あれから、俺はアイリーンと共に彼女の身体に合わせたランブルボールの開発を行っていた。
この世界がかつての世界とは違った事もあって、材料を揃えるのは大変だったが、その分高い効果が得られるランブルボールを作り出す事ができた。
そして、俺自身が実験台になって、徐々に彼女自身の身体に慣らすようにランブルボールを食べて貰う。
滅竜魔法の原理などはよく分からなかったが、考えとしては悪魔の実が暴走した状態に似ており、人間の形態に戻れなかった感じだと考えた。
そうして400年頃の時が過ぎた。
400年という年月、果たして生きられるのか疑問だったが、悪魔の実の能力の影響なのか、既に鵺という存在の寿命になっているのか、俺の身体は未だに衰えを見せない。
そうした、長い年月をかけた研究の成果もあってか、彼女自身、ランブルボールなしでも人間と竜の姿を使い分ける事ができるようになった。
「どうやら、上手くできたな。
結構長かったな」
「えぇ、本当に、人間の姿に」
そう言いながら、アイリーンはそのまま自身の腕を見つめる。
そこには彼女が400年の間、守り続けた命でもある赤ん坊がいた。
彼女の中でずっと過ごしていた影響もあったのか、彼女からはこの世界の魔力というのが多く貯まっているのが見える。
「それで、これからどうするんだ?」
「・・・それは、正直に言うと分かりません。
おそらく、国は滅んでおり、長い間、人の世から離れていたから、詳しい事など」
「まぁな」
ランブルボールの開発の為に、俺達は世界各地を旅をしていたが、その時の人々と交流を行っていたが、世の流れを余り知らない。
「あの」
「んっ?」
「あなたはこれからどうするつもりですか?
400年も付き合って貰えて言うのはなんですか」
「うぅん、そうだな。
どうしようかな」
そう言われ、俺は首を傾げる。
「前は一緒に旅をしている仲間がいたけど、今は全く別の所にいるし、特にこれからやる事はないからな」
俺がそう言っているとアイリーンはそのまま大きく息を吸うと
「それでしたら、このまま私とこの子と一緒に暮らしませんか」
「一緒に暮らすって、今も一緒に暮らしているんじゃ?」
「そっそういう事ではなく、そのなんというか、結婚を、して欲しいんですっ」
「・・・」
その言葉に俺は思わず目が点になる。
「いや、なんというか、そういう考えはこれまでしていなかったから。
何よりも、お前は政略とはいえ、結婚していたから」
「確かに、あの男と結婚はしました。
この娘の事も愛しています。
けれど、あの男の事を愛しているかと聞かれると、絶対に違うと答えられます」
「そうか、けど」
実際にアイリーンに対して、恋愛対象として見ていなかった。
400年前はドラゴンとして、人の姿を戻る事を共に目指していた。
そうして、彼女自身を仲間として思っており、こうして人の姿としてなったのもつい最近の事。
「そうですよね。
思えば、人としてではなく、ドラゴンであったのだから。
ですが、この気持ちだけは本当です」
そう言ったアイリーンの言葉に対して、俺は
「少し時間をくれ」
「っ、はい」
それに対して、俺は答える事はできなかった。
恋愛なんて、生まれてから行った事がなく、麦わら海賊団では、そんな恋愛など考えた事がない。
それもあって、俺はどう考えたら良いのか分からない。
「こういう時、あいつらだったら、なんて言うんだろうな」
そう俺は海を眺める。
海賊団のメンバーで恋愛経験などした事があるのはおそらくサンジぐらいで、それ以外のメンバーはその経験はあっただろうか?
そう考えていると
『迷っているぐらいなら、どうしたいのか、思った通りにやれば良いんじゃないか?』
「・・・」
ふと、なぜかルフィの声が聞こえた。
実際にそんな事を言っていないと思うが、もしもあいつらがいたら、そう言うだろう。
そして、俺はこの400年で、アイリーンに対して仲間として好きだと思っていた。
それが恋愛の意味でも同じなのか、どうか分からないけど
「一緒にいたいというのも好きという事なのかもな」
そう、俺は、長い年月だからこそ、分からなくなった答えが出た気がする。
そうして、俺はアイリーンの元へと答えを言う為に向かった。
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