未だに雪が降り続ける中、周りには何も障害物のない場所へと辿り着くと2人は互いに距離を離しながら、見つめる。
「決闘のルールは決まった?」
「はい、最初に相手に攻撃を当てた方が勝ちでよろしいですね」
そう言ったステラはその手に持った剣を兄に向けた。
兄の表情はこれまでと変わらない優しい笑みであり、彼女はこの笑みが好きであった。
(この勝負は負けられない。
これまでの誰よりも強く、そしてこれからの誰よりも強い相手なのは確実。
だけど、ここで勝たなければ、お兄様はいなくなるっ!!)
その不安からか、ステラはその身に宿した炎を全身に纏いながら、兄へと向ける。
「これは凄いね。
ステラがいつも頑張っているからこそ、できる技だ」
「えぇ、兄様が鍛錬に付き合ってくれたおかげですからっ!!」
未だに余裕のある笑みを浮かべている兄に対して、ステラは一瞬の油断もなく、見つめる。
隙を逃さない、隙を見せない。
一瞬でも見せた瞬間、負けは確定してしまう。
「それじゃあ、ゆっくりと行くね」
そう言った兄は手に持った黒い刀を持ちながら、歩き始める。
散歩するようにゆっくりと歩く姿だが、長年鍛錬を共にしているステラだからこそ分かる。
本気を出していないが、今の彼女では勝てない程の強さを出している。
一瞬、剣に力を込めると同時に、ステラは兄へと近づく。
常人が見れば、消えたと言っても過言ではない速さで兄に近づき、その剣を振り下ろした。
だが兄は、その剣を軽く流した。
「っ!!」
予想していた行動を見ながら、炎による攻撃と剣戟を次々と放っていく。
人間を超えた存在が放つ数々の攻撃にステラは殺す気で兄に放っていく。
だが、ステラの攻撃に対して、兄はただ軽く受け流すように切り裂く。
「はぁはぁはぁっ!!」
全力での攻撃、わずか10秒だが、ステラにとっては己の全てを賭ける程に命懸けの攻撃を兄に向けていた。
「ごめんな、駄目な兄で」
「っ!!」
「円舞」
ステラに対する謝罪をするように笑みを浮かべると共に、手に握った刀を一瞬、円を描くように切り裂く。
それにより、ステラの炎も、何もかも全てを焼き尽くし、彼女に一本を与えた。
「あっ」
全てが終わった瞬間、彼女は呆けた顔で、地面へと倒れた。
「勝負あったね」
そう言い、兄はステラに対して言うと、彼女へと寄り添う。
「なんで、なんでっ!!
負けちゃいけなかったのにっ!!
私、負けちゃいけなかったのにっ!!」
「ステラ」
これまで気丈に振る舞っていた彼女とは思えないように、涙を流しながら、ステラは兄へと寄り添う。
「私、ずっといたかったっ!!!
まだまだ、沢山お兄様から教えて貰いたかったっ!!」
「ステラ」
そう言いながら、涙を流すステラの頭を撫でる。
「お兄様っお兄様っ!!」
涙を流しながら、彼女が疲れ果てるまでの間、兄はずっと寄り添っていた。
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