「ほらぁ、これなんてどうですかぁ」
そう言いながら、食蜂は話題になっているという屋台の前で腕を組みながら言う。
見た目も能力もその頭脳も俺とは比べものにならない食蜂だが、その性格は悪く、毎回俺で遊ぶように色々な悪戯を仕掛ける事が多い。
そして、昔からの疑問だったが
「お前は、なんで毎回、俺の事を先輩なんて言うんだ」
その疑問だった。
俺としての意識がしっかりとしてから小学生最後の夏の時に出会って以降、なぜか呼び続けた。
「そんなの、私にとっては先輩は先輩なだけですよ。
それも、一番大好きな人に言うだけですよ」
そう決まり切った答えを何度も言っていた。
「第一、お前だって知っているだろ。
俺の正体を」
「えぇ、別にそんな事を気にする必要があるのかしら?」
その事を何事もないように呟く。
初対面の頃から、食蜂はどのような手段を使ったのか分からないが、俺の正体、つまりは脳がチップになっている事を知っている。
普通の人間ならば、俺の正体を知ればそれだけで人間ではない存在として見てくる事も多い。
そんな俺を受け入れたのは俺が住んでいるマンションの隣に住んでいる同じレベル0の親友やその親友経由で出会った性格としては相性は良いが能力的には相性が最悪なレベル5。
それ以外にも裏の世界での関わりのある人物など、普通の人間だと読んでも良いのか分からない奴らしか交流はない。
そんな彼らよりも交流が長いのが、謎のレベル5の後輩である食蜂である。
「それじゃあ、いよいよ目的地に行きましょうか。
ほら」
「・・・おい待て待て」
そう言いながら食蜂が指を指した場所を見て、呆れる。
学園都市では、大学生達のカップル達が使う事を前提に建てられた宿泊施設だった。
「それじゃ、レッツゴー!」
「断る!
こういう悪い冗談に付き合ってられるか」
そう言い、彼女から離れた。
だが、離れようとした瞬間、俺よりも遥かに体格の良い男達によって両腕を掴まれた。
「なっ」
「ほらほらぁ、先輩も逃げない逃げない」
その言葉と共に周りを見渡すと、全員が俺が囚われている光景に特に疑問に思っておらず、俺を捕らえた男の目は☆が浮かび上がっていた。
その事から考えて、この周辺にいる全員が目の前にいる食蜂の能力によって操られている事が確定している。
すぐに抜け出そうとするが、下手な事を行えば、俺を拘束している男達に怪我させる可能性がある。
「先輩は本当にお人好しですよねぇ」
そう言いながら、食蜂は事前に準備していたと思い、スムーズに会計など行い、ドアを開いて、俺はそのままベットへと叩き込まれる。
「それじゃあ、ありがとうね」
そう言いながら食蜂は俺を拘束していた男達を見送った後に、俺に近づく。
「っ」
「もう逃げないでくださいよぉ」
そう言いながら、食蜂は俺へと抱き着き、逃がさないようにした。
無理矢理抜け出す事ができずにいた。
「ふふっ」
そのまま食蜂は怪しい笑みと共に俺を抱きしめている。
そこから、俺は少し嫌な予感がした。
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