消し飛ぶ程の威力で妖怪達が湖に墜落していく。唯一の人間だった東風谷早苗のみ回収し、湖全体を凍結させて妖怪達を氷の下に一時的に封じ込める。
「だ、大丈夫なんですかコレ!?」
「一日くらい水の中にいても妖怪なんだから死にはしない。あんな数操られて、一人づつしか解呪出来ない上に暴れられるんだからこうして封じておいて、先に元を叩いた方が良い。……それで、元凶は何処に居るか分かるか?」
「……すみません、気が付いたら操られていたもので……」
「そうか……じゃあ怪しそうな紅魔館に行ってみるか」
結局霧の湖が紅く染まっている理由も分かんないままだ。魔理沙に人形遣いの行方を追って貰っているが、捕まえることが出来るのかは分からん。
凍った湖を渡り、紅魔館に向かう。氷の下では弾幕を張り続ける妖怪が見えたが、分厚い氷に阻まれて届かない。空は太陽が沈んでいくところだ。
そうして紅魔館に到着して目に見えた光景は、破壊され尽した門だった。
「これは……いったい誰がこんな事を?」
「……マジックの奴等の仕業か」
魔力の残滓が感じられた。吸血鬼は魔法使いの天敵だ、態々吸血鬼の館に襲撃を掛ける意味が解らないが……。
そうして破壊された門を素通りして、館の内部に入ると激しい戦闘音が聞こえた。
館の内部は、門以上に酷い有様だった。
早く紅魔館組とおせっせしたいので巻き&短めクオリティ。
怪獣大戦争っぷりが表現できると良いなぁ。
主人公に名前……要る?(作者は何も考えて無いので)
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要る
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要らん
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むしろ私が良い案を持っている!!