「あなたは一体何者なんですか」
「急にどうしたんだ」
俺はそう言いながら、いつもの勇者部の窓の外から見える光景と共に後ろにいる東郷の質問に答える。
「とぼけないでください。
あなたの事を調べさせてもらいました。
本当は疑いたくなかったのですかが」
「疑い?
それは?」
「大赦から、あなたの事についてを聞きました。
本来はいない生徒。
出身等も全てが記載されているけど、その事実を確認できない謎の生徒。
あなたは一体」
そう言いながら、未だに迷いが見せる彼女に対して俺は初めて向き合う。
その時の彼女には既に記憶を取り戻していたのか、かつての面影があり、それでも今は友人の助けもあり落ち着きがあった。
信じたいという思いと大切な物が壊れてしまう不安。
そのどうしようもなく人間らしい感情が見えていた。
「・・・俺はただの裏切り物だよ」
「裏切り者?」
そう言いながら、俺は淡々とだが、少しずつ思い出深く語りだす。
「俺の親はある物が大嫌いになったんだよ。
それを壊す為だったら、他の友達だろうと巻き込んで全て壊す。
俺はそんな親から生まれた13個目の物だよ」
「物って、一体「話は最後まで聞いておけ」っ」
そう言いながら俺は向き合う。
「形も何もないような俺は他の奴らの傷を癒す力が備わっていた。
壊れてもすぐに作り直せるけど、時間をかけたくなかったからこそ、俺を作り出した。
そんな俺は親に命じられた、そこに来た」
そう言った彼女は少し信じられないように見つめていた。
「別に興味もなかったから、どうでも良かった。
親に対しても、俺より先に生まれた奴に対してもどうでも良かった。
けどな、見ていたら、どうしようもなく美しかった」
そう言いながら、今でもあの光景を思い出す。
何もかも破壊され、炎と白い光景しかなかったはずなのに、緑鮮やかに、青い海で染められた場所。
そして、それを守る為に戦う彼女達の姿。
「俺はどうしようもなく羨ましくなった。
何よりも、本当の意味で癒しってのはなんなのか分かったような気がした。
だからこそ、俺はあいつらを裏切った」
そう言いながら東郷の前で俺は姿を変えた。
顔には獣の頭蓋骨を模した無機質な仮面、ただ一人だけ人の姿があった為に身体に無数の蛇のようなバーテックスに巻かれながら、確かな一体のバーテックスの姿へと変える。
「それが俺だ」
「裏切り、それじゃあ、あなたは」
「まぁ意思がある事自体が変だけどな。
そこからはこの地を守る神と契約して、俺はこの姿を得たという訳だ」
そう言いこれまで通りの姿に戻る。
ただし、今は
「ただ、どうしようもなくバーテックスの形は残るけどな」
そう言いながら、俺はマスクを外して、告白する。
これまで隠してきた事。
受け入れられないと分かっている。
それでも
「それが、俺が隠していた事だ。
悪かったな、隠していて」
「・・・うぅん、良かった」
「?」
その一言と共に東郷は泣いていた。
「君が、バーテックスだと思って、人間を襲うと思っていたっ!」
「嘘だと、思わないのか?」
「記憶が無くなってから、友奈ちゃんと同じぐらいに信じられる大好きな人の言葉を信じないでどうするの」
その言葉だけで、俺は
「東郷」
自然と彼女を抱きしめていた。
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