忍、それは遙か昔から戦国の世にあった影の存在。
人の中に隠れ、探り、欺し、壊し、殺す、あらゆる闇の仕事を引き受けていた影の存在。
そんな影の存在を必要としている存在は確かにいた。
侍。
日本に確かに存在した存在であり、戦、物の怪退治など、多くの事を行っており、忍とは対となる存在。
現代では両方共、既に人々から消え去ったと思われたが、その存在は形を変えて、確かに生き残っていた。
それはこの男、志葉 武もまたそんな侍の一人である。
「・・・」
誰もいない闇夜の中で、一人歩く志葉。
そんな彼を囲むように次々と現れる異形の生物。
太古から人々を襲い続ける存在、妖魔。
それに対して、志葉は懐から取り出した筆で刀という文字を描く。
同時に彼の手元には一本の刀が現れ、志葉はそのまま手に掴み、一閃。
覆う程の数の妖魔を一瞬で切り落とした。
「・・・ふぅ」
一瞬で終わらせた志葉はそのままため息を吐きながら
「腹が減った」
そう言い、彼は馴染みの店に足を運んだ。
「美味しかったです」
そう言いながら、彼は馴染みの店である寿司屋で太巻きを食べ終えて、挨拶する。
「気にするな。
それにしても、あの坊主がここまで立派になるとはな」
そう言いながら、寿司を作った本人である老人はからからと笑みを浮かべながら、志葉に話しかける。
「いえ、俺なんて、まだまだです」
そう言いながら、頭を下げる志葉。
そんな志葉を見ながら
「それで、聞いていると思うが、お前の婚約者の話だが」
「半蔵様、俺のような奴に飛鳥は勿体ないです」
老人、半蔵が持ちかけた話を聞いた瞬間、志葉はそのまま首を横に振りながら、断る。
「しかしなぁ。
この時代だから、忍や侍も廃れている。
そういう時代だから、既にそのような事も関係ないと思うがなぁ」
「それでも、俺には「あっ武君!」飛鳥」
その話を行っていると、話題の張本人であった飛鳥が店の中へと入ってきた。
「なんで」
「えっなんか、爺ちゃんが大事な話があると聞いたけど」
「まぁな。
飛鳥は卒業後はどうするか決めているか?」
「卒業って、爺ちゃん、私はまだまだ先の話だよ」
「そうかな。
まぁ、儂としては卒業後に仕える所を既に用意しているのだが」
「えぇ、爺ちゃん、それは幾ら何でも」
そう言いながら、飛鳥は呆れたように言う。
「まさか」
「飛鳥、卒業後は志葉殿の所で仕えなさい」
「えっえぇ!!」
その事に驚きを隠せない飛鳥はそのまま大きな声で叫ぶ。
「半蔵様、幾ら何でもそれは」
それに対して、さすがに志葉も驚きを隠せなかった。
「そうか?
儂としては娘を安心して任せられる相手として見ていたが。
なんなら、夫婦でも儂は問題ないが?」
そう言いカラカラと笑っていた。
「まったく」
そう言って、志葉は呆れたようにため息を吐く。
だが、そんな彼らを余所に飛鳥は
「武君のお嫁さんかぁ」
顔を赤くしながら、笑みを浮かべる。
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