「行かなきゃ駄目だな」
溶けそうな快楽を味わい、目覚めると共に俺は立ち上がる。
「えっ」
その言葉に目の前にいるアドミニストレータは驚きを隠せなかった。
「キリトや、あいつらが待っている。
だから、ここにはいられない」
その言葉と共に立ち上がる。
「なんで、ここにはあなたが望むのが全てあるの。
私が最も愛おしい人のはずよ」
「悪い、俺、結構な悪人なんだよ、本当に。
好きな幼馴染がいるのに、親友の彼女が好きだったり、それを脅してる仲間を。
だからかな、そこまでの道中のつらい記憶が俺を思い出させくれたんだ」
未だに明かす事ができない罪が、皮肉にも、俺を目覚めさせてくれた。
「だから、俺はあいつを助けなきゃいけないんだ」
だからこそ、そんな俺はキリトを助けなきゃいけない。
その思いと共に、俺は歩き出す。
「行かないでっ嫌だっ!!」
そう言いながら、アドミニストレータは俺の手を掴む。
そこにはこれまで見た事がない表情であり、ぶつけるように俺を見つめる。
「ずっと、待っていたっ!!
あなたが消えてから、求めて、求めてっずっと待っていたのっ!!
あなたと一緒にここにいたくてっなのにっ!!」
そう、まるで駄々をこねるように抱きしめる。
「悪いが、俺は行くよ」
それに対しての答えは変わらない。
幾ら求めて、俺は彼女の求める答えは答えない。
「あっあぁっあぁっ」
壊れそうになる彼女はそのまま膝を崩れ落ちる。
そんな彼女に対して、俺は
「行くぞ」
「えっ?」
ただ抱きしめた彼女を背中に背負った。
「だから、一緒に行くぞ。
お前がどれだけ罪を重ねたか、分からないけど、今はお前の力も必要だ」
「私も」
「あぁ、お前が必要だ。
まぁ、あいつらを消そうとしたら、絶対に許さないけどな」
そう、俺は歩く。
例え、こいつがどんなに冷酷で、とても非情な性格をしていても、その力は本物だ。
そうして、進んでいくと共に、なぜか身体が軽くなった感触がした。
「あぁ、そうだったのね。
そうよね、あの時から」
―――
そこに広がっていたのは何百というゴブリン達の前にして、彼らは戦っていた。
だが、それは決定的な差は埋められなかった。
「ぐっ」
既に危機的状況を陥り、迫りくる軍勢に対して
「システムコード。ジェネレート・オール・エレメント・バレット・シェイプ」
その声はどこから響いたのか、空を見れば、そこには一つの人影があった。
両手には銃を持っており、それはゆっくりと構えていた。
「バースト・エレメント」
その言葉と共に、その場にいた全てのゴブリンは焼き尽くされた。
「あれはまさかっ」
同時に現れたのは腰まで伸びて紫色の髪の青年だった。
赤い着物を身に纏い、腰には刀、両手には銃。
どこまでも異質な彼を、アリスは知っていた。
だが、その面影は既にいなくなったはずの戦友であるハルトと既に存在しない支配者アドミニストレータが同時に重なった。
「あなたは」
「久しぶり、アリス。
なんか寝ている間に色々とあったな」
そう軽い挨拶した声は確かにハルトだった。
「ハルトなのか?
だが、その姿はまるで」
「まぁ、うん。
言いたい事は分かるし、俺自身も未だに困惑している。
けどまぁ」
そう言いながら、少し目を閉じたハルトは
「私の力も必要じゃない、アリスちゃん」
「っ!?」
聞こえてきた女性の声は、確かにアドミニストレータだった。
「まぁつまり、なんだ。
どうやら、一体化してしまったんだ。
まぁ悪さしないように見張っておくから」
「私としては、あなたと一緒にいられて、嬉しいわ」
そう、一人の人間から出ているとは思えない声で呟いていた。
「あぁ、なんと言ったら良いか。
とにかく頼むぞ、ハルト、アドミニストレータ様」
「あぁ」「分かったわ」
同時に走り出す。
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