※この作品はR-18です。

今井リサの弟ですが、諸事情で異世界転生させられました。   作: 提 督

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リサゆき中編

「はあ…」

 

「どうしたの? お腹でも痛い?」

 

「えっ、あっ」

 

「ん?」

 

突っ伏していた学校の机から顔を上げると目の前にいたのはあこさんだった。

やはりあこさんがこんなに馴れ馴れしく接してくるのは心臓に悪い。

これがこの世界に来てからビックリしたことその2だ。

そもそも同じ学校なのは知ってたし、

中2の時に同じクラスだというのも知ってた。

だから面識はあるが中学生ということもあって

男女間で仲がいい人は少なく、自分も数回しか話したことは無かった。

 

始めは自分の記憶違いかと訝しんだが、

その半日後に男子トイレに平然と入っていくのを見て納得した。

もともと女子全員と友達みたいな人だったのだから

この世界では男子全員と友達なんだろう。

しかし、この世界はいったい何を基準に性別が反転しているのだろう?

 

「ちょっと、姉さんのことであってね…」

 

「あ、じゃあ~

あこに話してみてよ!

あこそういう系の相談得意だよ。お兄ちゃんいるし!」

 

巴さんもなのか…

この感じだと薫さんとかもそうなってそう

 

でもいい機会かもしれない。

ロゼリアを作るならどのみちあこさんも巻きこまないといけないし。

 

「そんな感じじゃないんだけど…」

 

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「うん!あこ、まっったく分かんないや」

 

「知ってた。」

 

「でもでも、別に確かその友希那…さん?って人

有名なボーカルさんだよね?

『現世に蘇りし漆黒の吟遊詩人』って言われるような。」

 

「う、うん。まあそんな感じ。」

 

「じゃあさ、なんかドバーンって感じのことがあったんじゃないかな。」

 

「…具体的には?」

 

「だってだって、絶対かなえてやるって夢を諦めたんでしょ。

だったら彼女と夢が両立できないってことだから、なにか嫌なことがあったんだよ絶対。」

 

「なるほど…」

 

正直僕が推測していたのと同じ内容だったけど

それでも自然と話を持って行く流れは作れた。

 

「ところで、もしリサ姉がバンドを始めたらドラムやってくれたりする?」

 

「リサ…姉…?

お姉さん、リサさんって言うの?」

 

…しまった。

男ってことは逆にダンス部に入ってないのか

 

「あ、うん。そうなんだ。

でも前にやっていた人とかももう違うバンド組んでると思うし。」

 

「いいよ!大賛成!!

あこ、ずっとお兄ちゃんみたいにバンド始めたいと思っていたんだ!!

…あっ、でも…」

 

「どうかした?」

 

「…ごめん、返事はちょっと待って欲しいかも。

一応、か、…家族に聞いてみないとだから。」

 

「もちろんそこらへんは大丈夫だよ。

何ならまだバンドやるとも決まってないからね。」

 

「うん!あこもなるべくOKもらえるように頑張るね!」

 

そう言うとすぐにチャイムが鳴り、次の授業が始まった。

 

……あこさんの家って結構バンドとかに寛容って聞いたことあるけど

性別が変わったぐらいでそうそう家庭方針も変わるものなのかな?

 

 

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それから3日後の夕食は母さんと父さんの帰りが遅いということでリサ姉と二人での夕食だった。

 

「聞いたよ~

この前の校内模試すごく成績良かったらしいじゃんっ」

 

「あれは山が当たったんだよ。」

 

本当は転生したばかりで慣れてなかったから本気で解いてしまっただけなんだけどね。

むしろ凡ミスを連発してなかったらカンニングを疑われるところだった。

 

「あのさ、リサ姉。」

 

「なに?」

 

「友希那さんのことなんだけどさ。」

 

正面に居座る姉が姿勢を少しばかり正すのが分かる。

 

「もう、急にどうしたの?

深刻な顔して。」

 

「この前商店街で会って話をしたんだ。

…どうして友希那さんは音楽を辞めたのか聞きたくて。」

 

実際、こちらに来るときにもらった能力を使えば聞かなくても

無理やり話させて記憶を消すとかできるけど、

流石にしたくないのでここは真面目に聞く

 

「…あたしがね、弱かったんだ。」

 

精一杯の笑顔を保ったまま続ける。

 

「昔、ちょっと有名なライブハウスがあって、

そこでライブをしようってなったんだ。

でも不合格になっちゃってね。

…そこのオーナーに不合格になったのはあたしのベースが

全然友希那達のレベルについていけていないからだって怒られちゃってさ。

実際そうだったよ。友希那と付き合い始めて浮足立ってたし、

練習よりもクッキー作りに精をだしてたし、それで泣きながら謝ったのが悪かったのかな。

 

……もちろんちゃんと練習をしてれば良かったんだけどね。

それでも、あの時涙をこらえてれば…見返してやるって感じでさ…

そしたら少し違ったのかも…

 

…ごめんねこんな話して。」

 

「友希那さん、とても音楽をやりたそうだった。」

 

「………」

 

「もう一度、音楽をやってみる気はないの?」

 

「あたしだってやりたいよ。

でも、いくら説得しても友希那はやりたがらないし…」

 

「先にバンドを作ればいいんだよっ」

 

「え?」

 

「僕がプロデューサーをやるからさ、リサ姉はベースをやって。

後の楽器メンバーも僕が集める。

それで最高の音楽を作った後に友希那さんを誘えばきっと来てくれるよ。

悲しい思いをしないで済むだけのレベルまでバンドを仕上げればさっ」

 

「メンバーを集めるってあてはあるの?」

 

「うん、ドラムとキーボード、あとはギターも」

 

「……ふふっ。」

 

「ダメ…だったかな…」

 

「ううん、

そうだよね。友希那が合わせてくれるからって甘えてたんじゃいつか

歯車は噛み合わなくなるよね。

やってみるよ!」

 

「こちらこそ…ありがとう。

さっそく明日ドラム志望の子と話してくるよ。」

 

「もう、感謝を言うのはこっち側でしょ。

私に出来ることがあれば言ってね。」

 

もしこれでロゼリアを結成出来ればリサ姉への恩返しができる。

頑張らなくちゃ。

 

 

 

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激しい息遣いは徐々に速度を落として横こちらをのぞき込んでいる彼を見る余裕もできてきた。

 

「ごめんりんりん、ちょっと激しくしすぎちゃった。」

 

「いいの、あこちゃん。

私、あこちゃんにしてもらっているときが一番幸せだから。」

 

「えへへ。

あこもね、りんりんとしているのが大好き。

でも、こうやってお布団で話しているのも好きだよ。

りんりんに痛いこともしなくていいし。」

 

「私はあこちゃんにだったら何されても大丈夫だよ。」

 

嘘偽りない気持ちだった。少なくともこの時は、

 

「あっそうだ。この前ね、クラスの友達にバンドに誘われたんだ。」

 

「バンド…?」

 

「そう、バンドっ

あこ、ドラムやってるじゃん。

だからりんりんにもかっこいいとこ見せられるかなって

……やってもいいかな?」

 

「でも、…それって一緒に居られる時間が減っちゃう…」

 

「た、確かに本格的に練習とかするらしいから

あまり会ったりゲームしたりできなくなっちゃうかもだけど、

あっ、そうだ。りんりんも一緒に入ろうよバンドっ

りんりんもピアノ引けたよね。」

 

「わたしがバンド…」

 

少し想像しただけでめまいがして口元を抑える。

 

「あっ、ごめん。

りんりん人が多いところ苦手だもんね。ごめんなさい。

ちゃんとあこだけで頑張るから…」

 

めまいは全く収まらなった。

そうだ、私が本当に恐れているものは人混みなんかじゃない

 

「あこちゃんはどこかにいっちゃうの?」

 

「そ、そういうわけじゃないよ。

でも…」

 

どこかに行ってしまう。

初めて出会った人、こんな私を受け入れてくれる人が、

 

「あこ、ちゃん、」

 

「わっ、りんりん泣かないで。

この話はなしなしっ、あこはずっとりんりんの傍にいるからね!!」

 

「あこちゃん…」

 

私がただの負担になっているとわかっていても、

それはとても甘かった。絶対に忘れられないぐらい。




モカちゃんはDVされてそうなのに、
蘭はDVしなさそうで困ってます。
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