「誠に申し訳ない」
そう、ひとりは慣れたように土下座を行っていた。
先程まで、俺と行為を行っていた後、目が覚めた時のひとりが最初に行った行動はそれだった。
「まぁ、俺も乗せられてしまったからな、こっちも悪かった」
「その、やっぱり不愉快でしたよね、こんな私と行為を行うのなんて」
そんな自信のない表情と共に、周囲を見渡していた。
それを見ていると、俺は、そんなひとりに目を逸らしながら、ため息を吐く。
自分の気持ちの整理も籠めて、そして、これからひとりに行う返答も籠めて。
「別に、不愉快じゃないよ」
「えっ」
俺は、ぼそっと呟くようにひとりに言う。
ひとりは、そんな俺の一言を聞くと、何やら驚いたように顔をガバッとこちらを見つめる。
それは、「あれ、この人、大丈夫なの?というよりも、いつもと違う返答だけど、本当に本物なの?」的な目でこっちを見るな。
「だから、不愉快じゃないよ、第一、なんでそう思ったんだ」
「だって、君は、その、こんな厄介な女だと思っているんじゃないの」
「反対に聞くけど、厄介じゃないと思うか?」
「・・・否定出来ません」
そう、ひとりは俯きながら言う。
それに対して、俺は再度ため息を吐きながら、ひとりに向けて言う。
「確かに、お前はぼっちの中でもぼっちで、究極のぼっちと言えて、人前で歩くのは苦手で、人間ではあり得ないような状態が多々起きて、その後処理を毎度やらされるが」
「うぅ」
俺の、そんなこれまでの苦労を全てを話すと、ひとりは、さらに頭を抱える。
だけどな。
「普通、そこまで面倒な奴を、ただの幼馴染みという理由だけで、ここまで付き合うと思うか」
「えっ」
すると、ひとりは今度は首を傾げる。
「・・・お前の事が大切だから、そうでないとそんな面倒な事をやる訳ないだろ」
「おぉぉ」
その言葉を聞いていると、ひとりの目は輝いている。
「・・・けどな、ひとり」
「えっと」
「とりあえず行為を行うとしたら、成功してからだ」
「成功ですか」
「お前もよく知っているだろ、バンドでこういうのをやっていたら、どうなるのか」
「あっ」
俺の一言と共に、ひとりの脳内の劇場では、おそらくはとんでもない事になっているだろう。
その証拠と言うべきだろうか。
ひとりの身体は再び震え始めた。
「おいおい、またもう一回って」
そうしていると、ひとりはそのまま、倒れた。
同時に、その口からひとりの人魂が出てきた。
「あぁ、まったく、また延長しないといけないのか」
そんな風に俺は頭を抱えながらも、今後のひとりとの行動を考えなければならない。
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