その光景は、どこまでも俺達の知る里の光景とかけ離れていた。
周囲に広がっている街の景色は、どこまでも異質の雰囲気を漂わせている。
「これは、煙なのか」
その日、俺は上忍である春野サクラと共に、とある任務についていた。
任務の内容自体は、それ程難しい内容ではなく、敵もあまり強くはなかった。
彼女と共に、敵の制圧に成功する事は出来たが、問題はその後であった。
敵の中に、時空間忍術を操る事に長けた存在がいた。
そいつは、その力を使い、俺達をどこか遠くへと飛ばしてしまったのだ。
そこは、どこの国かも分からないような場所であり、そして……
目の前には、巨大な建造物が立ち並んでおり、煙突からは煙が出ている。
「ここは一体?」
俺達は、完全に見知らぬ土地へ飛ばされていた。
だが、幸いなことに、一緒にいる彼女は無事なようだった。
「大丈夫か? サクラ」
俺は彼女の身を案じて声をかける。
サクラもまた、ゆっくりと立ち上がる。
見た所、大した外傷はない様子。
「あなたは、一体」
「えっ」
俺は突然の言葉に戸惑う。
「私の名前を知っているんですね」
「その、同じ任務についている仲間だけど、もしかして、記憶が
「申し訳ないですけど、覚えていないんですよ。自分が誰なのかさえ……」
「そんな」
どうやら彼女は本当に何も覚えてはいないらしい。
そう、彼女は、自分に関する全ての事を……。
「…………」
何が起こったのか理解できないまま呆然と立ち尽くす俺。
ただ、今のこの状況を理解しようとするだけで精一杯だ。
(どういうことだ)
混乱する頭の中で必死に考える。
その時、ふいにある考えが頭をよぎった。
(まさか……)
それは、今の状況を考える上で最悪の展開だと言えるだろう。
でも、それ以外考えられないという気持ちもあった。
「とにかく、今はここで生きる術を探さないと」
言葉が通じるかどうか分からない異国。
そんな場所において、生き残る為の方法を探らないといけない。
この国の法律がどうなっているのか。そもそも、俺達のような忍がいるのか。それすら分からない状態で、不安だらけの生活が始まるのであった。
「とりあえず、街を探っていきましょう」
「そうだな」
サクラの提案に乗り、俺は歩き出す。
そうして記憶を亡くなったサクラを見つめながら、俺は思い出してしまう。
俺は、昔彼女に告白した。
その際には、彼女は別に好きな人がいると聞いた。
少し前の、記憶を無くなる前の彼女が、誰が好きなのか、聞いていない。
けれど。
「俺の好きな人の為に」
2周年記念作品は
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