「それにしても、お前は随分と変わったな」
そう言いながら、俺の古い友人は俺に対していつもと変わらず冷めた目で俺を見ている。
彼女の名前はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
俺が吸血鬼になった頃からの知り合いであり、800年の付き合いのある友人だ。
彼女と知り合ったきっかけは……まぁいいか。
彼女は長い金髪に透き通るような白い肌をした少女である。
容姿から分かるが、彼女は10歳頃から吸血鬼を行っており、反対に俺は成人に近い時に吸血鬼になっている為、端から見たら、歳の離れた兄弟程度にしか見えない。
「そんなに変わったか?」
「あぁ、変わった。
吸血鬼の癖に血を一切飲まず、代わりに鰯をそこまで食べるとは」
そう言いながら、俺は常に持ち歩いている鰯を食べていると、そんな事を言う。
「何を言っている。
人間の血などより鰯の方が上手いに決まっているだろ」
「その鰯だけを食べたら普通は弱いはずなのに、変わらない化け物染みた強さは」
エヴァの言葉を聞き流しながら食べ続ける。
この500年の間で何度も聞いた言葉だしな。
「それで貴様はまさかここに来たのも、わざわざ私と毎年一回は会うという約束を守る為なのか」
「当たり前だ。
俺は約束は絶対に破らないからな」
「その度にお前がここに侵入する度にこっちに文句を言ってくる奴らの対処をしている私の身になれ」
「殺してはいないだろ」
「そういう問題じゃない!!」
全く、昔から口煩い女だったなこいつは。
そんな事を思っていると、エヴァは少し真剣な表情をしながらこちらを見る。
「お前は今後も、この約束を、守るのか」
「どういう意味だ」
「そのままの意味だが、お前はこの先どうする気なんだ」
「…………」
正直言って考えてなかった。
ただ単に、500年前に交わしたあの時の約束を守りたかっただけだしな。
それに今更考える必要もないと思っていた。
しかし、今後どうするかなんて考えていなかった。
このまま何もせずただ生きていくだけの日々が続くのだろうか。
それでも、まぁ。
「俺はこうして、お前との約束を守るのも生き甲斐だからな」
そう言うと、エヴァは呆れたように溜息をつく。
「相変わらず馬鹿みたいに真っ直ぐだなお前は……」
「それが取り柄みたいなものだからな」
「確かにそうだな」
互いに笑い合う。
こうやって話すのは何年ぶりだろうな。
「なぁ、今年は、良いかぁ」
その一言に俺は戸惑いを隠せずにいた。
「いや、それは、その」
「まさか、ずっと約束を守る事にしか眼を向けず、私の意志を無視するなよ」
その言葉に俺は何も言う事はできなかった。
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